大雨注意報から土砂災害警戒情報発表までわずか40分...山梨県北杜市の大雨対応は何が問題だったか

渡辺麻耶が木曜日のDJを担当するFM FUJIの番組『Bumpy』(毎週月曜~木曜、13:00~18:50)内のコーナー「CLOSE UP TODAY」(毎週木曜、17:35~)。9月1日のオンエアにフリージャーナリストの松田宗弘さんが出演し、山梨県北杜市を襲った集中豪雨とそこから見えてくる災害対応の課題について解説しました。

松田:今日は「防災の日」ですから、8月24日(水)の夜に北杜市を襲った集中豪雨と、そこから見えてくる災害対応の課題についてお話します。

麻耶:近年、全国で集中豪雨が多発していますが、北杜市はどのぐらいの雨量だったのでしょうか。

松田:甲府地方気象台によると、24日夜、19時16分に北杜市に「大雨注意報」が、12分後にはより厳しい「大雨警報」「洪水警報」が出て、警報解除は23時44分でした。さらに、1時間の雨量が100ミリを超えると発表される「記録的短時間大雨情報」――これは大雨警報の補足情報ですが、19時33分、同59分、21時42分の計3回発表されました。県内初ではないが、めったにない降雨量で、南からの湿った空気と上空の寒気の寒暖差が大きいことなどから発生したそうです。積乱雲が同じ場所に繰り返しやってきて豪雨をもたらす「線状降水帯」ほど規模が大きくないので、集中豪雨ということでした。さらに、2回目の記録的短時間大雨情報の発表直前の19時55分、県は「土砂災害警戒情報」を発表し、当該エリアの住民へエリアメールを発信しました。これを受けて市は市内4支所に避難所を20時20分ごろ開設したが、避難者はわずか10人でした。ということで、特に19時20分前から20時までの およそ40分間に目まぐるしく状況が変化したのです。

麻耶:大雨警報、記録的短時間大雨情報が発表されると、避難しなければいけないのでしょうか。

松田:気象庁によると、「警報は重大な災害が起こる恐れがあるときに警戒を呼び掛けること」で、警報の種類によって5段階の警戒レベルがあり、レベルに応じ「住民と市町村の取るべき行動」がそれぞれ決まっています。大雨警報は「レベル3」で、市町村の判断で避難準備と高齢者など災害弱者の避難開始を発令、高齢者などは避難し、その他住民は避難準備の必要があるとされます。大雨警報から27分後の「土砂災害警戒情報」は「レベル4」と一段上がったので、市町村の判断で避難指示を発し、危険な場所に住むすべての住民は避難の必要があるとされます。気象台と市町村、県、報道機関は電話ホットラインで結ばれ、気象台は「警報が出たので、避難の検討を」などと助言・提案します。あとの避難指示は北杜市の判断で行いますが、指示は発令しませんでした。

麻耶:なぜだったのでしょうか。

松田:災害対応の司令塔である北杜市 消防防災課への取材によると、同課の課員全員は目まぐるしく変わる降雨・災害情報と、殺到した市民からの電話対応でパニック状態でした。避難指示どころか、降雨情報や避難情報さえも、防災無線▽市の防災ポータルサイト▽市民向けのライン、ツイッターなどSNS――のいずれによっても発信できませんでした。ですから、取材した市民の多くが「NHKの速報で知った」と答えました。消防防災課は「大雨注意報から土砂災害警戒情報発表までわずか40分というこんな経験は初めてで、加えて、電話応対で現場が混乱した。精一杯やったが、対応の不備は、大変、申し訳なかった」と話しています。

