【ラジオな人】Date fm(エフエム仙台)編成部の井上崇部長に訊く、地域に特化したFM局の使命感と役割。

7大都市の1つ・宮城県仙台市を拠点とするDate fm(エフエム仙台)。100万人を越える人々が住む街のFM局が大事にしていることから、地元密着型の番組が増えている理由について、編成局編成部の井上崇(いのうえたかし)部長に伺いました。

35周年のキャッチフレーズは「NO MUSIC,NO Date fm」

――首都圏のFM局だと、朝は若い女性がパーソナリティを務める印象があるのですが、Date fmさんは月曜日を浅野彰信さんが担当していますね。(※1)

今は火曜日から金曜日のパーソナリティが女性なので、女性をメインターゲットにする意図はあり、浅野はスポーツを得意としています。月曜日は週末のスポーツニュースやイベントを扱いたいので、男性が担当しています。

この番組が始まったのは2017年の4月。その前は男性2人が曜日ごとに担当していまいした。女性・男性がメインというのは時期によって違います。もっというと、昔は朝早い時間帯と、昼に近い時間帯と番組が2つあったんですよ。朝早い時間は男性、お昼ぐらいになると主婦層に向けた編成になっています。それが今は一緒になったので、女性がメインでパーソナリティを務めるのは久しぶりですね。

――昔はFMラジオというと音楽がメインでトークが少なかったのが、最近は生活に密着した情報を提供しようとしていますよね。

そうですね。特に朝は情報系がかなり増えていますね。当然、人が喋っているので、個性を出してリスナーのリアクションをもらうといったキャッチボールも必要です。一方で、主力となる番組は音楽を軸にやっていこうと考えています。特に16時台の『SOUND GENIC』は、できるだけフルコーラスで、きっちり曲をかけるというコンセプトでやっています。

うちは去年(2017年)で開局35周年だったので、タワーレコード仙台パルコ店さんとコラボレーションをしたのですが、FMラジオの原点はやっぱり音楽だから、キャッチコピーには「NO MUSIC,NO Date fm」を掲げました。

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ラジオは何かをやりながら聴くメディア

――「音楽をコンセプトに」という話が出ましたが、他にもDate fmの編成の軸はありますか?

うちは開局以降、ローカル局にしては自社制作率が高かったんですよ。朝・午前・午後・夕方のワイド番組を自社でやっていこうというのは、ずっと変わらないところです。この時間帯に生のワイド番組がある点は、変わっていませんね。

聴取傾向を分析すると、録音番組より生放送の方が好まれますし、東京発信の番組よりはローカルの方が聴取率はいいですね。また、ラジオは「何かをやりながら聴くメディア」なので、人が動いてる時間帯の方が聴いてもらえるのかなと思っています。

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――リスナー層はどの年代をイメージしていますか?

どうしてもFM開局ラッシュ(※2) の時代から聴き続けてくれている方がメインになってくるので、30代~50代がメインですね。当然10代、20代も狙っていきたいので、試行錯誤しているのですが、今は若い子がラジオを持っていない状況ですからね。そんな中、ラジコでインターネットでも聴けるようになったので、そこをいかに広げられるかは今も課題になっています。

――リスナーの年齢が上がっていることが、FMラジオに地元密着型の番組が増えている理由なのでしょうか?

ローカルのラジオが何に対して特化できるかというと、「地元のネタをいかに早く伝えられるか」です。地元密着は、もうずっと昔から言われています。

うちは仙台市にあって、社名も「エフエム仙台」なので、仙台中心に考えがちだったんですね。でも、ここ数年は東日本大震災の影響もあり、「宮城県全体を意識しなきゃいけない」とより強く感じていているところもあります。実際、自治体の番組がすごく増えましたね。

――地域に特化した番組作りができるようになったのは、Date fmさんと自治体、どちらかの意識が変わったからでしょうか?

両方ですね。僕も震災後に津波の影響を受けた沿岸部でイベントをすることが増えたのですが、そこで「待っていました」という声をものすごく聞くようになりました。もっともっと外に出ていかなきゃいけないと思い、自治体にも協力してもらおうと考えるようになりました。

――「外に出る」とは、取材に行って録った音源を流すのですか? それとも生でレポートをするのですか?

両方です。ラジオカーを走らせて取材してきた地元の声を流したりもしますし、震災直後は公開録音イベントもしました。

アーティストも情報も地元密着で

――話は戻るのですが、音楽を軸にする上で、地元のミュージシャンを発掘していこうという意図があるのかなと、番組表を見て感じました。

あります、あります。月曜日の中村マサトシ君(※3) と、水曜日の竹森マサユキ君(※4) の冠番組は、2018年の4月に立ち上げたんですね。

竹森君は以前、『SOUND GENIC』の中にある「VOICE GENIC」というコーナーを担当してもらっていました。同コーナーは、今でも地元で活動している宮城県出身のアーティストが日替わりで担当しています(※5)

中村君も以前は夕方の帯番組(※6) のパーソナリティをしていて、改めて月曜日の夜に番組を持ってもらったのです。

今後も、まだメディアに出ていないローカルのアーティストを抜擢して、「これは!」と思った人は、いずれ箱番組のメインにも起用していきたいと思っています。

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――震災が編成に与えた影響はありますか?

震災以降、『Hope for MIYAGI』という番組がずっと続いています。『繋ごう明日へ』や「『頑張ろう宮城』希望のラジオ」もそうですが、コンセプトは「震災を忘れないこと」です。

あと、『AIR JAM Friday』も、パーソナリティの本間秋彦さんが震災の被害を大きく受けた石巻出身なので、沿岸エリアに電話をつなぐコーナーがあります。3月11日の前後だけじゃなくて、日常も継続して伝えています。震災に関する番組がゼロになることはないので、ずっと語り継いでいきたいです。

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――震災から約7年半が経ちました。そんな中で、Date fmはリスナーにとってどんな場所でありたいですか?

