「20歳前後の音楽集団の曲ではない」松崎真人はシュガーベイブの感性を今もエンドレスで楽しむ

杏里からなぜ料理レシピの話に… ©STVラジオ

シンガーソングライターで"選曲家"の松崎真人が、日本の曲・日本語の曲を中心に"厳選かけ流し"(イントロからアウトロまでノーカット)でお届けする『MUSIC☆J』。レギュラーの"シーズン5.5"の7日(土)、20曲目に掛けた夏らしい杏里の曲で、ちょっとしたトーク展開が…。

松崎:夏じゃないと掛けられない曲を掛けておこうと思います。当時、とてもブイブイ言わせていた吉元由美さんが曲を提供していました。

M20「SUMMER CANDLES/杏里」

松崎:この曲、大ヒットと言うわけではないけれど、けっこう耳に残っているのは、日本テレビ系のドラマの主題歌にもなり、同時にJTの「SomeTime」というたばこのCMソングにもなっていたのでオンエア量が多かったからだと思います、もちろん、曲もいいんですけどね。

松崎:SomeTime、つまり昔のちょっとオシャレ系なたばこのCMっていうと、こういうサウンドですよね。いわゆるボビー・コードウェル的のね。ナタリー・コール的な感じの、高層ビル群の夜景が遠くに見えるベイサイドみたいなところですね。いまはたばこのCMを作るのも大変そうですけど。

松崎:大変そうと言えば、コンビニエンスストアで、自分の吸ってるたばこの銘柄を、あまり知らない人が、レジの中のたばこを指さししながら店員さんに取ってもらう時って、見てるこっちがドキドキしますよね。「それじゃない!その斜め下のヤツさ!」とかって言ってるんですけど、とにかくたばこの種類が多いし、レジの人は、脚立に乗って取らなきゃいけないくらい高いところにたばこがあるんですよね。なので、あれは大変だと思うんですよ。あのたばこの取りおろしは、本当に大変だと思います。

杏里のことから全く外れて、「SUMMER CANDLES」⇒たばこのCMソング⇒たばこ⇒コンビニ⇒店員さん大変…と、音楽とは全然、違う話でちょい盛り上がりました。作曲の吉元由美さんをなぜ「ブイブイ言わせていた」と表現したのかは、編集後記を読むと「はは~ん」と理解できます。…松崎氏はきっと、ブイブイ言ってしまったひとりだったのでしょう。ちなみに「SomeTime」とくれば「SALEM」も当時のメンソールブームの双璧をなしていたことを忘れてはなりません。

そして、この日の最後の曲は…

松崎:"土曜日の夜案件"で締めるというのも、そろそろネタが尽きてきたので、基本に戻ってシュガーベブをかけようと思います。「早くそうなるといいな」という意味も込めて、シュガーベイブの「SONGS」という、たった1枚しか出ていないアルバムの中から、大貫妙子さんがボーカルを録っている曲…

M28「いつも通り/SUGAR BABE」

松崎:当時20歳前後の音楽集団が作った音楽じゃないですよね。当時、作られていた他のメジャーな音楽バンドのレコードと全然、違う音がしているんですよね。大滝(詠一)さんと、(山下)達郎さんの意見が共通しているのは、限られた環境で限られた予算で作ったので、今の言い方で言うと"ガレージ・サウンド"なんじゃないかということをよくお話しされています。大きな商業スタジオで録ったのではなく、割とプライベートな空間で録った、その時のバンドの音がバッチリ記録されています。それとメンバーそれぞれの、アルバムに向かうモチベーションの高さですよね。

松崎:エンドレスで聴けるアルバムなので、まだ「SONGS」をちゃんと聴いたことがないという方は是非、通しで聴いてみて欲しいです。

この「いつも通り」は、"土曜日の夜案件"として4月におかけした「DOWN TOWN」の、オリジナルであるシュガーベイブ版のB面に収められている曲でもあります。

<松崎真人の編集後記>
「SUMMER CANDLES/杏里」夏にMUSIC★Jがあると、杏里さんの功績にあらためて気付かされる。
作詞、作曲をすべて手がけなくても、トータルなセルフプロデュース力があれば「歌謡曲の人」ではなく「アーティスト」たりえるという道を切り拓いた人。余談だがこの曲の作詞、吉元由美さんは素晴らしい作詞家にとどまらず、エッセイの執筆などもする多彩な人。僕は彼女が当時の「an・an」の料理特集に登場して紹介していたレシピのファンだった。今でもトムヤムクンは吉元さんのレシピで作っている。(松崎真人)

<8月7日のプレイリスト>
M01「Sweet Emotion/相川七瀬」
M02「I Love you, SAYONARA/チェッカーズ」
M03「渚のシンドバッド/ピンク・レディー」
M04「Fun/井上陽水」
M05「祭りのあと/よしだたくろう」
M06「祭りのあと/桑田佳祐」
M07「ボーイフレンド/aiko」
M08「青い空/くるり」
M09「明日も/SHISHAMO」
M10「白い雲のように/猿岩石」

M11「絶体絶命/山口百恵」
M12「身も心も/ダウン・タウン・ブギウギ・バンド」
M13「渚でクロス/荒木由美子」
M14「君に、クラクラ。/SKY」
M15「黄色い麦わら帽子/松崎しげる」
M16「真赤な太陽/美空ひばり」
M17「恋の季節/ピンキーとキラーズ」
M18「宿命/Official髭男dism」
M19「青春アミーゴ/修二と彰」
M20「SUMMER CANDLES/杏里」