市の対応の問題点は

麻耶:結果的に雨足は21時台から弱まったそうで、死傷者も出なかったから良かったですが、市の対応のどこに問題があったのでしょうか。

松田:災害対応の体制の問題です。市町村は国の防災基本計画に基づき地域防災計画を策定しなければならず、北杜市にもあります。消防防災課によると、市の計画の中の防災初動対応マニュアルでは職員の配備基準があり、初期段階の「配備準備」で情報収集を開始。次に「大雨注意報」「大雨警報」などが出たら、「第1配備」となり担当課の中の数人で対応します。今回は、土砂災害警戒情報が発表されたので「第2配備」に当たり、同課全員とその他関係部署、支所の職員が応援しました。必要があれば災害対策本部を設置できるが、今回は設置していません。「第3配備」は大規模な災害が広範囲で発生またはその恐れがある場合で、災害対策本部を立ち上げて全職員が招集されます。今回は第2配備だから、消防防災課5人と、他部署数人と支所が対応しましたが、市民へ情報発信は県のエリアメールとNHKの番組中のテロップだけだったのです。

麻耶:これから秋の長雨や台風シーズンで心配です。北杜市の課題についてどう思われますか。

松田:防災の専門家である山梨大名誉教授で、特定非営利活動法人 防災推進機構理事長の鈴木猛康さんに伺いました。先生は市からの災害情報の発信がなかったことについて、「ひどい話」とした上で、「電話の問い合わせで混乱したというが、司令塔である消防防災課には直接、通報がこないよう、別途、電話応対班を編成しなければいけない。そうしないと、災害対応の指揮・命令が機能しなくなるからで、その意味で、北杜市の対応は“昭和”のまま。こんなことでは大災害時にはとても対応できず、市の地域防災計画が機能していないことが分かった。機能させるには、実効性ある災害対応の体制作りなど具体的な内容を盛り込んだ計画に作り変え、さらにそれに基づく住民参加の訓練をして実効性を高めねばいけない」と指摘されました。この問題提起を改めて消防防災課にぶつけると、「課としても、今回の反省から、地域防災計画の見直しは必要と考える。電話応対がなければ、災害情報の収集と発信をしたかった」と悔しさを滲ませていました。もうひとつの懸念は上村英司市長の対応です。本来なら、豪雨の当夜、市民への情報発信ができなかった事実は既に把握しているはずなので、体制見直しをトップダウンで指示すべきでしょう。しかし、30日時点でも指示は下りていません。また、今回の豪雨災害の報告と被害状況は市の防災ポータルサイトに一切、アップされていない。死傷者はなくとも、山麓では倒木や表層の崩壊が発生し、私自身、林道で水道管が敷設された箇所が延長300~500メートルにわたってえぐり取られているのを確認しましたが、市はSNSを含め情報を出していません。ことほど左様に、市の防災体制は問題が多すぎ、早急な改善が必要です。

Bumpy
放送局:FM FUJI
放送日時:毎週月曜~木曜 13時00分~18時50分
出演者:鈴木ダイ(月)、上野智子(火)、石井てる美(水)、渡辺麻耶(木)
番組ホームページ
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Twitterハッシュタグは「#ダイピー」(月)、「#ばんぴーのとも」(火)、「#てるぴー」(水)、「#ばんまや」(木)

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中沢元紀、親から教わった「環境にやさしい行動」も今でも。SHELLYとSDGsを語る

俳優の中沢元紀とSHELLYがJ-WAVEで対談。中沢が普段から意識しているSDGsにまつわる行動や、SDGsについて考えるきっかけになった映画、豊かな未来のために取り組んでいることを語った。

トークを繰り広げたのは、“私たちの生活、未来のために、明日からすぐ行動できる身近なアクションのきっかけを作る”というコンセプトでお届けする『J-WAVE SELECTION ITOCHU DEAR LIFE, DEAR FUTURE』。オンエアは毎月第4日曜。ここでは、3月24日(日)の放送回をテキストで紹介する。

同番組は、SDGsに関する活動を後押しする情報発信・体験の場である、青山のITOCHU SDGs STUDIOから発信。オンエアだけでなく、デジタル音声コンテンツとして提供・配信するサービス「SPINEAR」でも配信。SpotifyやApple Podcastsでも楽しめる。エピソードは月曜日に3回にわけて更新。

・ポッドキャストページ
https://spinear.com/branded-podcasts/itochu-dear-life-dear-future/

業務用スーパーでまとめ買いも

趣味の1つに「料理」を挙げた中沢は、「普段から自炊をして頑張っている」とプライベートを明かす。

SHELLY:何を作るのが好きですか。

中沢:ハンバーグだったり鶏肉のトマト煮だったり、最近は炊き込みご飯にハマっていますね。

SHELLY:何を炊き込んでいるの?

