財津和夫、間奏を全部コーラスで通したTULIP「なくした言葉」のレコーディングを懐かしむ
TULIP・財津和夫が、時にはTULIPの特徴のひとつであるコーラスについて語るRKBラジオ『財津和夫 虹の向こう側』。11月24日の放送では、レコーディング時のコーラスの裏話や、思い出に残るコーラスワークの話なども次々と飛び出します。
『歌わない』と『歌えない』の違いに失笑
TULIPのコーラスも好きだ、というリスナーから「パート割りや内容は、メンバーで相談してレコーディングしているのですか、それとも作曲した人がコーラスの内容も書いているでしょうか」との質問が届きました。
財津「コーラスね…まあ適当に『バッ』と、ですよ。その場でああしよう、こうしようみたいな感じじゃないですか。でも、最低限度の決め事はあるんですよ。「声域」って言って、声がどこからどこまでしか出ない、そこから上はファルセットになるとか。ファルセットは得意じゃないよっていう人と、できるよっていう人で音域分けして」
という事は、やはりメンバーで相談しながらレコ―ディンクを進めていた、という感じに聞こえます。
財津「TULIPの場合、姫野くんはあんまり高いところを歌わないんで。えー、『歌わない』じゃない、『歌えない』んで。へ、言っちゃった!『歌えない』んで」
下田「姫野さん、聞いてますか~(笑)」
財津「で、姫野は大体下のパート行きますね。僕はファルセットもできるタイプだったんで、上の方のパートをやりました。だから、リードボーカルを取っているのが私でも、この音をコーラスで欲しいけど誰も出せない時は、やはり私がそこをやって…私じゃない人間が歌っているかのように録音して」
多重録音できるレコーディングだからこそのテクニックですね。ステージのライブだと色々ごまかしながらやってたとか、冗談めかした余談が続きますが、どこまでが本当なんでしょう?
財津「ゲストプレイヤーを迎えるっていう方法もありますけども、でも基本的にTULIPの場合はもう全部自分たちでやってきたので。できなかったら、コーラスの担当バランスをちょっと変えようか、とかコーラスワークを変えようか、とか。細かく動かすのが不得意っていう人もいるので、このフレーズは小波から大波に変えようかとか。ですから、もうその場しのぎです」
下田「コーラスで苦労したとか、思い出に残るコーラスが含まれてる曲ってありますか」
財津「苦労はしないかな。メンバーでやるわけですからできる事が限られてますし、難しくなったら簡単なフレーズに変えようとか、でやってきたんです。コーラスワークは好きなんで、コーラスだけで畳みかけていくよう『なしくた言葉』って曲があるんですけど、間奏を全部コーラスでやったりとかそれは楽しかったですね。作るのが楽しい、失敗もいっぱいあるんですけどね」
「なくした言葉」は姫野達也がリードボーカルの曲。1974年(昭和49年)のアルバム「ぼくがつくった愛のうた」に収録、翌年1975年発売のシングル「サボテンの花」のB面にもカップリングされています。ロンドンでレコーディングされた、いくつかの曲のひとつでもあります。
財津「このお便りの方は、『We Can Fly』の事をお尋ねされてますが、どうやって作ったか覚えてないです…その場しのぎですみません。『♫僕は思う、って言ったら次はお前が♪僕は思う、って言え』、そんな感じです」
記憶が鮮明な曲と、そうでない曲とがあるようです。ご了承くださいませ。
今日の一曲は、コーラスについての質問を頂いた方からのリクエストですが、『We Can Fly』ではなく、『ぼくのお話』。1975年(昭和60年)発売のアルバム「日本」に収録されています。
別れられるなら、別れりゃいいんです
歳を取って許容範囲は広がったけど、主人とだけはうまくいかない・・・というボヤキのお便りを頂きました。
財津「やっぱり同じ屋根の下にいると、どんなに仲良くてもどんなに気が合う人でも、そりゃ嫌だ、と思うことは必ずあります。元は他人ですからね。肉親だとどこかで許そうかな、と思うんですど、一個の他人だとやっぱり許せない、どんどん許せなくなる。その気持ちわかりますよ」
下田「どうしたらいいんでしょうね」
財津「これはもう人類永遠のテーマですから。そう、本当に分かりません。でもちょっと格好つけて言いますけど、もう一緒にいるしかないとなったら、相手の良いとこだけ見るしかない。その前に別れられるなら、別れりゃいいんです。でも、別れられないなっていう事情があるんでしたら、相手のいい所を見つけて、そう百に一つでも見つけて、それを毎日呪文のように捉えながら、生きていくしかない」
自戒の念というより、長老のありがたいお言葉として受け止めましょう。人生相談の名回答に拍手。
次回12月1日の放送は、通常通り18時15分(午後6時15分)からの予定です。
「継続は力なり」という、人生のイロハとも諺ともいえるフレーズを巡ってお話します。
- 財津和夫 虹の向こう側
- 放送局:RKBラジオ
- 放送日時:毎週日曜 18時15分~18時30分
- 出演者:財津和夫、下田文代
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※該当回の聴取期間は終了しました。