「新型コロナウイルスの1日あたりの感染者が、全国で23万8,735人に」など一週間の注目ニュースを徹底解説

経済ジャーナリスト・町田徹とフリーアナウンサー・杉浦舞が気になるニュースを掘り下げる情報番組。企業の問題に鋭く切り込むジャーナリスト・町田徹が、毎週気になるニュース、気になる企業を徹底解剖。社会をゆがめる元凶はどこにあるのか、その企業が抱える問題の本質は何か・・・。時に冷徹に、時に熱く、語りかけます。

経済ジャーナリスト町田徹が選んだ今週のニュース10項目

〈第10位〉水曜日、OPECプラスが「9月から日量10万バレルの少量増産」に合意。 
〈第9位〉地元の同意を受けて、福島第1原子力発電所の廃炉に必要な処理水放出設備の建設がスタート。 
〈第8位〉冬の電力のひっ迫を回避へ。節電ポイント制度がスタート。
〈第7位〉水曜日、カンボジアのプノンペンでASEAN(東南アジア諸国連合)関連外相会議が開幕。
〈第6位〉水曜日、ウクライナ産の穀物を積んだ貨物船「ラゾニ号」に対する検査官の臨検が無事完了。 
〈第5位〉ロシア政府がサハリン2の事業運営を現行のバミューダ法人からロシア法人へ移管することを正式に決定。   
〈第4位〉最低賃金の目安、全国平均で時給961円に。  
〈第3位〉月曜日、国連本部で7年ぶりのNPT(核拡散防止条約・再検討会議)が開幕。 
〈第2位〉アメリカのペロシ下院議長が台湾を訪問。
〈第1位〉昨日、新型コロナウイルスの1日あたりの感染者が、全国で23万8,735人に。

金曜日は「ふかぼり3兄弟」で、注目ニュースをさらにふかぼり!

8月5日(金)17時35分から放送の連動番組『町田徹の経済ニュースふかぼり!』では、「最低賃金の引き上げ。『貧者のジレンマ』から脱却できるのか?」と題してお送りしました。夕方のニュースでもお伝えしましたが、今週月曜日、厚生労働大臣の諮問機関である中央最低賃金審議会の小委員会は、今年度の最低賃金の目安を全国平均で時給961円にすると決めました。前の年度からの上げ幅が31円と過去最大に達することで、労働側からは歓迎の声が聞かれる一方で、化石燃料や穀物などの輸入物価が高騰する中だけに、経営側からは収益の大きな圧迫材料になるという悲鳴も聞かれます。しかし、客観的にみると、日本の平均賃金は、現時点でデータが開示されているOECD加盟の先進35カ国の中で、25位。先進国の中でかなりの下位です。エコノミストの中には、「このように低賃金を温存しているから、生産性の低い仕事の効率化が進まない。その結果、労働者の付加価値の高い仕事への転換が遅れて、いつまでたっても賃金が上がらない『貧者のジレンマ』、もしくは『賢者のサイクル』に陥っている」といった指摘もあります。時間はかけなければなりませんが、悪循環を抜け出すためには、最低でも10倍以上の賃上げが必要だという見方も存在するのです。 今日はそんな見方を紹介し、賃金と経営の在り方を考えてみました。

さらに、同日23時からの『町田徹の経済リポートふかぼり!』では経済ジャーナリスト・町田徹がシンクタンクのエコノミストに経済問題を徹底インタビュー。世界情勢や人口減少などに伴う、日本経済の諸問題を真摯に取り上げます。8月5日(金)のゲストは長崎大学核兵器廃絶研究センター教授で、日本経済研究センター特任研究員の鈴木達治郎さん。「再び核軍拡の時代到来か?:核兵器依存のリスクを再度考える」と題してお送りします。

町田徹の経済ニュースカウントダウン
放送局:ラジオNIKKEI第1
放送日時:毎週金曜 16時00分~16時20分
出演者:町田 徹(経済ジャーナリスト)、杉浦 舞(フリーアナウンサー)
番組ホームページ
公式Twitter

【ふかぼり3兄弟(シリーズ番組)】
『町田徹の経済ニュースふかぼり!』
放送日時:毎週金曜 17時35分~17時50分
『町田徹の経済リポートふかぼり!』
放送日時:毎週金曜 23時~23時20分

※該当回の聴取期間は終了しました。

「観光客」だけでなく「地域住民」の満足度も目標値に オーバーツーリズム対策と課題

ジャーナリストの佐々木俊尚が10月4日、ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」に出演。オーバーツーリズム対策について解説した。

※画像はイメージです

オーバーツーリズム対策、宮島では訪問税がスタート

世界遺産・厳島神社で知られる宮島(広島県)を訪れる観光客らから、廿日市市が1人100円を徴収する「宮島訪問税」が10月から始まった。観光客が過剰に訪れ、環境や住民生活に悪影響を及ぼす「オーバーツーリズム」対策に役立てられる。

新行)「宮島訪問税」は市が制定した条例に基づく地方税で、島に渡るフェリーの乗船料に上乗せされます。市は年間で約3億円の税収を見込んでおり、公衆トイレや旅客ターミナルの維持管理、電柱の地中化などにあてられるそうです。

佐々木)ある程度対策しないと成り立たないぐらい、観光客がたくさん来てしまっている状況ですよね。海外からの観光客は、これまでだと2000万人台ぐらいでしょうか。コロナ禍から復活してきていますが、中国人はまだそれほど来ていないので、中国からの観光客が全面的に回復すると3000万人くらいになるかも知れません。

