「中小規模の病院」の力になるために…株式会社ヘンリーが開発したクラウド型電子カルテ「Henry」とは?

笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「DIGITAL VORN Future Pix」(毎週土曜 20:00~20:30)。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。2月24日(土)の放送は、株式会社ヘンリー 共同CEOの林太郎(はやし・たろう)さんをゲストに迎えて、お届けしました。


(左から)笹川友里、林太郎さん


林さんは、一橋大学卒業後、ロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)に留学。学生時代は、アフリカで日本の中古重機をレンタルする新鋭スタートアップで現地リーダーとして活躍。楽天株式会社入社後、楽天カード全体のSEOマーケティング業務や、楽天市場・楽天カードのビッグデータの分析などを担当、2018年に株式会社ヘンリーを起業しました。

◆“医療現場のデジタル化”を目指す

はじめに、ヘンリーが提供している病院向けのクラウド一体型電子カルテ「Henry」について、「『電子カルテ』『オーダリングシステム(医師の指示を各部署にコンピューターで伝達するシステム)』『レセプトコンピューター(診療報酬明細書を作成するコンピューターシステム)』の3つが一体となったクラウド型のシステムで、病院向けに販売しているのは、日本で弊社だけです。クラウドで使えることによって、他にはない大きなメリットが提供できます」と林さん。

これまでの医療システムは、それぞれ別のシステムでそれらを“つなぐ”前提で作られているものが多いのですが、「我々は最後発で作ったこともあり、それらをすべて同じシステムで管理できるように作ってあるところが特徴です。また、紙を使わなくても情報共有ができるシステムを構築しているところもメリットかなと思います」と強調します。

林さんによると、医療業界では長らく“セキュリティ上、医療情報システムはインターネットにつないではいけない”といった制限があったため、「例えば、お医者さんが自宅でカルテを確認するとか、何か緊急の事態があったときに“患者さんの情報を伝える術がない”というようなことがありました。それをクラウドシステムで共有化することにより、自宅で“患者さんが急変した”という情報を具体的に確認した状態で病院に向かえる、というメリットもあります」と話します。

続けて「医療の現場は、すごく情報が多い世界なので、実際にはもっと共有したい情報がたくさんあると思うんですけど、我々の目標としては、この先3~5年のあいだにクラウドのシステムを通して、お薬の情報だけではなく、患者さんの情報の細かいところまで、医療機関や自治体と共有し合える世界を構築できればと思っています」と力を込めます。

◆中小規模の病院向けに特化している理由

「Henry」は中小規模の病院に向けたサービスとして特化していますが、その理由について、「大きな病院では電子カルテの普及率がかなり高くて、おそらく9割以上の病院が導入していますが、中小規模の病院の普及率はまだ50%ぐらいで、残り約半分の病院は紙のカルテを使っています。その大きな理由として、例えば、病院内にサーバーがあって、インターネットとつながない従来型のシステム『オンプレミス』(自社でサーバーを所有・管理)を導入したくても、“価格が高額なために買えない”という病院が今でも多く存在しています」と林さん。

そうした中小規模の病院が抱えている課題を解決するべく、「“クラウドで安価かつスムーズに導入できるシステムを作りたい”という思いで、我々は初めから中小規模の病院に特化して作ったという背景があります」と話します。

そして、「Henry」の今後の展望については、「電子カルテ、オーダリングシステム、レセプトコンピューターはそれぞれ難しいシステムなので、(サービスを導入していただく)病院がより使いやすくなるように、機能を改善していくことが必要になってくると思います」と課題点を挙げます。

そうした部分を一つひとつ解決していき、「より使いやすく、しかも安価で情報共有しやすい電子カルテができれば、今まで電子カルテに踏み切れなかった病院に対しても、自信を持って提供できると思いますので、まずは我々のシステムを使って“業務が改善した”“情報共有ができるようになった”といった事例をどんどん作っていきたい」と力を込めていました。

次回3月2日(土)の放送も、引き続き、林さんをゲストに迎えてお届けします。林さんが思い描く“近未来の医療現場の風景”についてなど、貴重な話が聴けるかも!?

