「僕はまだ、ロックの幻想の中にいる」 レジェンド・伊藤政則が語るロックの真髄

伊藤政則 ©bayfm

毎週土曜日25:00から生放送でお届けしている、bayfmのロック専門番組「POWER ROCK TODAY」(以下、PRT)。ロック界のレジェンド・DJ伊藤政則が、ホンモノ志向のファンのために、ハードロックとヘヴィメタルの真髄を伝えています。1989年のbayfm開局と同時にスタートしたPRTのキキドコロを紹介するとともに、伊藤政則がロックとラジオにかける思いに迫ります。

“ロックファン”に憧れていた高校時代

僕はロックが大好きな高校生だった。Led Zeppelin「LED ZEPPELIN IV」、Pink Floyd「原子心母」、Deep Purple「LIVE IN JAPAN」。オールタイムベストとして、僕がリスナーにおすすめしたいロックの名盤3枚は、いずれも感受性豊かな学生時代に出会った作品で、今もなお強烈な印象が残っている。ロックは裾野が広いカルチャーで、このカルチャーに漠然とした凄みを感じていたものの、当時はその凄さの質がわからなくて。つまり、僕は“ロックファンに憧れるロックファン”だったんだ。

ロックをたくさん聴きたい。ライブにもっと行きたい。そのための近道として、僕は高校3年の頃から地元のラジオ局・岩手放送に出入りするようになり、大学生になったら同局のレコード室でアルバイトをはじめた。その後、「オールナイトニッポン」のADとなって、数か月後にはオールナイトの2部でDJデビューを飾った。やりたいこと、好きなことに向かって、脇目も振らずに駆け抜けていった結果が、今につながっているんだ。

初ライブは「箱根アフロディーテ」

ところで、僕がはじめて観たライブは、1971年8月6日、7日に箱根で行われた野外音楽フェス「箱根アフロディーテ」だ。Pink Floydが初来日したこのフェス、僕がロックの凄みに最も近づいた瞬間だった。

 会場は芦ノ湖畔の特設ステージなんだけど、今振り返ってみるとおかしくて。丘の上にステージを設置したから、油断していると後ろにコロコロって倒れてしまうんだ(笑)。さらに、客層も幅広くて、前方はヒッピーみたいな奴らが陣取っているんだけど、後ろの方には親子がまるでピクニックにでも来たみたいにビニールシートを敷いてくつろいでいたり、木に登って、てっぺんからステージを観ている人がいたり。グーグー寝ている奴もいたな。さらに、1969年の「ウッドストック・フェスティバル」みたいに恋人同士が肩を寄せ合って毛布にくるまっていたり、箱根に来たらたまたまライブをやっていたから、物見遊山でのぞきに来たという人がいたり……。

本当に凄かった。とにかく自由で、カオスだった。この感じ、最近のお約束で乗るロックフェスでは絶対に再現できない。

 先日、このライブを主催したニッポン放送元社長の亀渕昭信さんと対談したんだ。箱根ライブの2日くらい前から雨が降り続いていて、そんな中、箱根の山のてっぺんまでリヤカーで機材を運んだそうだ。演奏するステージも天井がやけに低かったり、手作り感たっぷり。それでも、本番当日は雨が止むんだから、奇跡って起こるものなんだよな。

 大学1年生のとき(1972年8月17日)に日本武道館で観た、Deep Purpleの初来日ライブでは、ロックの狂気のようなものを感じた。あの頃のライブの乗り方って今と違って控えめで、せいぜい席を立つくらいなんだ。ところが、アンコールになると堰を切ったように、観客がアリーナに殺到。まるで熱病にでもかかったかのようにみんな浮かれていて、危ないと思ったくらい。そして、「ロックファンでよかった」「お前たち(Deep Purple)が来るのを待ち望んでいたんだ」と、心の底から叫んでいるかのようだった。

この、ただ単に暴れに行くのとは違うこの感覚、最近のロックではなかなか味わえないな。アンコールでもみくちゃにされた僕は、演奏が終わったときには着ていた服がなかったからね(笑)。

 こういう、日本のロックシーンの原風景を見てしまうと、そこに戻りたいという思いが強くなる。これは懐古趣味ではなくて、失ったものの大きさにさみしさを感じるからなんだ。1960年代~70年代は日本の洋楽文化の黄金期で、この時代にレコード会社にいた人たちはもうほとんど引退しているけど、いい時代に仕事ができたってみんな口を揃える。そして、最近の音楽シーンはどこか漂流しているような印象を受けると、警鐘を鳴らしている。一体、どこへ向かおうとしているのか、よくわからないんだ。

記憶に残る音楽に接してほしい

レコードからCD、ストリーミングへ。音楽との接し方は大きく変わった。10代~20代の若い子はスマホで音楽を聴くことが多いと思うけど、ストリーミングは次の曲がドンドン流れてくるから、本当に集中して聴かないと、記憶に残らないんじゃないかと懸念している。

 レコードやCDを“モノ”として持っておくと、最初に聴いたときはピンとこなくても、後々聴いてみるとその良さに気が付くことがある。僕が冒頭で述べたロックの名盤3枚は、いずれも高校時代に買ったものだ。ただ、みんな「凄い!」って絶賛していたけど、当時の僕にはなんだかよくわからなかったというのが本音だ。大人になって改めて聴いてみたときに、その凄さにようやく気が付くことができたんだ。

 こういうことを言うと誤解されそうだけど、僕は“モノ”としてレコードやCDがあった方がいいと言いたいんじゃない。ストリーミングにはストリーミングのメリットがあることはわかるんだけど、同時に失っているものもあるんじゃないの? こういう問いかけをしておきたいんだ。

 感受性が豊かな頃に聴いた音楽の影響は、とても大きい。記憶に残る。どうか、たくさんのホンモノに接してもらいたいと切に願う。それは、もしかしたらチャートをにぎわしている、“売れている”“たくさん再生されている”ような音楽とは違うかもしれない。音楽の価値観は人それぞれ。世の中で言う名作と、自分にとっての名作が違うのは、当然のことだ。

キキドコロは“伊藤政則のトーク”一択!

