Orono x 田中宗一郎「日本が嫌いになると同時にもっと好きになった」

写真左からorono、田中宗一郎 ©InterFM897

InterFM897で毎週木曜日よるに放送、8人組多国籍ポップカルチャー・ジャンキー集団、Superorganismの日本人ボーカルoronoがDJを務める『Oh Wow, Very Cool!』。8月22日は、前週に引き続き、ゲストに音楽評論家の田中宗一郎さんをお迎えしてお送りしました。

今の日本はいろんなシステムが目詰まりしている

Orono:今週もよろしくお願いします!さっきなんの話してたんだっけ?あ、頑張らなきゃいけないけど、頑張りたくないって話だ。

田中宗一郎(以下、田中):頑張りたくないよね。できれば一日中猫と遊んでいたいんだけど、モノを読み出したり聞き出したりするとやらなくてもいいくらい夢中にならない?

Orono:なる。でも、頑張るっていうのはやりたくないことをやるっていう認識だから、ラジオをやるのも頑張るとか仕事とか思ってなくて。仕事っていうのは、ツアーやったりインタビュー受けたり。そういうのが仕事だと思ってて。だから音楽は仕事だと思ってない。でも同時に音楽をこれからもやっていきたいからこそ、ひたすら葛藤してる。

田中:ひたすら作ればいいよ。作るの楽しいじゃん。

Orono:楽しい。でも音楽のうちの仕事の部分がつらすぎて、作ることに対しての愛を忘れていっちゃうとか。自分はライブとかそんなにアートだと思ってないから。やってて楽しい時はあるけど、仕事としか見てないから。

田中:やってて怒る瞬間とかある? 俺、気がつくと世界平和を考えてる時があるわけ。で、世の中を世界平和から遠ざけることって山ほどあるじゃん。それに対して怒り出すの。そしてその怒りから、俺だったらどうするみたいなことを考え出すの。そういうことからモチベーションに火をつけることがある。

Orono:そういう怒りはクリエイティブなことには向けないかな。でも怒りとかを見せるのはラジオとかインタビューだと思う。怒りといえば、日本に住んでた13、14歳の時は怒りしか感じなかった。変えたくても何もできなくて、それが悲しくて逃げた。変えられると思う?希望はある?

田中:ないね。若い人が聴いてる番組でこんなこと言っちゃダメかな(笑)。

Orono:聴いてる人が日本を出て行く後押しになれば、それでいいと思う。

田中:俺はOronoのオヤジさんより歳上じゃん?で、俺が生きてる30年40年くらいの間に、抜本的に変わるってことはないと思う。今の日本はいろんなシステムが目詰まりしてるけど、それをおかしくしてるのって日本人の意識の低さじゃん。

Orono:日本人は不満を感じてないんだと思う。このシチュエーション以外のパターンをわかってないから、どんなに社会的に遅れてるかわかってないの。それを中学生くらいで気づいてショックで、周りと一緒に生活するのがつらすぎてやめた。

田中:いろんなことを考えなくても構わない人にとっては、住みやすい。センシティブな人にとってはキツい国なのよ。

Orono:そう。しかも、そういう人が逃げられる場所がないじゃん。それがかわいそうなの。だから自分が日本で、何か社会に貢献することがあるとしたら、そういう海外に逃げられるようにする機会を提供するような団体をやりたい。けど、そんな金はないから、やりたいけどどうすればいいかわかんない。

アイデンティティを過去に遡ることで再構築すればいい

田中:ヨーロッパもアメリカも、内向きになってるじゃん。海外行くなら今なんだよね。

Orono:でも英語話せないじゃん。メールでも、勉強法教えてくださいとかくるし。

田中:ご両親が好きな日本のカルチャーの話とかしない?

Orono:しない。どっちも日本好きじゃないから。

田中:ご両親とも日本好きじゃないのね。

Orono:2人は日本に慣れてるけど、自分には「日本に留まるな」みたいな教育をされてきた。

田中:俺、いま任侠(にんきょう)映画見てるって言ってたじゃん。そこからだんだん遡ってきたの。1960年代の任侠モノから50年代の時代劇にいって、30年代の戦前のトーキーの時代劇まで見るようになったの。そしたら時代が遡るほど面白くて、そこにちょっとアクセスできるの。そこに、この日本好きかも!みたいなのを見つけるようになって。

