ジャネット・ジャクソンが再ブレイク!?音楽プロデューサーが理由明かす

音楽プロデューサー・松尾潔氏

ジャネット・ジャクソン、言わずと知れた“キング・オブ・ポップ”マイケル・ジャクソンの妹である。ジャクソンきょうだいの末っ子として生まれた彼女は、常に「マイケルの妹」として見られ、その呪縛に苦しみ続けた。その彼女が今、アメリカで再ブレイク中だという。音楽プロデューサーの松尾潔氏がRKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』で解説した。

自ら制作したドキュメンタリーがきっかけで再ブレイク

今日(5月16日)はジャネット・ジャクソンの56歳の誕生日。私なんかは「もう56歳なの!?」って思ってしまいます。世界的に彼女を有名にしたアルバム「コントロール」は、20歳ぐらいのときなので、世に出てきたときからリアルタイムで知っている者にとっては、ずっと若いイメージです。マイケル・ジャクソンの妹ということで本国では“アメリカの妹”というイメージが強く残っています。マイケルは2009年に50歳で亡くなりましたが、ジャネットはその年齢を超えました。

実は今、アメリカでジャネット・ジャクソンの人気が大復活しています。去年、今年と相次いで彼女の足跡を振り返るテレビ番組が放送されました。日本でも来月から「ヒストリーチャンネル」で放送されることになった『ジャネット・ジャクソン 私の全て』という、ジャネット自ら制作した、約1時間×4回のドキュメンタリーです。一足先に見たんですが、ここで語られている彼女の人生とショービズのキャリアを知ると、やっぱり興味を持たざるを得ません。実際アメリカでは、この番組がオンエアされた後、昔のアルバムがiTunesでいきなり1位になるという復活現象が盛り上がっています。

実は伏線があるんですが、ジャネットって、日本でそんなに伝わってないかもしれないけど、2017年1月、50歳のときに、初めての子供を出産したんですよ。彼女はジャクソン家9人兄弟の末っ子、物心ついたときからセレブです。その彼女がもう人生上がり、殿堂入りしているともいえる50歳になって母親という、また新たなチャプターを歩み始めたっていうのが、彼女はまだまだこの先、予期しないことがあるんだなっていうことを思わせます。

“マイケルの妹”という呪縛に苦しんできた人生

改めて僕が言いたいのは、彼女はずっと“マイケルの妹”っていう呪縛に苦しんできた人生だということ。もちろんその恩恵もたくさんあったからスターになったっていう自覚もあるんですけど「ジャクソンという名前からもう解き放たれたい」っていう気持ちがずっと彼女の原動力になってきたんですよね。僕も90年代の終わりに彼女の家に行ったり、東京で会ったりしてますけど、普段はすごく人見知りで物静かです。

マイケルもそうだったんだけど、負けず嫌いであるが静かな人で。ただ、セレブ一家の娘として明るく振舞うことがずっと求められてきていて、性格的にかなり無理していたっていうことを、この歳になって語り始めています。そういう人生を我々が見て、どこか「やっぱりジャネットも人の子だったんだな」っていうところで興味を持ちますし、改めて過去の曲なんかも味わい深く感じますね。

今がジャネット・ジャクソンの“聴きどき”

彼女の人気が失速したと言われいるできごとがあります。2004年、アメフトのスーパーボールのハーフタイムショーのときに、当時人気上昇中のジャスティン・ティンバーレイクと共演していて、2人の絡みのところで、コスチュームの中の胸の部分がポロッと取れるアクシデントがありました。それが意図的なもので、ジャネットはニューアルバムのリリースを控えて、その話題作りのためにやったっていうふうに言われてしまいました。

アメリカって性的な表現に対してのタブーが多いじゃないですか。それで彼女、魔女裁判のような形で露出がぐっと減っちゃうんですね。一方のジャスティン・ティンバーレイクはどんどん人気が出ていくっていう皮肉な話だったんですけど、今となっては彼女もそれを振り返る時期に来ています。

彼女の作品は、日本で人気が出た「Rhythm Nation」がヒットした当時から、貧困や人種差別といった社会的なメッセージが強い歌があるんです。ジェンダーのことも昔から歌ってきたし、そういうものにキャリア・年齢が見合ってきたっていう感じもあります。実は今がジャネット・ジャクソンの“聴きどき”だと言えるでしょう。

田畑竜介 Grooooow Up
放送局:RKBラジオ
放送日時:毎週月曜~木曜 6時30分~9時00分
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※放送情報は変更となる場合があります。

村上春樹「まさにフィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』の時代の音楽ですね」という1920年代の音楽は?

作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「村上RADIO」(毎月最終日曜 19:00~19:55)。3月26日(日)の放送は「村上RADIO ~今夜は、落ち穂拾い~」をオンエアしました。今回のテーマは「今夜は、落ち穂拾い」。「落ち穂拾い」といえば、ミレーの名画が思い浮かびますが、村上DJは、これまで放送した番組の編集で、時間の関係でこぼれ落ちた曲を丁寧に拾い上げ、おすすめの“落穂曲”にまつわるエピソードを披露しました。この記事では、前半3曲を紹介した内容をお届けします。



◆Bette Midler「Ukulele Lady」
次は、2022年6月放送分「村上の世間話2」からの落穂曲です。
この回は2曲こぼれちゃったんですね。世間話をすると、ついつい話が長くなって、音楽があまりかかりません。すみません。

では、落ちこぼれの2曲を続けて聴いてください。
ベット・ミドラーが歌います。「ウクレレ・レイディ」。これはリチャード・A・ホワイティングが1925年に作ったとても古い曲です。当時の人気楽団、ポール・ホワイトマン楽団が取り上げてレコーディングしています。まさにフィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』の時代の音楽ですよね。1920年代のアメリカではハワイアン音楽が大流行したんです。芸達者なベット・ミドラーがノスタルジックに、いかにも楽しそうに歌っています。

◆The Seeds「Pushin' Too Hard」
The Seedsが歌います。Pushin' Too Hard。The Seeds、1965年にカリフォルニアで結成されたサイケデリック・ガレージ・バンドです。サイケデリック・ガレージ・バンドとは何か、要するに近所のガキが集まって、どこかのガレージで適当にこしらえた曲、みたいな感じのものです。粗っぽくてかなり乱暴なんだけど、ナマの生命感みたいなものがあって、そういうところが若者たちの心を惹きつけます。この曲、チャート的にはとくにヒットもしなかったんですが、なんか耳に残っちゃいます。最近ではパンク・ロックの先駆けみたいなラインで、再評価されているみたいです。たまにはこういう音楽もかけましょう。

◆Woody Guthrie「Jarama Valley」
2022年3月18日に「戦争をやめさせるための音楽」という特別番組をやったときの落ちこぼれ曲です。
ウディ・ガスリーの歌う「Jarama Valley」“ハラマ峡谷”です。
1936年から39年にかけて、スペインでは市民軍とファシスト軍の激しい国内戦争があったのですが、アメリカでリンカーン旅団という反ファシストの義勇軍が結成され、市民軍を支援するためにスペインに渡りました。ヘミングウェイの小説『誰がために鐘は鳴る』の背景となった熾烈(しれつ)な戦争です。

ハラマ峡谷でこの義勇軍にとっての最初の本格的な戦闘がおこなわれ、多くの義勇兵が命を落としました。ウディ・ガスリーは彼らの勇気を称えるためにこの曲をつくりました。

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聴取期限:2023年4月3日(月)AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:村上RADIO ~今夜は、落ち穂拾い~
放送日時:3月26日(日)19:00~19:55
パーソナリティ:村上春樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/

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