マヂカルラブリーのラジオ番組『マヂカルラブリーのオールナイトニッポン0(ZERO)』

2021年4月から放送している『マヂカルラブリーのオールナイトニッポン0(ZERO)』。漫才やコントのように絶妙な掛け合いでリスナーを楽しませるマヂカルラブリーのラジオの魅力に迫ります!

マヂカルラブリー出演 ニッポン放送『マヂカルラブリーのオールナイトニッポン0(ZERO)』

マヂカルラブリー(野田クリスタルさん・村上さん)がパーソナリティを務める冠ラジオ番組。2020年4月と9月、2021年1月の計3回の単発特番を経て、2021年4月より『オールナイトニッポン0(ZERO)』の木曜パーソナリティに就任しました。ゲームやアニメ、漫画などのカルチャーに造詣が深い2人のトークが魅力です。番組でオンエアされる楽曲は、前半が野田さん、後半は村上さんが選曲を担当しており、2人のセンスが曲からも感じ取れます。

走り出したら止まらない野田さんの妄想やオタクトークが飛び出すと、村上さんが冷静に受け止め、解説を加えながら分かりやすくフォローするスタイルも◎。ゲームやアニメに明るくないリスナーも決して置いて行かない心遣いが嬉しい番組です。

マヂカルラブリーのオールナイトニッポン0(ZERO)
放送局:ニッポン放送
放送日時:毎週木曜 27時00分~28時30分
出演者:マヂカルラブリー(野田クリスタル・村上)
番組ホームページ
公式Twitter

Twitterハッシュタグは「#マヂラブANN0」

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※放送情報は変更となる場合があります。

10月1日に『ANN』イベントの聖地・東京国際フォーラムで番組イベント開催!

2022年10月1日(土)には、東京国際フォーラム・ホールAで番組イベント「オールナイトニッポン55周年記念 マヂカルラブリーのオールナイトニッポンZEROⅡ’~でっかいフォーラムでーす~」の開催が決定しました。放送開始からわずか1年半での番組イベント開催は異例の早さで、過去にはオードリーや三四郎、佐久間宣行さんら人気パーソナリティたちも同じ場所で番組イベントを行ってきました。『オールナイトニッポン』イベントの聖地で開催される初イベントは、マヂラブが単独ライブを行っている劇場「ルミネtheよしもと」のキャパ10倍に値する、5000人規模での開催となります。

ゲームが好きな2人にちなみ、「ストリートファイターⅡ’TURBO」のロゴを模したイベントロゴは、カプコン公認によるもの。8月4日(木)の放送ではイベントの概要が発表され、「オールナイトニッポン55周年記念」の肩書きを背負うことに困惑気味のマヂラブでしたが、「イベントに行くのは俺ぐらいしかいないじゃないか!」というリスナーからの熱いメールが大量に届き、パニック状態の2人を励ましていました。

苦肉の策から生まれた!? 番組名物「遅延行為」

『マヂラブANN0』の名物と言われているのが、"遅延行為"と呼ばれる約30分と長めのオープニングトーク。元々は、多忙過ぎるために日常で起こった面白エピソードが少ないマヂラブが、トークを引き延ばすために行った苦肉の策でしたが、このダラダラトークが面白いと話題に。村上さんの結婚報告も、番組冒頭での発表ではなく、さんざん"遅延行為"を働いた後に明かしました。番組関連のイベントでもこの言葉が使われるなど、おなじみの用語として定着しています。

番組コーナー紹介

ここからは『マヂラブANN0』のコーナーをご紹介。どのコーナーもバカバカしいけど、マヂラブらしいポジティブなものばかり。「チーター」や「ボディビル」など、マヂラブらしいコーナータイトルが並びます。

日常系チーターを戦わせてみたのだがッ!