Orono:そういうのあるかも。伊丹十三(いたみじゅうぞう:俳優、映画監督。故人)が好き。そうか、遡って面白いもの見つけて、それをパクればいいんだ。

田中:そう。それもまた紛れもない日本だから。俺も戦後の冷戦期に育って、ベルリンの壁が壊れてグローバル社会になる以前。なおかつ世の中にクールなものは全て「From the USA」で、日本のものはダサいっていうのが当たり前だったのよ。そこで育ったから、日本の戦前、江戸時代に興味がないまま育ったんだけど、今、勉強して振り返ると面白いものたくさんある。

Orono:明治時代とか勉強するの好きだった。

田中:明治の最初の頃とかね、数年ごとで色々違うわけよ。こんなに変化があるんだってわかるから。その中でもやっぱりクソだなって面と、蠱惑(こわく)的な魅力がある面があったりして。もしかすると今、一番日本が好きかもしれない。生まれる前の日本に対する興味が見えてきた。

Orono:自分は日本が嫌いになると同時に、もっと好きになった。だからどうすればいいかわかんない。

田中:もっと好きになってるのはどういう部分?

Orono:伊丹十三とか、日本に来る機会が増えてきて、小学生の時に宮沢賢治が好きだったりとか、浮世絵とか好きだったのとか思い出して。古いのが好きなんだよね。

田中:じゃあ、それをもう少し極めたり、もう少し掘ったほうがいい。

Orono:今の日本の嫌いなところは嫌いなままでいい。でもプレッシャーを感じる。ファンタジーになってほしいってプレッシャーを。でもなりたくないしなれないから、どうすればいいかわからない。金は欲しいし有名になりたいし。自分はどんなブランドなんだろうって。

田中:自分のアイデンティティを、過去に遡ることで再構築すればいいのよ。

Orono:なんか一緒に図書館とか行ったら面白くなりそう(笑)。

田中:図書館とか、天国よ。伊丹十三は映画が好きなの?

Orono:映画。小説も好き。

田中:だったら、もっと掘り下げたほうがいい。映画全部見たり。それで全然変わる。去年の秋は週4本くらい見るのが、今年の春には週8本くらいになった。寝る前の2時間で映画一本見ます、みたいな。止まらないよ。アメリカの図書館で日本関係のもの調べてみるのも面白いかもしれないよ。俺たちが一番わからないのは、海外の人間がどう日本を見てるかってところだし。そこから感じることもあると思う。勘違いしてる外側の人たちの目線も含めて。

Orono:勉強しなきゃ。

田中:楽しいことだらけだよ。

Oh Wow, Very Cool!
放送局:interfm
放送日時:毎週木曜 23時00分~23時30分
出演者:orono (Superorganism)
番組ホームページ

メール:orono@interfm.jp
ハッシュタグ: #orono897

※該当回の聴取期間は終了しました。

ゴールデンウィーク特別番組編成 『母の詩2024 ~母の日によせて~』 お笑いコンビ 土佐兄弟を迎えて、 母への感謝の想いをお届けします


文化放送は、母の日を目前に控えた5月3日(金・祝)午前10時00分より、特別番組『母の詩2024 ~母の日によせて~』を放送する。

この特番は、普段はなかなか伝えることができない母への想い、母親への「ありがとう」のメッセージ、さらには母と子の心温まる想いのこもった聖教新聞掲載の投稿を朗読で紹介する、母への感謝を込めた番組。2010年より毎年ゴールデンウィークに放送し、今年で15年目となる。

今回のゲストは高校生活の一場面を再現した「高校生あるある動画」等で若者から絶大な人気を集めている兄弟お笑いコンビ、土佐兄弟の二人。土佐兄弟は日本橋の呉服屋で生まれた7歳違いの実の兄弟。兄の卓也が弟の有輝を誘いお笑いの世界へ進んだ。兄弟を誰よりも近くで見守り、心配し、応援してきた母親とのエピソードなども語る。

このほかにも番組ではメッセージ投稿者と電話をつなぎ、投稿エピソードの後日談や、投稿者の母への感謝の言葉を放送する。

【特番概要】
■番組名      『母(はは)の詩(うた)2024 ~母の日によせて~』
■放送日時     5月3日(金・祝) 午前10時00分~11時00分 ※文化放送での放送時間
■パーソナリティ  野村邦丸
■メッセージ・ストーリー朗読  水谷加奈アナウンサー
■ゲスト      土佐兄弟(土佐卓也・土佐有輝)
■放送局      文化放送を含め全国38局ネット

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