みうらじゅん「変態の世界にはよくある話」 新作小説『永いおあずけ』の見どころは?

3月17日の「大竹まこと ゴールデンラジオ」(文化放送)には、みうらじゅんさんが登場。新刊『永いおあずけ』(新潮社)を紹介した。

まずは、小説『永いおあずけ』(新潮社)を書くことになったきっかけから。

みうらじゅん「僕『人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた』と公に言って、そういう連載も週刊文春で10年続けてるんですが、『本当に人生の3分の2はいやらしいことを考えてるのか?』と疑問に思う人がいるんでしょうね。小説新潮から『だったら官能小説を書いてみてはいかがでしょうか』というご依頼を、5〜6年前に受けたんですよ」

みうらさんは、20年ほど前『愛にこんがらがって』というSM小説を書いたことがある。
本格Mの女性に振り回される、素人Sの物語だった。

みうら「このとき、SMの”S”は”サービス”のSなんじゃないかと思ったんです。なかなか本格的な人になれなくて、SとMの間で右往左往してる人がほとんどなんじゃないかなあって。そのリアルな感じを、今回は官能小説という形で書いてみたんです。5篇中すべて主人公はミュージシャンで、いろんな性癖があって、松本清張的な生き地獄に落とされるっていう話なんですけど」
大竹まこと「みうらさんの分身ですか……?」
みうら「言い訳がましいことは言いたくないんであれなんですけど、ハッキリ言って分身だと思います」

本作について、みうらさんは「結局コントみたいな話なんですよね。官能にならず」と言う。

みうら「人生ってコントみたいなところあるんじゃないかなって。本人は至って真面目に進んでいるのに、周りからみるとコントみたいって多々あるんで。そういう今までの経験や妄想とかを入り混ぜて書きました」

続けてみうらさんは「自分はキメてるつもりでも、周りからはとっても滑稽に見えるというのは、変態の世界にはよくある話で。でもそれを悲しいと見るか、笑っちゃうと見るかは読者次第」と語った。

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桐野夏生が代理母ビジネスを描く最新作『燕は戻ってこない』ロシア、ウクライナとの関係は?

3月17日の「大竹まこと ゴールデンラジオ」(文化放送)には、小説家の桐野夏生さんが登場。新刊『燕は戻ってこない』(集英社)の紹介や、ロシアのウクライナ侵攻への意見などを語った。

桐野さんが会長を務める日本ペンクラブは、ロシアのウクライナ侵攻に反対する声明を発表したばかり。
これは日本文芸家協会(林真理子理事長)、日本推理作家協会(京極夏彦代表理事)との共同声明でもある。

桐野夏生「小説や詩を書いたり、ジャーナリストやエディターとして出版に携わったりする方たちが、みんなで声明を出していくような団体は、いつの時代にも必要なんじゃないかと思うんですよね。私たちの存在意義もあると思うんですけど。今回はアピールできてよかったと思います」

そして話題は、新刊『燕は戻ってこない』(集英社)へ。

大竹まこと「今回の作品は、ウクライナとちょっと関係がありますよね」
桐野「そうですね、たまたまなんですけれども。この本にも書いてありますけど、代理母出産ってロシアとウクライナで多いんです」

連日ニュースでは、代理母によって出産された子どもたちが、情勢ゆえに迎えに来てもらえないことが報じられている。
本作は日本を舞台に、困窮した女性が秘密裏に代理母を引き受ける。

桐野「日本では代理母出産はできないと法律で定められているので、主人公の場合は法律をかいくぐってやってるわけですけれども、『もしかしたらそういう方もいらっしゃるかもしれない』という気持ちで書いています」

桐野さんは、若い女性の貧困問題について語る。近年、自殺率も上昇傾向にある。

小島慶子「女性の貧困ってずっとある問題で、ニュース記事にもなるんですけど、社会の中で見えなくいところがある。桐野さんは一貫して、それを『OUT』『グロテスク』『路上のX』など小説という形で時代ごとに書かれています。(中略)桐野さんの小説って、読んでいると怒りを持って描かれているという感じがします」
桐野「時代を変遷すると、もっと良い方向に行くんじゃないかと思って暮らしていたんですけれど、意外や意外、どんどん悪くなるような。経済的なシステムみたいなものが、女の人にものすごく不利にできていて、改善されないどころか悪化しています」

桐野さんは「小説は困っている人や苦しんでいる人も描く芸術なので、そういう女の人に目がいってしまうんです」と語った。

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