中沢:キノコや鶏肉のむね肉1枚をそのまま入れちゃったりとか、最近はショウガの炊き込みご飯にハマっています。ショウガを千切りして調味料とご飯と一緒に混ぜて炊き込むだけですけど、簡単でおいしいです。

SHELLY:おいしそう。昔から料理は好きなんですか。

中沢:実家にいるときから、自分で食べるものはたまに作ったりしていました。

SHELLY:今は一人暮らしで自分のご飯は作っているんですね。

中沢:そうですね。

そんな中沢は料理に関するSDGsにも取り組んでいるという。両親の教えをもとに「食べ物を無駄にしないために食べられるギリギリのところまで使ってフードロスをなくしたり、料理が終わって洗い物をするときは水をこまめに止めて節水をしたりしている」と語った。

中沢はSDGsの17の目標で特に興味関心があるものとして、目標2「飢餓をゼロに」、目標12「つくる責任、つかう責任」、目標14「海の豊かさを守ろう」、目標15「陸の豊かさも守ろう」の4つ目標を挙げる。

SHELLY:目標12の「つくる責任、つかう責任」だと、ものを買うときに意識したりしているんですか?

中沢:自炊をするのでスーパーに行くとエコバッグを持参したり、お肉とかもトレーに入っていないものを買ってみたり、そういうところは意識しています。

SHELLY:トレーね。わかる。もちろん衛生面とか便利さとか陳列のしやすさを考えるとトレーを使ったほうが便利だとはわかるけど……いらないよね。そうやって買うときにはトレーも意識しているんですね。

中沢:他にも業務用スーパーでまとめ買いをして、鶏肉を2キログラムくらい買って冷凍をしておくとか、そういうことはしています。

背景に貧困や差別が描かれている作品

中沢はSDGsについて考えるきっかけになった作品として、映画『最強のふたり』(2011年)を紹介した。

中沢:この映画は、不慮の事故で首から下が動かなくなってしまって新しい介護者を探している大富豪のおじいちゃんと、生活保護を申請するために不採用通知だけが必要で(介護者の)面接に行ったスラム出身の黒人青年との友情物語です。

SHELLY:立場も年齢も体のアビリティも全く違うけど、その2人が友だちになっていくと。

中沢:介護者と介護される方が垣根を超えてどんどん友情を育んでいくような話になっています。
映画『最強のふたり』あらすじ 事故で全身麻痺となり、車いす生活を送る富豪と、図らずして介護役に抜擢されたスラム出身の黒人青年。共通点はゼロ。高級住宅地とスラム、ショパンとクール&ザ・ギャング、超高級スーツとスウェット、洗練された会話と下ネタ、車いすとソウル・ミュージックに乗ってバンプする身体―。二人の世界は衝突し続けるが、やがて互いを受け入れ、とんでもなくユーモアに富んだ最強の友情が生まれていく。
ギャガ株式会社ホームページより)


SHELLY:どういうところが心に刺さったんですか?

中沢:社会問題をメインテーマにしている映画ではないと思うんですけど、スラム出身のドリスとそのまわりにいる同じスラム出身の人たちと、大富豪のフィリップとの生活の格差が如実に(描写として)表れています。貧困問題だけではなくて障害者に対する偏見や差別も描かれているので、SDGsの目標8「働きがいも経済成長も」や目標10「人や国の不平等をなくそう」にも繋がってくるようなことが背景に描かれているような作品になっています。

SHELLY:確かに。それこそまわりに障害を持っているような人がいないと、なかなか考えるきっかけがなかったりしますよね。

中沢:障害を持っている方を「かわいそう」と思う方もいらっしゃると思うんですけど、それこそ偏見になってしまいます。でもドリスはその偏見もなく、1人の人として接していたので、そういうところは見習わないといけないなと思いました。

