自然が強すぎて人の存在が消えていく「屋久島の音」
「FUJI ROCK FESTIVAL」OASISエリアにあるオフィシャルラジオブースから、InterFM897が、二日間にわたって放送したスペシャルプログラム『FUJI ROCK SPECIAL 2019』(DJs: 渡辺麻耶, ジョー横溝, Shaula)。7月27日、最後にゲストで登場してくれたのは、コムアイとオオルタイチのユニット、YAKUSHIMA TREASUREでした。
YAKUSHIMA TREASUREを逆にしただけ!?
ジョー横溝(以下、ジョー):お二人は今日の12時半からライブをやったそうですが、このユニット名はなんと読むんですか?
コムアイ:ERUSAERT AMIHSUKAY(エルサート アミスカイ)って読むんですけど、明日YAKUSHIMA TREASUREってユニットでピラミッドガーデンに出るので、これを逆にしただけです(笑)
渡辺麻耶(以下、渡辺):ああ確かに!
コムアイ:そうなんです。最初に明日のライブが決まっていたんです。もっと何箇所かでやりたいなと思っていて、お願いしてみたら「名前変えるんだったらいいよ」みたいな感じで。じゃあユニット名、逆にしたらどうかなって(笑)。わかる人は気づいてくれたらいいなあと思って。
ジョー:若干、闇営業的な感じ?(笑)
コムアイ:そんなことないですよ(笑)。ただ、いくらでもライブをやりたいだけです。
渡辺:やっぱりステージが変わると気分も変わるものですか?
オオルタイチ:そうですね。勝手が変わると思います。今日は気持ちよかったです。
コムアイ:ステージのDAY DREAMINGってゴンドラで20分くらいの場所なんですけど、もうフジロックじゃないですよね。違うフェスみたいな。空の中みたいな感じの場所なんで。遠くに湖が見えたり、なんかアルプスの山みたいな景色で気持ちが良かったですね。
渡辺:より自由さがあるような雰囲気ですよね。
ジョー:そういう場所の雰囲気も意識して今日のライブもやったんですか?
コムアイ:やり始めたら無意識に雰囲気に左右されるので、自分でも驚くということがありました。
ジョー:お二人はフジロック何回くらい来ているんですか?
オオルタイチ:僕は以前一度、Dick El Demasiadoと言うアーティストのサポートでライブをさせてもらったんですが、かなり前なのですごく久しぶりです。
コムアイ:私は、2年前に(水曜日の)カンパネラでRED MARQUEEに出させてもらいました。
屋久島は人の存在が消える場所。そこにしかない音がある
ジョー:改めてフジロックのここが好き!みたいなところってありますか?
コムアイ:いろんな国のフェスに行くの好きなんですけど、日本の森らしさっていうのを前面に出していて、しっとりとした森を感じられるから海外のアーティストの人たちはすごく嬉しいと思います。
渡辺:さっき登場いただいた海外の方も、山並みが素敵という話をしていました。山といえば、お二人は屋久島でフィールドレコーディングをした音をミックスして作り上げたのがEPのYAKUSHIMA TREASUREなんですよね。音創りのムービーを見させていただいたんですけど、屋久島ってすごい場所なんですね。生命の動きとかねじれみたいなものもあるとおっしゃっていたので。そこでお二人が作り上げたものってどんなものなんでしょうか。
オオルタイチ:そうですね……なんでしょう、とにかく屋久島に通いました。僕は1回ですけど。
コムアイ:私は2回行ったんですけど。屋久島は人の存在が消える場所というか。自然が強すぎて。一人で行くと自分と自然だけって感じで、自己がなくなっていくので、それが気持ちいいのかなと思います。私たち結構大きな撮影団で行ったんですけど(笑)。でも屋久島って森のイメージが強いけど海とかも面白くて、景色や持ってる雰囲気が違うんですよ。激しい日本海的な景色もあるし、太平洋的な海もあったりして。天気も場所によって違ったりして、日本のいろんな側面がぎゅっと詰まったような島でした。
ジョー:そもそもお二人の出会いってどんな感じだったんですか?
コムアイ:私はオオルタイチさんのライブを自分が音楽始める前くらいの昔に見てたんです。なのでファンだったんですが、その後、タイチさんにお願いして曲を何曲か書いてもらっていて。そして屋久島のプロジェクトが出た時に「タイチさんにお願いしよう」と思いました。私は曲を作るとかあまりやらないので。喋るだけというか(笑)。相談相手になるくらいという感じなので、タイチさんに全部やってもらいました。
オオルタイチ:コムアイさんは受け取る力がすごく強いので、屋久島に行って自分が感じたこととか、そういうのを明確な言葉で、想像できるような感じで伝えてくれるのでかなり栄養になりました。
渡辺:素敵な表現ですね。
ジョー:ある意味コムアイさんから丸投げという感じだったの?
オオルタイチ:そういうわけではないですけど(笑)でも屋久島に行った時は音を録音してくれる人と3人でまわったので、その時に結構イメージは作れたかもしれないです。
コムアイ:マイク持って、ヘッドホンして「あーこの音やばいね」とか言いながら録るって感じで。石の音とか。あと、木に水が落ちている時に木にマイクを当てるとカリンバのような音がするんですよ!
ジョー:へえー!
コムアイ:音程が違うのとかがいくつか聞こえたりして。
渡辺:リズムになってたりするんですね。
オオルタイチ:すごく音楽的な音がすでにあるというか。
ジョー:それはやばいですね。フィールドレコーディングはトータルで何時間くらいやったんですか?
コムアイ:どれくらいだろ。3日録ってってましたねずっと。
ジョー:じゃあ耳が相当敏感になるんじゃないですか?
コムアイ:もう屋久島が今(の苗場)くらい雨降ってたんですよ。でもタイチさんはフード外してて。音が聴けないと嫌だからって(笑)すごいなと思いました。
渡辺:音へのこだわりを感じますよね。