WONK荒田 x yahyel/DATS大井 ドラマー対談「これからのドラムは強打じゃない」?

写真左から大井一彌 (DATS / yahyel)、荒田洸 (WONK) ©InterFM897

InterFM897の毎週水曜深夜は、エクスペリメンタルソウルバンドWONKの『WONK RADIO』!番組では、10月16日から4週続けてメンバー別企画を始動。第1弾は、ドラム荒田洸!ゲストには、yahyel・DATSなど様々なバンドシーンで活躍するドラマー、大井一彌が登場♪ それぞれが影響を受けてきたドラムサウンド、リズムを徹底解剖します。

ちょっとズレたり、ヨレたりすると聞き手が能動的になるのかも

大井一彌(以下、大井):初めまして!ドラマーの大井一彌です。

荒田洸(以下、荒田):DATSとyahyel、2つのバンドでドラムをやられてるわけですが。今回はドラマー2人で話していきたいんですけど、「テクノロジー」と「人間のドラム」というマニアックな話題を。そもそも、DATSやyahyelで打ち込みで作ることもある?

大井:あるある。yahyelなんかは、ほとんど打ち込みで作っちゃうかも。

荒田:で、ライブでは生で?

大井:そうだね、シンバル類は生で、他はサンプルをパッドに入れて叩くことが多いかな。

荒田:最初のトピックとして「ドラムの音作り」に関して話したいんですけど。僕は、この番組でもよく言っているJ DillaっていうHIPHOPのプロデューサーの音作りに影響を受けていて、WONKでもそれをなるべく再現しようとすることもあって。例えばクラップをスネアと重ねることがあるんだけど、あえてズラしたりとか。そういうことする?

大井:するね。スネアだけの帯域感ってあるんだけど、ミュートとか置いてスネアの余韻がどんどん短くなっていって、スネアの音って叩くごとに音量感というかバラツキがどうしても出るじゃん。生で叩くと。そこに音程感とかディケイ感が変わらないクラップの音を重ねていくことで気持ちいいループ感が出るんだろうね。同じ音が繰り返し鳴ってると、やっぱり気持ちいいから。それがグルーヴの一つなんだろうね。それがリズムマシーンが流行った理由だろうし。

荒田:ブラックミュージックだとたまに、16小節に1回とかだけズラしてくるの。ベースラインが32小節周期でちょっとズレるとかそういうマナーがあって。それって何なんだろうね。

大井:多分なんだけど、ハイハットが均等に並んでないんだよね。ちょっとヨレがないと飽きるんじゃないかな。人間が音楽を聴いてどこに感じ入るかっていうと、予測できないことに感じることがある。

荒田:それについていつも思うんだけど、お客さんて、だいたい首を上下に振ったり、身体を横に振ったり、ノリを作る時って基本的に一定の動作じゃない?でもハイハットやスネアをズラすことによってお客さんをついてこさせるというか、そっちに乗っていこうという身体の動きができて、お客さん自らがグルーヴを作り出して楽曲についてくるというノリ方があるなと思ってて。

大井:本当にそう。聞き手が能動的にならなきゃいけない仕組みを作るっていう。

荒田:人によるのかもしれないね。ノリやすさって。

大井:音楽的に何に根差してるかとかね。例えばドイツのテクノとかは完全にグリッド、縦の線にキッチリ合った音が連続してずっと同じに流れることによって陶酔感を得られる。

荒田:一彌さんはどうですか?影響を受けたアーティスト。

大井:Massive Attackかな。アメリカ人の音楽とイギリス人の音楽には明確に違う美学があるとオレは思ってて。例えばJ Dillaの曲とかは、楽器の数が固定されていて各楽器が表情を変えることによってエモくなっていく。でもイギリスの音楽は、個々の楽器はアメリカのものに比べると、もっと無機質でタイトなんだよね。で、レイヤー、音の層が重なったり抜けたりすることでエモくなっていく作りになってるものが多い気がする。

これからの時代、ドラムは「強打」じゃない!?

荒田:人間が叩いてるドラムとして、The Roots の「The Next Movement」って曲にめちゃめちゃ影響を受けていて。まずスネアの音がやばすぎる。

大井:やばいね。

江崎:WONKでもいつもこれを再現しようとするんだけど、もう全然できないね。同じスネアを使ってミュートもしてるんだけど、どう頑張っても。かなりミックスで音は変えてると思うんだけど。なかなか近づけなくて、今でもずっと追いかけてる音の一つなんですけど。

大井:スネアをひっくり返して、スネアサイドを叩くとそっちに近い音出るかも。 スナッピーが付いている方を叩く。

荒田:マジで!?