チート能力(特殊能力)を持った人「チーター」たちの能力を、日常によくあるシチュエーションで競わせるコーナー。とある放送回では「コンビニ」でバトル。「アイス売り場に貼られてあるアイスの値札がどのアイスの値札がわかる能力」が「イケメン店員と若い女性店員とのほほえましい会話を見なくていい能力」など複数の能力を圧倒していました。

さまざまなチート能力から派生する、マヂラブの生活が垣間見えるエピソードトークも必聴です。これまで「フードコート」、「ドラッグストア」、「ビジネスホテル」、「物件の内見」、「家電量販店」といったシチェーションで行われました。

エール!心のボディビル

どんな状況でも自分を鼓舞して気分を盛り上げ、笑顔を絶やさない心のボディビルダーから、自分自身へのエールを募集。ネタの書き方は「○○〇なオレ!△△△かい!!」と、ボディビル大会で選手に観客から掛けられる掛け声のような内容が特徴的。「魚の小骨をキレイに取れた僕、外科医かいっ!」など秀作で盛り上がった、ポジティブなコーナーです。現在は「エール!心のコツコツ」や後述の「エール!心のアメリカ」など、シリーズ化しています。

エール!心のアメリカ

松井証券とのタイアップ企画。努力した日々、つらかった思い出、悔しかった出来事をアメリカ国土のように広い心で受け止める自分に対してエールを送るコーナーです。ネタの書き方は「エール!心のボディビル」と同様に「〇〇〇な俺、×××かい!」で、「〇〇〇」の部分には自身の経験、「×××」にはアメリカっぽいワードを記載します。

1番アメリカを感じたベストメールを書いたリスナーには、マヂラブの声入り目覚まし時計が贈られます。とある放送回では「アイドルのイベントのじゃんけん大会に出場して負け、真っ赤な顔でチョキをしたまま倒れた」という経験に、「アメリカザリガニかいっ!」というワードで締めたエピソードがベストメールに選ばれました。

過去の放送エピソード紹介

村上、ラジオで七夕婚を正式報告!(2022年7月7日放送)

この回の放送数日前に、村上さんの結婚が一部ネットニュースで取り上げられ、オープニングトークであらゆる角度から事実確認を試みる野田さん。村上さんの結婚を誰がマスコミにリークしたのかなど、のらりくらりトーク。いつもの通り、約30分にも及ぶ"遅延行為"の後、村上さんが「私から結婚について語らせていただきます。結婚しています」と報告しました。

その後、婚姻届を番組前に提出してきたこと、結婚相手がニコニコ動画の動画ジャンル「踊って見た」のパイオニアで知られる、いとくとらさん(読み方:いくら)であることを紹介。馴れ初めや交際を始めた時期、結婚前提での交際であったことやプロポーズの言葉、両家の顔合わせといったエピソードなども明かしました。

披露宴は決まっていないものの、マヂラブも所属する「大宮セブン」(※)のメンバーに祝ってもらいたい、と村上さんが切望。野田さんは大学時代に、村上さんの大学の文化祭で披露したピン芸をやりたい、と言い出すと「僕が野田さんを初めて見たときのネタですよね。ゼロ笑いだったんで止めてください(笑)」と断固拒否。続けて野田さんが「踊ってみた」を提案すると、村上さんも「私も踊りますんで!」とノリノリで話していました。

(※)「大宮ラクーンよしもと劇場」(埼玉県さいたま市大宮区)を活動拠点にする、吉本興業所属のお笑い芸人によるユニット。2022年8月現在、マヂカルラブリーのほか、囲碁将棋、GAG、タモンズ、すゑひろがりず、ジェラードン、コマンダンテの7組が所属。

マヂカルラブリー・村上、ラジオで"七夕婚"を生報告!

