90年以上愛される“プーさん”の世界を紹介! 「クマのプーさん展」Bunkamura ザ・ミュージアムで開催中

J-WAVEで放送中の番組『GOOD NEIGHBORS』(ナビゲーター:クリス智子)のワンコーナー「MORI BUILDING TOKYO PASSPORT」。2月12日(火)のオンエアでは、Bunkamura ザ・ミュージアムで4月14日(日)まで開催中の「クマのプーさん展」を紹介しました。


■90年以上愛されている児童小説『クマのプーさん』

イギリスで生まれた児童小説『クマのプーさん』は、世界中で90年以上愛されている作品です。児童小説『クマのプーさん』の作家アラン・アレクサンダー・ミルンと、挿絵を描いたアーネスト・ハワード・シェパードが手がけた原作は、1924年〜1928年にかけて詩の本2冊と物語2冊の計4冊が描かれました。本は出版社の予想を超える売れ行きで、次々と増刷。低価格のペーパーブックから豪華本まで、さまざまなパターンで作られ、当時から大人気でした。

なぜ『クマのプーさん』の物語は、ここまで愛され続けているのでしょうか。Bunkamura ザ・ミュージアム学芸員の三谷知子さんは、物語の普遍性やキャラクターの魅力について、以下のように語ります。

三谷:物語の展開がすぐ読めて、ユーモアたっぷりで、なんとなく想像がつく昔話のような普遍性があります。キャラクターは可愛らしく、それぞれ癖があります。プーさんは、友だちにとっても寛大で、私は本を読んで普段の自分を反省しました。プーさんは、どんなに癖のある友だちも受け入れる人格者です。仲よしのコブタは、ものすごくビビりだけど、一生懸命に友だちを助けようとします。ほかにも、ずっと憂鬱なイーヨーなどもいて、身近な人間関係が「どこの国にも共通しているよね」というものが、物語中に点在していて、そのあたりが何度でも読みたくなる秘訣なのかなと思います。

展覧会では、アランとシェパードのふたりが、どのようにプーさんの世界を創り上げてきたのかを紹介しています。

三谷:1920年、物語を書いたアランの息子クリストファー・ロビン・ミルンが誕生し、お母さんに与えられたクマのぬいぐるみと遊ぶ姿から着想を得て、物語が生まれました。その後、イーヨーやコブタなどのさまざまなぬいぐるみが加わり、お母さんやナニー(乳母)と遊んでいる姿をみて、さらに物語が発展して、最初の詩から物語が20話生まれました。

会場では、モデルになったぬいぐるみのレプリカも展示されています。プーさんの名前の由来は、クリストファー・ロビン・ミルンが白鳥につけた名前で、そのことが1冊目の詩集にも書かれています。「Winnie-the-Pooh」(ウィニー・ザ・プー)がもとの名前で、「ウィニー」は、ロンドンの動物園にいたメスの小熊の名前。クリストファー・ロビン・ミルンがよく餌をあげていたことから由来しています。


■プーさんの表情が乏しいからこそ…

さらに、シェパードの原画を世界で最も所有するイギリスのヴィクトリア&アルバート博物館の200点以上のコレクションから、プーさんの原点をみることができます。展覧会では、シェパードがどのような意図と手法で絵を描いていたか、細かい解説がついています。シェパードの絵の魅力について、三谷さんはこう話します。

三谷:物語は表情豊かで悲喜こもごもですが、プーさん自体は表情が乏しく、目が点で描かれたり、そのときの様子を体の姿勢で表現していたりします。そのため、横顔やうしろ姿が多く、展覧会のために、皆様に周知するための絵を選んでいたのですが、なかなか正面の顔がありませんでした。ただ、それが観る側に余白を残して、何度観ても「体の線がかわいい」とか、そこに性格が表れていて、楽しめるのだと思います。

「クマのプーさん展」は、Bunkamuraザ・ミュージアムにて4月14日(日)までの開催です。2月19日(火)と3月12日(火)は休館日。混雑が予想されるので、じっくり楽しみたい方は夕方の来館がおすすめです。金曜日と土曜日は21時まで開館しています。そのほかの詳細は「クマのプーさん展」公式ホームページをご覧ください。
 

 


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【番組情報】
番組名:『GOOD NEIGHBORS』
放送日時:月・火・水・木曜 13時−16時30分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/neighbors/

 

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政府が「子連れ出勤」を後押し…心配点は?

画像素材:PIXTA

J-WAVEで放送中の番組『JAM THE WORLD』(ナビゲーター:グローバー)のワンコーナー「UP CLOSE」。2月13日(水)のオンエアでは、水曜日のニュース・スーパーバイザーを務める安田菜津紀が登場。賛否の声が上がっている、政府の子連れ出勤後押しについて、保育や子育ての問題に詳しい、ジャーナリストの猪熊弘子さんと考えました。


■子連れ出勤の政策、実現するか?