大井:ブラジルの打楽器でスネアみたいなCaixa(カイシャ)って楽器があるんだけど、あれが打面の裏にスナッピーがついてるのよ。結構こういう音に近いなと思って。

荒田:へー!!試してみたいと思います。解決したかもしれないね(笑)。さすが一彌!このドラムを叩いてるのは?uestlove(クエストラブ)っていう超レジェンドの人なんですけど、この人はすごい。ライブで見た時もこんな音してたもん。今まで見た中でスネアの音が圧倒的にカッコいい音だった。なんなんだろうね。

大井:本当にすごいよね。

荒田:ライブでは強打するんだけど、レコーディングでは強打しないって言ってたんだよね。打ち込みっぽい音を作るには強打しない方がいいのかな。

大井:それはあるのかも。最近レコーディングでエンジニアの人に色々聞くんだけど、弱く叩いた方がミックスした時に音像がデカくなるらしい。

荒田:へえ~。僕も最近は強く叩かないようにしてます。一彌はどうですか?生音系で影響を受けたのは。

大井:やっぱりSoulvibeですね。

荒田:ファンクを通ってるのが意外だったんだけど。

大井:ファンク好き。もともとはUKロックだけど、黒人ファンクをたくさん聴いてきた。

荒田:そうなんだ。一彌のイメージはガチガチのグリッド揃ってる系をいかに再現するかドラマーだと思ってた(笑)。

大井:いやいや、全然(笑)。むしろこういう方が好きでね。Soulvibeもやっぱり強打はしてないよね。

荒田:そうだね。全国のドラム少年に言いたい。今の時代は強打じゃない、何かを重ねてみよう!(笑)

WONK RADIO
放送局:interfm
放送日時:毎週水曜 23時00分~23時30分
出演者:WONK
番組ホームページ

メール:wonk@interfm.jp
ハッシュタグ:#wonkradio

※該当回の聴取期間は終了しました。

永井美奈子アナ 苦労続きだった新人時代 救われた小池裕美子アナの言葉「“永井、助走が長い飛行機は長く飛べるよ”って言ってくれたんです」

TOKYO FMの音声配信プラットフォームAuDee(オーディー)の番組「長野智子のテレビなラジオ」(隔週火曜・10時配信)。フジテレビに入社した1985年以降、テレビ業界で活躍してきたフリーアナウンサー・長野智子が、テレビを牽引してきた制作者・出演者をゲストに招き、テレビの過去・現在・未来を語ります。

6月24日(火)、7月8日(火)の配信では、フリーアナウンサーの永井美奈子さんがゲストに登場。ここでは24日の模様をお届け。 “局の顔”になるまで苦労の連続だった道のりや、先輩アナウンサーからの忘れられない言葉の思い出を語ってくれました。


(左から)パーソナリティの長野智子、永井美奈子さん



◆“局の顔”になるまで苦労の連続

永井美奈子さんは1965年生まれ、東京都出身。大学卒業後、1988年に日本テレビにアナウンサーとして入社します。「ジパングあさ6」の初代キャスターをはじめ、「マジカル頭脳パワー!!」「24 時間テレビ」など日本テレビを代表する番組を担当したのち、1996年にフリーへ転身。現在はフリーアナウンサーのほか、成城大学文芸学部で非常勤講師を務めています。

長野:フジテレビの三人娘って入ったときからすごかったんですよ。だけど、永井美奈子さんは意外と、とんとん拍子に局の顔になったわけではないって話を聞いたことがある。

永井:そうですね。1年目は宣伝番組でしたし、2年目に入ってからは報道に抜擢されたんです。木村優子さんとダブルで。これがひどかった(笑)!

長野:ひどいって(笑)。

永井:「NNNニュースプラス1」(日本テレビ系)っていう徳光和夫さんのニュース番組だったんですけど、最初は関谷亜矢子ちゃんとスポーツコーナーをやっていたんです。そのあとニュースの読み手に抜擢されたんですけども、これがひどかった。

長野:出来が悪かったってこと?

永井:めちゃくちゃ下手でした(笑)。

長野:緊張する並びだもんねえ。

永井:曜日ごとに木村優子さんの日と私の日があって、雲泥の差なわけですよ。

長野:当時から木村優子さんってすごかったからなあ。でも、そのバランスを狙っていたんじゃない?

永井:いやいや、報道ですから誤魔化しがきかないんですよね。

長野:永井アナみたいな子が観たいっていう視聴者も報道に取り入れたいって思ったんじゃないかな?

永井:そういう意図もあったんでしょうけど、アナウンスメントとしてはひどかった! そのあとはレギュラーが1本しかなくて、それが「THE・サンデー」(日本テレビ系)です。

そのなかで日本各地の絶景を中継するコーナーを担当したんですけど、ほぼ東京にいない生活を送りましたから(笑)。

長野:そうだったの。

永井:もう、暇で暇で。アナウンス部にいて電話番をしていたんですけど、部屋には各局のモニターが並んでいて、それを毎日ずーっと見ていました。

長野:阿部知代さんも同じことを言っていましたね。当時、寺田理恵子さんが大活躍されていて、露木さんに「やっぱり女性アナウンサーって寺田理恵子さんみたいな方がふさわしいですよね?」と言ったらしいんです。

永井:へぇ~!

長野:そうしたら露木さんは「阿部知代、寺田理恵子は2人いらないんだ」と。

永井:カッコいい~! アナウンサーの先輩ってね、そういう名言が多いんですよ! そういう話で言うと、小池先輩(小池裕美子)がおっしゃってくれた言葉があるんですよ。仕事がなくて、ただモニターを見ているだけの私に「永井、助走が長い飛行機は長く飛べるよ」って言ってくれたんです。

長野:く~!

永井:「助走が長すぎますけど、長く飛べるように頑張ります!」と思いました。

長野:いいことをおっしゃいますねえ。

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音声版「長野智子のテレビなラジオ」
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<番組情報>
番組名:長野智子のテレビなラジオ
配信日時:隔週火曜・10時配信
パーソナリティ:長野智子


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