爽やかな感動を残す映画「国境ナイトクルージング」今日から公開!

クリエイティブプロデューサー・三好剛平氏 ©RKBラジオ

今日10/18金より公開となる中国・シンガポール合作映画『国境ナイトクルージング』。人生における挫折を抱えた3人の若き男女が国境の街で出会い、凍てついた孤独を溶かしていくまでの5日間を描く小品ですが、見逃すには惜しい爽やかな感動を残す映画になっていると、RKBラジオ「田畑竜介GrooooowUp」に出演したクリエイティブプロデューサーの三好剛平さんが語った。

アンソニー・チェン監督とは

まずはこの作品で監督を務めたアンソニー・チェンのご紹介から。

アンソニー・チェン監督は、シンガポールの映画監督。1984年生まれ40歳の彼ですが、2013年に発表した『イロイロ ぬくもりの記憶』という長編デビュー作でいきなりカンヌ国際映画祭の新人賞(カメラドール)を受賞するほか世界の映画賞を席巻。以降も長編2本を手掛けた後、2023年に発表したのが本日ご紹介する『国境ナイトクルージング』です。本作はその年のカンヌ国際映画祭〈ある視点〉部門で出品され、ハリウッドレポーター誌に「カンヌで見るべき20本」に選出されるほか、第96回アカデミー賞では国際長編映画賞のシンガポール代表となるなど確かな評価も獲得した一本であり、この度いよいよ日本公開を迎える作品となります。

国境の街と「氷」

続いて、そんな本作のあらすじをご紹介します。

 

母からのプレッシャーに心を壊したエリート社員。オリンピック出場を断念した元フィギュアスケーター。勉強が苦手で故郷を飛び出した料理人。挫折をひた隠し、閉塞感の中で縮こまる3人の男女が、中国と北朝鮮の国境の街、延吉(えんきつ)で出会う。それぞれの抱く孤独から、まるで磁石のように引き寄せられ、数日間を気ままに過ごす彼ら。互いに深入りせずに、この瞬間をひたすら楽しむことを暗黙のルールとして、過去も未来も忘れ、極寒の延吉を流れ歩くうちに、凍てついていた孤独がほどけていく——。

 

この映画にはまず2つの象徴的なモチーフが登場します。ひとつは「国境」そしてもう一つは「氷」です。まずは「国境」について。本作の舞台となるのは、中国と北朝鮮の国境の街、延吉です。この地区は、中華人民共和国吉林省にありながら19世紀後半から朝鮮半島からの移民が渡ってきた地区であり、現在人口56万人のうち約55%が「朝鮮族」と呼ばれる朝鮮系移民が占めており、延辺朝鮮族自治州とも呼ばれています。中国と朝鮮の文化が入り混じり、観光客が訪れるエリアであると同時に、北京からは2時間強、北朝鮮との国境の街ということもあり、どこか人々が流れ流れて行き着く場所、国におけるギリギリの際(きわ)=エッジなエリア、という印象をもたらす舞台装置にもなっています。

 

ここでもうひとつ呼び込まれるモチーフが「氷」です。本作は舞台となる延吉の氷原から工夫(こうふ)たちが氷を切り出して出荷する場面から始まるのですが、以降も映画のさまざまな場面で「氷」が登場します。

 

ここでお二人に質問です。「氷」というモチーフから、お二人はどんなイメージを連想しますか?

例) 冷たい、固い、角ばっている

もろい(薄氷)、刻々とかたちが変わる、溶けると失くなる

 

この映画において、エッジとしての「国境の街」、そして「氷」が持つ二重のニュアンスはいずれも本作に登場する3人の若者たちの心情を象徴的に表しています。

 

母からのプレッシャーに心を壊した青年。オリンピック出場を断念した元フィギュアスケーターの女性。勉強が苦手で故郷を飛び出した料理人の青年。彼らはいずれも「何者かになろうと必死にもがいたが、結局そうなれずにいる」若者たちであり、それはいまこの世界に生きる若者たちの姿を象徴しています。監督自身もあるインタビューでは「この作品は、私から中国の若者たちへ贈る、ラブレターでもあるのです」と答えており、また別のインタビューでは「いま中国の若者たちに限らず、世界のどの国にいる若者も本当に生き抜くだけでも大変な時代だと思う」というようなお話しもされていました。

 

