佐久間宣行のラジオ番組『佐久間宣行のオールナイトニッポン0(ZERO)』

『ゴッドタン』や『ウレロ』シリーズ(共にテレビ東京系)など、お笑いファンのバイブル的な番組を数多く世に送り出しているTVプロデューサー・佐久間宣行さん。2021年春にテレビ東京を退社後は、ラジオ番組本を発売し、自身のYouTubeチャンネルも開設するなど、さまざまなメディアで活躍の幅を広げています。

今回はニッポン放送の『オールナイトニッポン』枠の中でも、ひときわ元気に異彩を放つ『佐久間宣行のオールナイトニッポン0(ZERO)』の魅力を紐解きます。

佐久間宣行出演 ニッポン放送『佐久間宣行のオールナイトニッポン0(ZERO)』

元・テレビ東京プロデューサーである佐久間宣行さんがパーソナリティを務める番組。佐久間さんは、2015年8月29日放送の『オールナイトニッポンR』を経て、2019年4月3日より『オールナイトニッポン0(ZERO)』の毎週水曜日を担当しています。放送始当時の佐久間さんはテレビ東京に勤務し、中学1年生の娘がいる43歳の会社員であり、現役テレビ局員として初のレギュラーパーソナリティという点が大きな話題となりました。

福島在住の中学時代に『伊集院光のオールナイトニッポン』(1988年10月〜1990年9月)を聴いて以来ラジオにのめり込んだ佐久間さんは、ラジオ局の入社試験を受けるも失敗。テレビ番組を作りながら、ずっと温めてきたラジオへの愛をこの番組で爆発させており、リスナーからは”船長”と呼ばれて親しまれています。

佐久間宣行のオールナイトニッポン0(ZERO)
放送局:ニッポン放送
放送日時:毎週水曜 27時00分~28時30分
出演者:佐久間宣行
番組ホームページ
公式Twitter

Twitterハッシュタグは「#佐久間宣行ANN0」

※放送情報は変更となる場合があります。

『オールナイトニッポン』のパーソナリティは、俳優やミュージシャン、お笑い芸人と"番組に出演する側"が大半ですが、佐久間さんは"番組の作り手側"。自身の経歴の特性を活かしたコーナーを展開しています。リスナーから短い企画を募集する「企画書は、ラブレター…」、長年担当していた『TVチャンピオン』(テレビ東京系)にちなんだ「ラジオチャンピオン」などなど。社会人・エンタメ人目線でのトピックスや、コンテンツの紹介も説得力とセンスが光ります。自宅でのリモートワークや免許センターでのハプニング、家族とのエピソードなどを楽しそうにおもしろおかしく語るフリートークは絶品です。

過去の放送エピソード紹介

『佐久間宣行のオールナイトニッポン0(ZERO)』ならではの醍醐味といえば、ゲストに人気お笑い番組を手掛ける名プロデューサーを迎えてのトーク。人気テレビ番組を手掛ける人同士の本音がメディア形態、局の垣根を越えてラジオの生放送で語られる……お笑いファンにはなんともたまらない瞬間でしょう。

まずは『アメトーーク!』(テレビ朝日系)を手掛ける、テレビ朝日プロデューサー・加地倫三さんのゲスト回をレビュー。「ギャラクシー賞」2019年度5月度月間賞を受賞した『水曜日のダウンタウン』(TBS系)の「新元号を当てるまで脱出できない生活」(2019年5月8日放送)を観て、2人が感じた衝撃とは!?

