高野寛「SASUKEくんの曲を知ってすごいものを聴いちゃったな、と」

写真左からSASUKE、高野寛 ©InterFM897

InterFM897で毎週火曜日に放送中の『SASUKE's konnichiwa Radio』(DJ: SASUKE)、今回は、ゲストに高野寛さんをお迎えしての放送でした。

「平成終わるってよ」を知って、すごいものを聴いちゃったなと

SASUKE:今日は本当にありがとうございます。

高野寛(以下、高野):こちらこそ。なんかひょんなきっかけで。この間テイ(トウワ)くんが番組に出てるのを聴いて、そのことをTwitterでつぶやいたら、SASUKEくんから連絡をもらって。

SASUKE:まさか本当に来てくださるとは!僕はですね、高野さんを最初に意識したのは「Luv Connection」 (TOWA TEI with Joi Cardwell & Vivien Sessoms)です。それが頭に残って、いいなあと思っていて。

高野寛:僕は90年代にエレクトリック・シタールでいろんな人とセッションをしたりとか、自分のトレードマークみたいなのがあるんですけど、きっかけはあの曲だったんですよ。テイくんがレコーディングに誘ってくれて行ったんですけど、エレクトリック・シタールがレンタル楽器としておいてあって、弾いてみたら自分に合うなと思って。それで自分でもすぐ買って。そして、その後坂本龍一さんとレコーディングした時とかに使い始めて、そんなきっかけでした。

SASUKE:え~!意外です。

高野:音はもちろん知っていたんだけど、自分で弾いたことはなくて。

SASUKE:でも高野さんはそのイメージがすごくあります。

高野:90年代はよく弾いてました。

SASUKE:そしてその後が教授(坂本龍一)の『sweet revenge』ですね。

高野:そこですか。親の影響で聴いてたの?

SASUKE:よく家でかかってたので。お父さんが好きだったんです。

高野:何歳くらいの時?

SASUKE:何歳くらいですかね。多分生まれた時からかかってたとは思うんで(笑) 。意識したのは幼稚園とかですかね。

高野:だいぶ早いね(笑)。

SASUKE:そうなんですよ。それで高野さんを知って、聞くようになったんですけど。まさか自分のラジオに来てくれるとは。

高野:そんなもんなんじゃないですかね。僕もデビューのきっかけになったオーディションがあって。それがYMO (Yellow Magic Orchestra)の高橋幸宏さんとムーンライダーズが主催してたんですよね。会えるだけでも嬉しいのに、それで自分の1stアルバムをユキヒロさんにプロデュースしてもらって。音楽って川の流れのような、そこに飛び込んだ人がいつしか同じ流れの上にいるようなのがあるんですよ。

SASUKE:それは本当に感じますよね。

高野:だから聴いてるだけで音の遺伝子のようなものが伝わってくるというか。僕もSASUKEくんの曲聴いたきっかけは、多分SNSだと思うんだけど、バッファロー (Buffalo Daughter)と一緒にやってるっていうのだったかな。

SASUKE:最初、「平成終わるってよ」を高野さんにTwitterで紹介していただいて、高野さんだ!って思って。

高野:まさか僕のこと知ってくれてるとは思わなかった。

SASUKE:で、そこにコメントしてっていう感じで。っていうのが最初ですよね。

高野:僕はちょうど平成が終わる少し前くらいにあの曲のことを知って、時代が変わるムードと曲がぴったりシンクロして、すごいものを聴いちゃったなって思ったんですよ。SASUKEくんって今までの僕らの感覚からしたらすごくハイブリッドというか捉えどころがなくて。ダンスやってトラック作って歌う人っていないじゃないですか。僕らの世代は宅録がインドアな表現だったんだけど、SASUKEくんはコンピュータとフィジカルの融合の仕方が昔の世代と違うなあと思って。

SASUKE:曲作ってる時が一番楽しいんですけど、その時って部屋にこもるじゃないですか。でもそれだとライブしてる時に息切れしたり、運動ができなくなっちゃうんですよね。なので運動の時間も取っておかないといけなかったり、そのあたりが大変ですね。

高野:なるほど。わかる!それはみんなありますよ。レコーディングとライブどっちかに偏っちゃうといつの間にか自分も音だけに集中する人になっちゃったり、逆にツアーが続くと今度は粗くなってきたりして。悩みどころがありますね。

SASUKE:僕だけじゃないという安心感が得られました(笑) 。

高野:でもSASUKEくんのいるところは前人未到の領域かもしれないからね。

写真左からSASUKE、高野寛 ©InterFM897

みんな気づかないうちにYMOの影響を受けている

SASUKE:技術が進化して、便利になってきたおかげでもあるのかもと思いますね。色々機材の話とかしましたけど、高野さんって何から入ったんですか?