花澤香菜も絶賛! "預言者"ランパンプス寺内を徹底検証!(2022年4月21日放送)

スペシャルウィークでの放送となったこの回、オープニングでランパンプス・寺内ゆうきさんが興味を持ったものは必ず話題になる、という話に。SDGsにいち早く着目してブログに投稿、当時まだ注目されていなかった「黙食系」のYouTube動画、TikTokの誕生前に6秒のリズムネタ動画を流行らせていた……など、過去の寺内さんによる伏線を回収するマヂラブ。「彼が興味を持ったものは5年後に必ず流行る」とにらんだ2人は、"預言者"寺内さんをゲストに招きました。

5年前の時点でSDGsに触れていた理由を尋ねると、寺内さんは「吉本のワークショップみたいな仕事が来て勉強して、これ絶対重要なことだ」と語り、過去の伏線を一つずつ回収していきます。次第にトークの話題は、寺内さんがかつてパーソナリティを担当した『ランパンプスのオールナイトニッポン0(ZERO)』(2017年4月~2018年3月)へと移り変わり、番組の最終回で「出待ちという概念は無くなった」とコロナ禍を予言したかのような発言や、出待ちの人数が55人だったことを次々と考察。さらに、2022年のニッポン放送は『オールナイトニッポン』55周年イヤー、そしてこの日の『マヂラブANN0』が55回目の放送という偶然とは思えない一致に、マヂラブも青ざめるばかり。

続けて、TikTokが誕生する1年前に「Vine(ヴァイン)」(※)で流行したリズムネタ「ちゅどん~重心低めの神様の鎖骨~」を紐解くことに。寺内さんがネタを実演すると、マヂラブは「神様」、「幸せ」というワードに過剰な反応を示し、考察班を担うリスナーからは「ちゅどんが朝ドラ『ちむどんどん』の略として予言している」といった鋭い考察が届きます。

その後も、寺内さんの過去の言動における考察メールが続々と届く中、予言者としても有名なノストラダムスの命日(7月2日)の翌日が、寺内さんの誕生日(7月3日)であることも突き止められ、マヂラブも「完全に生まれ変わってるじゃん」と絶句。

最後に、寺内さんが興味を持っているものについて聞くと、将棋やホログラム、パソコンのかな入力、タイムマシーン3号などを列挙。お気に入りのアーティストには、アフリカンポップスのシンガーソングライター、バーナ・ボーイと回答した寺内さんですが、リスナーからのメールでバーナ・ボーイの誕生日がノストラダムスと同じことが判明し、再びスタジオが騒然となりました。

この回の放送は、声優・花澤香菜さんが2022年6月13日放送の『佐久間宣行の東京ドリームエンタテインメント』において、2022年上半期ラジオの神回として挙げており、「こんな奇跡あるんだ!」、「ランパンプスさんを応援したいなっていう気持ちになるラジオです」と称賛の言葉を送りました。

(※)6秒間のショートムービーを制作して共有できる動画共有サービス。2017年1月にサービス終了。

真のQBハウス好きはどっち!? 野田クリスタルvs厚切りジェイソン(2021年6月17日放送)

番組開始当初、野田さんがラジオでヘアカット専門店「QBハウス」を愛用していると話したことから、QBハウスの公式Twitterアカウントが反応。この件をきっかけに、同じQBハウス愛用者のお笑いタレント・厚切りジェイソンさんがQBハウスのweb広告に出演していることを知った野田さんは、QBハウスやプログラミングなどの要素が被っているジェイソンさんが自身の「上位互換タレント」なのではないかと仮説を立て、一方的に対抗心を燃やします。そして2021年6月度のスペシャルウィークで、ジェイソンさんを番組初のゲストとして迎え入れました。

「厚切りジェイソン」のSNSトレンド入りを防ぐため、ジェイソンさんを終始「AJ(エー・ジェー)」と呼び続ける野田さん。R-1ぐらんぷりでブレイク、身長180cm代、マッチョ、プログラミング、1986年生まれ、QBハウス好き……など、改めて2人の共通事項を挙げられると、「今、仕事を10:0で全取りされている」と宣戦布告。勝ち組のAJに勝てるものはないか、と言葉での殴り合いを仕掛けていきました。

