宮川花子、ラジオ出演で「元気とあきらめない気持ち」を届ける

本の出版リモート会見の様子(右から)宮川大助、宮川花子

OBCラジオ大阪アナウンサーの原田年晴と森川由香が送る『原田年晴のかぶりつきマンデー!』(ラジオ大阪・月曜11~14時)。2月14日(月)のゲストは漫才師 宮川大助・花子の宮川花子さん。血液のガンと言われる症候性多発性骨髄腫を発症し長い入院生活を経て、今は自宅にて療養中。そのため、電話でご出演いただいた。

 

先日、「あわてず、あせらず、あきらめず」という本を出版した花子さん。番組を進行する原田アナウンサーも悪性リンパ腫という血液のガンを発症・克服した経験を持っている。病名は違うものの、同じ血液のガンと闘った二人。「あの体で本を出版するのは大変だったと想像する」と原田アナウンサーは言う。

花子さんが元気になったと聞き、ぜひお声が聴きたいとオファーをしたところ、OKを頂き、出演が叶った今回の放送。

そんな花子さんの第一声は

「はい、こんにちは!!リスナーのみなさんもお待たせしました!!生駒の宮川花子で~す!!ご心配おかけしました~」

普段の聞きなれたハイテンションな挨拶にスタジオの原田アナウンサーも森川も大喜び、花子さんが帰ってきた!という感じに。さらにリスナーからもぞくぞくとメッセージが届く。

「花子さんの元気な声を聴くのが楽しみです。回復されて良かったです」

「(夫の大助さんも以前、体を悪くされ)夫婦仲良く助け合っている姿に感動し、夫婦愛の素晴らしさに改めて良かったなぁと思います。花子さんの明るさが大好きです」

 

まずは闘病中のエピソード。体中が痛くて仕方なかったこと、余命半年と告げられたこと、それを聞いて自分のことよりも、大助さんが心配性なので大助さんの方が心配だったこと、それよりも痛さがひどくて余命のことまで考えられなかったこと、後々詳しく聞くと、余命は半年でなく1週間だったこと…

病院に行った時にはすでに尿が出なかったり、鎖骨が折れていたりと、かなりヒドイ症状で、背中・首・胸などガンが8か所見つかり、「痛い痛い」としか言ってなかったと語ります。

そんな過酷な状況の中でも、闘病中はその病気がもとで他の病気を発症したり、精神的に耐えられない方もいる中で「自分は鬱(うつ)にならなくて良かった」「夫やマネージャー、色んな人がお見舞いに来て色々してもらっているんだから、くじけたらアカン」と当時の気持ちを振り返った花子さん。原田アナウンサーも、

「気持ちの持ち方ひとつで病気が治る・治らないが違ってくるように思う。自分で経験してわかった」と返します。

また今回の治療について、「緩和ケアについても勉強になった」「(病気は)怖いけど、原因がわかっている分だけ、闘える、頑張れる…」絶対あきらめないという精神で、病気と闘い続け、そして今は自宅に戻り、週1回、通院での化学療法(抗がん剤治療)を受けるほどまでに回復した。

 

さらに、夫の大助さんの献身的な介護に「介護男子」と呼んでいるという話も。朝ごはんの支度、庭の手入れ…今回、本を出版するきっかけとなったのも、夫の大助さんが「日記を書いたら」と勧めたことだったという。

しかし、当時は胸から下が麻痺した状態で、手の握力がなく、ペンも持てない状態。

結局執筆は花子さんが話すことを代筆してもらう形となったが、最後のページは花子さんが頑張って、自分の気持ちを込めて書いたとも。

 

本のタイトル「あわてず、あせらず、あきらめず」は、花子さんが作っているマラソンチームのキャッチフレーズ。あの松下幸之助さんのコトバだそう。

「実は夫のお父さんが“マツシタコウスケ”なんです(笑)」

 

まだ立つことが困難で車いす生活を送っている。しかし先日、花子さんが暮らす奈良県生駒市で開催されたイベントに出席することができた。

「舞台は今は難しいけど、あきらめてない。必ずやる!立てないから座ったままだけど、口は動くから(笑)」

さすが、大病をしたとは思えないほど、よくしゃべってくれる花子さん。そしてリスナーから

「花子さんが闘病しているのを知りませんでした。私も血液のガンで失明したけど、(ガンが)脳にいかなくて良かったと思っています。花子さんの話で元気が出ました」

とメッセージが届いた。自分がラジオに出ることで、誰かを元気にできた事実を実感した。

 

