取材期間はたった2日!? 小山薫堂も驚いたガイド本「キセキの島」 編集者・藤本智士が天草の離島・御所浦で出会った“奇跡”

放送作家・脚本家の小山薫堂とフリーアナウンサーの宇賀なつみがパーソナリティを務めるTOKYO FMのラジオ番組「日本郵便 SUNDAY’S POST」(毎週日曜15:00~15:50)。今回の放送は、編集者・作家で有限会社「りす」代表の藤本智士(ふじもと・さとし)さんをゲストにお迎えし、熊本県天草市にある離島・御所浦(ごしょうら)の魅力や、島の人々とともに制作したガイドエッセイ「キセキの島」について伺いました。


(左から)パーソナリティの小山薫堂、藤本智士さん、宇賀なつみ



◆編集者・藤本智士が見つめる日常の尊さ

藤本智士さんは、1974年、兵庫県生まれ。編集者、作家で「有限会社りす」代表。日本各地を旅しながら地域に暮らす人たちの声や、その土地にある普通の魅力をすくい上げています。今年、熊本県天草市の御所浦を旅し、島の人たちとともにガイドエッセイ「キセキの島」を制作しました。

藤本さんが代表を務める「有限会社りす」。愛らしい動物のリスを思い浮かべがちですが、社名には編集者としての確固たる信念が込められています。「読みは同じなんですけど、実は自分のなかに『Re:スタンダード』という旗印があります。スタンダード、普通とされているものをもう一度見つめ直そう、というテーマの頭文字をとって『りす』と名付けました」と語ります。

2006年の雑誌「Re:S」創刊以来、約20年にわたって日本各地を旅し続けてきた藤本さん。今回引き寄せられるように訪れたのは、熊本県天草市の離島・御所浦(ごしょうら)でした。熊本県本土には足を運んでいたものの、天草への旅は「思ったより近い」という偶然の発見から始まったといいます。「関西からだと伊丹空港から天草エアラインが飛んでいて、熊本経由で一瞬降りるのですが、ほぼ直行便で行けることを知ったんです」と振り返ります。

天草出身の小山にとっても、御所浦は特別な場所です。120もの島々からなる天草諸島のなかにあって、橋が架かっておらず船でしか渡れない離島。「子どもの頃、港から『じいちゃーん!』と叫んで船を呼んでいた」と小山が懐かしむほど、そこには素朴な日常と不便さが今も息づいています。「ある種、その“不便さ”が守ってくれているものが、御所浦にはあるなと思っています」と藤本さんも頷きます。

◆たった2日間の滞在で編み上げられた「キセキの島」

そうして生まれたのが、ガイドエッセイ「キセキの島」です。本を開いた宇賀は「本当に写真が素晴らしい、絵が綺麗!」と感嘆の声を上げます。ページをめくれば、豊かな海の幸や息をのむような美しい風景が広がる一方、「下校時間、海を泳いで家に帰った子供がいる」といった思わずクスッと笑ってしまう“島あるある”や、地元の人しか知らない宿・居酒屋の情報もぎっしりと散りばめられています。

驚くべきは、この本のために御所浦へ取材に入った期間の短さです。「正直に言うと、この本を作るための取材は、たった2日間だったんですよ」と藤本さんが明かすと、「2日でこれを作ったんですか!? 2ヶ月くらい暮らしていたのかと思いました」と、小山も目を丸くして驚きを隠せません。

なぜ、わずか2泊3日の滞在でこれほどまでに深く、濃密な一冊が生まれたのでしょうか。その秘密について「僕のエッセイを中心に写真をふんだんに入れながら、実は島のメンバーがたくさんの情報を書き加えてくれたんです。僕ひとりの本というよりは、御所浦の島のみなさんと一緒に作り上げた本なんです」と種明かしをしてくれました。


藤本智士さん著「キセキの島」(御所浦出版)



◆数珠つなぎの出会いがくれたもの

話はさらに、旅人の姿勢へと広がっていきます。雄大なカルデラが広がる阿蘇と、多島美の海に抱かれた天草。同じ熊本県でありながら、まったく異なる表情を持つ多様性こそが、この地の魅力だと2人は語り合います。また、旅先での情報源について尋ねられると、藤本さんは迷わずこう答えました。

「やっぱりそこで出会う人ですね。美味しい店を1軒見つけたら、だいたいそこの店主は他の美味しい店を知っている。だから、店主に聞くのが一番いい。そうやって数珠つなぎに広がっていくのが旅の醍醐味ですね」と藤本さん。