「R-1ぐらんぷり」では、野田さんが2020年に優勝するまで15年近く1回戦、2回戦止まりの戦績が続いたのに対し、AJは2015年に芸歴わずか4ヶ月で決勝進出。学歴でも大差をつけられ敗色濃厚の野田さんは、ベンチプレスの重さで戦いを挑みます。AJの135キロに対し、野田さんが150キロとようやく初勝利。懸垂や背筋、デットリフトなど自慢のマッチョ関係では「厚切り超えは一瞬です」と余裕を見せる場面も。しかし、プログラミング関係に話が及ぶと、野田さんが高校時代からオンラインゲームで遊んでいた一方、AJは既にその頃はパソコンを自作していたことを明かし、勝負の流れは再びAJの方に移ります。

そして2人の対決は、本題の「QBハウス愛」へ。野田さんがQBハウスの広報担当から贈られたTシャツと扇子を見せつけると、AJはシンガポールのQBハウスを利用したことがあると主張。混雑時でも並んで待つほどのヘビーユーザーぶりをアピールする野田さんでしたが、「(混雑状況を示す)ランプの意味は、出直せるからですよ。赤くても行くんだったら、そのランプ要らないよ! 使い方間違ってる!」というAJの真っ当なツッコミを受けてしまい、「ぐうの音も出ねぇ」と完敗。最後はCMの共演を野田さんが提案するものの、あっさりと拒否されてしまい、エンディングでは「戦い方がワールドクラス過ぎて……」と悔しさを滲ませていました。

番組開始わずか1年余りで『オールナイトニッポン』55周年記念イベントを託されたマヂカルラブリー。2人のラジオを聴けば、その圧倒的な面白さに大役を任された理由が分かるはずです。

この記事を書いた人

高田りぶれ(たかだ・りぶれ)

山形県生まれ。ライターなど。放送作家のキャリアを生かし、テレビ・ラジオ番組のおもしろさを伝える解説文を年間150本以上執筆。趣味は観ること(プロレス、サッカー、相撲、ドラマ、お笑い、演劇)、遠征、料理。

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【小説家・真山仁さんご出演】経済小説の名手は経済嫌い?『長尾一洋 ラジオde経営塾』8月22日(月)放送

約9,000社の企業に携わってきた経営コンサルティングのエキスパート長尾一洋社長が、悩めるビジネスマンのご相談に回答している当番組。
8月29日はゲスト回!大ヒット作『ハゲタカ』シリーズをはじめ、社会に鋭く切り込む作品の数々で知られる小説家の真山仁先生にご出演いただいた。真山先生と長尾社長、松尾アナの3人のトークの一部をご紹介する。
※テキスト化にあたり、発言に一部、省略や再構成を加えています。

 

■経済小説の名手は経済嫌い?「ハゲタカ」が生まれた背景とは


真山仁さん
(写真中)

1962(昭和37)年、大阪府生まれ。 同志社大学法学部政治学科卒業。 新聞記者、フリーライターを経て、2004(平成16)年に企業買収の壮絶な舞台裏を描いた『ハゲタカ』で衝撃的なデビューを飾る。 同作をはじめとした「ハゲタカ」シリーズはテレビドラマとしてたびたび映像化され、大きな話題を呼んだ。〈新潮社HPより引用〉

 

長尾社長も松尾アナも真山さんの小説の大ファン。まずは大ヒットシリーズ『ハゲタカ』が生まれた舞台裏をお聞きしした。

長尾社長:金融界にいらっしゃったわけじゃないのに、ぐいっと踏み込んだ作品で…。

真山先生:そうですね、経済嫌いで。(小説執筆以前は)経済の取材は「素人なんでわからないんで」って、大体断っていましたね。

松尾アナ:ではなぜこのテーマを選んだんでしょうか

真山先生:いろいろないきさつがありますが、小説を書くチャンスをいただいて、そこで経済小説でやってほしいというお話だったんです。
で、もともと経済が嫌いな理由は、世の中を数字で語るのが好きじゃないんですよ。ただ経済って欲望の結果じゃないですか。だからその欲望を書くのだったら面白いかな、と。

