日本の「戦争を甘く見る空気」、勝っていた時代に似ている

大竹まことがパーソナリティを務める「大竹まことゴールデンラジオ」(文化放送・月曜日~金曜日11時30分~15時)、7月16日の放送に戦史・紛争史研究家の山崎雅弘が出演した。今月発売した著書『戦争を甘く見る空気』にちなみ、かつて戦争が起きた時代と、現代の日本に流れる空気の共通点について語った。

大竹まこと「今回の御本は『戦争を甘く見る空気』。帯に“止まらない物価高。軍備増強と戦争準備、中国敵視、そしてメディアの沈黙と迎合”と。まさに戦争を甘く見ている空気が、世の中にあるような気がします」

山崎雅弘「僕もそれが、特に高市早苗政権が誕生したあと急速に濃厚になっているな、と感じます。具体的には中国の軍事力の脅威は昔からありますけど、あたかもそれがもう直接、日本の安全を脅かしているかのような。誇張された話を前提として、南西諸島に部隊を展開してミサイルを展開して、軍備を増強する、と。中国とそこで戦うことが既定方針であるかのような動きをとっているな、と」

大竹「うん」

山崎「日本は資源、食料、そのほかの様々なものを輸入に依存しています。戦争が始まればどうなるか。国民の暮らしは大きな影響を受けて、いまの生活を維持できなくなる。それがわかっているのに、何かすごく高揚感をおぼえながら、軍備に力を入れている。そういう空気が気持ち悪いと思います」

大竹「市民だけでなくメディアにもそういうことを感じますか?」

山崎「はい。今、説明したところを、批判的視点をあまり挟まず、政府の発表をほぼそのまま報道する。それで国民の間に『政府の意向どおり中国の脅威は高まっているんだ』という空気が流れる。だったら軍備を増強するのも、税金の使い道で軍備を優先されるのも仕方ない、と。これって日中戦争が始まる直前、1937年前半の状況と似ているんですね」

大竹「はい」

山崎「あのときも物価高で国民は苦労していた。でも政府は外敵の脅威を誇張して、軍備増強、あるいは軍事費に偏った予算を成立させた、と」

大竹「その時代は日清、日露と戦いで勝ってきた。市民の間にも『戦争しても、この地では行わない。しかも勝っている』という思い上がりみたいなものがあった」

山崎「そうなんです。日本はアジア太平洋戦争で、末期に本土空襲を受けるまで、ほぼ戦争は外国、特に大陸で行うものだ、というイメージができていた。当時の新聞の論調や国民の日記などを見ると、いまのスポーツの国際大会で日本チームを応援するような感覚で日本軍を応援していて。戦いの舞台は常に外国で、日本人の暮らしは遠く離れた安全圏である、と。安心して戦争を応援していた、ということが言えると思います」

大竹「マスコミもこぞって」

山崎「そうしたほうが新聞だって売れる、ということです」

青木理「僕も新聞記者の仕事をしてきたから考えなくてはいけないんですが。よく、戦争に行かないように監視するのがメディアの力だ、任務だ、と言うけれど、戦争とメディアは相性が良くて。特に先の大戦に至る過程などを見ると、煽るような状況のほうが新聞って売れる。当時の政権や軍部、盛り上がった民の圧力みたいなものもありますよね」

山崎「メディアもやはり民間企業なので、儲けを考える。ほかの企業も、じつは日中戦争が始まったあと、戦争を甘く見たような行動をとっていたんですよ」

番組ではさらに、その企業の行動や、過去と現在の日本の状況について山崎が語った。

大竹まこと ゴールデンラジオ!
放送局:文化放送
放送日時:毎週月曜~金曜 11時30分~15時00分
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※該当回の聴取期間は終了しました。

「国を守る名目で国民を監視する」神奈川県警の免許証不正流用

10月23日(金)、ニュースキャスター・長野智子がパーソナリティを務めるラジオ番組「長野智子アップデート」(文化放送・15時30分~17時)が放送。午後3時台「アップデート・コラム」のコーナーでは、「神奈川県警の免許証不正流用」というテーマで、ジャーナリスト・青木理氏に話を伺った。

神奈川県警の保土ケ谷署員が、運転免許更新で回収した旧免許証を持ち出していた問題があり、警察庁が調査状況を明らかにした。

長野智子「免許証って(期限が)切れるとパチンッと穴を開けて……」
青木理
「返却してくれるところもあるんです。たとえば警視庁なんかはそういうところが多い。僕も古い免許証をパチンッて穴開けて返却されて、記念に持つ人もいるだろうし、こんなもんいらないからっつってシュレッダーにかけちゃう人もいると思うんですけど、戻すところもある。ただ、神奈川県警の場合は、どうやら今回明らかになったのは、そうやって失効した免許証を警察側が預かると言って、交通課が免許証を管理しているわけですけど、交通課から警備課、警備課っていうのはいわゆる公安警察、つまり背後に政治的なイデオロギーとか政治思想みたいなものに基づくような犯罪の捜査をしたり、ある種、そういう犯罪の抑止を名目として監視活動・情報活動みたいなことをやっている部門に免許証を全部渡していたと」

長野「とんでもないですよね。過激派とか右翼といった関係者の顔写真の収集などの目的で流用していたっていうことも伝えられている、と」

青木「それだけ聞くと『過激派を捕まえるためだ、あるいは右翼を監視するためだ、そりゃあしょうがないじゃないか』っていうふうに思われてしまうかもしれないんですけれども、これはまず個人情報保護法に基本的に違反している。顔写真なんていうのは極度にプライベートな情報ですよね。いまはたとえば顔写真があれば、それこそカメラ映像に顔認証システムみたいなものと一緒に入れれば、どこで誰が写っているかなんていうのは一発でわかってしまう世の中なので、本当に防犯カメラ映像なんかと重ね合わせれば、その人のプライバシーが相当明らかになっちゃう。だから、個人情報保護法違反であるってことが一つ。それからこの過激派って、誰が過激派なのか、誰が過激派と捉えるのかっていうのは、これは警察がある種、考えるわけですよね。特に公安警察が考えるわけじゃないですか。そうすると本当にテロをしている人、あるいはどこかでゲリラ活動をしている人みたいなのを捕まえるっていう名目で使っているのか、それとも自衛隊の情報機関が、本当に一般市民の性的嗜好も含めたプライバシーデータを集めてたみたいなことと同様、そういうことをついつい情報機関とか治安機関っていうのは集める。つまり『国を守るんだ』っていう名目の下に、実は『国民を監視する』っていうようなところにすぐ落ち込んでいってしまうっていうのが、古今東西、政治体制の左右を問わない情報機関とか治安機関っていうものの本質だっていうことは歴史が教えるところで。だからこそこういう情報をきちんと適正に使ってもらわなくちゃ困るんだけれども、神奈川県警の場合は、免許証そのものを全部渡していたっていうのは、これはやっぱり非常に怖い市民監視社会みたいなものにつながりかねない、そこに無自覚であった神奈川県警の問題点っていうのは強く言わなくちゃいけない」

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