高野:一番最初は幼稚園の時のオルガン教室で。それが外で音楽を習った唯一の経験で。中学に入ってからアコギを弾いてたんですけど、シンセサイザーにも興味があって。当時まだ高かったですから、楽器屋でカタログだけもらって眺めてたりしてたんですよ。それで冨田勲さんなんかも聴いてみたんですよ。でも中学生には難しくてそこまでのめり込まなくて。そしたら中2くらいでYMOが出てきて、そこからですね。自分の中ではYMOみたいなことをやりたかったけど、学校でそんな友達は見つからないし、まだ宅録機材も高価だったので、学校ではロックバンドをやりながら家ではカセットとかを工夫して宅録するっていうかんじでしたね。今でも同じですけど、ライブと宅録が両立しているというか。

SASUKE:今より大変だったんじゃないですか?

高野:イメージに追いつかないもどかしさはあったね。でも単純だから徹底的に掘り下げる気持ちが、逆に、創意工夫に繋がったりとか。できないことが多い中でなんとかアイデアを出してやるってことが、意外と楽しかったかもしれない。

SASUKE:YMOがすごく好きなのは知ってて、曲を聴いて共感が色々あったなと感じました。

高野:いいですねそういうの。ちょっと前だと世代を超えた共通のフェイバリットっていう存在ってThe BeatlesとかThe Rollings Stonesとか、そういう王道のバンドしかなかったような気がするんだけど。でも今は、YMOが世代を超えて世界中でみんな共感してる存在になってるんだなって気がしますね。

SASUKE:今の音楽ってほとんどYMOに影響を受けてますもんね。

高野:気づかないところで受けてるかもしれない。SASUKEくんのマシーンとかガレージバンドだって、YMOがコンピュータミュージックをポップなものにしなかったら違った進化をしてたかもしれないし、発売されるのがもっと遅くなってたかもしれない。The Art of Noiseとかもあったけど、日本だとYMOが『テクノデリック』でやったのが早かったし。

SASUKE:尊敬しますよね。

高野:で、やっぱり今聴いても1stアルバムからすごいっていうのがね。めっちゃファンキーだしね。

SASUKE:僕もファンク好きなので、心動かされますよね。

高野:グルーヴがすごい。それが他のテクノとの違いだよね。

SASUKE:人間味があるんですかね。

高野:そうそう。YMO以前に三人ともキャリアがあって、めちゃめちゃ楽器が上手い人たちがコンピュータと格闘してるっていうのがね。ただ作ってるわけじゃなくて。2ndアルバムくらいまでは速いフレーズのシーケンスも坂本さんが手弾きでやってるっていう。

SASUKE:テレビで見ました。これ手弾きでやってるの?!っていう。僕なんかはコンピュータに頼りっぱなしなんで。

高野:でもSASUKEくんは、Louis Coleみたいな曲を作ってみたとかあるよね。だからそこが新しいなと思って。ただシーケンサーと格闘してるわけじゃなくて、楽器も一通りやるじゃないですか。

SASUKE:音楽をずっとやっていくと、生の楽器をやりたくなってきちゃうんですよ。この音欲しいなっていうのがあっても、サンプルじゃうまく出せないからっていうので始めちゃいますね。

高野:欲張りなんだね(笑) 。

SASUKE:欲張りです本当に。

高野:そこで、誰かと一緒にやろうとかはならないの?

SASUKE:やれるような話の合う仲間が周りにいなくて。年齢的にも、田舎だったっていうのもありますし。

高野:そういうのも運命かもしれないね。バンドマンって、中学とか高校くらいの時にバンドメンバーと出会うんですよ。で、そのあと何十年も続けたりするんだけど。でもそれって自分で探して見つかったりするもんじゃないしさ。そこに運命の物語があるのかなっていう。

SASUKE:でもソロの方がやりやすいみたいなところもあります。自由というか。

高野:そうだね。イメージがたくさん膨らむ人は、ソロの方がいいのかもしれない。

SASUKE:僕は変わったことをやろうとするので、ただカッコイイバンドとは合わないとは思いますね。

高野:ちょっとユーモア挟むもんね。そういうのもYMOっぽいかもしれないね(笑) 。音楽は完ぺきなのにふざけるっていう。

SASUKE:あんな風になりたいなっていうのはありますね。高野さんはそういうのはやられないんですか?

高野:僕は不器用だし緊張しいなんですよ。テレビなんかに出ると、緊張が真面目に出ちゃうタイプだから。もうちょっとふざけられたらよかったなと思いますね。

SASUKE:『ソリトン』(土曜ソリトン SIDE-B:1990年代に旧NHK教育テレビで放映された音楽トーク番組)の高野さんと教授でやってるMCの動画があって、めちゃくちゃ見ましたよ。

高野:SASUKEくん、全然生まれる前でしょ?でもそういう話がSASUKEくんとできるなんて、これもインターネットのおかげかなって気がする。

SASUKE's konnichiwa Radio
放送局:interfm
放送日時:毎週火曜 23時00分~23時30分
出演者:SASUKE
番組ホームページ

メール:sasuke@interfm.jp
ハッシュタグ:#sasuke897

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