ジャニーズ問題について声を上げると「危ないヤツだ」と言われるように…

かつてジャニーズに近いプロダクションのマネジメントを受けていた音楽プロデューサーで作家の松尾潔さん。3月12日の「大竹まことゴールデンラジオ(文化放送)」では、「おれの歌を止めるな ジャニーズ問題とエンターテインメントの未来」という本を書いた松尾さんに改めてジャニーズ問題について語ってもらった。

小島慶子「松尾さんは弱い立場にいる人が全く守られず、声を上げることもできず、その方々が搾取され続けるような構造はおかしい。どんな役割で働いている人でも尊厳を持って人権を守られるような環境であるべきだっていう割と当たり前のことをおっしゃっていいるんです」

松尾「そうです、そうです」

小島「それが『あいつはおかしい事を言ってる』『危ないヤツだ』と言われるようになってしまった」

松尾「割とわかりやすい人権問題だと思うんですけど…」

大竹「そうだと思います。しかも人権問題に性加害が加わっているのに泣き寝入りする人たちがたくさんいる。それなのにもかかわらず、この問題を我々はBBCが放送するまで薄々はわかっていたり、実害を知らされたりしてたんだけど…」

松尾「そこに関しては僕も大きな反省がありますね。比較的ジャニーズと近いマネジメントオフィスにいて、かつジャニーズに数曲提供したり、ジャニーズが関わるテレビ番組に一緒に出たりして、色んな噂は知ってましたけど、ある種の都市伝説のような感じで、もっと言うと芸能ゴシップの一つとして消費していたという反省があります。去年の3月、BBCの番組がイギリスで放映された翌日に見ることができたんです。たまげましてね…、痛ましいという気持ちと、あとは猛省ですよね、悔恨と言ってもいいんですけど。凄い近くにいる僕がこの事実を知ろうとしなかったんで、これからでも遅くないと思って…。ただ、あの時点では情報を持っているわけではなかったんです。ただ、これからは気付いたことを問題提起してきたいと思って声を上げたんですけど提言のつもりでも『批判するな!』が凄かったですね」

この他にも番組では松尾潔さんがジャニーズ問題についてたくさんお話をしてくれました。もっと聴きたいという方はradikoのタイムフリー機能でお聴き下さい。

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村上春樹「自分のカヌーは自分で漕げ」学生時代にカート・ヴォネガットの小説で出会った言葉

作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「村上RADIO」(毎月最終日曜 19:00~19:55)。4月28日(日)の放送は「村上RADIO~村上の世間話4~」をオンエア。好評の「村上の世間話」シリーズ第4弾は、クスッと笑える“世間話”を、村上DJが選曲したグッドミュージックとともにお届けしました。
この記事では「今日の言葉」について語ったパートを紹介します。



◆The Sandpipers「Chotto Matte Kudasai」
サンドパイパーズが歌います。「ちょっと待ってください」というのが曲のオリジナル・タイトルなんです。マジで。

◆TSF「Salade de Fruits」
TSFというフランスのボーカル・グループが「フルーツ・サラダの歌」を歌います。

トマト・サラダも好きだけど、フルーツ・サラダもいいですよね。マンゴー入りのサラダが僕の好物です。



◆<クロージング曲>
Barney Wilen「As Time Goes By」

今日のクロージング音楽、フランス人のベテランテナーサックス奏者バルネ・ウィランが「As Time Goes By」を演奏します。いいですねえ。決めの歌詞、「月の光とラブソングが、時代遅れになることはない」。本当にそのとおりです。

ちなみに今日おかけした音楽は、すべて僕が最近中古屋さんのバーゲンで買い込んできたCDです。値段は100円か200円か、高くて300円。そんなものです。バーゲン・コーナー、こまめに探すとけっこう素敵なものに巡り会えますよ。

さて、今日の言葉は、
「Paddle Your Own Canoe(自分のカヌーは自分で漕げ)」です。

これはボーイスカウトのモットーにもなっていますが、もともとは英国の古い格言です。でも僕がこの言葉を初めて知ったのは、学生時代にカート・ヴォネガットの小説『スラップスティック』を読んだときです。その中でこの言葉はとても印象的に使われていて、今でもよく覚えています。『スラップスティック』、愉快な小説ですよね。先日久しぶりに読み返して、あらためて感心しました。

「自分のカヌーは自分で漕げ」。要するに自分のことは人に頼らずに、自分でしっかりやれということですよね。

でも「自分のことは自分でやれ」と言うと、身も蓋もないというか、ごく当たり前の「ご教訓」になってしまいます。でも「自分のカヌーは自分で漕げ」って言われると、そのシチュエーションが目の前に浮かんできますよね。実際にカヌーに乗って、パドルを手にして、1人で急流を乗り切っているような、そんな具体的な気持ちになります。「がんばらなくちゃ」、みたいな。

言葉の力って、表現の力って、結局そういうことなんですよね。生きた具体的な共通イメージを、送り手と受け手の間に起ち上げること。僕はいつもそのことを頭に置いて文章を書いています。それって大事なことです。

「自分のカヌーは自分で漕げ」

漕いでください。



番組では他にも、ほとんど夢を見ないという村上さんが鮮明に覚えているという“夢の話”から、近所をジョギングしているときにある動物に遭遇したときのエピソード、学生時代の夏休みに一人旅をしたときの思い出などについて語る場面もありました。

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4月28日(日)放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 5月6日(月・祝)AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。

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<番組概要>
番組名:村上RADIO~村上の世間話4~
放送日時:4月28日(日)19:00~19:55
パーソナリティ:村上春樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/

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