韓国とは感情的にならず淡々と付き合うべき~元徴用工訴訟

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月5日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。「公示送達」の効力が発生した元徴用工訴訟について解説した。

2018年10月30日、ソウルの韓国最高裁で行われた判決後に会見する元徴用工の李春植さん(中央) ©時事通信

いわゆる元徴用工訴訟~麻生財務大臣が対抗措置に言及

麻生財務大臣は8月4日の閣議後会見のなかで、韓国のいわゆる元徴用工訴訟で差し押さえられた日本企業の資産が実際に売却された場合の措置について、「しかるべく対応を取らざるを得ない」と話した。

飯田)韓国の裁判所が出した、資産の差し押さえ命令決定書が日本製鉄側に届いたとみなす「公示送達」の効力が8月4日に発生したということで、これを今後どう扱って行くのか。

新日鉄住金本社の会社ロゴの前で記念撮影し警備員に注意を受ける、元徴用工側の代理人ら=12日、東京・丸の内 撮影日:2018年11月12日

北朝鮮にしか興味がない韓国~感情的にならずに淡々と付き合うべき

佐々木)日本側はあまり韓国を刺激しないようにやって来ましたが、ここ1~2年の韓国専門家の発信を見ていると、もはや韓国は日本に興味がないようです。昔と比べるとお互いの輸出入も少なく、経済的な結びつきもかなり減っています。文在寅政権は北朝鮮にしか関心がありません。北朝鮮問題についてどう考えるか、そのときにアメリカとどう連携するかということだけを考えていて、日本にはまったく興味がないような状況です。日本政府は迎合する必要も、無理に押す必要もありません。ドイツとフランスのように、隣の国とは仲よくできないものです。あまり感情的にならずに距離を置いて、淡々と付き合い、法的な問題に関しては処理して行くしかないと思います。

2018年11月29日、ソウルの韓国最高裁に向かう三菱重工業への賠償を求めた韓国人女性ら=©時事通信

過剰に反応すると「日本は韓国と対立している」というマイナスイメージだけが広がる

飯田)国際的にミスリードを与えるような、間違った言説を流布するところは抗議する必要がありますが、感情的にならずにということですか?

佐々木)そうです。この前の慰安婦の少女像の前で、安倍さんが土下座しているものもそうですが、日本側が過剰に反応すると対韓国、対国内ではなく、国際的にどう見えるかを考えた方がいいと思います。日本は常に冷静に対応しているように見せた方がいいです。過剰に反応すると、「日本は韓国と対立しているらしい」というマイナスイメージだけが広がってしまいます。ここは淡々とやるのが、対外的にいちばんいいと思います。

飯田)資産の売却は非上場株なので、資産鑑定など、日本製鉄側も即時抗告するという方針になっていますから、まだまだ手続きに時間がかかるということですか?

佐々木)普通に考えると、韓国側もなぜそこまでするのか、非常識極まりないと思います。しかし、腹を立てても何も進みません。

飯田)法的な手続きとしては、日韓の基本条約があり、請求権協定があり、紛争処理の手続きもあります。これを粛々とやりながら、何かやって来たらこちらも返すと。どうして論理的に話し合えないのかと思ってしまいますが。

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

ツイッターで酷いツイートの返しに冷静に応えるのと同じ

佐々木)対外的にどう見えているかということの方が大事です。ツイッターのやり取りと同じです。ツイッターで何か言われて腹を立て返すと、クソリプにムキになって反応していると思われますよね。反応するときは、「それを冷静に見ている人たちにどう見えるか」ということを考えながら反応することに決めています。だからどんなに酷いクソリプでも、穏やかに返すと「佐々木さんはああいうものにもちんと穏やかに返しているのね」と、評価が高くなります。

飯田)決して激しい言葉を使わないと。

佐々木)ムキにならないということです。

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作家・まさきとしか~生活をするためには小説を書くことしか残っていなかった

黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に作家のまさきとしかが出演。小説を書く日常生活について語った。

まさきとしか

黒木)今週のゲストは作家のまさきとしかさんです。現在は北海道札幌市で執筆活動をされていますけれども、東京生まれということですが、何かをきっかけに札幌に行かれたのですか?