先月、少子化対策などを担う宮腰光寛内閣府特命担当大臣が、茨城県つくば市の企業で子連れ出勤の様子を視察しました。視察後に宮腰大臣は、「新しい施設を整備する必要がなく、企業の規模にかかわらず取り組むことができ、どんな企業でも取り組めるのではないか」と実感したそうです。さらに、この取り組みをモデルとして全国へ広めていければとも考えており、政府として子連れ出勤を後押しすることを表明しました。

まず、猪熊さんは政府の子連れ出勤後押しについてどのように考えているのでしょうか。

猪熊:地域少子化対策重点推進交付金を使って、政府は子連れ出勤を後押ししようとしています。新しい施設を整備する必要がないので、そういう取り組みをする企業を支援しようとする動きがでているようですが、やや炎上していることもあり、実際にどれだけ現実的にこの政策が実現するかは疑問です。


■子連れ出勤の心配な点

では、政府が後押ししている点にはどういった心配が上げられるのでしょうか。

猪熊:子どもの視点からすると、歩けるようになったらバタバタ動きたいし、発達にとって会社にいることがよいかは疑問です。その点では子どものためにいい保育が受けられる場所のほうがメリットもあると思います。それらを考えると、会社に連れて行くにしてもそこにきちんとした保育所があり、子どもの発達を考える保育が与えられる環境があればいいとは思います。

猪熊さんは、子連れ出勤で4、5歳の子どもが大人と一緒に絵を描いて過ごす光景を見たとき、「これは本当の意味で子どもにとってよいことなのか」と考えると、やはり子ども同士の集団の関わり合いや、子どもの成長をもっと促すような遊びが必要だと考えました。

猪熊:「子どもにとってどうなのか」という視点をいかに政府が持つかがいちばん大切なので、その部分が心配ですね。


■社内の託児スペースより、しっかりした保育施設を作るほうが重要

宮腰大臣は、子連れ出勤により新しい施設を整備する必要がない、と発言しましたが、その点についても疑問が残ります。

猪熊:私は新しい施設を整備する必要があると思います。会社のフロアに子どもがいて安全なのかどうか。たとえば、床にシートを敷くだけの仮の場所で過ごさせていいのか、小さなものを口に入れてしまったり、ケガをさせてしまったりするようなものがないか、テーブルや机にしても子どもの大きさに合ったものがあるのか、など考えると会社に託児スペースを作るよりも、しっかりとした保育施設を作ることの方が重要だと思います。


■現状の保育施設が抱える問題

現状、子どもの受け皿である保育施設の整備自体はどのように進んでいるのでしょうか。

猪熊:日本のどこも「保育士がいない」と言われています。また、新しい保育所を整備したいけど、保育士がいないので進まないという話もあります。そのため、保育士の処遇の改善はもちろん、保育士養成のための学校も必要になるなど、保育の整備を全体でやっていかないといけない状況ですが、なかなかそれが進んでいないため、全ての待機児童がなくなるまでには至っていません。

多くの問題点を指摘した猪熊さんは、「子連れ出勤を後押しする前に、子連れ出勤の定義をもっとしっかり考えるべき」と続けます。

猪熊:政府の子連れ出勤の後押しは、「絶対に赤ちゃんを連れてきてはいけない」という文化が本当にいいのかどうかに一石を投じることになるとは思います。私は、赤ちゃんが授乳をしていておとなしく過ごしている状態であれば、1、2時間くらい働く場所に連れてきてもいいと考えています。海外では実際にそういう場所がたくさんあります。「ここは大人の場所だから、子どもは絶対に連れてきてはいけない」という流れを何とかした方がいいのではないでしょうか。
安田:いざとなった場合は「赤ちゃんをここに連れてきてもいいですよ」という土壌を築いていくことは大事ですよね。一方で、テクノロジーが進む世の中なので、それらを活用して在宅で会議に参加できるような取り組みもできますか?
猪熊:それも必要だと思います。都市部では電車通勤の人も多く、満員電車に赤ちゃんを連れて行くのは恐怖です。それであれば、テクノロジーを使って会議をするなどすれば、親にとっても子どもにとっても負担がなくなります。必ずしも子連れ出勤が必要な人ばかりではないと思うので、そこの整備も必要です。


■子どもの発達に合わせ、ベストな環境を選べる仕組みを

子連れ出勤の後押しは、働き方や環境整備などいろいろな課題と向き合いながら進めていく必要があると分かりました。改めて、これから子連れ出勤後押しをどう進めていくことが望ましいのでしょうか。

猪熊:はっきりと子連れ出勤の定義を決めて、子どもにとっても親にとっても負担がない環境整備が必要です。また、子どもにとって親と過ごすよりも、子ども同士の集団や他の人と過ごす方がいい時期になったら、きちんとした保育施設に預けることも視野に入れてほしい。子どもの発達に合わせ、いちばんベストな環境を選べるような子連れ出勤になればいいと思います。

最後に猪熊さんは「子どもが社会のなかで居心地よくいられて、親も子どもがいてよかったと思えるような子育て支援が男女問わずできてくると、安心して若い人たちが子どもを産めるようになる」と想いを伝えました。

子どもがいる親だけの問題とせず、子どもが社会と共にあるという視点を持ちながら社会全体でこの問題を捉えていく必要があるかもしれません。

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【番組情報】
番組名:『JAM THE WORLD』
放送日時:月・火・水・木曜 19時−21時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/jamtheworld/

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