ハゲタカは2004年に発表したんですが、その頃まだまだバブル崩壊の影響がすごく大きかったんです。当時も”ハゲタカ外資”と投資銀行なんかが呼ばれていて「彼らが悪いんだ」という定説があった。本当は彼らはあんまり関係ないんですけど(笑)。
本当に悪いのは経営を破綻させた日本人じゃないのかと。そろそろ誰かのせいにして、自分達は無責任に次に行ってしまうようなことを改めないと、日本はだんだんダメな国になるんじゃないかな?というのがあり、逆に何も知らない門外漢が経済を見ることで新しい視点ができたらいいのかな、というのが始まりなんです。

長尾社長:なるほど。そこであの鷲津※が出てきたわけですね。

(※ハゲタカの主人公「鷲津政彦」。ニューヨークの投資ファンド社長)

真山先生:はい。最初まったく経済がわからなかったんですけど、『ユダヤの商法』なんかを読み始めたんですよ。

一番冒頭に、ビジネスの第一番は笑いで、相手の懐に入って信頼してもらうところから始める…って書いてあるんです。
私は大阪生まれなので「ああ、これ船場のおっちゃんらと一緒や!」と。だったら自分も大阪で育っているので、わざわざ外資の人に聞かなくてもいいって。それで鷲津は船場生まれなんですよ。あまり大阪で知られてないんですけど(笑)。
それで、全部外国のせいにすると負けてしまうけど、魂は十分に日本にあるんだったら、船場の商法でM&Aをやってみるのは面白いかな…みたいなことが鷲津の形になっています。

 

 

■最新刊『墜落』(文藝春秋)

今夏刊行されたばかりの最新刊『墜落』についても、長尾社長と松尾アナがインタビュー。
人気の冨永シリーズ3作目として、沖縄にフォーカスした話題の1冊についてお聞きした。

 

松尾アナ:今回テーマは沖縄なんですね。日米の関係や若年層の非行や貧困、そして戦闘機が墜落するという…。思わぬところのテーマに迫ったんだなという印象を受けました。

真山先生:たまたま今年が沖縄返還50年なんで、沖縄本としてイメージされがちなんですが、結果的に50年の時に本が出ただけ。沖縄が始まりではなく、戦闘機の墜落が始まりなんですよ。
やはり日本の安全保障って、国家予算をどうするかみたいなことでずっと揉めているじゃないですか?
島国で、先進国で、自分達の国をどう守るかは、もうちょっと真剣に考えるべきなんですよね。
さらにものすごく製造業が強いのに、なぜ飛行機だけは日本が作れていないかというのも、背景がもちろんあるわけです。
そこで例えば、戦闘機が墜落して一番インパクトがあるのがどこかというと沖縄じゃないですか。前から沖縄はやらなきゃいけないとも思っていて。それで、どうせ沖縄やるなら基地問題だけではないな、と。我々が知るべきことは何かな?ということで出てきたのが貧困の問題。
だからどちらかと言えば反対から作っていたんです。
結果的には皆さんはなんとなく「ああ、50年だから」と。ある意味あざといと思っている人もいるでしょう(笑)。貧困もクローズアップされているのでどうしてもね。

松尾アナ:『墜落』の中には戦闘機や国防に関することなど、なかなか情報が手に入らないようなことがいっぱいあって、どうやって取材なさったんだろうと気になりました。
真山先生:広報にお願いして取材依頼すると半分以上断られるんですけど、いろいろな伝手を使って。例えば元自衛官や、防衛省や警察のOBが知り合いにいるってなると、その伝手をたどってどんどん夜にお誘いして、お食事をしつつお話を聞き…。まあその人自信が情報源になることはあまり無くて「友人にこういう人がいるから紹介しましょうか?」となって順番にたどっていくという感じです。

■小説を楽しみ、情勢を知る。いままさに読むべき1冊

松尾アナ:完成まで、構想や執筆にはどのくらいかかったんですか?

