『くれなずめ』撮影で、“映画の神様”を信じようと思った理由は…松居大悟監督が明かす

映画『くれなずめ』ポスタービジュアル

映画『くれなずめ』が5月12日(水)に公開される。監督を務めた松居大悟が4月28日、J-WAVE『GROOVE LINE』(ナビゲーター:ピストン西沢)で、撮影中の出来事を語った。映画の神様を信じようと思った瞬間とは?

撮影中の天候に「終わった」…しかし結果的には

「くれなずめ」という言葉は、「くれなずむ」を命令形にした松居の造語。結婚式の披露宴と二次会の“狭間”の時間に起こる物語のため、夕焼けから夜の青になりかけている空の色など、微妙な色合いを映し出すことにこだわったそうだ。映画を観た西沢も「鮮やかな部分と、暗い部分で明暗がくっきり出ていた」と感想を述べた。撮影は、こだわるがゆえの苦労もあったそうだ。

西沢:その時間しか撮影できないんでしょ?
松居:そうです。だから撮りながら狙ってましたね。このシーンは5時くらいからスタンバイして、いい陽になったら撮ろうって。でも、撮影が押して「早くしないと夕焼けにスタンバイできない」みたいなこととかもありましたし、それこそ曇りだと色が出てこないので、雲がちょうど抜けてくれるタイミングを待ちながら撮るとかはやってましたね。
西沢:そういう撮影は誰がコントロールするんですか。
松居:助監督のチーフがスケジュールを見ていて、加えてフォーカスなどをするカメラマンが太陽や雲の流れを(確認していました)。
西沢:やっぱりチームでやらないと手が回らないんだ。雨の日はどうするの?
松居:予算が豊かにある作品は「天気予備日」というのが組まれているんですけど、僕がやっている作品は予算とかスケジュールに余裕がなかったりするので、そのままやるしかなくて。ちょっと小雨だったら照明さんに大きいテントを張ってもらって雨を避けて、太陽の光を作ってもらって撮るか、大雨だったら傘を差してやるとか。

『くれなずめ』の撮影は昨年3月ごろ。運悪く東京に大雪が降った日があり、松居は「終わった」と感じたという。

松居:でも、この日に撮るしかないと思って撮ったら、ちょっと切ないシーンだったんで、すごく雪がきれいだったんです。しかも、実際は2週間ちょっとの撮影だったんですけど、1年かけて撮っているような。桜もきれいなときに撮れて、でも雪もきれいに降っていてみたいなことがあったから、逆に映画の神様を信じようって思いました。

matusi-1333.jpg

ピストン西沢と松居大悟

もともとは「手紙のような演劇」だった

映画『くれなずめ』は、松居が主宰する劇団ゴジゲンで2017年に上演された舞台が原作。当時は映画化を全く考えていなかったと松居は言う。

松居:(この舞台は)一緒に演劇をやっていた友だちが突然いなくなってしまって、でもいなくなったあとのほうが自分の中で生きているなってことを思ったので、そういう死生観にまつわる、でもすごく明るいコメディにしようと思って作りました。面白くしようとか伝わるものにしようというよりも、自分がそう言いたいだけで、そいつに向けて手紙を書くように劇を作ったんですよね。そうなったときに、映画に耐えうるものじゃないなというか。たくさんのお金とたくさんの人を使ってやるようなものというよりは、自分とそいつだけの話だから申し訳ないというか。

当初「映画にしなくてもいい」と思っていた松居だが、この舞台を観たプロデューサーから「これは映画にして、たくさんの人に観てもらうべき」と言ってもらい、映画を作り始めたそうだ。

西沢:舞台は1人でやる作品もあるし、ミニマムなものから映画みたいな舞台まであるじゃないですか。舞台って映画とは全然別のものですよね。
松居:そうですね。この舞台は100人くらいの小劇場で、(セットは)壁しか立ってない素舞台でやっていて。たとえばチャイムが鳴ったら教室の設定でやるとか、ガタンガタンって鳴ったら高架下の設定とか観る人の想像力のみで劇をやっていたけど、映画は全部が情報になるじゃないですか。教室に行って衣装を着せて全部やれるから。だからお客さんの想像力をどこに置くかっていうのが演劇と映画ではだいぶ違うなって思います。

主題歌はウルフルズ。トータス松本に手紙を…

映画『くれなずめ』には、成田 凌、高良健吾、若葉竜也、浜野謙太、藤原季節、前田敦子、城田 優など実力派俳優が多数出演する。

松居:台本を読んで「やってみたい」と言っていただいて出てもらったんですけど、当時高校の同級生だったやつらが12年ぶりに再会するって話だったので、同世代に近い人たちを(揃えました)。
西沢:城田 優が高校の同期ってすごい話だよな(笑)。
松居:しかも(映画では)高校生役で出てきますね。カーストが上のすごく怖いヤンキーみたいな感じで(笑)。