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2月24日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2024年3月3日(日) AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。

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<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00~20:30
パーソナリティ:笹川友里
東京プラネタリー☆カフェ
放送局:TOKYO FM
放送日時:2024年2月24日 土曜日 20時30分~20時55分

※該当回の聴取期間は終了しました。

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若き女性教師の悪夢のような極限心理をあぶり出す 『ありふれた教室』

ニッポン放送「ひろたみゆ紀のサンデー早起き有楽町」(日曜朝5時~)で、おススメの最新映画をご紹介しているコーナー『サンデー早起キネマ』。5月12日は、衝撃の映画体験が味わえる3本をご紹介しました。

その1本は、ドイツから届いた、若き女性教師の悪夢のような極限心理をあぶり出したサスペンス・スリラー『ありふれた教室』。

『ありふれた教室』  (C)ifProductions_JudithKaufmann

ポーランド系ドイツ人女性のカーラは、仕事熱心で責任感が強い若手教師。新たに赴任した中学校では1年生のクラスを受け持ち、同僚や生徒の信頼を獲得しつつありました。

そんなある日、校内で相次ぐ盗難事件の犯人として、カーラの教え子が疑われることに。問題があれば徹底的に調査する“不寛容方式”を掲げる校長らの強引なやり方に反発したカーラは、独自の犯人捜しを始めます。すると、カーラが職員室に仕掛けた隠し撮りの動画には、ある人物が盗みを働く瞬間が記録されていたのです。

やがて、盗難事件をめぐるカーラや学校側の対応は噂となって広まり、保護者の猛烈な批判、生徒たちの反乱を招き、同僚教師とも対立。カーラは、後戻りできない孤立無援の窮地に陥っていくのです……。

『ありふれた教室』  (C)ifProductions_JudithKaufmann

監督は、この作品が長編4作目にして日本劇場初公開となるイルケル・チャタク。誰にとっても馴染み深い学校という場所を“現代社会の縮図”に見立て、正義や真実の曖昧さをサスペンスフルに描ききりました。

教員のなり手不足や過酷な長時間労働、モンスター・ペアレンツなどの問題がしばしば報じられる日本社会とも無縁ではありません。

『ありふれた教室』  (C)ifProductions_JudithKaufmann

英語のタイトルは、『The Teachers’ Lounge』=職員室ですが、『ありふれた教室』という日本語のタイトルが、本当に“言い得て妙”なんです。この作品が、世界中の学校だけでなく、あらゆるコミュニティーで、いつ起きても不思議ではない“今そこにある脅威”をあぶり出しているからなのです。

まさしく“学校は社会の縮図”。どこででも起きそうな“ありふれた”こと、この作品に登場する人たちは、私たちの周りにもいる“ありふれた”人たちなのです。だから怖い!ちょっとした選択ミスで物事がどんどん悪い方向に転がっていってしまう……誰にでも起きそうな問題をどのように解決していくのか? 解決する方法はあるのか? その前にそもそも人は問題の根源にちゃんと向き合っているのか?……まで考えさせられます。

教師、生徒、保護者の間でふくれ上がった猜疑心が暴発し、 正義や真実をのみ込んでいく衝撃的なストーリー展開! 圧巻のエンディングにも打ち震える破格の映画体験を是非、劇場の大スクリーンで。

『ありふれた教室』  (C)ifProductions_JudithKaufmann

『ありふれた教室』
5月17日(金)新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、シネ・リーブル池袋ほか全国公開監督・脚本:イルケル・チャタク
出演:レオニー・ベネシュ(『ペルシャン・レッスン 戦場の教室』『白いリボン』)、レオナルト・シュテットニッシュ、エーファ・レーバウ、ミヒャエル・クラマー、ラファエル・シュタホヴィアク
2022年/ドイツ/ドイツ語/99分/スタンダード/5.1ch/原題: Das Lehrerzimmer /英題: The Teachers’ Lounge /日本語字幕:吉川美奈子/提供:キングレコード、ニューセレクト/配給:アルバトロス・フィルム/G

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