真山先生:墜落は短かったんですが、普通、連載までに1年半くらい、連載で1年半くらい、単行本に半年くらいかかるので、早くて3年、長い物だと5〜6年。
なので、今ホットな話題を小説にしようとすると、それが5〜6年先にもホットなのかどうかが重要。だから事件を扱うことはあまり無いです。
逆にその事件や事故の前提に本質的な問題があるのに、そこになかなかフォーカスされないという場合は、多分5年持つんですよね。

長尾社長:今まさに沖縄というか、台湾の問題とかいろいろあって、ドンピシャなタイミングで出てきた感じがあるんですけども、狙ったわけじゃなくて?

真山先生:まあ「予言できるんです」って言えたらいいんですけど(笑)。そしたら投資家として大金持ちになってますね。
(小説には)可能性をたくさん織り込んでいるんです。
これは小説の良いところで、ノンフィクションだと1つ間違うと「ちゃんと書けていない」と言われますが、小説は1つか2つ当たると「これは予言している!」と言われる。だからたくさん予言しているんです。そのうちの当たったものだけを読者は拾ってくださるんで。

長尾社長:そういうことですか!
いやでも、まさにこれは日本国民が今読むべき小説というか。あまり難しくなく読めて、今の国際情勢などもわかるし。
松尾アナ:「闇に浮かびあがる沖縄の真実。本土復帰50年」という帯がついていますけれども、ミステリの要素も多いので、いろいろな角度から楽しめる1冊ですよね。

 

真山先生:そうですね。お説教の本ではないので。
やはりエンタメとして面白くなければエンタメ小説ではないので、そこは大前提。ミステリ的な色がつくとエンタメの色も強くなるので、そこはすごく大事にしています。

 

 

■真山作品に底通するテーマとは?

番組後半ではこれまで出された本についてもお話をうかがった。


松尾アナ:昨年は政治をテーマとしたノンフィクション『ロッキード』を発表されました。

この作品ではどのようなところからロッキードに迫ろうと思ったんですか?

真山先生:ご縁があり「ノンフィクションを書かないか?」と言われ、何をやろうかというとき、やはり昭和の総括みたいなことをやりましょうという話になりました。
で、戦後の昭和で一番闇が深いと言ったらロッキード事件。もう40年以上前なんですよね。
今さら何が出てくるのか分からなかったんですけど、その一方で関係者がまだぎりぎりご存命だったりする。
「みなさま最後だと思って協力してほしい」って言って取材をし始めたら、やはりいろいろな事が出てきたという感じですね。

 

松尾アナ:選ばれるテーマは、真山さんの中で何か一貫したものがずっとあるのかな?と思ったんですけども、いかがでしょうか?

 

真山先生:例えば、(日本は)”平和ボケ”って言われているじゃないですか。ムカっともするけど「そうかも」とも思っている。じゃあ具体的にどう平和ボケなのか、どうすれば平和ボケでも生きていけるか知りたいじゃないですか。

その時に具体的な例、例えば食、金融、あるいは安全保障など、いろいろなアプローチから日本列島を立体、3Dで見ていこうとする。それから時間軸も。
そうやって見ることで、初めて日本人のアイデンティティみたいなものがわかる。それがわからないと、外国と日本という対比も本当はできない。
日本ほど、世界のニュースを知っている割に自分達の国のことを知らない人って珍しいんですよ。
それがエンタメだと、そんなに勉強しているつもりはなくても…(知ることができる)。
「確かにここでアメリカに負けるよな」「中国にこんなんじゃ勝てないよな」って思って、それを「なぜ」って思えるように作っているんで。それに立ち向かう人たちが出てくるんですけども、簡単には勝てない。そのへんが多分ずっと一貫して大事にしているところなのかと思います。

 

長尾社長:立ち向かったらやられたりとかね。まさにロッキードとかそんな感じがありますもんね。

真山社長:ただ転んでもタダでは起きないみたいなことは大事にしたいなと思っています。

 

■ここでハゲタカファンの長尾社長に朗報!

番組途中には、長尾社長をはじめ、ハゲタカを愛読する皆様への朗報も。


松尾:そしてハゲタカファンの長尾さんとしては…

長尾社長:続編!! 鷲津に早く再登場してほしいですね!