『アメトーーク』加地P、『水曜日のダウンタウン』神回に圧倒!(2019年5月29日放送)

加地:この前の『水曜日のダウンタウン』の令和の企画(のオンエア後)、佐久間くんに俺すぐLINEしたじゃない。

佐久間:マジで俺もう眠くてさ、ラジオの前だから。24時くらいに寝ようかなあと思ったら、加地さんから「今日の『水曜日のダウンタウン』の、あの令和のやつ見た? おもしろすぎて、もう俺仕事したくねえよ」って(笑)。はははは(笑)

加地:もうオフラインする気になれなかった(笑)。

佐久間:でも俺、ラジオ前のちょっとだけ仮眠しようってしてる時に(LINEが)来ちゃったから。観てなかったら。

加地:そう。観てなかったから、(思いを)共有できなくて、結局(『水曜日のダウンタウン』演出の)藤井くんにLINEしちゃった! 「確実に観てるでしょ」って(笑)。

佐久間:そうね、作った人だから(笑)。あれはすごいっすねえ。ヒントの出し方もすごいっすもんねえ。あとはやっぱり、藤井くんに聞いてみたいんですけど、「ななまがり」っていうチョイスってどういう……。

加地:ねえ。オンエアでは言ってたけど。多少の学力とかいろんな……。でも、「あの企画をやろう」と思ってさ、結局実行するまでの熱意じゃない。結局、思いついてもさ、途中でやめちゃう。あれをやるっていう熱意が……うん、すごい。

佐久間:すごいっすよねえ。僕が観てて良いと思ったのは、やっぱり「ななまがり」っていうチョイスで、普通はああいう企画って途中で仲違いとか見せるじゃないですか。仲が悪くなるとか。そうじゃなくて、ずっと協力してて。気持ち良く観られる上に謎解きをしていくから、全然応援できて観られちゃったからなあ。おもしろいなあと思いましたねえ。

加地:「ななまがりで1時間やるのは不安だ」って言ってたけど、本当におもしろかった!

ライバル番組の神企画に嫉妬しつつ、絶妙な企画やキャスティングのおもしろさを分析、解説したこの回もまた神回と言えるでしょう。

さらに二人は、芸人のキャスティングについてもトーク。2021年の今、MCとして大ブレイクしているあの芸人さんについて、2019年当時から語っていました。

佐久間P&加地P、頼りになる芸人を語る(2019年5月29日放送)

佐久間:「こいつがいると頼りになるなあ。企画を成立させてくれるなあ」とかいう芸人さんっています?

加地:いっぱいいるよ。品川(祐)もいるし、麒麟・川島(明)、(華丸)大吉くん、ケンコバ、陣内(智則)、フジモン、もちろん有吉(弘行)、おぎやはぎ……。

佐久間:今はもう、なかなかそんな風には選べないですけど、一時期全ての企画のトップバッターをバナナマンにお願いしてましたもん。30(歳)前後の時に。

加地:ああ、そうだろうねえ。バナナマンはまさにそうだったもんねえ。

佐久間:何でもおもしろくしてくれるからなあ。頼りになる芸人さんはいる……。

加地:忙しいのよ。そういう人は。

佐久間:どんどん忙しくなるんですよね。頼りになる芸人さんは。だって川島さん、この間ブッキングしようと思ったら「(NHK連続ドラマ小説)『なつぞら』のレギュラーです」って言われて(笑)。ぜんぜんブッキングできない。

加地:「川島、見つかっちゃったねえ」って話、したよね(笑)。誰かのライブ終わりで、裏で会って「川島、見つかっちゃったねえ」って。

佐久間:「また探さなきゃいけないですねえ。できる人」って。はははは(笑)。スタジオとロケで頼りになる人は違うっていうのはあります?

加地:俺あんまりロケやってないけど、春日(俊彰)とかはロケすごく上手いとか、平野ノラとかロケがすごく上手いとか。

佐久間:あとは意外に中堅で、スタジオよりもロケで活躍してくれるなあって思うのは、さらば(青春の光)とかそうですね。森田(哲矢)とかハートが強いから。あとはスタジオもロケも全部、「小峠(英二)がいるから大丈夫か」みたいな(笑)。

加地:ああ、小峠ね(笑)。そうね。小峠がいたら大丈夫。

佐久間:「小峠がいるから考えるのをやめよう」って時があるもん(笑)。

加地:確かに。そういう誰かは絶対入れちゃうね。安心材料がやっぱり欲しいから。

お笑い番組を観る時に「頼りになる芸人さん」を一つの視点として見るとさらに楽しめそうです。そして2020年3月25日放送分では、加地さんの仕事への意欲を失わせた『水曜日のダウンタウン』を手掛ける、TBSテレビ・藤井健太郎さんがゲストで登場。転機となった『水曜日』の企画について話した部分をレビューします。

