南海トラフ地震、知っておきたいこと

4月19日(水)、内閣府・防災担当の福山由朗(よしあき)参事官補佐が『飯田浩司のOK! Cozy up!』(ニッポン放送 月~金曜日 朝6時~生放送)に出演。知っているようで知らない、南海トラフ地震について解説した。

日本付近のプレートの模式図 ~気象庁HP「南海トラフ地震とは」より https://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/nteq/nteq.html

番組では、17日(水)夜遅くに起きた、豊後水道を震源とする地震をきっかけに、関心が高まる南海トラフ地震への正しい理解のため、内閣府・防災担当の福山由朗参事官補佐が解説をした。

飯田:今回の地震、震源が、豊後水道。資料を見ると南海トラフの震源域の北の端っこの方にもあるではないかと、でも、今回その可能性の高まる変化はなかったと。これは、どういうことなんですか?

福山:はい、おっしゃる通り、南海トラフ巨大地震の想定震源域の中で起こった、これはもうその通り……とは言いつつも、南海トラフ地震も、既に現状でもいつも発生してもおかしくない。そういう状況の中で、さらに上積みして発生が高まったという状況ではない、ということですね。その根拠として、気象庁や地震調査委員会が見解を出している通り、今回の地震の規模M6.6だと、南海トラフ地震臨時情報を発表する基準には至っていませんし、地震発生以降、様々な観測データを分析しても、特段の変化は見られないということですので、「直ちに何かが」というところではない、というのが見解になります。

飯田:ベースとしては、「もう、警戒を強めなきゃいけないんだ」というのがあって、その上でという話……

福山:おっしゃる通りです。

評論家・宮崎哲弥(以下、宮崎):フィリピン海プレートがずっと沈み込んでいて、それが「ずれたとき」に“南海トラフ地震”というのが大規模に起こると考えられている。今回はフィリピン海プレートの「内部」で生じた、正断層型(の地震)というふうに説明されてる……ちょっとよく意味がわからないんですが、教えていただけますか?

福山:政府が想定している南海トラフ地震、これはフィリピン海プレートと陸の境界で起こるもの。これは2011年の東日本大震災と同じですね。そうなるともう強い揺れもそうですし、非常に高い津波が観測される……これが我々として、最も警戒している。しかも、広範囲で起こる可能性がある。今回はフィリピン海プレートの内部で起こったということで、ちょっと政府が想定しているような、東日本大震災で起こったような地震のメカニズムと違うということですよね。

飯田:これで何かストレスというか、ひずみが解消されたりとか、そういうことはないんでしょうか?

福山:そこはまだ地震学としては十分解明できていない部分になりますので、今回の地震があったから、ストレスが吐き切ったんじゃないか、というところまでは残念ながら解明できていないところになります。

エコノミスト 片岡剛士:今回の地震自体が南海トラフ地震に直ちに繋がる可能性があるわけではないんだけれども、別途、違う地震が起こる予兆みたいな、そういう可能性はあるんでしょうか?

福山:そこも排除はできないですけれども、別の領域で地震に繋がるか、という評価をすることは残念ながら現在の地震学ではわからない。

宮崎:フィリピン海プレートの沈み込みがどんどん激しくなっていってるというような可能性はないですか?

福山:そこはまだ今回の地震が発生して2~3日しか経っていないので、まだそこまで行くには、もうちょっともうちょっとデータを蓄積して長い目で見る必要があろうかと思っています。

ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』生放送の様子

飯田:M6.8を超える地震が想定震源域の中で起こった場合には、南海トラフ地震の評価検討会が、開かれるということになっていますが、これはシステムとして決まっている?

福山:一定の線引きが必要になりますので、まずM6.8の地震が起こったら、緊急で気象庁の評価検討会というものが開催されて、それで起こった地震について専門家交えて評価します。その結果、防災対応をとるべきような規模なのか(検討する)。その基準がまた別途あります。とにかく調査を始めるっていう基準がM6.8となります。

飯田:その調査の結果、やはり大きな地震が起こる可能性が高いぞ、となった場合には、また別途いろいろ対応がある……

福山:そうですね、「巨大地震警戒」あとは「巨大地震注意」というものがあります。それに応じた防災対応を国全体でしっかり取る、という体制になっています。

宮崎哲弥氏、ニッポン放送・飯田浩司アナウンサー、片岡剛士氏、福山由朗参事官補佐

宮崎:直下型地震というのは、どちらかというと偶発性が高くて、事前に地震が来るということを察知するのは大変難しいんだけど、プレート型っていうのはいろんな前兆現象が起こるので、ある程度予見できるんじゃないかというふうに見られている。いずれにしても、南海トラフ沿いでは、M8~9クラスの巨大地震が、今後30年間に発生する確率が平常時でも、70%~80%ということなので、(首都機能を)分散化するとか、移転するとか、バックアップシティを作るとか、っていうことを考えたらどうなのか。

飯田:南海トラフの範囲っていうのは、相当広いんですよね?

