あらすじは見ないで!映画『JAWAN/ジャワーン』の魅力とは?
11/29(土)より福岡はユナイテッド・シネマキャナルシティ13ほかで公開中のインド映画『JAWAN/ジャワーン』。2023年インドで興行収入ナンバーワンの特大ヒットを獲得した本作。観客の満足度に全振りすればこんな映画が出来てしまうのか!と圧倒させられるような一本であり、ジャンル特定不可能、できればあらすじもご紹介せずただ乗り込んで欲しい一本になったと、RKBラジオ「田畑竜介GrooooowUp」に出演したクリエイティブプロデューサーの三好剛平さんは熱く語った。
2023年インド本国でNo.1ヒット
さて本作、冒頭でご紹介した通り2023年インドで興行収入ナンバーワン記録を打ち立てた特大ヒット作となりました。
まずは主演を務めたシャー・ルク・カーン。インド映画をご存知ない方もその名前だけは聞いたことがあるかもしれません。この人、現地ではもはや“生ける伝説”級の俳優さんです。1965年生まれで現在59歳(!)でありながら、90年代から現在に至るまで映画のトップスターとして君臨し続ける彼は、「キング・カーン」「ボリウッドの皇帝」などの称号を持つばかりでなく、インドの映画界で国内に限らず世界的に成功をおさめた、偶然にも同じ名字・同じ1965年生まれの3大スター=シャー・ルク・カーン、アーミル・カーン、サルマーン・カーンの「3大カーン」の最先鋒として、現在も不動の地位を築きあげています。
そしてそんなシャー・ルク・カーンのお相手を務める女優陣も本作は豪華です。まずはヒロインを務めるナヤンターラ。彼女は1984年生まれ現在40歳の女優さんで、2000年代初頭にモデルだった彼女はある監督にスカウトされ映画デビューし、以降大スターの相手役を務めるなどみるみる人気を集め、これまで20年のキャリアでなんと83本もの映画に出演してきたトップ女優です。現地では“レディ・スーパースター”の異名で大衆を熱狂させる彼女ですが、本作『JAWAN/ジャワーン』ではその魅力が大爆発、その美しさと強さで画面から本気で眼が離せないくらいのスター性を発しています。さらに彼女、去る11/18には彼女のスターとしての歩みを振り返るドキュメンタリー『ナヤンターラ:ビヨンド・ザ・フェアリーテイル』がNetflixで公開されたばかり。これ、このあと紹介する映画『JAWAN/ジャワーン』とセットで見ると一層楽しめるので、ぜひおすすめです。
またこの『JAWAN/ジャワーン』にはナヤンターラ以外にも同じく大スター女優であるディーピカー・パードゥコーンさんも出演。シャー・ルク・カーンとの共演歴も多い彼女の見事な存在感も本作では光りまくっており、本作の魅力を一層アップさせています。
さてそんなトップスター大集合の本作が、昨年インドおよび海外で9月から順次劇場公開されたわけですが、公開初日に記録的な13億ルピー、日本円にしておよそ22億円を突破。さらにインド国内では「公開3日間で20億ルピーを突破した歴代初のヒンディー語映画」として記録を塗り替えたほか、オーストラリアではインド映画として初めて興収1位を獲得するなど、世界的な特大ヒットを記録。最終的に国内外の興行収益として日本円にしておよそ200億円、観客動員数も3,550万人以上という驚異の数字を記録しましたが、これはインド映画史上に残る大ヒットであり、カーンのキャリアでも2番目に高い記録になったとのこと。この『JAWAN/ジャワーン』、とんでもない大ヒット作品なんですね。
ライドしたらあとは駆け抜けるのみ!
さてそんなインド映画『JAWAN/ジャワーン』なのですが、なぜこんなに前置きを長くしているかといえば、これ出来る限り予備知識ゼロで臨むほどに楽しめる、ジェットコースターみたいな一本であることがその理由で、正直ここからあらすじさえもご紹介してしまいたくないくらいなんですよ(笑)。
そうは言っても全く触れないわけにはいかないので冒頭だけ触れてみると、映画はまず、インド国境の村のそば、川で洗濯をしている母子が血だらけになって流れてきた男を見つけ救い出す(ここだけ聞いたら桃太郎みたいな話ですね)ところから始まりますが、そこからわずか10分以内に、普通の映画だったらもはやクライマックス級じゃないかこれ、と思わされるほどの特大迫力の大立ち回りへ流れ込んで幕を開けます。
そこからこの映画は、まるで数十分ごとに映画のジャンルごと変わっていくような怒涛の展開がつるべ打ちされていきます。犯罪スリラー、ミュージカル、戦場アクション、ロマンス、社会派ドラマに肉弾戦、大迫力のアクションスペクタクルまで。上映時間171分の長さを微塵も感じさせないジェットコースターのような展開に、観客は否応なく運ばれてただ身を預けるのみで大満足が約束される一本になっていますし、日本の観客なら絶対に予想もしなかった展開が続々と続いていくのに「そんなのアリ?」とリアルタイムで驚いていくことこそ本作の鑑賞体験の醍醐味でもあると思うので、めいっぱい振り回されて大満足して欲しいと思います。
昨今、映画と観客が共有してきた約束事としての「ジャンル」というものが崩壊し、映画のなかの「リアリティ」ばかりが問題にされる時代がきています。しかし映画はそもそもが“つくりもの”でありその虚構と幻想を互いに了解しながら楽しめるのが映画の魔法でもあったはずです。そんなことを思うにつけ、インド映画にはまだそうした荒唐無稽な映画のあり方を観客と共有できる魔法が生き残っているからこそ生まれてくる、見たこともない映像表現や、発することのできるメッセージがあるな、ということを痛感もさせられました。
本作においても、その荒唐無稽なジェットコースターに右に左に振り回されながらも、徐々に現代インドに蔓延る社会の現実が浮き彫りにされていきますし、そこに対して映画が観客へどのような呼びかけを図るのか。本作がほかならぬ大衆に向けられた娯楽作であるからこそ、このメッセージを映画に込めることの誠実さと希望が感じられました。
問答無用にその熱量で大満足させられてしまう一本であるうえに、この映画を大きなスクリーンと音響で見ずにどうする、という作品でもあるので、どうか劇場へ今すぐ急いでご覧いただきたいと思います。
映画『JAWAN/ジャワーン』は福岡ではユナイテッド・シネマキャナルシティ13やイオンシネマ福岡、シネプレックス小倉などで上映中です。どうかお見逃しなく!
※放送情報は変更となる場合があります。