『水曜日のダウンタウン』演出・藤井健太郎と人気番組のルーツを語る(2020年3月25日放送)

佐久間:「なんとなく、ちょっと他と違う番組になったな、この企画」って。それがたぶん加地さんと話して『アメトーーク!』で話した時は、やっぱり「メガネ芸人」だって言うの。メガネ芸人たちがみんな「え、これで30分持つ?」って言ってたのをやってみたら、おもしろかったってのがきっかけで。

僕の場合は『ゴッドタン』が始まる前に、パイロット版の最後に「キス我慢選手権」があったから、「これでレギュラー作れるな」と思ったのがそのきっかけなんだけど、藤井くんの場合は『水曜日のダウンタウン』だと何?

藤井:僕は「ロメロスペシャル」のやつだと思いますね。「ロメロスペシャル 相手の協力なくして成立しない説」。みんなロメロスペシャルって、ちょっと懐疑的に……「さすがにあんなところまで持ち上がんねぇだろ」っていう、「協力しなくては」っていうのがある中、ちょっと検証してみようっていう事ですけど。

佐久間:あれなんだ! 「勝俣州和 ファン0人説」とかじゃないんだ!

藤井:なんとなく印象ではロメロですかね。でも、どっちも#4(2014年5月21日放送)ですね。ロメロも勝俣さんのやつも。

佐久間:だから俺、印象に残ってるんだ! その回が一段と強烈におもしろかったなっていう。

藤井:実はすぐにやってますね。

佐久間:でもね、そういうものなのかもしれない。俺も「マジ歌選手権」調べたら、随分後に悩んで開発した感じしたら、第6回とかでやってんだよね。

藤井:僕も何かの時に振り返って、ロメロとかがふざけだした最初かなって感じがして。

佐久間:だって、最初はあれだもんね。ダウンタウンに説を見せるっていうサブ出しのVTRは、一番最初は吉田豪とか結構プレゼンしてたもんね。

藤井:はい。スタジオ展開も結構作ってたし、ダウンタウンさんとも話した感じで、真面目と笑いの割合をなんというか、「全笑いじゃないんじゃない?」ってダウンタウンさんから言われたというか。

佐久間:それは、(ダウンタウンがMCを務めた)1つ前の番組が『100秒博士アカデミー』(TBS系、2013年10月〜2014年3月)だったから。

藤井:そうなんですよ。『100秒博士アカデミー』の流れがちょっとあって。「誰か出てきてプレゼンをして、受け手になるのが良いんじゃないか。多少笑いを入れてももちろん良いんだけど、全部が笑いに向かってるのは、ちょっときついんじゃない」みたいな感じで、真面目っぽいのとまぶしてたんですけど、段々笑いにすぐ寄っていったっていう。

佐久間:やっぱりすごいなあ、世代だなあと思うのは、俺たちくらいの年次って俺だけかもしれないけど、「ダウンタウンさんと何かやれ」って言われたら、ダウンタウンさんがおもしろいことをやりたいなって思っちゃう。まあ、俺とかがそういうタイプだったからかもしれないけど。ダウンタウンに自分のおもしろいを見せるって……。やっぱり……藤井くん、頭おかしいよ(笑)。はははは(笑)。

藤井:いやいや(笑)。僕もそこを目指したわけじゃないですよ(笑)。最初からそれをやろうと思ったわけではなく、流れ上そうなっていったってだけで。僕も最初はダウンタウンさんと毎週違ったことをやるのがいいかなとか、いろいろ話しながら。

大人気バラエティ番組を作る者同士が、深夜3時にラジオの生放送で展開する、濃過ぎるお笑い論。良きライバルであり、仲間でもある2人の本音を引き出す佐久間さんのインタビュー力の高さに圧倒されてしまいます。