まさき)親の仕事の関係で、2歳のときに札幌に行き、その後、東京に住んでいたことがあります。

黒木)そうなのですね。作家として、「最初は勘違いで」とおっしゃっていました。自分がプロとして、作家として生きて行こうという気持ちになったきっかけは何ですか?

まさき)「プロとして生きて行こう」と思ったことはないです。本当にダメ人間なのです。怠惰で、努力することもできなくて、自分でもなぜ地道な作業ができるのか不思議です。仕事もいままで転々としていて、20では済まないほど職も変えています。会社勤めも20代後半になってから、「このままではいけない」と思い始めたのですが、会社に行くのが嫌で、よくズル休みをしていました。朝、出勤前にシャワーを浴びるのですが、髪を洗いながら、「こんな毎日は嫌だ」とうんざりしていました。でも、小説家になったら、小説を書くのは好きだし、うんざりしない生活を送れるのではないかと思い、消去法で小説を書くということしか残っていなかったのです。

黒木)それは、小説家になるべくして生まれて来たのですね。

まさき)そうなのでしょうか。

黒木)それしかないということですよね。

まさき)他は何もできないです。

黒木)ご自分でそう思っていらっしゃる。羨ましい限りです。私はまさきさんの著書を読んで「素晴らしい本に出会えた」と、生きていてよかったと感動してしまいました。

まさき)そういう声を聞くと本当に嬉しいです。なかなか人と接することが普段はないので、本を読んでくださった方からそう言っていただけると、天にものぼる心地になります。

黒木)まさきさんの本の1つの特徴に、「こういうものが嫌い、こういうものも嫌い、でも本当に嫌いなのはそう思っている自分だ」というフレーズが、どの本にも出て来ますよね。

まさき)すごいですね。

黒木)いまお話を伺って、だからその文章が出て来るのだと思いました。

まさき)そこまで読まれていましたか。そこまで読んでいただいたことに驚きです。読者の方から直接声を聞くことが少ないので、本当にきょうは貴重なお時間です。

黒木)まさきさんは、どのようなルーティンで書かれているのですか?

まさき)私は、いまは小説だけを書いているのですが、いつお休みにするかということは決めていません。朝型なので、7時~8時のあいだに身支度をして、そのあと1人でラジオ体操をして、毎日同じ朝ごはんを食べます。

黒木)同じ朝ごはんですか。

まさき)野菜と納豆、お味噌汁、ご飯と、たまに鮭がつきます。それからコーヒーを淹れてパソコンに向かいます。

黒木)何時ごろまでですか?

まさき)だいたい10時から始めて、休憩を挟みつつ6時~7時に終わります。「きょうは行けるかも」と思ったら、もう少し遅くまで書いています。

黒木)「きょうはやめた」という日もありますか?

まさき)そういう日もあります。そういうときは、お酒を飲みます。

黒木)いいですね。

まさき)そうでしょうか。

黒木)物語を紡いでいらっしゃるわけでしょう。ゆったりとした豊かな時間のなかで、ミステリーを書かれているのですね。

まさき)自分でも、環境にはすごく恵まれていると思います。

黒木)充実していらっしゃるから、こういった斬新な本が書けるのでしょうか?

まさき)無趣味で、人生の楽しみが全然ないのです。生活のなかで楽しいことが見出せないから、本当に無機質に生きているという感じです。

『あの日、君は何をした』

まさきとしか/作家

■1965年、東京都生まれ。北海道・札幌育ち。札幌市に在住。
■2007年、『散る咲く巡る』で第41回北海道新聞文学賞を受賞。
■2013年、母親の子どもに対する歪んだ愛情を描いたミステリー『完璧な母親』が刊行され話題になる。
■他の著書に『夜の空の星の』『熊金家のひとり娘』『大人になれない』『いちばん悲しい』『ゆりかごに聞く』『屑の結晶』などがある。
■最新刊は『あの日、君は何をした』(小学館文庫)

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