「桜井和寿の詞は作詞の教科書に載せられる」草野正宗との個性の違いを紐解く

アナログ盤が欲しかった… ©STVラジオ

シンガーソングライターで"選曲家"の松崎真人が、日本の曲・日本語の曲を中心に"厳選かけ流し"(イントロからアウトロまでノーカット)でお届けする真夏の特別プログラム『ナイタースペシャルMUSIC☆J~日本語ロックの8人』。この日の特集「桜井和寿と草野正宗」に行く前に、松崎真人の"訳あり"の選曲から…。(文中敬称略)

松崎:わたくし、痛恨の買い逃しをしまして、実はこれから掛ける曲は7月21日に初めてのアナログシングルレコードで限定生産で発売されていたんだって。で、買いに行ったらもう、ソニーミュージックストアでソールドアウト(売り切れ)になってた。買いたかった…。

M14「どぉなっちゃってんだよ/岡村靖幸」
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松崎:岡村にとっては久しぶりにアナログ盤をカットしたわけですね。最近、このパターン多いですよね。大々的にリマスタリングもされていたようなので、買い逃したのは痛恨でございます。みなさんに(アナログ盤の音を)お聞かせ叱ったんですけど。

ここで先に、編集後記を。
<松崎真人の編集後記>
「どぉなっちゃってんだよ/岡村靖幸」この曲を聴くと、ミスチル桜井さんって岡村ちゃんのこと好きなんだろうなあと思う。もちろん桑田さんのことも。そして徹底的に研究している。ボキャブラリーを広げる方向性とか、語尾の処理でよりロックな歌に仕上げていく技とか。先人の積み重ねてきた「日本語とロック」の発明を聞き逃さず、自分のものにしていく貪欲さと真面目さ。努力の天才なんだなあ、桜井和寿という人は。(松崎真人)

そして、この日の特集は「桜井和寿と草野正宗。現在へ(1999以来進化は止まったのか?)」。

松崎:最初は、Mr.Childrenとスピッツともに初期、2枚目のアルバムから1曲ずつかけようと思います。まず、91年に出たスピッツの2枚目のメジャーアルバム「名前をつけてやる」の中から…

M20「魔女旅に出る/スピッツ」

松崎:僕は、1990年に大阪のNHKのFMでお昼の番組に出ていて、それがラジオでの公式なお仕事始めだったんですが、その時に選曲のお手伝いをしてくれる放送作家の女性がいたんですが、彼女は本当にセンスがいい子で(中略)、日本のロックも詳しくて「松崎くん、このバンド、すごくいいよ」って言って、LPを局のターンテーブルに載せて聴かせてくれたのが「スピッツ」。インディーズ盤だったと思うんですけど、とにかく当時から言葉の選び方が秀逸で、なんと言っても「SPITZ」というバンド名が「勝ってるな」と思いましたね。

松崎:かわいい犬の名前なんですけど、英語で表示すると尖ってるじゃないですか。この辺の言葉選びのセンスが、草野正宗は詩人だなと。この「魔女旅に出る」が入ってるアルバム「名前をつけてやる」も村上春樹的なタイトルですけれども、ライナーノーツを見ると、「し・きょく/草野正宗」の「し」は、言偏に寺の「詩」になっています。以降のアルバムでは、普通の作詞・作曲の「詞」なんですが、草野の意識がどこにあったのかが判りやすいかなと思います。文学の方から来て、ロックを奏でた人たちというイメージが今でもあります。

松崎:次は、Mr.Childrenで、平等に2枚目のアルバムからかけようと思います。やはりMr.Childrenの悲劇は、桜井和寿がすごくイケメンだと言うことですよね。これは武器にもなるけれど、邪魔なこともあるんですよね、アーティスティックな立場からすると。そこをウリにしながらも、骨太な所を出していきたいと本人たちは最初から思っていたはずなんですけど、この曲はやはり、甘いマスクの桜井があってこその曲だと思います。