震災があったときに、「すごく心の支えになった」「助けられた」といった声を頂いて、我々がリスナーの生活の中に入り込んでいる実感を得られたので、そういう思いを持ち続けてもらえる場を作らなければならないと思っています。役に立つ情報を発信して、さらには気持ちを揺さぶる音楽を選んでかけるのは、FM局としての使命なのかなと。

あと、リスナーと距離が近くて寄り添っていけるような場でありたいです。Date fmってそもそも「伊達」から来ていて、「リスナーとデート感覚で」という意味もあるんです。そういう関係性でいたいとは、常に思っていますね。

常にリスナーに向いて放送するのは当たり前なので、そこは忘れずにいたいです。しゃべる側もそうですし、ディレクターや制作する側、ラジオを放送する側も同じだと思います。いかにリスナーがラジオを聴いて、我々が心地のいいものを発信していくかが、役割だと思っています。今後の課題ではあるんですが、できればもっともっと、生放送の時間も増やして、自社制作率も上げていきたいですね。

あとは中村君や竹森君が、若い人に聴いてもらうきっかけになってくれたら嬉しいです。音楽は若い人と繋がれる唯一の武器であり一番の近道であるので、すごく期待しています。

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――ありがとうございました。

(※1)『Morning Brush』(月曜日~金曜日 7時30分~11時)。パーソナリティは月曜が浅野彰信、火・水曜が風間みなみ、木・金曜が船倉薫。

(※2)1982年~1985年にかけて、県域FMラジオ局が立て続けに開局した。Date fm(エフエム仙台)は1982年12月1日開局。

(※3)『とび出せ 中村くん!!』(毎週月曜日 20時~20時55分)

(※4)『竹森マサユキのAKERU radio』(毎週水曜日 20時~20時55分)。インタビュー記事はこちら

(※5)曜日ごとのコーナー担当は月曜日:渡邉幸愛(SUPER☆GiRLS)、火曜日:萌江、水曜日:HUNGER(GAGLE)、木曜日:たすくこま

(※6)Date fmで過去に放送していた『FLICK MOTION』。中村マサトシは2014年4月~2016年10月の月・火曜日を担当。

井上さんがオススメする番組情報

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■番組名:『SOUND GENIC』
■放送日時:毎週月曜日~木曜日 16時〜18時30分
■出演者:井上崇、千葉直樹
■番組サイト: http://www.datefm.jp/pgm/genic/

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■番組名:『Hope for MIYAGI』
■放送日時:毎週月曜日 12時00分〜12時25分
■出演者:石垣のりこ
■番組サイト: http://www.datefm.jp/omoi/#program

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■番組名:『繋ごう明日へ』
■放送日時:毎週火曜日11時30分〜11時50分
■出演者:黒澤としみ、庄司克史
■番組サイト: https://www.facebook.com/tsunagou.asitae

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■番組名:『AIR JAM Friday』
■放送日時:毎週金曜日13時30分〜18時30分
■出演者:本間秋彦、阿部未来
■番組サイト: http://www.datefm.co.jp/airjamfriday/

出演者プロフィール

井上崇(いのうえ たかし)

1967年、福島県生まれ。1990年にエフエム仙台に入社。『SOUND GENIC』月・火曜担当のパーソナリティでもある。

インタビュー/カメラマン

 

 

 

 

豊田拓臣
1979年、埼玉県生まれ。
中学校1年生からラジオを聴き始め、ずっと聴き続けていたら、ラジオ番組の紹介記事やしゃべり手のインタビューをして原稿を書くことが仕事になっていたフリー編集者/ライター。
自称・ラジオ解説者。
著書に『ラジオのすごい人たち~今こそ聴きたい34人のパーソナリティ』(2012年、アスペクト)がある。
一般社団法人日本放送作家協会理事。
特定非営利活動法人放送批評懇談会正会員。

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次世代の国産旅客機、2035年以降めどに開発へ 「とりあえず国内で飛ばして実績を積め」辛坊治郎が持論

キャスターの辛坊治郎が3月28日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。経済産業省が27日、2035年以降をめどに次世代の国産旅客機の開発を目指す新たな産業戦略を策定したことを巡り、「とりあえず国内で飛ばして実績を積め」と持論を展開した。

撤退した三菱重工のスペースジェットの試験機=2020年3月、愛知県営名古屋空港 ©共同通信社

経済産業省は27日、官民連携による次世代の国産旅客機開発の戦略案を取りまとめ、2035年以降の開発を目指す方針を示した。国産の旅客機を巡っては、三菱重工業が2008年に事業化を決定し、経済産業省は約500億円を支援したが、昨年撤退した。

辛坊)次世代の国産旅客機の開発には、日本の経済規模の低下が大きく影を落としています。日本国内だけでは商売にならず、アメリカで売れないと駄目だからです。

そうはいっても、アメリカで飛行機を飛ばすためにはアメリカ連邦航空局(FAA)の認可を受けなければなりません。ところが、FAAにはアメリカのボーイング社や航空会社の息がかかっているはずです。そんなFAAから、日本の国産旅客機が容易に認可を得られるとは思えません。

そう考えると、すでに技術力もあり、完成した機体もあるならば、日本独自の型式証明を出したらどうですかね。そして、とりあえず日本国内で飛ばして実績を積めばいいと思いますよ。

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