PRTは2020年で放送31年目を迎える。この番組が他の番組と決定的に違うのは、リスナーの熱量だ。メッセージがとにかく長い。プリントアウトしたら2枚分になったなんてことはざらにある。これには音楽評論家の大貫憲章も驚いているし、僕はこのことを誇らしく思っている。

ライブレポートやロックに関する自分なりの見解はもちろんなんだけど、くだらないネタも結構多くて。「近くを歩いていたら居酒屋マサという店がありました。これは伊藤さんの店ですか? どんな曲流してますか?」って。そんな店知らねーよ(笑)。このように、ラジオはときにリスナーの方がおもしろいことがあるんだ。このことに気が付けるかどうかは、DJの手腕にかかっている。

昔と比べて変わったと思うのが、番組のキキドコロだ。今、僕が感じているPRTのキキドコロは、“伊藤政則のトーク”一択だ。どこよりも早く新曲を流すことが、最大のウリではなくなった今の時代。僕は自分なりの切り口で、見識を添えて曲を紹介することが重要だと思っている。たとえ流れる曲は同じでも、誰が、どのように紹介するかによって受ける印象は変わってくるからだ。

目指すは“偉大なるマンネリズム”

長く番組を続けてきてよかったと思うのは、街中で「いつも番組、聴いてますよ」って声をかけられたとき。これが一番嬉しいよ。話しかけたいんだけど勇気がなくて、目で訴えかけてくる人も結構多い。大丈夫だ、僕はお前たちの無言の訴えに気付いているから。

熱いファンに支持されていることは、実感している。先日、赤坂で飲んでいたときに、四谷まで移動することになったんだ。歩くのが面倒くさくて、運転手に「近場でごめんね」って謝りながらタクシーに乗ったんだ。そうしたら、その運転手が昔、よくPRTを聴いてくれていたリスナーで。PRTや雑誌『BURRN!』の話で盛り上がって、タクシーを降りようとしたら「伊藤さんからお金はもらえません!」なんて言うんだ。「バカヤロー、そんなわけいかねーだろ」って払ったけど(笑)。

 今後も、PRTの方向性に大きな変更はない。リスナーの記憶に残る名曲を、僕なりの見解を添えて伝えていきたい。目指すは、林家ぺーさんのような偉大なるマンネリズム。だから、マンネリと言われても一向に構わない。それが僕の狙いだから、気が付いてくれてむしろ嬉しいくらいだ。

ロックという、漠然とした凄さを感じる音楽に、僕は今も魅せられている。つまり、僕はいまだにロックという幻想の中にいるんだ。すごく幸せ者だと思うよ。

撮影:片桐圭(リンガフランカ)

構成:柴山高宏(スリーライト)

MAXIMUM POWER ROCK TODAY
放送局:bayfm78
放送日時:毎週土曜 25時00分~28時53分
出演者:伊藤政則、丹下眞也(OUTRAGE)、miho(LOVEBITES)
番組ホームページ

※この番組は終了しました。

『半沢直樹』ロケ地を探し当てた松村邦洋、朝から各地を回り返す!?

堺雅人のモノマネを得意とする松村邦洋が、堺の主演ドラマ『半沢直樹』(TBSテレビ系)のロケ地を早速巡ったことを明かした。

ドラマ「半沢直樹」で「東京ドラマアウォード2014」主演男優賞に選ばれた堺雅人さん。「日本のあちこちに小さな半沢直樹がたくさんいたおかげでドラマが作れた」と話す=2014年10月23日、東京都内 ©時事通信社

7年ぶりに新シリーズがスタートしたドラマ『半沢直樹』。2013年に大ヒットした前作に続き、7月19日に放送された初回の平均世帯視聴率は22.0%、26日の第2話が22.1%、8月2日の第3話は23.2%を記録した。

主演・堺雅人のモノマネを得意とする松村は、7月24日のニッポン放送「高田文夫と松村邦洋と磯山さやかのラジオビバリー昼ズ」の中で、同ドラマについて言及。リアルタイムで視聴しているだけでなく、ドラマのロケ地まで巡っているという。

松村:朝から新橋に行って、『半沢直樹』のロケ巡りですよ。第1話で尾上松也さんと賀来賢人さんが行っていた「88」というお好み焼き屋さんに。(※「お好み焼き・鉄板焼き 88(パチパチ)」)

高田:わかったの?

松村:はい、うちのマネージャーが調べてくれて。

高田:お前んところ、どんな仕事してんだよ(笑)。

磯山:そこまで調べさせられるの(笑)。

松村:リサーチです。それであとは、堺雅人さんと及川光博さんのシーンに使われた、新橋のガード横丁のとこに行って。(※「新橋ガード下横丁」)

高田:あ、通ってたね。ロケハンに行ったの?

松村:ロケハンじゃないです(笑)。

高田:後ハンね。ドラマで取り上げられた場所をなぞってくのね。

松村:(堺雅人のモノマネで)ここも来たな。あそこも来たな。

磯山:堺さんになってるから(笑)

松村:やられたら、店を回り返す!

高田:語呂悪いね。

松村:すいませんでした。

『半沢直樹』に夢中になるあまり、さまざまなロケ地を訪れているという松村。その後、第1話のラストシーンを堺のモノマネで再現した松村だったが、「このスベり具合は何?」と高田から辛口のコメントを受けていた。

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