新行)そうですね。

佐々木)外国からの観光客が世界一多いのはフランスで、ヨーロッパ大陸内だからというのもあるけれど、6000万人~7000万人くらいだと言われています。日本もその数字を狙っていますが、日本人の半数ぐらいの人口が来たらどうなるのか。

特定の観光地に偏りすぎている ~「何を魅力として打ち出すか」を考える

佐々木)ただ、数を見るとすごく偏っています。山だったら富士山しか行かないとか、京都や宮島、東京であれば銀座など、特定の場所に集中してしまう問題がある。まずはこれを分散させることですよね。

新行)分散させる。

佐々木)そのためには「何を魅力として打ち出すか」を、もう少し考えた方がいいのではないでしょうか。

観光名所に行っても人が多すぎて楽しめない

佐々木)昔、キューバのハバナへ旅行に行ったことがあります。ハバナにはヘミングウェイが通っていたバーがあるのです。カウンターで「渋い夕暮れを眺めながらモヒートを飲みたい」と思って行ってみたら、「100人いるか」と思うほど多くの観光客がいました。

新行)そうなのですね。

佐々木)大群衆になっていて、まったく楽しめませんでした。そんなところに行っても観光的な風情がないではないですか。

新行)ゆっくり楽しむという感じではなくなってきますよね。

佐々木)昔は観光地に行き、「観光地の名前が入った土産を買って帰る」というパターンが多かったと思いますが、現在はそういうものを求める人は減っていると思います。

観光客が少ない「自分だけが知っている店」に行きたい

佐々木)私の友人が「Airbnb(エアビーアンドビー)」という民泊の物件を持っているので、外国からの観光客がどんなことを言っているのか聞いたら、「観光客の来ないところを教えてくれ」と言われるそうです。

新行)なるほど。

佐々木)中国や台湾からの観光客も、何度も日本に来ていると、最初は富士山や銀座に行くけれど、「観光客が少ない自分だけが知っている店に行きたい」となってくる。渋谷の代々木上原は、あまり外国人に知られていない街だと思いますが、おしゃれな店が多いですよね。なぜか台湾人の観光客が、あの辺りの飲食店で食べているのです。

新行)そうなのですか?

佐々木)店の人たちにそれとなく「あの人たちは台湾から来ているようだけれど、なぜこんな店を見つけたの?」と聞いたら、「SNSの口コミで見つけた」と言っていたそうです。共有されている「密かな情報」があるらしいので、そういうものをうまく活用することが大事ではないかと思いますね。

「何もないけれど素晴らしい土地」が日本にはたくさんある ~富山県の素晴らしさをイギリスの記者が紹介

佐々木)『クーリエ・ジャポン』という海外メディアを紹介する日本のウェブサイトがあって、そこに英紙『デイリー・テレグラフ』の記事が紹介されていました。デイリー・テレグラフの記者が富山県に行くのですが、「富山はどんなところか?」と日本で周りの人に聞くと、「山があって海がある」しか答えないのです。

新行)そうですか。

佐々木)自分の周りでも、海外から来た観光客で富山に行った人は誰もいない。でも富山に行ってみたら、素晴らしくよかったそうです。北アルプスの雄姿が広がり、目の前には魚の旨い富山湾があって、素晴らしい水田が広がっている。昔からの板塀の日本家屋が並んでいて、「これぞ日本の極地」というような場所であり、「みんなここに行った方がいい」という記事を書いているわけです。

新行)なるほど。

佐々木)金沢や軽井沢は有名だけれど、同じ北陸新幹線でも富山にはあまり行きませんよね。日本人でさえ行く人は少ないのではないかと思います。でも、そういう「何もないけれど素晴らしい土地」が日本にはたくさんあるのです。

「住民なりきり旅行」のようなオーバーツーリズムにならない打ち出し方が必要

佐々木)私は最近、旅行に行くとホテルではなく民泊に泊まるのです。民泊だとキッチンがついているではないですか。料理するのが好きなので、地元の道の駅や農協の直売所、漁協などに行って魚や野菜を買い、地元住民になりきった気持ちで料理して食べるのです。

新行)いいですね。

佐々木)町を手ぶらで歩き、「この町にも長い間住んでいるな」と勝手に思い込むような、ロールプレイング的な「住民なりきり旅行」も楽しいです。そういうものはオーバーツーリズムにならない、別の打ち出し方ではないかと思います。

新行)観光名所だけを打ち出すのではなく。

「地元の人も満足できて観光客も満足できる」というところを最終的な目標地点にする

佐々木)観光が目指すべき目標値において、みんな「観光客の満足度」や「観光客の数」を言うではないですか。それだけではなく、ハワイが実施していますが、「地域住民の満足度」も目標値に入れようと動いています。

新行)住んでいる方々の環境なども考えなければいけないですよね。

佐々木)観光客の人も、地元住民から嫌われたくはないでしょう。でも、もはや京都の人は観光客を嫌っていると思います。バスも乗れないですし。それでは観光の目標値になっていない。「地元の人も満足できて、観光客も満足できる」というところを最終的な目標地点にすることが大事ではないでしょうか。

2024年から日帰り客への入域料を導入するベネチア

新行)読売新聞には、ベネチアの例が大きな記事で出ています。宿泊ベッドが人口を超えたそうです。

佐々木)すごいですね。

新行)ベネチアは来年(2024年)春から試験的に、日帰り客を対象に入域料を導入するそうです。

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