そして番組の後半、スタジオを温かく包んだのは、藤本さんが朗読した1通の手紙でした。宛先は、御所浦のまちおこしチーム「せんばいなか」代表で海上タクシー船長の山下幹男さん。初めて出会った港でサングラスの奥に見えた優しさや、よそ者である藤本さんの言葉に誰よりも前のめりで、キラキラとした瞳で耳を傾けてくれたこと。

島の恵比寿像にそっくりな幹男さんは、藤本さんにとってまさに「島の福の神」そのものでした。手紙を通し、「せんばいなか(自分たちで何とかせねば)」という気概を胸に島を前へと動かす仲間たちへ、心からの敬意と感謝を伝えました。

最後に、藤本さんは御所浦を訪れたことがない方へ「長期滞在しなくても濃密な時間がきっと過ごせると思うので、まずは港に降り立ったら道の駅みたいなところで、誰か1人に声をかけるだけで、きっといろいろつながっていくと思います。ちょっと思い切って声をかけてほしいですね」と呼びかけました。

<番組概要>
番組名:日本郵便 SUNDAY'S POST
放送日時:毎週日曜 15:00~15:50
パーソナリティ:小山薫堂、宇賀なつみ
番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/post/
番組公式X:@sundayspost1


タグ

「家庭内別居」で心身ともに限界…離婚を決断する“境界線”は? 悩む相談者に経験者から寄せられたリアルな体験談、アドバイス続々

フリーアナウンサーの住吉美紀がパーソナリティを務めるTOKYO FMの生ワイドラジオ番組「Blue Ocean」(毎週月曜~金曜 9:00~11:00)。毎週金曜日に放送しているコーナー「沢井製薬 presents オトナのなんでも相談室」では、リスナーから届いたお悩みを、Blue Oceanリスナーのみんなで考えていきます。
10月2日(金)の放送は、「離婚を決意する境界線」についての相談を紹介しました。


※写真はイメージです



<リスナーの相談>
離婚を決意する境界線は何なのでしょうか。年明けから家庭内別居状態です。別居といっても、家にいれば圧を感じます。いつも頭が重く、いくら寝ても疲れが取れず、日々何かに追われている毎日です。パートをしていますが、あり得ないミスをしたりして自己嫌悪の日々です。

夫は「出て行くならお前だ」というスタンスです。言っていることも日によって変わり、突発的な行動やこだわりがあるので、その対応に振り回されたり、巻き込まれたりします。本人にはいずれも自覚がありません。

また、仲の悪い両親と過ごす子どもへの悪影響も心配です。皆さんの、離婚すると決めた、決められた基準を教えてください。よろしくお願いします。
(50代 女性 パート)


*

この相談を受け、パーソナリティの住吉は、相談者のつらい境遇に深く寄り添います。

相談者がパート勤務をしていること、夫から「出て行くならお前だ」と言われていること、そして子どもの存在にも触れながら、「お子さんがいなかったら『もうすぐにでもしたらどうかしら?』という感じもしますけれど、お子さんがいると、その影響もあって簡単には言えないところがありますよね」と胸中を思いやりました。

そのうえで住吉は、自身の過去の離婚経験を振り返りながら語り始めました。

「私は子どもがいませんでしたし、すごく若いときのことだったので、あまり参考にならないかもしれません。でも、やっぱり、『見ている未来があまりにも違いすぎる』と思ったときに、ちょっと息が苦しくなってしまったんです」

住吉自身は、未来をオープンに捉え、例えば「来年はパリに住んでいるかもしれない!」「イタリアで仕事が見つかるかも!?」といった自由な妄想を膨らませることで、日々のエネルギーに変えるタイプだったといいます。

一方、当時のパートナーは非常に計画的で、老後までのライフプランや毎年の貯金額、所有する車に至るまで、細かく道筋が決まっていたそうです。

「そのときに『これは一緒に歩むのは難しいかもしれない』と感じたことが、自分の中でもすごく大きな決断のきっかけになったのを覚えています」と振り返ります。

そして「大きな決断の基準は本当に人それぞれです。夫婦の関係性における基準もあれば、お子さんがいることで加わる基準もあると思います」と語り、リスナーに経験談の共有を呼びかけました。