また、本の表紙になった絵について森川が「このイラストがまたカワイイですね、花子さんが描いた絵ですか?」と質問。実は花子さん、手紙の返事やお礼状は印刷ではなく、リハビリもかねて手描きしているとのこと。そのかわいらしい、花子さんのイラストもこの本の魅力の一つとなっている。

 

最後に同じ病気仲間の原田アナウンサーへ。

「お互い長生きしましょう。目標は抗がん剤と闘って99歳まで生きること。原田さんは私の3つ下やから96歳まで(笑)花子も頑張りま~す!」

歯に着せぬしゃべりは健在。あきらめない気持ち、闘う強さを教えてくれた宮川花子さん。今、病と闘ってる方、そして病だけでなく様々な困難と闘う方へ勇気をくれる時間となった。

原田年晴 かぶりつきマンデー!
放送局:OBCラジオ大阪
放送日時:毎週月曜 11時00分~14時00分
出演者:原田年晴、森川由香、宮川花子(ゲスト)
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※該当回の聴取期間は終了しました。

ボブ・ディランの歌詞は「翻訳不可能」⁉ 村上春樹と柴田元幸が語る、シンプルな英語だからこその難しさ

作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「村上RADIO」。11月3日(火・祝)は、特別番組として『村上RADIO「翻訳夜話」スペシャル~音楽で仮定法を学ぶ~』をオンエア。今回は早稲田大学国際文学館の開館5周年を記念し、10月1日に小野記念講堂で開催された公開録音イベントの模様をお届けしました。

盟友である翻訳家の柴田元幸さんを迎え、進行役の坂本美雨さんとともに「音楽で仮定法を学ぶ」をテーマに白熱の翻訳談議を展開。ビーチ・ボーイズやエディット・ピアフなどの名曲に乗せて英語表現のニュアンスを紐解いたほか、方言・スラングの訳し方やAI時代における翻訳の未来、参加者からのQ&Aまで、言葉と文学の魅力が詰まった贅沢な時間となりました。

この記事では、この記事ではオープニングトークと、前半2曲について語った内容を紹介します。


(写真左から)坂本美雨さん、村上春樹さん、柴田元幸さん



◆Bread「If」

村上)では次いきますね。次は文字通りの「If」。これはもう仮定法以外ではありえないという選曲です。ブレッドが歌います。

<ブレッドの曲が流れる>

村上)この曲は僕が選んだんですけど、これ、歌詞がいいんですよね。

柴田)さっきの「If I Were a Bell」がすごくコミカルな比喩の連発だったとすると、こっちはちょっと教養がかっているんですね。いちばん初めのところが「If a picture paints a thousand words」、もしも絵というものが千の言葉を描けるなら、という言い方。なんで千かっていうと、「A picture is worth~(~の価値がある)」「A picture is worth a thousand words(一枚絵を見せれば千の言葉の値打ちがある/千の言葉と同じくらい多くのことが一枚の絵で伝わる)」という決まり文句があります。それを踏まえてるんですよね。

村上)あとは「If a face could launch a thousand ships(一つの顔が千の船を出帆させられるなら)」これは(ホメロスの叙事詩)「オデュッセイアー」の……。この間、映画「オデュッセイアー」を観てきて、その中でも出てましたね。ヘレネー、すごくきれいな人が千の船を進水させるんですよね。

柴田)ギリシャのあの辺はみんな海に国が面しているから、いくさに行くというと、まず船に乗るわけですね。美女ヘレネーを争っていくさが始まる。そうすると船がバーッと出るっていうことで、「The face that launched a thousand ships」という、その千の船をローンチ、出帆させた顔という決まり文句があるわけです。

村上)あと僕が好きなのは「一度に2ヵ所にいられるものなら、君と一緒に明日と今日にいたい。ずっと君のそばで」。これはロマンチックですね。

柴田)これは気が利いてますね。やっぱりデヴィッド・ゲイツという人は本当に秀才型ですね。

◆Bob Dylan「If Not for You」

村上)次は「If Not for You / Bob Dylan」。これは柴田さんの選曲ですね

柴田)高校の授業で多分みなさん習いますよね。If it were not for~(もし~がなかったら)、そういうフレーズがあるわけですけど。ずいぶん長いですよね。実際には、こういうふうに「If not for」という三語に縮めて、同じく「もし~がなかったら」という言い方に日常ではなることが多いです。まさにそれを使ってディランが「If Not for You(君がいなかったら)」という曲を作っています。