真山先生:私あと2年でデビュー20年なんですよ。その頃には皆さんのご期待に添えるようなものが出てくるのではないかと。準備は進めています。ぜひご期待ください!

 

■”正しさ”が氾濫するSNS社会を生きる若者たちへ

さらにこの9月には、若い読者に向けた真山先生の新刊『“正しい”を疑え! 』(岩波ジュニア新書)が発売される。

 

松尾アナ:“正しい”を疑え! とはどういうことでしょうか。

真山先生:SNSはいまや生活に必ず必要なものとなっていますが、よく炎上とかしますよね。SNSでは、(皆が)常に正しい立場にいたいんですよ。逆にそこで自分がどっちにいるか気になったりするんです。特に若い人はそこが強いと思います。
でも私の持論からすると、世の中に正しいことは無い。すべて正しいし、すべて正しくない。
だから自分にとって正しいことは、いつも相手にとって正しくなく、これが国家になると、両方が「お前のやっていることは間違っている」ってなるから戦争は起こるんですよね。
この正しさを振りかざすと交渉って出来ないので、大人は「私は正しいと思うけど、どう妥協するか」ってやるんですが、それを若い人に教えなくなったんです。
その一方でSNSに正しさが氾濫してしまっているので、(若い人は)自分達はどう生きていいかが分からなくなっているんですよね。
だから「正しいなんて思わなくていいよ」と。”正しい”はものすごくたくさんあって、しかも世間は多様性の時代って言っているんだから、他人の正しさよりもあなたはどうしたいのか、あなたはその中でどう考えたいのか、それだけを大事にすれば、もっと楽に生きられるんじゃないの?というのをやろうとしているんですね。

私自身、座右の銘として、“正しさ”を疑え!とずっと書いています。小説もそこが1つのテーマなんです。
例えば「農薬は悪か?」という話で小説を書いたことがありますが、”正しい”人たちがたくさん出てきて「私は正しい」と言う。その意見衝突の中で、それぞれの立場があって議論するんですが、読んでいると、全員の言うことがもっともだと思える。でも社会はそうならないわけです。
特に今はSNSのせいで非常に生きづらくなっているので、(今作のような取り組みによって)楽になればいいのかなと思いました。

 

長尾社長:これ読みたいけど、ジュニア新書なんだ。高校生向けなんですかね?

 

真山先生:そこはお気遣いなくというか、まさに自分の子に買うようにお買い求めいただいて。
どちらかというと、これからどうやって大人に売ろうかと…。多くの大人の方々に読んでいただきたいです。

 

長尾社長:まさに、お話を聞いていて、まず大人こそ読むべきだと思いました!。

 

■リスナーの皆様に、真山仁先生からのメッセージ

最後に、番組をお聴きの皆様へ、真山先生からメッセージをいただいた。

真山先生:不安がたくさんあって、これから先行きどうしたらいいかと皆さん思ってらっしゃって、だんだん自信がなくなってきてしまっていると思うんですね。
その一方で日本人って、自信は傲慢と同じ意味だと思っている人が多い。”自信過剰”とかね。
本当は自信って、自分を信じることです。最後は自分しかいないんだ、という。
逆に言うと、いま自分を取り戻すこと、自分を見つめることによって、そこに自信が生まれてくるんですよ。
自信が最初にあるのではなく、結果として自信が生まれてくる。不安になったら自分と対話して、自分の強みを再確認することで、すごく普段の生活が楽になると思います。そう言う意味で自信を持ってほしいと思います。

 

 

今回テキストでご紹介した部分以外にも、真山先生が小説になられた経緯など、番組では興味深いお話をたくさんお聞かせいただきました。

お聴き逃しの際はぜひradikoやSpotifyなどからお楽しみください!

 

■長尾社長へのご相談を募集中!
『長尾一洋 ラジオde経営塾』では、パーソナリティ長尾一洋へのご相談やメッセージを募集しています。お仕事のお悩みや、経営戦略、店舗経営のご相談などに長尾一洋が番組内でじっくりご回答いたします。
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