けらえいこ~実は夫婦共作の『あたしンち』

黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に漫画家のけらえいこが出演。夫婦で漫画をつくることについて語った。

ニッポン放送「あさナビ」

黒木)今週のゲストは漫画『あたしンち』の作者のけらえいこさんです。早稲田大学の漫画研究会にいらしたということで、子どものころから漫画家になるという夢を持っていらしたのですか?

けら)高校、大学と漫研だったので漫画が好きだったのですが、自分が漫画家になれると思ったことがあまりないのですよ。それまでは連載の仕事をいただいても1~2年で終わっていたので、本当にこの先やって行けるのかなと思っていました。でも、『あたしンち』の連載を始めたときは、固い決意で始めました。これでやっと漫画家になれた気がしているのですよね。

黒木)ご主人は、早稲田大学時代の漫研の先輩ということですけれども。

けら)歳は1つ上で、学年は2つ上の先輩と、卒業前後くらいで付き合い初めて24歳で結婚しました。旦那は10年ほど出版社に勤めていたのですが、付き合っていたときから漫画の仕事のことを真剣に話していました。

黒木)漫研で出会われたということは、ご主人も漫画を描いていらしたということですか?

けら)どちらかというと旦那の方がたくさん描いていたのですが、卒業のときに「自分は漫画家よりも編集が向いている」と言って、光文社に入社しました。そのときはちゃんと勤めて大人になろうというムードで、私も最初は大学を出て会社に入ったのです。でも結婚してから、やはり漫画に向かって行くのですけれど。

黒木)そのころからずっとご一緒ということは、喜びも悲しみも2人で壁を乗り越えて、二人三脚でやって来たということですか?

けら)いまもそんな感じです。

黒木)それで出版社をお辞めになり、いまはけらさんと夫婦で共同作業ということですね。

けら)そうですね。夫婦というよりは、同僚みたいな感じです。マネージャーではなく、途中から共同制作者のようになっていて、私の名前で始めたのでそのままやっているのですが、実は半分半分でつくっています。ペン入れなどは自分でやるのですけれど、物語は半分という感じです。男の子の話も描けるし、女の子の話も描ける。世代の幅が広いのは、旦那が半分請け負っているので男の話はそっちが教えてくれるし、女の話は私が入れるという感じです。議論もよくするのですよ。パートで分けて持って来たネタを、ただ機械的に描くわけではなくて、精神論の話をします。どういう漫画が自分たちに合っていて、どういう漫画を描いて行きたいかという話です。プロデューサー的なことも2人でやっているので、どちらかというと売れたいというよりも、どんな漫画を描きたいかということを話し合います。

黒木)ご主人の存在は心強いですし、お2人の志がしっかりあって、漫画に魂を入れて行く作業がしっかりしている感じですね。

けら)それが大きいのですよ。どういう漫画を描いて行くのが本当に面白いのか、ということをよく話しますが、その時間がすごく長いのです。だから、家ではパジャマでいるのです。朝はパジャマで朝ご飯を食べて、そのまま4時間喋っているようなことが多くて、その時間のことは漫画に表面的には反映されないのですけれど、そこを流れるスピリットは入れこませていると思います。

黒木)『あたしンち』夫婦編はできないのですか?

けら)『あたしンち』を描く前に、エッセイで少しやっていました。あと、『セキララ結婚生活』という新婚漫画を描いていたことがあって、1冊の本になっているのですが、それも割と売れました。旦那と私のやり取りが全部描いてあるのですが、20代のときの話です。いまの50代になると、話している内容は全然違います。いま話している話は誰も理解できません。

ニッポン放送「あさナビ」

けらえいこ/漫画家

■1962年、東京生まれ。
■東京都立井草高校卒業。早稲田大学第二文学部卒業。高校・大学ともに漫研所属。
■1987年、4コマまんが『3色みかん』(ヤングサンデー)で漫画家デビュー。 早稲田大学漫画研究会の先輩であった上田信治さんと結婚。
■1991年、本人の結婚生活を書き下ろした漫画『セキララ結婚生活』がベストセラー。また『たたかうお嫁さま』も刊行。のちに連続ドラマとして放映された。
■1994年6月、高校時代の自らの家族をモデルに日常生活をつづった『あたしンち』を読売新聞日曜版で連載開始。人気作品となりアニメ化・映画化もされた。※アニメは2002~2009年。また2015~2016年まで放送された。
■1996年、『あたしンち』が第42回文春漫画賞を受賞。
■2010年、単行本『あたしンち』が累計1000万部を突破。翻訳出版されるなど、海外でも人気になっている。
■2012年、『あたしンち』の足かけ18年の連載を終了。
■2019年12月、雑誌「AERA」にて『あたしンち』の連載を再開。
■その他、数々の作品を発表。埼玉西武ライオンズのファンとしても知られる。