M21「抱きしめたい/Mr.Children」

松崎:これから作詞をしようと思う人が、お手本にしようとしたら、草野正宗の詞はお手本にならないです。だけど桜井の,特にこの「抱きしめたい」なんかは作詞の教科書に載せてもいいぐらい、理屈も通っているし、気持ちを掴む詞。ひと言で言って「お手本になる詞」ですね。

M22「裸のままで/スピッツ」

松崎:ブラスが大々的に入っていて、最後の終わり方なんか、キャンディーズかと思いましたね。でも、これを聞いていると「これから売れますよ」という雰囲気がひしひしとしてきます。メンバー自体が売れることに前向きになっていることが判ります。この次の曲が「君が思い出になる前に」で、その次に「空も飛べるはず」が来るわけです。いま聴くと、これが前兆だったんだなと言うことがよく判りますね。

松崎:桜井の作詞には、功罪相半ばするところがあります。そして桜井ほど勉強家も少ないと思います。本来、そんな専門書が作詞に必要なの?っていうような深層心理学の本とか量子力学の本とか理系の本まで読みまくってますから。

松崎:そういうところから浮かんでくる歌詞で、最終的な結論が「光の射す方へ」だとすると、もう「光の射す方へ」というところだけを救って、「そう言うフレーズを歌えば、何となくロックバンドになるんだろう」というバンドがけっこう続出しまして、一時、私も辟易していました。最近、やっと落ち着いてきましたね。

松崎:フォロワーがたくさん出ると言うことは偉大であることの証なんですけど、フォロワーの人たちにも人生があるわけで、「ただミスチル風だから、この人たち売れそうだから売ってやろう」というような業界の風潮は、ちょっと一時、どういうものかと思っておったわけです。言いたいことは言ったので、次の曲に…。

M24「口笛/MR.CHILDREN」

最後は、大メジャー曲で締めとなりました。

M25「ロビンソン/スピッツ」

<8月6日のプレイリスト>
M01「スローモーション/中森明菜」
M02「心の色/中村雅俊」
M03「Give Me Up/BaBe」
M04「I SHOULD BE SO LUCKY(ラッキー・ラブ)/KYLIE MINOGUE」
M05「CHA-CHA-CHA/石井明美」
M06「二時間だけのバカンス/宇多田ヒカルfeaturing椎名林檎」
M07「DANCE/浜田省吾」
M08「無言劇/Alfee」
M09「悲しくてやりきれない/コトリンゴ」

M10「夏のクラクション/稲垣潤一」
M11「そして僕は、途方に暮れる/大沢誉志幸」
M12「BELIEVE/渡辺美里」
M13「JOY/YUKI」
M14「どぉなっちゃってんだよ/岡村靖幸」
M15「海は恋してる/ザ・リガニーズ」
M16「真夏のフラメンコ/オックス」
M17「大きなお世話サマー/とんねるず」
M18「(What's So Funny 'Bout) Peace, Love, and Understanding?/Nick Lowe」
M19「生まれ来る子供たちのために/オフコース」

M20「魔女旅に出る/スピッツ」
M21「抱きしめたい/Mr.Children」
M22「裸のままで/スピッツ」
M23「REM/Mr.Children」
M24「口笛/MR.CHILDREN」
M25「ロビンソン/スピッツ」

トータル9日間にわたりお聴き頂いた「ナイタースペシャル MUSIC☆J~日本語ロックの8人~」シーズン5.5.1は、この回で"中締め"です。これからも、毎週土曜日の『MUSIC☆J』シーズン5.5でお楽しみ下さい。

STVラジオ「MUSIC☆J」(毎週土曜 18:00~21:00)

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ナイタースペシャル MUSIC☆J
放送局:STVラジオ 他1局ネット
放送日時:毎週火曜~金曜 17時55分~20時50分
※放送局によって日時が異なる場合があります。
出演者:松崎真人(まつざき・まこと):シンガーソングライター・選曲家(北海道出身)
番組ホームページ

70年代~90年代の日本のポップス・日本語のポップスを中心に"厳選かけ流し"でお届け。パーソナリティは、北海道出身のシンガーソングライター・松崎真人。音楽への深い造詣と知識に裏打ちされた含蓄あるトーク、選曲の幅広さでリスナーの支持を全国に広げている。松崎の"微妙な滑舌"も病みつきになるかも。(ナイターオフ期は、火~金19:00からで、広島・RCCラジオでも同時ネット)。

※該当回の聴取期間は終了しました。

コンサドーレ野々村社長「いまはハッピーでも活躍しないと話は進まない」ガブリエルの移籍に愛ある喝!