村上)僕が最初にこの曲を聴いた時、まだ高校生か何かで、「If not for you」がどういう意味かちょっとよくわかんなかったですね。

柴田)これは本当にフレーズの意味を知らないとわかりにくいですね。「If it were not for you」が「If not for you」というシンプルなフレーズに直されているということ。そして、この曲でやっぱり見事だと思うのは、ディランは音もすごいシンプルですけど、言葉もシンプルなんですよね。

村上)「If not for you, my sky would fall」は、エディット・ピアフも同じようなことを歌ってましたね。

柴田)確かに。簡単な言葉なんだけど、過激なことを言ったりもするんですね。あと「But it would not be new / If not for you(君がいなかったら、虚しく朝の光を待ってるだろう、朝の光が来ても、その光は君がいないから新しくないだろう)」と。new(ニュー)とyou(ユー)の韻の踏み方とか、こういうのは本当にもう翻訳じゃ全然よさを出せないですよね。

<ボブ・ディランの曲が流れる>

村上)なるほど。本当にボブ・ディランの歌詞って翻訳不可能なものが多いですよね。

柴田)かえって「サブタレニアン・ホームシック・ブルース」とか、難しい言葉を使ってくれるほうが訳しようがあるんだけど、この時期のアルバムとか、「ニュー・モーニング」か、あと「ジョン・ウェズリー・ハーディング」とか、あのあたりのシンプルな構成で作った歌は、本当にシンプルさこそが一番訳しにくい感じですね。

村上)僕が仮定法に興味を持つようになったのは、翻訳をやるようになってからです。仮定法をどう訳すかというのがすごく大事なんだなというのがわかってきたんですよね。
学校の時はあまり興味を持てなかったんですよね。嫌だなと思ってたからね。でも、仮定法を理解してないとうまく理解できないんですよ。

柴田)要するに、そこに書かれていることが事実か事実じゃないかっていうのが、文法のサインからわかるわけですよね。

村上)あとif~で、~wouldとかcouldだとわかりやすいんだけど、前がない場合が多いんですよね。だから、それは仮定法がわかってないとなかなか訳しづらいんですね。

◆The Beach Boys「Wouldn't It Be Nice」

村上)次は柴田さんの選曲でビーチ・ボーイズの「素敵じゃないか」。

柴田)これはですね、「Wouldn't it be nice(素敵じゃないか)」という、ご存知の方も多い曲だと思うのですが、ちょっと珍しいバージョンでお聴きいただきます。

<ビーチ・ボーイズの曲が流れる>

村上)素敵な曲ですよね。

柴田)素晴らしいアカペラ・バージョンで聴いていただきました。これはもちろん「Wouldn't it be nice(素敵じゃないかい)」というところが仮定法ですが、「Wouldn't it be nice if...」まで一緒に覚えていただくと、使い方がすごく広がります。itっていうのはいわゆるあんまり文法用語は使いたくないんですけど、仮主語っていうやつで、長い話をしたいときにとりあえずitと言っておいて、その後詳しく言うという仕組み。「Wouldn't it be nice if...(もしこうこうこうだったら、それは素敵じゃないだろうか)」という言い方ですね。要するに、今はまだ自分たちは子どもで自由が利かないけど、大人になったら何でもできるのにという、そういう楽天的な歌なんだけど、やっぱりビーチ・ボーイズがやるとどこか陰りがありますね。

村上)あの、状況説明をしますと、1960年代の半ばの歌ですよね。当時は結婚しなければセックスはできないということだったんです。だからこの歌では高校生同士のカップルで、このまま大人になれたらすぐに“やれる”のにね。という“やれる”って、言っちゃいけないのか、すぐに仲良くなれるのにね、ということが切実なんですよね。

柴田)そうですね。僕が一番好きなところは「Maybe if we think, and wish, and hope, and pray(もし考えて願って望んで祈ったら), it might come true(実現するかも)」。もうちょっと待てば実現するんですけど……。

村上)might come trueなんですね。

柴田)どこか物事がうまくいかないかもしれないというのが見えちゃってるような響きですね。ブライアン・ウィルソンの生きた人生とか、そういうこともつい考えてしまうので、余計そういうふうに思うのかもしれないんですけどね。

村上)でもこれはやっぱりすごく心がこもった歌だと僕は思います。

柴田)長年聴いていると本当にそう思うようになりました。

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<番組概要>
番組名:村上RADIO「翻訳夜話」スペシャル~音楽で仮定法を学ぶ~
放送日時:2026年11月3日(火・祝) 14:00~15:55
出演:村上春樹、柴田元幸、坂本美雨
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/

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