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江口のりこ×中条あやみ×笑福亭鶴瓶 大いに泣いて笑って元気になれる人生賛歌!『あまろっく』

ニッポン放送「ひろたみゆ紀のサンデー早起き有楽町」(日曜朝5時~)で、おススメの最新映画をご紹介しているコーナー『サンデー早起キネマ』。4月14日は、家族の絆と愛を描いた3本をご紹介しました。

その1本は、「人生に起こることは何でも楽しまな!」 関西出身の豪華キャストで贈る、笑って泣いてロックに生きるご実家ムービー『あまろっく』。

『あまろっく』  (c)2024 映画「あまろっく」 製作委員会

舞台は兵庫県尼崎市。ここには、船舶が通行できる日本一大きな尼崎閘門があって、“0メートル地帯”に海水が流れ込むのを防ぎ、水害から街を守っているのです。閘門は、英語でロックゲート、だから愛称は“尼ロック”!

この街で町工場を営む能天気な近松竜太郎の娘・優子は、「父のようにはなりたくない」と幼い頃から何でも頑張り、堅物だけれどエリート街道をまっしぐら! しかし、理不尽なリストラで失業し、39歳・独身にして尼崎に戻ってきます。昼間はゴロゴロ、夜は幼馴染がやっている駅前のおでん屋台でほろ酔いの日々。

そんなある日、65歳の父が突然「お父ちゃんは再婚します」と言いだし、なんと20歳の早希を連れてきます。役所で働く早希は、孤独な幼少期を過ごし、誰よりも“家族だんらん”を夢見ていたのです。ずっと年下の“継母”の登場に戸惑う優子は、共同生活を受け入れることができず、三人の日々は衝突と騒動の連続でした。

そしてある日、思いがけない悲劇が近松家を襲います。優子はこれまでの人生を振り返り、家族の“本当の姿”に気づいていくのです。

『あまろっく』  (c)2024 映画「あまろっく」 製作委員会

メガホンを取ったのは、小学生の時まで尼崎で育ったという中村和宏監督。数年前まで“尼ロック”の存在を知らなかったそうです。「日本一と言いながら知名度はほぼゼロで尼崎市民でも知らない人がほとんど。なんのアピールもせず、ただそこにいるだけで家族を守っている不器用な父親のようだと思った」といいます。そんな“尼ロック”の下で暮らすハチャメチャな面白い家族の物語を書きたかったとこの作品を作りました。

『あまろっく』  (c)2024 映画「あまろっく」 製作委員会

とても優秀なのに居場所がなくなる優子役は、江口のりこさん。愛想がなくて忖度もできないから、煙たがられて孤立してしまう……でも実は優しくて可愛い!という役が本当にピッタリでした。

若すぎる継母・早希には、中条あやみさん。家族になろうと一生懸命で「優子ちゃん、〇〇やで~」とグイグイと優子に切り込んでいく姿がキュート!中条さんのベタベタの関西弁も、魅力的。

そして、街の“尼ロック”のごとく、家族を見守る父・竜太郎役は、ニターっと笑う顔が憎めない笑福亭鶴瓶さん。最高です!「人生におこることは何でも楽しまな!」が口癖。

『あまろっく』  (c)2024 映画「あまろっく」 製作委員会

この作品を観ると、本当に、人生を楽しまなきゃっていう気持ちが沸々と湧いてきて、自然と胸を張り大きな歩幅でグングン歩いて行けそうな気になります。何があっても、そこから立ち上ってまた歩き出せるのが人間、支えてくれる家族や仲間がいれば尚更です。

大いに泣いて笑って元気になれる人生賛歌!この春あなたも元気をもらいに映画館に出かけませんか?

『あまろっく』  (c)2024 映画「あまろっく」 製作委員会

『あまろっく』
4月19日(金)新宿ピカデリー他 全国公開

江口のりこ 中条あやみ
松尾諭 中村ゆり 中林大樹 駿河太郎 紅壱子 久保田磨希 浜村淳
後野夏陽 朝田淳弥 高畑淳子 (特別出演) 佐川満男
笑福亭鶴瓶
監督・原案・企画:中村和宏
2024年 日本 /119 分 カラー シネスコ /5.1ch
配給:ハピネットファントム・スタジオ

(c)2024 映画「あまろっく」 製作委員会

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