地球の裏側でも起こっている中台対立、引き金は「新型コロナ」!?

元RKB解説委員長・飯田和郎 ©RKB毎日放送

毎日新聞中国特派員をはじめ、豊富な海外取材経験を持つ元RKB解説委員長・飯田和郎によるラジオコラム「飯田和郎のいいだい放題」が、RKBラジオ『櫻井浩二インサイト』でこの秋スタートした。主なテーマは中国情勢。11月11日(木)は、日に日に緊張状態が高まってきている中国と台湾との対立に、中米のある国が関係しているという話題をお送りした。

飯田和郎元RKB解説委員長(以下、飯田):中国と台湾の対立は、台湾海峡での緊張だけじゃありません。いわば場外戦が展開されています。ホンジュラスという国を聞いたことはありますか?メキシコの南側で北はカリブ海、南は太平洋に面しており、国土面積は日本の3分の1ぐらい、人口は1000万人弱です。

田中みずきアナウンサー(以下、田中):ホンジュラスは治安が悪いっていうイメージですね。

飯田:はい、クーデターも起きていて政情不安。それに貧困で犯罪が多い国です。日本の外務省が出している海外安全情報でも、ホンジュラスに関しては「不要不急の渡航はやめてください」と言っています。紛争地や戦争が起きてるところに出しているものと同じレベルです。そのホンジュラスで今月26日、大統領選挙が行われます。その選挙の行方が、台湾に関係して国際社会で大きなニュースになっています。

櫻井浩二アナウンサー(以下、櫻井):え?どうしてですか?

飯田:地球の裏側同士ですよね?実は台湾を国家と認めて正式な外交関係を持っている国は、世界中でたった15か国しかないんですよ。ホンジュラスは、その15の国のうちの一つなんです。

櫻井:台湾を国として認めているということですね?

飯田:はい。中国の圧力の前に、台湾が外交関係を維持する国は、どんどん減っているんです。台湾と外交関係を持つ国は「踏み絵」を迫られています。「中国を取るのか、このまま台湾を取るのか」と迫られていて、台湾と断交して、圧倒的な経済力を持つ中国になびいて、外交関係をスイッチするケースが増えています。台湾はそうやってだんだん追い詰められている中、国際社会で認められる上でも、ホンジュラスは重要なパートナーです。そのホンジュラスの大統領選挙、事前の世論調査によると、野党候補の方が大きくリードしています。この野党候補は「自分が大統領に就任したら、すぐに中国と外交関係、通商関係を結ぶ」と言っています。これがもし実現すると、台湾が外交関係を持つ国がまた一つ減ってしまうことになります。

櫻井:中国と繋がっていた方が、メリットがあるということなんですか?

飯田:その通りです。そのことが顕著化したのが、新型コロナなんですよ。ホンジュラスもこれまでに約1万人が(新型コロナで)亡くなっています。今年の春ごろの話ですが、国内の主要都市の市長たちは、ワクチンを求めたんですよ。ところが求めた先は、自分の国の大統領ではなく、隣国エルサルバドルの大統領だった。

櫻井:え!?

飯田:おかしな話でしょう?実はエルサルバドルは、3年前の2018年に台湾から中国に外交関係をスイッチした国で、中国からワクチンの支援もありました。そのため、ワクチンがなくなっていたホンジュラスに対して、エルサルバドルが中国製のワクチンを一部分けてあげたわけです。ワクチンに限らず、エルサルバドルは、中国と国交を結んだ後、さまざまな支援を受けていて、例えば公共施設を(中国が)建築する約束などももらっています。隣のホンジュラスもそれを目の当たりにしていますから「エルサルバドルいいな」って感じなんですよね。

田中:うらやましいですよね。

櫻井:中国のアフリカへの経済外交の話はよく聞きますけど、中米にも及んでいるんですね。

飯田:共通してるのはやはり発展途上国、まだまだ経済力がついてない国に対してだと思います。国連では大きな国だろうが小さな国だろうが、みんな一票持っているわけですよ。

櫻井:自分たちの味方にしちゃうと。

飯田:はい。話を戻しますが、ホンジュラスの大統領選挙でも、野党候補はその流れに乗っかっているところですね。中国によるワクチン外交がホンジュラスに影響を及ぼしてるわけですけど、台湾にとっても大きな課題になってるわけです。

櫻井:ホンジュラス以外の国も、こういう感じで中国がだんだん進出しているところがあるんですよね?

飯田:台湾の蔡英文政権は中国と対立しているので、中国が締め付けをどんどん強くしています。蔡英文政権は2016年に誕生したんですが、この5年間で7つの国が外交関係を台湾から中国へスイッチしています。もともと22か国だったのが15か国まで減ってしまったということです。

櫻井:台湾はどう対抗していけばいいんですか?