パーソナリティの住吉美紀



――今回の相談に対して、番組には離婚を経験したリスナーから、きれい事だけではない切実なアドバイスが数多く届きました。この記事では、その一部を紹介します。

まずは、現実的な生活面や経済面を見据えた、長期的な視点からのアドバイスです。

◆「きれい事なし」の現実と、長い目で見た生活設計

私は19年前に離婚しました。夫婦がギクシャクしている姿を子どもに見せるより、片親になっても親子3人で楽しく過ごした方が環境的に良いと思い、決断しました。

しかし、現実は仕事と子育てに追われ、当時小学6年生の息子と保育園年長の娘には寂しい思いをたくさんさせてしまいました。生活も苦しく、それは今でも変わりません。スキルが高ければ給料も高いのでしょうが、私は低賃金しか得られず、年々後悔しています。当時は『同じ空気を吸うのも嫌』と思いましたが、今となっては自分にも落ち度やわがままがあったと感じます。

経済的に老後が心配な今、離婚するならスキルアップしてキャリアを積んでいくことが大切だと痛感しています。離婚していなければ別の後悔があったかもしれませんが、長い目で見てよく考えることが大事です。
(茨城県 57歳 女性 会社員)

――続いて、精神的な限界や自分自身の心を守るために決断したリスナーからの声です。

◆相手に対して「嫌な自分」が出てきて壊れそうになった

私が離婚を決めた理由は、相手に対してどんどん嫌な自分が出てきて、「私自身が壊れる!」と思ったからです。「私ってこんな嫌な部分を持っていたの?」と追い詰められてしまいました。結婚25年での決断でした。子どもはいないので、今は老犬と暮らしています。毎日何度も愛犬に「置いていかないでね!」と呪文のように話しかけています。
(千葉県 65歳 女性)

◆一番の決め手は「この人と同じお墓に入りたくない」

大きな原因は元夫からのモラハラでした。毎日家に帰るのが本当に嫌で、日ごとに「お前は普通じゃない。もっと母親らしくしろ」と言われ続け、家庭内別居状態でした。そんな中、一番の決め手は「この人と同じお墓に入りたくない!」と思ったことです。生きている間ですらこんなに我慢しているのに、亡くなってからも一緒なんて本当に嫌だと心底思ったときに決意しました。

シングルマザー時代は必死に働き大変でしたが、娘との絆もでき、何より精神的な負担や自分を信じられない状態から解放されて「生きていける」と感じました。自分の人生は自分で選んで進むもの。未来が明るい方向を目指せますように……。
(千葉県 44歳 女性 会社員)

――さらに、母親自身の感情の整理や、子どもへの影響を考え抜いたアドバイスが続きます。

◆配偶者のいない生活で「笑顔」になれるか、1つずつ考える

まずはご自分の気持ちを優先して、「配偶者がいない生活で笑顔で過ごせるか」を想像してみてください。仕事に悪影響が出ているご様子からも、一緒にいる必要はないのではと感じます。

次に親権や生活費、預け先などの“現実”を1つずつ考えていくことです。心身が疲弊した状態で難しいことを一気に考えると、ますます消耗してしまいます。気持ちが固まると女性は不思議と落ち着くものです。

そして絶対に避けてほしいのは「子どもがかわいそうだから離婚しない」という結論。かわいそうかどうかは子ども自身が決めることです。一緒に暮らす家族が笑顔でいることが一番ではないでしょうか。
(神奈川県 54歳 女性 会社員)

◆子どものために決断、「母親が決断する時」もある

家庭内別居で子どもがビクビクして過ごし、夫から「出るならお前だ」と言われて暴言を受けている状況、まさにうちと同じで驚きました。

先日、子どもが泣いて「やめて!」と叫んだのを見て、子どもを連れて出る決意をしました。子どもにとって悪影響ですし、遅すぎるくらいでした。家も近所付き合いも、築いてきた生活のすべてを失いますが、子どもが危険な状況なら母親が決断する時だと思います。お互いに頑張りましょう。
(東京都 52歳 女性 会社員)

◆「妻を困らせるために娘を巻き込む」夫から逃げて正解だった

「自分の思い通りにするために妻を振り回す」「この人といて幸せじゃない」と感じ、いつか娘にも被害が及ぶと思い、保育園児の娘を連れて逃げました。元夫はお金遣いが荒く、話し合おうとすると「離婚だ!」と怒鳴り、生活費を出さない人でした。別居中も連絡を絶って保育園の書類を書いてくれないなど、妻を困らせるために娘を巻き込む行動があり、離れて正解でした。離婚後は心も楽になり、お金も貯まります。元夫のことは信用できませんが、娘にとっては大好きな父親なので毎月面会させ、スマホで連絡も取れるようにしています。相談者さんが幸せになれることを祈っています。
(東京都 31歳 女性 会社員)

<番組概要>
番組名:Blue Ocean
放送日時:毎週月曜~金曜9:00~11:00
パーソナリティ:住吉美紀
番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/bo/
番組公式X:@BlueOceanTFM

Facebook

ページトップへ