日銀マイナス金利政策解除「安倍派の勢力減退が影響。これまでのやり方では景気は良くならないと証明」辛坊治郎が指摘

キャスターの辛坊治郎が3月20日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。きのう、日本銀行が「マイナス金利政策」の解除を決定したことを受けて、「安倍派がここまでガタガタになっていなければ政策変更はやっていなかった。これまでのやり方では日本の景気は良くならないということが証明された」と指摘した。

金融政策決定会合後に記者会見で質問を聞く日銀の植田総裁=2024年3月19日、日銀本店 ©共同通信社

日本銀行は19日、金融政策決定会合でマイナス金利政策の解除を決めた。これを受けて岸田文雄総理大臣は同日、適切だとの認識を示した。一方、デフレ脱却の判断は今後の経済指標を踏まえて、総合的に判断する考えを表明した。

辛坊)自民党安倍派が去年の裏金騒動からガタガタになって、今はもう風前の灯火。安倍派がかつての勢力をもっていたら、きのうのタイミングで日銀のマイナス金利解除はなかっただろうなと思う。

マイナス金利政策はアベノミクスの柱のひとつで、安倍派の皆さんや、そのまわりにいる学者は、金融緩和と財政出動を二本柱に掲げてきた。

金利を低く誘導して、世の中にジャブジャブお金を回す。同時に国債を大量に発行して、日銀に実質引き受けさせるような形で、どんどんお札を刷って景気を上げる。それがいわば看板政策だったので、それを大きく変更するというのがきのうの日銀の政策変更の意味。

安倍派がここまでガタガタになっていなければ、日銀もそのあたりの力に配慮して、このタイミングの政策変更はやっていなかったのではないかと思う。

ただ、これまでのやり方では日本の景気は良くならないということが証明された。そういう意味で、今回の政策変更は妥当だと思うが、抵抗感を持つ人が多いことも理解している。

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辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!
放送局:ニッポン放送
放送日時:2024年3月21日 木曜日 15時30分~17時30分
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外国人旅行者が増えるなか 「日本の美しさをどう守るか」が今後の課題

ジャーナリストの佐々木俊尚が3月20日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。訪日外国人旅行者が増えるなかで、今後の課題について解説した。

中国の旧正月「春節」を迎え、観光客らでにぎわう横浜中華街。伝統の獅子舞いが各店舗の商売繁盛などを祈って行われた=2024年2月10日午後、横浜市中区(岩崎叶汰撮影) ©産経新聞社

2月の訪日外国人旅行者278万人、2月としては過去最多

日本政府観光局によると、2月の訪日外国人旅行者数は278万人余りとなり、2月としては過去最多となった。旧正月の春節でアジアからの訪日客が増加し、韓国や台湾、アメリカも引き続き堅調で全体を牽引した。

飯田)コロナ禍を経て、単月として最も多くなっている。

観光客が増える一方、温泉施設でルールを守らない外国人観光客も

佐々木)コロナ以前、「日本も観光立国を目指す」という方針で年間6000万人の観光客を目標としていましたが、人数が増えると軋轢も高まる心配があります。先日、北陸に住んでいる知り合いと話したら、最近は日帰りの温浴施設に来る外国人がとても多いそうです。それだけならいいのですが、泳いだりして「ルールを守らない人も多い」と嘆いていました。

飯田)大きな浴槽だと、プールのように見えてしまうかも知れませんね。

佐々木)他にも、かけ湯をしないで入ったり。地方の温浴施設では、英語で「お風呂の入り方」の説明書きがある施設が多いのですが、いちいち読まないですよね。今後、そういうことは増えてくると思います。京都などでもオーバーツーリズムが問題になっているので、各地に外国人が来るのはいいことですが、軋轢をどうかわすのか。この先の大きな課題になると思います。

日本の街の美しさを保っているのは独特な「日本人の秩序」

佐々木)しばらく前にX(旧ツイッター)で話題になった議論があります。日本は無宗教だとみんな思っているではないですか。しかし、日本人にとっての宗教はキリスト教や仏教などのわかりやすい宗教ではなく、「日常生活のこだわりが宗教なのではないか」という議論です。例えば、電車のホームで並ぶなど、日常生活にはさまざまな秩序があります。

飯田)列のラインに沿って並ぶという。

佐々木)公衆トイレも綺麗に使うし、お風呂では、かけ湯をしてしずしずと入るとか。そういうさまざまな秩序が日常生活にたくさんあり、秩序を守ること自体が「我々にとって最も大事なものではないか」と思います。

飯田)子どものころから「他人に迷惑をかけないように」と言われますよね。

佐々木)秩序ばかり言い過ぎて息苦しくなることもありますが、それが日本の街の美しさを保っているのは間違いない。

「日本の街の美しさ」と多くの外国人とのバランスをどうするか

佐々木)歴史的にも幕末から明治にかけて、欧米人がたくさん日本にやって来ました。歴史学者の渡辺京二さんが当時の文献をまとめていますが、多くの外国人が日本に来て「何て綺麗なんだ!」と驚いたそうです。町にゴミ1つ落ちていない。例えば、欧米から来たある植物学者が雑草研究のため、田んぼのあぜ道の雑草を採取しようとしたら、あぜ道に雑草が1本もない。すべて抜かれており、見事なぐらい清潔で美しい町だったそうです。

飯田)そうなのですよね。

佐々木)19世紀当時は、世界中どこでもだいたい汚かったわけで、「日本の美しさは群を抜いていた」という話もあります。そういうDNAが我々の民族にはあるのです。これはこれで、世界に対する日本の1つの売りではありますが、それが逆に我々にとって息苦しくもあり、個人的には「ちょっと面倒だな」と思わなくもない。しかし、一方で外国人がたくさん入ってくると、その売りが崩れてしまう。「そのバランスを今後どうするのか」は重要な問題だと思います。

ゴミ箱がないのに道にゴミが落ちていない

飯田)富士山なども、入山規制しないと人が増えてしまうし、ゴミも大変なことになる。

佐々木)日本はゴミ箱が少ないですよね。

飯田)地下鉄サリン事件以降、駅からゴミ箱がどんどん撤去された。

佐々木)東京メトロも少し前までゴミ箱があったのに、突然なくなりました。

飯田)この時期、花粉症でティッシュを多く使うのですが、ゴミ箱がありません。

佐々木)でも、ゴミ箱がないのに道にゴミが落ちていないのは、外国人から見ると驚天動地だと思います。それらも今後、外国人が増えてきたらどうするのか。「ゴミは家に持ち帰りましょう」と言うのか……。以前、サウジアラビアのテレビ局が「ゴミが落ちていない」という内容で日本を取材したのが話題になっていました。

外国人観光客が増えるなかで「美しい日本」をどう守るかは今後の重要な課題

佐々木)公園でベンチに座り、お菓子を食べているカップルを後ろから隠し撮りして、「いまポテトチップスが地面に落ちましたが、拾っています!」と実況するのですよ。それがニュースになっている。

飯田)そういう感覚は他の国にはないのかも知れませんね。

佐々木)日本人の生活文化の高さは、外国人にとって驚きらしいのですが、外国人観光客が増えるなか、美しい日本をどう守り見せていくかは観光庁などが取り組まなければいけない問題だと思います。

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