飯田:もう札束だけでは勝負にならないので、中国にないもの、自由とか民主主義とかそういった価値観を、アメリカや日本、ヨーロッパと一緒に売り物にしながら、交流を盛んにしています。

櫻井:もしその野党候補が勝ったら、ホンジュラスは「中国と国交樹立、台湾と断交」ということになる?

飯田:その可能性が高いと思います。

田中:でもアメリカの近くに中国が忍び寄ってきているっていうことになりますね。

飯田:よくホンジュラスを含むカリブ海諸国は「アメリカの裏庭」という言い方されますね。アメリカもやはり無関心ではいられないと思います。アメリカにとっても安全保障上極めて重要なわけですから。現在、中国とアメリカの対立が深まっています。つまり舞台はアジアや太平洋だけではなく、このアメリカの裏庭でも繰り広げられているということです。アメリカも黙ってないわけですから、ワクチンを供給できない台湾の代理を務めるような形で、ホンジュラスを含めた中南米の国々にワクチンの追加支援などを行っています。

櫻井:それと同時に、欧米各国は南シナ海、東シナ海もかなり警戒していますよね。

飯田:最近の顕著なニュースで言うと、ドイツ海軍のフリゲート艦が、今月5日、東京に寄港しています。ドイツの艦艇が日本に来るのは実に19年ぶりらしいです。

櫻井:あとイギリスの航空母艦「クイーンエリザベス」、フランスも来ましたね。

飯田:この海域で多国間の演習をしたり、南シナ海に寄ったり、中国を意識したような行動をしていますね。ヨーロッパ諸国では、中国に対する警戒感が強まっているので、その表れですね。

櫻井浩二インサイト
放送局:RKBラジオ
放送日時:毎週月曜~木曜 6時30分~9時00分
出演者:櫻井浩二、田中みずき、飯田和郎
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※放送情報は変更となる場合があります。

宮西尚生「まさかマウンドで涙するとは思わなかった」栗山監督からの"手渡し"に秘められた思い

栗山さんのためにも"15年連続50試合"目指す!! ©STVラジオ

北海道日本ハムファイターズの宮西尚生投手が、真剣勝負の試合の舞台裏やチームメイトのこと、リスナーからのお便りにも答える番組『宮西尚生のなんとかなるさ』。今や"ビッグ・ボス"の話題で持ちきりのファーターズですが、退任した栗山監督のことも忘れないで!ということで、栗山監督を尊敬していた宮西投手が、10月26日の札幌ドームでのホーム最終戦で話題となった場面について語りました。

草野あずみ:(宮西投手へ交代の際)栗山監督が自らマウンドに歩み寄り、宮西さんに手渡しでボールを渡している姿を見て、表情や、お互いにウルウルしているのが伝わってきて、ジーンとしていました。

宮西:けっこう、そういう言葉は頂きましたけど。まさかね、自分がマウンド上で「やばい!涙出る」ってなるとは思わなかったんですよね。さすがにね、勝負の場ですし、自分も(記録更新がかかる)50試合目の登板で「しっかり抑えたい」というプレッシャーもあるし…。だけど涙がこぼれそうでしたね。(中略)

宮西:「最後に監督がボールを渡したい」と伝え聞いてから、いろいろ考えさせられましたよね、自分の今までの(栗山)監督とのやりとりと言うか。本当に。自分の成績を振り返ったときに「ほとんど(栗山)監督やん」と思って。それは凄く、いろいろ思うところがありましたね。

草野:粋な演出もありましたよね。

宮西:登場曲ね?(編注:投手交代の際、登場曲として特別に、さだまさしの「道化師のソネット」を選曲)。あれも(ボールを)直接、手渡ししたいと伝え聞いてから、何か監督の思い出となるようなことをしてあげたいなと思って、監督に付いてるマネージャーに「監督って、どんな音楽が好きなの?」って聞いたら、「さだまさしさんの『檸檬』(れもん)が好き」って言われたん。で『檸檬』を聞いたら、(登場曲には)合わないだろうなと思って、そこから、さだまさしさんの曲をひたすら全部、聴いて、その中で『道化師のソネット』を「わあ、これいいかも」と思って。

宮西:あれもアレンジしてるんですよ、ちょっと。急きょ、音響さんに頼んで「何秒から始めて何秒まで、次の何秒からもう一回、つなげて下さい」って言う感じなんで。

草野:そうだったんですね~。

宮西:そんな感じなんで、あの曲(『道化師のソネット』)を知ってる人は「んっ?」って感じになるかも知れないんですけど、僕の好きなフレーズというか「監督っぽいな」ってところを全部、選んだんです。

あのシーンの裏には、宮西投手の万感の思いも込められていたんですね。本人の語りで聴いてからもう一度、あの交代シーンを見ると、ファンならずともちょっと込み上げるモノがあるかも知れません。

STVラジオ『宮西尚生のなんとかなるさ』(毎週木曜 17:30~17:40) ★『吉川のりおスーパーLIVE』内
 

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