そんな生き抜くのさえも難しい、エッジな社会にさらされた若者たちに向けて、この映画はどのような手を差し伸べるかといえば、それは「私たちの現実にも起こり得るほど、他愛もない、ありふれた偶然」だったりします。というのが、この映画を見ていて「あ、うまいな」と思ったのは、のちにかけがえのない5日間となるこの3人の出会いが、きわめて自然に導かれる導入部分にまずあります。

 

それぞれが表には出さぬまま内面に鬱屈する閉塞感や孤独を抱えており、その内面の孤独ゆえにこそ似た痛みを持つ人間を放っておけない優しさを持っており、そこへちょっとした偶然が重なり合っていくことで、この三人は、極寒の国境の街で漂着し合う。そこから共に過ごす、日数にすればたったの5日間である短い時間が、彼らの人生をどのように変えていくか。彼らを冷たく縮こまらせていた氷はどのように溶けていくのか。是非その顛末は劇場でご覧いただきたいと思います。

 

映画『国境ナイトクルージング』はKBCシネマにて今日10/18(金)より公開です。ささやかでありながら見逃すには惜しい、愛すべき一本だと思います。ぜひ劇場でご覧ください。

 

映画「国境ナイトクルージング」公式サイト

田畑竜介 Grooooow Up
放送局:RKBラジオ
放送日時:毎週月曜~木曜 6時30分~9時00分
出演者:田畑竜介、田中みずき、三好剛平
番組ホームページ
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出演番組をラジコで聴く

※放送情報は変更となる場合があります。

参院選後の石破政権はどうなる?

7月11日(金)、ニュースキャスター・長野智子がパーソナリティを務めるラジオ番組「長野智子アップデート」(文化放送・15時30分~17時)が放送。午後4時台「ニュースアップデート」のコーナーでは、「参院選後の石破政権、どうなるのか?」というテーマで、ジャーナリストの鈴木哲夫氏に話を伺った。

長野智子「今回の参議院選、普通は参議院選挙っていうのは原則として政権選択選挙にはあたらないんですけれども、今回は国民が今の政権を信任するかどうかを示すことを含めて、あとは衆議院が少数与党というのも含めて、実質的な政権選択選挙につながるのではないかといわれております」

鈴木哲夫「そう言ってもいいですよね。だから本当は政権選択選挙は衆議院議員選挙、総選挙なんだけれども、そもそも衆議院のほうで既に少数与党で逆転しちゃっているわけですよね」

長野「そうなんですよね」

鈴木「自民党・公明党にしてみれば、かろうじて参議院のほうは数が多いから『衆議院で何かがあっても参議院で否決すりゃあいい』って、なんとか保っているんだけど、今度の選挙で参議院も自公が少数になっちゃったら、衆参両方で数少ないんだから、そもそも“与党”って言い方していいのかどうか、自民党は比較第一党ですよね?」

長野「そういうことになりますね」

鈴木「だからそういう意味では、おそらく今度の参議院もひっくり返っちゃうようなことになったら、その後の政権はどういう枠組みになるのかとか、野党が一つ結束すれば別の総理が誕生する可能性があるし。それから自民党が強かだから、別の連立で勧誘して『一緒にやろうや』みたいな、そこで総理を決める時には石破さんとか自民党じゃなくて野党の誰かに……」

長野「連立組んだ人から出てきちゃうかもしれないからね?」

鈴木「そう、そう。かつて“自社さ政権”っていうのがありましたよね?あの時は自民党がいちばん数が多くて、社会党は少なかったんだけどね。あとは、(新党)さきがけでしょ?でも、総理大臣は社会党の村山さん。これは当時の自民党の永田町的な人いっぱいいるじゃないですか、亀井静香さんだとか森喜朗さんだとかいっぱいいたんだけど、それが要するに、『数が多い自民党が出張っていったらまとまらない。我々がいちばんバックヤードに回って、社会党を立てて、それでまとめていくんだ』みたいな、当時取材してて『うわぁ』って思ったけど、いま考えたら『これも茶番だな』って思うんだけど(笑)」

長野「そうですねぇ」

鈴木「でも、そういうことも起きる。何が起きるかはわからないわけです。今度の参議院選で自公が過半数割れしたらね。そういう意味ではやっぱり政権の形を決める選挙」

長野「特別な参議院選挙ということになりますか?」

鈴木「かなり特別だと思いますよ」

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