M21「真夏の夜の夢/松任谷由実」
M22「真夏の夜の夢/野口五郎」
M23「So Much In Love/TIMOTHY B. SCHMIT」
M24「THE LONGEST TIME/BILLY JOEL」
M25「夏の思い出/ケツメイシ」
M26「大陸の花嫁にあこがれて/松崎真人」
M27「キャンディ/原田真二」
M28「いつも通り/SUGAR BABE」

STVラジオ『MUSIC☆J』(毎週土曜 18:00~21:00)
 

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MUSIC☆J
放送局:STVラジオ
放送日時:毎週土曜 18時00分~21時00分
出演者:松崎真人(まつざき・まこと):シンガーソングライター・選曲家(北海道出身)
番組ホームページ

70年代~90年代の日本のポップス・日本語のポップスを中心に"厳選かけ流し"でお届け。パーソナリティは、北海道出身のシンガーソングライター・松崎真人。音楽への深い造詣と知識に裏打ちされた含蓄あるトーク、選曲の幅広さでリスナーの支持を全国に広げている。松崎の"微妙な滑舌"も病みつきになるかも。(ナイターオフ期は、火~金19:00からで、広島・RCCラジオでも同時ネット)。

※該当回の聴取期間は終了しました。

コメ先物廃止で日本のコメ価格が中国市場に握られる!?

飯田泰之氏

江戸時代に世界で最初の取引を開始し、本上場を目指していた大阪堂島先物取引所の“コメ先物”が廃止されることになった。取引量も順調に増え、市場価格の目安を示す存在となっていたにもかかわらず、なぜ本上場がかなわなかったのか?RKBラジオの朝の情報番組『櫻井浩二インサイト』で、明治大学准教授・飯田泰之さんが解説した。

飯田泰之さん(以下、飯田):コメの価格がどう決まっているのか、現状では非常に不透明です。日本のコメの流通のうち、4割は農協系です。どのタイミングで、どの銘柄を出すのか、または買うのか、農協の意向が価格に大きく反映されすぎてしまっています。次に大きいのが、農家とレストランなどとの直接取引ですね。一対一の相対取引なので、これもどう価格が決まってるのか、わかりづらいんです。農家側も大口需要側(菓子メーカーや飲食チェーン)も「価格指標が欲しい」という声は強くあったんです。その期待を担って試験上場していたコメ先物は、取引自体どんどん増えていて、今年に入ってからも出来高は過去最大を記録していて「いよいよ本上場だろう」と言われていた中での廃止のニュースなので、かなりショックを受けた方も多いです。

櫻井浩二アナウンサー(以下、櫻井):農家の皆さんからすると、先物で価格が先につくから、安心できるんですよね?

飯田:農業全般そうなんですけれども、農薬や燃料など、費用は日々確定していきます。その一方で、作物がいくらで売れるかがわからない。蓋を開けてみたら安い値段で売らざるを得なかった、となると困るわけですよね。もちろん、逆に思ったより高く売れて得をするということもあるわけですが、そういった(価格の)凸凹を防ぐために、先に価格を決めてしまうというのが先物取引です。

櫻井:それが廃止になるっていう背景には何があるんですか?

飯田:これは非常に政治的なものだと思います。上場廃止を決定した農林水産省は「参加する生産者が増えていない」と言っていますが、これは先物市場というものを全然理解していない発言です。先物市場って、業者として実際に米を動かすのはそんなに多数じゃなくていいんです。大規模農家さんが参加して取引を行うことで、その他の米農家にとっても価格が安定する、という機能の方が重要です。そもそも「参加者が増えていない」というのは、本上場の条件にもなっていない話です。あと、農水族議員は「取引が新潟産コシヒカリに偏っている」って言うんですけれども、米の価格変動全体に対して(傾向を)見たいので、コシヒカリを作っていない生産者が「新潟産コシヒカリ」という先物商品を使って保険をかけることもあるんです。大体似たような値動きをしますから。

櫻井:要するに基準になるってことですよね。

飯田:大阪堂島取引所の最大株主である、SBIホールディングスの北尾吉孝社長は「(コメ先物を否定するやからは)無知蒙昧である」とかなり激しい言葉で批判してるんですけれども、この本上場廃止によって、日本のコメ価格の主要指標というのが、大連取引所つまり、中国の取引所に握られる可能性さえ出てきました。一昨年、大連取引所ではジャポニカ米(日本米)の先物市場がスタートしています。これが拡大していくことによって、江戸時代(18世紀)からやっていた世界最初の先物取引を手放し、日本人の主食の米なのに、その取引所は中国にあるという状態を、みすみすオウンゴールで作り出してしまったような感じにならないかと、心配されるんです。

櫻井:その背景には何か利権みたいなものがあるんですかね?

飯田:ひとつは「主食であるコメを取引所で(投機の対象として)取引するなんて」という感情的な忌避感はかなりあります。もうひとつは、農協系列の価格支配力が薄くなるという理由です。しかし、中国がジャポニカ米の先物市場を立ててしまったら、元も子もないんですけれども、どうも目先の感情であったり、目先の業界の利益というのを重視するあまり、大きな利益を取りこぼした状況だと思います。本来であれば、こういうところで大きな意思決定をするためには、政治の力というのが必要なんですが、構造改革・規制改革という側面について、ほとんどノータッチになってしまっています。規制改革担当大臣とかがぐっと背中を押してくれないと「これまで通りでいきましょう」っていう慎重な意見に抗することができないですよね。政策実行力の低下、というものを感じざるを得ないのではないでしょうか。

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