『くれなずめ』の主題歌はウルフルズの『ゾウはネズミ色』。今回のために書き下ろされた。

西沢:トータス松本さんとはどういう付き合いで?
松居:この映画の中で、結婚式の余興でウルフルズさんの『それが答えだ!』を赤ふんどしで踊るってシーンがあるんですけど、プラス思い出だったりも振り返ったりするので、最後はウルフルズさんに新曲をもし書き下ろしてもらったらうれしいなと思って。トータス松本さんとは面識がなかったんですけど、オファーと手紙を書いたら書き下ろしていただけました。
西沢:トータス松本さんも面白がるタイプだからね。
松居:うれしかったですね。朝ドラでお忙しいなかでしたが、アンサーソングのように作っていただきました。

映画『くれなずめ』は5月12日(水)に公開。オーディオコメンタリー付きの上映も5月21日(金)から開始する。最新情報は、公式サイトまたは、オフィシャルTwitterまで。

『GROOVE LINE』では楽曲を紹介しながらゲストとの軽快なトークをお届け。放送は毎週月曜から木曜の18時10分ごろから。
タグ

江口のりこ×中条あやみ×笑福亭鶴瓶 大いに泣いて笑って元気になれる人生賛歌!『あまろっく』

ニッポン放送「ひろたみゆ紀のサンデー早起き有楽町」(日曜朝5時~)で、おススメの最新映画をご紹介しているコーナー『サンデー早起キネマ』。4月14日は、家族の絆と愛を描いた3本をご紹介しました。

その1本は、「人生に起こることは何でも楽しまな!」 関西出身の豪華キャストで贈る、笑って泣いてロックに生きるご実家ムービー『あまろっく』。

『あまろっく』  (c)2024 映画「あまろっく」 製作委員会

舞台は兵庫県尼崎市。ここには、船舶が通行できる日本一大きな尼崎閘門があって、“0メートル地帯”に海水が流れ込むのを防ぎ、水害から街を守っているのです。閘門は、英語でロックゲート、だから愛称は“尼ロック”!

この街で町工場を営む能天気な近松竜太郎の娘・優子は、「父のようにはなりたくない」と幼い頃から何でも頑張り、堅物だけれどエリート街道をまっしぐら! しかし、理不尽なリストラで失業し、39歳・独身にして尼崎に戻ってきます。昼間はゴロゴロ、夜は幼馴染がやっている駅前のおでん屋台でほろ酔いの日々。

そんなある日、65歳の父が突然「お父ちゃんは再婚します」と言いだし、なんと20歳の早希を連れてきます。役所で働く早希は、孤独な幼少期を過ごし、誰よりも“家族だんらん”を夢見ていたのです。ずっと年下の“継母”の登場に戸惑う優子は、共同生活を受け入れることができず、三人の日々は衝突と騒動の連続でした。

そしてある日、思いがけない悲劇が近松家を襲います。優子はこれまでの人生を振り返り、家族の“本当の姿”に気づいていくのです。

『あまろっく』  (c)2024 映画「あまろっく」 製作委員会

メガホンを取ったのは、小学生の時まで尼崎で育ったという中村和宏監督。数年前まで“尼ロック”の存在を知らなかったそうです。「日本一と言いながら知名度はほぼゼロで尼崎市民でも知らない人がほとんど。なんのアピールもせず、ただそこにいるだけで家族を守っている不器用な父親のようだと思った」といいます。そんな“尼ロック”の下で暮らすハチャメチャな面白い家族の物語を書きたかったとこの作品を作りました。

『あまろっく』  (c)2024 映画「あまろっく」 製作委員会

とても優秀なのに居場所がなくなる優子役は、江口のりこさん。愛想がなくて忖度もできないから、煙たがられて孤立してしまう……でも実は優しくて可愛い!という役が本当にピッタリでした。

若すぎる継母・早希には、中条あやみさん。家族になろうと一生懸命で「優子ちゃん、〇〇やで~」とグイグイと優子に切り込んでいく姿がキュート!中条さんのベタベタの関西弁も、魅力的。

そして、街の“尼ロック”のごとく、家族を見守る父・竜太郎役は、ニターっと笑う顔が憎めない笑福亭鶴瓶さん。最高です!「人生におこることは何でも楽しまな!」が口癖。

『あまろっく』  (c)2024 映画「あまろっく」 製作委員会

この作品を観ると、本当に、人生を楽しまなきゃっていう気持ちが沸々と湧いてきて、自然と胸を張り大きな歩幅でグングン歩いて行けそうな気になります。何があっても、そこから立ち上ってまた歩き出せるのが人間、支えてくれる家族や仲間がいれば尚更です。

大いに泣いて笑って元気になれる人生賛歌!この春あなたも元気をもらいに映画館に出かけませんか?

『あまろっく』  (c)2024 映画「あまろっく」 製作委員会

『あまろっく』
4月19日(金)新宿ピカデリー他 全国公開

江口のりこ 中条あやみ
松尾諭 中村ゆり 中林大樹 駿河太郎 紅壱子 久保田磨希 浜村淳
後野夏陽 朝田淳弥 高畑淳子 (特別出演) 佐川満男
笑福亭鶴瓶
監督・原案・企画:中村和宏
2024年 日本 /119 分 カラー シネスコ /5.1ch
配給:ハピネットファントム・スタジオ

(c)2024 映画「あまろっく」 製作委員会

Facebook

ページトップへ