SHELLY:気を遣いすぎるのも変だし、だからといって何も状況を変えないのも良くないから、そこをみんなで考えていくことが大事ですよね。
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親の背中を見て覚えたSDGsな行動

「豊かな未来のために取り組んでいることは?」と質問された中沢は「本当に身近で簡単にできること」と前置きしつつ、自身の行動を紹介した。

中沢:ゴミの分別とか、これは母親がやっていたことなんですけど、使わなくなった服を切ってタオルにして再利用したりとか。

SHELLY:掃除に使ってね。

中沢:あとはシャンプーとかトリートメントとかは詰め替え用を買ったり、そういうものでゴミを減らすことはしていますね。

SHELLY:素晴らしい。そういうことは実家にいるときから意識されていたんですね。

中沢:親の教育というか、親がやっていることを見てって感じだったので。

SHELLYはリスナーから届いた「ご両親は厳しかったですか。自由でしたか。ご両親の子育てで覚えていること、今感じていることを教えてください」というメッセージを紹介した。

中沢:父親が先生をやっていて、でも厳しいと思ったことはそんなになく、優しかったですね。母親も厳しいと思ったことはないです。母親からは「世のため人のためになる仕事に就きなさい」ってずっと言われていました。それが頭の中にずっとありますね。

SHELLY:そういうところからきっとお母さまも家の中で環境のことを考えたり、まわりのことを考えたりしていることが子どもに伝わっていたかもしれないですね。

中沢:それは感謝していますね。

環境問題の取り組みがもっと大々的になる社会に

また、「まだしっくりくる夢や目標がない」という15歳のリスナーから「中沢さんの今の夢や学生の頃に抱いていた夢、今の職業で生きていこうと思ったきっかけがあれば教えてください」という質問が届いた。

SHELLY:15歳のときってどういう将来を想像していました?

中沢:まだ遊んでいたんじゃないかな。まだ将来のことを深く考えてはいなかったような気がしています。

SHELLY:俳優になりたいとはまだ思っていなかったんですか。

中沢:17歳くらい、高校生になってから薄々と思っていたことではあったので。

SHELLY:そこから「これ頑張ろう!」と思ったきっかけはありましたか?

中沢:小さい頃はいろんな夢があって、警察官とか先生になりたいと思っていたんですけど、これっていうものがなくて。でも小栗 旬さんの作品を観て、いろんな職業に就ける俳優って魅力的だなと思ったので、それで俳優になろうと思ったきっかけではありましたね。

SHELLY:そうやって誰かを見て憧れることもありますからね。私が15歳くらいのときはすごく現実的で、英語と日本語で育っているから通訳だったらできる気がするって(笑)。もちろん通訳になるのもものすごく大変なことなんですけど。まさかタレントになっているとは。

中沢:僕もまさか俳優になっているとは。でも俳優になれて良かったと思います。本当にすごく楽しいので。

最後にSHELLYは「10年後はどんな自分になっていたいか。また10年後はどんな社会になってほしいか」と中沢に質問した。

中沢:5年後のことも想像できないんですけど、希望としては俳優という職業を続けていたいですね。このまま10年間でいろんなことを経験して、吸収して、第一線を走っている俳優の1人になれていたらうれしいなと思っています。

SHELLY:じゃあ、10年後の社会は?

中沢:僕もまだまだなんですけど、やっぱり一人ひとりのSDGsへの関心が増して、環境問題の取り組みがもっと大々的になる社会になっていたらうれしいと思います。

SHELLY:徐々にそういう方向にみんながシフトしているなって感じますよね。ゴミを分別していたりエコバッグを持ち歩いたりとか。

中沢:増えましたよね。

SHELLY:何年か前までは当たり前ではなかったから、そういう風に徐々になっていったら10年後はきっと変わっていそうですよね。

中沢元紀の最新情報は、トライストーン・エンタテイメントの公式サイトまで。
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オンエアをお届けした、青山のITOCHU SDGs STUDIO

SHELLYがナビゲートするプログラム『ITOCHU DEAR LIFE, DEAR FUTURE』の放送は毎月第4日曜日の22時から。

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