頑張れ!ガブちゃん!! ©STVラジオ

サッカーJ1・北海道コンサドーレ札幌の野々村芳和社長がSTVラジオ『GO!GO!コンサドーレ』に出演。サッカーJ1・北海道コンサドーレ札幌の野々村芳和社長がSTVラジオ『GO!GO!コンサドーレ』に出演。ガブちゃんこと、ガブリエル選手の期限付き移籍が発表され、リスナーやサポーターも敏感に反応。その背景を野々村社長がざっくばらんにトークしました。

吉川典夫アナ:リスナーからも「やはり出場機会を求めての移籍が大きいんですかね?」と。

野々村:それが全てですよ。プレーできる環境を。ガブリエルはうち(コンサドーレ)の選手じゃないですか。彼の価値を上げていくためにはゲームに使って、もっともっとコンディションを上げていかなければならない。で、ガブリエルがどこでプレーするのが良いのか、それは相手方のチーム(J3・福島ユナイテッド)が欲してくれないといけないので。それは強化サイドがいろいろと交渉してくれたんだと思います。

野々村:それに、福島ユナイテッドは、ナイジェリア出身のイスマイラと言う選手が(J2)京都サンガに移籍したんです。イスマイラがいたと言うことは、同じナイジェリア人選手を受け入れる態勢もある程度、出来ているわけですね。

吉川アナ:なるほど。

野々村:それは、クラブ(福島ユナイテッド)にとっても、ガブちゃんにとっても、ハッピーな形になりやすいというのもあったんで、両チームの思いが一致したというところだと思います。

吉川アナ:コンサドーレとしても、ガブちゃんに福島で活躍してもらって、長期的にみて戻って来て、またコンサドーレに貢献してくれって言う思いもある?

野々村:我々保有しているクラブとしては、やれるところをしっかり見せて、やれるようになって欲しいと。福島は福島で今、(J2へ)昇格のために人が必要というところもあるので、いずれにしても両クラブにとってハッピーな形がどういう結果になるのか先にならないと判らないですけど、彼(ガブリエル選手)が活躍しないことには話は進まないですからね。

そして、"点取り屋"だったアンデルソン・ロペスが抜けたコンサドーレ。話題は、サポーターも気になる「新たなFW」についてに…。

野々村:FWね。いまいる選手達を伸ばすのは絶対に必要なことなので、今はその方針でやっているとうことです。背景には、コロナ禍でクラブの経営がどうなるかってことや、(現在の)順位の問題とか、色んなバランスを見ながらです。ここに来てバンバン(選手を)獲れるところ(クラブ)は「スゲーな」って思って見てます。

野々村:いまのウチの前線の選手は比較的、サイズ(身長)がない選手が多いので、デカければいいってもんじゃないですけど、動き出しも含めて、ヘディングで点取れる選手がいたらいいのかなと思いますけどね。

野々村:FWというところでは、中島大嘉がどのくらい成長できるかなぁ、来年も含めてね。そこはけっこう、期待はしてますけどね。大嘉にも、この中断期間中に、ゲームにかかわれそうなところへの(移籍の)話もいろいろとあったんですけど、今のこの環境で学ぶことが多いから、ここ(コンサドーレ)で結果を出すというタイプのひとりだと思います。

若手選手が成長していく過程も、外で大きくなるタイプ、中で育つタイプ、様々あって、それを見極めることもクラブ運営には大事なこと。社長自ら話してくれたことだけに、納得です。

STVラジオ『GO!GO!コンサドーレ』(毎週土曜 あさ7:30~8:00)
 

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