ラジオ、テレビ、お笑い、家族への愛とリスペクトがあふれる『佐久間宣行のオールナイトニッポン0(ZERO)』。今週も水曜深夜3時から元気な笑い声が響き渡ります。

この記事を書いた人

高田りぶれ(たかだ・りぶれ)

山形県生まれ。ライターなど。放送作家のキャリアを生かし、テレビ・ラジオ番組のおもしろさを伝える解説文を年間150本以上執筆。趣味は観ること(プロレス、サッカー、相撲、ドラマ、お笑い、演劇)、遠征、料理。

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またラジコ編集部は、過去に佐久間さんにインタビューを実施。佐久間さんが思う番組の魅力や、ラジオを初めてからの心境の変化、印象に残ったゲストなどをお聞きしました。

佐久間宣行「失敗してもラジオで話せばいいか!」『佐久間宣行のオールナイトニッポン0(ZERO)』インタビュー

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補欠選挙の結果を分析。「保守王国」と呼ばれる島根に変化が?

4月29日「長野智子アップデート」(文化放送)、午後4時台「ニュースアップデート」のコーナーでは政治ジャーナリストの角谷浩一さんに、4月28日に行われた補欠選挙の結果を解説してもらった。この記事では島根1区に関する部分をピックアップする。

長野智子「選挙区ごとに分析などいただければと思います。まずは唯一の与野党対決となった島根1区です」

角谷浩一「亀井(亜紀子)さんは一度現職もやられていたので返り咲きということになりますが、島根が『保守王国』といわれますよね。1区はずっと細田(博之)前衆議院議長が地盤を守っていて」

長野「小選挙区制度の導入以降、ずーっと。勝ち続けた」

角谷「2区は、もう亡くなりましたけど竹下亘さんがずっと議席を持っていた。つまり保守王国というより、細田さんと竹下さんがずっとやっていたと。ある意味で当たり前だった。それがお二人ともご存命でなくなって、時代が変わってきて、新しい人が。それも自民党の人が引き継ぐものだと思っていたら、こんなことに、と。細田さんがお亡くなりになったための選挙ということで、自民党も候補者を立てました」

長野「はい」

角谷「ただ細田さんは(旧)統一教会との関係が取り沙汰されたり、じつはセクハラ問題というのがあったり。それに安倍派を細田さんはずっと守っていた、ということも。いま問題になっていることを全部抱えていた、みたいな問題があった。お亡くなりになったので自民党は候補者を立てたけど、そんなに簡単ではなかった、ということ」

長野「きちんと説明されないまま、亡くなられてしまったわけですね」

角谷「今回負けたけど、次はもう有権者は自民党に帰ってくる、という声も地元にはあるんだと思います。今回も県会議員がほとんど動かなかった、という話もありました。一方で世論調査、事前のいろんな調査ではかなり引き離されていて、亀井さんが強かった。でも(岸田文雄)総理は2度入ったんですね。最後の土曜にも入られると。総理が最後に入るのは、逆転できそうなとき、というのが不文律でした。数字の差が既にあるのに、総理は入った」

長野「はい」

角谷「これは岸田さんの独特なやり方というかな。突然、政倫審に出ると言う、派閥を解散すると言う……。岸田さんは誰かと相談して揉んで決めるというよりは、直感的に決められるんですね。島根1区は自民党が唯一出していたところだから、小渕(優子)選対委員長はずっと張り付いていました。国会開会中でしたけど、ずっと」

長野「はい」

角谷「岸田さんは2度も入った。茂木(敏充)幹事長は入らなかったんですね」

長野「それはなぜですか?」

鈴木純子(文化放送アナウンサー)「岸田さんとの仲が微妙だという話も……」

角谷「ただ選挙に勝てば微妙どころか、戦うところで『茂木さん、よくやった』となりますよ。一生懸命、入らなかったというのは、幹事長自らが諦めていたんじゃないだろうか、とか。もっと言うと第一声。泉健太立憲民主党代表は、初日に島根で第一声、声を上げているんですね。ところが茂木さんは行かなかったと」

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