福山:範囲としては非常に広くて、東の端は静岡県駿河湾。南は宮崎県の沖合・日向灘まで。

宮崎:工業地帯だってずっとあるわけでしょ? それが巨大な津波によって襲われるということを考えると、私はもっと生産拠点を分散させた方がいいと思うんですけどね。

飯田:政府や企業の拠点(というだけではなく)、1人1人の備えというのも必要になる。その辺も含め話し合うきっかけにしていただければと思います。

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飯田浩司のOK!Cozy up!
放送局:ニッポン放送
放送日時:2024年4月19日 金曜日 6時48分~7時37分
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「何の努力もせんでも儲かりますよ、円安なんだから」上場企業の7割120社が増益

5月2日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、木曜コメンテーターで京都大学大学院教授の藤井聡氏と寺島尚正アナウンサーが、上場企業の増益に関するニュースについて意見を交わした。

藤井氏「可能な限り、トリクルダウンをしてもらいたい」

1日までに発表された2024年3月期決算を集計したところ、7割に当たる120社が増益となった。増益社数の比率は過去10年で2番目の水準で、好業績企業の裾野が広がっている。

純利益が増えた企業の比率は前の期比14ポイント増の69%と、22年3月期(73%)以来の高水準となった。行動制限や半導体不足といった新型コロナウイルス禍に伴う制約がなくなり、鉄道や空運、食品、機械など幅広い業種で増益企業が増えた。

寺島アナ「上場企業の業績が好調だというデータがでてきましたね」

藤井氏「上場企業って何社あるかっていったら約170社ですよ? 日本の企業どんだけあると思っとんのやと。こんな一部の話はどうでもええとは言わないが、大半の国民は無関係ですよ」

寺島アナ「そうですね、東証プライム上場する173社ですからね?」

藤井氏「そうですよぉ。何の努力もせんでも円安になっただけで。何度も言いますが、2割円安になったら2割総売りが上がるんですよ。総売りが上がる一方で、国内の物資の調達費は一定だからね? すぐには変わらないから、だから原価はほとんど一緒でしょ? で、総売りだけが伸びるでしょ? そしたら2割総売りが伸びたら、純利益は2倍とか3倍とか4倍とかになるんですよ。だからそりゃあ儲かりますよ、円安なんだから」

寺島アナ「だからここだけ見てちゃダメだっていうことなんですよね」

JR東日本、JR西日本、JR東海の3社の純利益合計は前の期比7割増えた。 JR東海はインバウンド収入が新型コロナ禍前を86%上回った。JR東海は「(今期も)この勢いは衰えない」と話す。

円安も輸出企業を中心に利益を押し上げた。日米金利差を背景に対ドルの平均レートは前の期比9円円安の145円と約34年ぶりの円安水準となった。輸出採算が改善したり、外貨建て取引の差益が膨らんだりした。値上げや訪日客需要の取り込み、為替の円安などが利益を押し上げている。

藤井氏「こうやって輸入企業だとかインバウンド企業が儲かってきてるんですから、まぁ起こらないですけど、可能な限りトリクルダウンなるものを若干だけでもしてもらいたいですね」

寺島アナ「滴り落ちるようにと?」

藤井氏「あんま落ちないんですけど、できるだけ落としてほしいですね」

寺島アナ「まぁ、だって滴り落ちなかったら価格転嫁もできやしないぞ、っていうような苦しい経営をずっと続けなくてはいけないっていう状況が続くわけですものね?」

藤井氏「これが上場企業の場合は株主資本主義なんて最近は言いますけど、株主の配当金の中にダァーッと流れていくんですよね。で、株主の配当金を出してるのは誰かといったら外国人の投資家だとか、要するに大金持ちだけですからね。この増えた分が大金持ちに回る構造があるんですよ。これをちゃんと賃金だとか取引先に対して豪気にお金を使っていくようにしてくりゃあいいんですけど、トリクルダウンさせないでトリクルアップさせている状況ですな」

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