「ひとりの悲しみ/ズー・ニー・ヴー」"絵の見える歌詞"に書き換えた別曲が大ヒットした数奇な名曲

詞が命運を分けた…「ひとり悲しみ」 ©STVラジオ

ポプコン出身のシンガーソングライターで"選曲家"としても活躍する松崎真人が、'70~'90年代の日本の曲・日本語の曲を中心にイントロからアウトロまでノーカットでお届けするSTVラジオ『MUSIC☆J』。19時半過ぎにGS(グループサウンズ)の曲を紹介していますが、11月30日は「ズー・ニー・ヴー」というグループの楽曲を取り上げました。この曲、タイトルを聞いてもピンと来る方は少ないと思いますが、メロディラインを聞くと「え?!」と思う方は多いはずです。(文中敬称略)

松崎:1970年リリースのこの曲、エピソードを知ってる方と知ってない方がいらっしゃるので、敢えて説明せずに、まず曲をおかけします。

M07「ひとりの悲しみ/ズー・ニー・ヴー」(19時34分頃OA)

松崎:阿久悠が詩を書いて、筒美京平が作曲で、もう十分に良い曲で名曲の風格もあるんですが、残念ながら今ひとつヒットには及ばなかったんです。でも、プロデューサーの村上司が「もうワン・トライしたい」と言うことで、詞を書き直して、尾崎紀世彦が「ぜひ歌いたい」と言ったのが、「また逢う日まで」ということです。

松崎:「また会う日まで」の詞をわかっている方は頭の中で「あ、こことココが違う」とか思いながら、この曲を聴いたと思うんです。結果論ですが、やはり、売れた「また会う日まで」の方が"絵が見える歌詞"なんですよね。「ひとりの悲しみ」はちょっと観念的というか、頭の中を描いている感じがします。

松崎:やはり「♪ふたりでドアを閉めて、ふたりで名前消して」…これが(歌詞に)あることで、すごく絵が見えるんですね。僕は詩を書くので、そういう風に思いながら「あ~、なるほど」と思いながら聴きました。バック(演奏)は同じドラックを使っていますね。

「また逢う日まで」には様々なエピソードが残されていて、『MUSIC☆J』でも松崎真人がたびたび紹介しています。名曲には逸話が多いのは常ですが、タイトルと歌詞だけが違う"同じ楽曲"が存在する例は多くはありません。1971年のレコード大賞も取った「また逢う日まで」と、不世出の「ひとりの悲しみ」。日本のポップス界の伝説のひとつです。

【編集後記】
「恋しくて/Begin」 いわゆるイカ天が生んだ人気者は多いが、「名曲」「この1曲」という意味ではこの「恋しくて」とFLYING KIDSの「幸せであるように」を挙げたい。奇しくもこの2つのバンドはアミューズ所属となるところがまた興味深い。このあとBeginはマイペースで活動を続け、アミューズも粘り強くプロモーションを続けた。「10年に1曲の大名曲」を生み出せるバンドをサポートし続ける、というのは並大抵のことではない。そしてBeginは見事に結果を出し続けている。アミューズの凄さを感じる。(松崎 真人)

【11月30日のプレイリスト】
M01「ぼくがつくった愛のうた〜いとしのEmily〜/チューリップ」
M02「『いちご白書』をもう一度/バンバン」
M03「乙女座宮/山口百恵」
M04「ふたりはステディ/竹内まりや」
M05「内気なジュリエット/杉真理」
M06「想い出のストロベリーフィールズ/川島なお美」
M07「ひとりの悲しみ/ズー・ニー・ヴー」
M08「すてきなエルザ/ザ・ライオンズ」
M09「あせ/N.S.P」
M10「夕暮れ時はさびしそう/N.S.P」
M11「君と歩いてみたくて/N.S.P」

M12「そのキスが欲しい/沢田研二」
M13「天使よ故郷を見よ/アン・ルイス」
M14「RADIO MAGIC/EARTH SHAKER」
M15「イルカにのった少年/城みちる」
M16「真珠色の涙/城みちる」
M17「桃色吐息/高橋真梨子」
M18「ピンク・シャドウ/ブレッド&バター」
M19「六本木のベンちゃん/ザ・ナンバーワン・バンド」
M20「HOW!ワンダフル/倉田まり子」
M21「君は薔薇より美しい/布施明」
M22「恋しくて/BEGIN」

M23「キラキラ/小田和正」
M24「traveling/宇多田ヒカル」
M25「トラベリン・バス/矢沢永吉」
M26「明日へ/MISHA」
M27「ANNIVERARY/松任谷由実」
M28「空よ/トワ・エ・モア」
M29「この空を飛べたら/加藤登紀子」
M30「難破船/中森明菜」
M31「あのとき・・・・・・/安全地帯」

STVラジオ『MUSIC☆J』(毎週火曜~金曜 19:00~22:00)/RCCラジオ 同時生ネット

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MUSIC★J
放送局:STVラジオ 他1局ネット
放送日時:毎週火曜~金曜 19時00分~22時00分
※放送局によって日時が異なる場合があります。
出演者:松崎真人(まつざき・まこと):シンガーソングライター、選曲家。北海道札幌市出身。1984年ヤマハポピュラーソングコンテストで優秀賞を受賞し、85年「たわいないトワイライト」でデビュー。92年、佐木伸誘とユニット「Birthday Suit」結成。現在はソロでラジオパーソナリティやライブを中心に活動。
番組ホームページ

リクエストメール:mj@stv.jp
twitterハッシュタグ:#musicj 
(番組OA中は、マニアックな話題で盛り上がります)

70年代~90年代の日本のポップス・日本語のポップスを中心に"厳選かけ流し"でお届け。パーソナリティは、北海道出身のシンガーソングライター・松崎真人。音楽への深い造詣と知識に裏打ちされた含蓄あるトーク、選曲の幅広さでリスナーの支持を全国に広げている。松崎の"微妙な滑舌"も病みつきになります!。
★RCCラジオでも同時生放送(~21:50)

※該当回の聴取期間は終了しました。

江口のりこ×中条あやみ×笑福亭鶴瓶 大いに泣いて笑って元気になれる人生賛歌!『あまろっく』

ニッポン放送「ひろたみゆ紀のサンデー早起き有楽町」(日曜朝5時~)で、おススメの最新映画をご紹介しているコーナー『サンデー早起キネマ』。4月14日は、家族の絆と愛を描いた3本をご紹介しました。

その1本は、「人生に起こることは何でも楽しまな!」 関西出身の豪華キャストで贈る、笑って泣いてロックに生きるご実家ムービー『あまろっく』。

『あまろっく』  (c)2024 映画「あまろっく」 製作委員会

舞台は兵庫県尼崎市。ここには、船舶が通行できる日本一大きな尼崎閘門があって、“0メートル地帯”に海水が流れ込むのを防ぎ、水害から街を守っているのです。閘門は、英語でロックゲート、だから愛称は“尼ロック”!

この街で町工場を営む能天気な近松竜太郎の娘・優子は、「父のようにはなりたくない」と幼い頃から何でも頑張り、堅物だけれどエリート街道をまっしぐら! しかし、理不尽なリストラで失業し、39歳・独身にして尼崎に戻ってきます。昼間はゴロゴロ、夜は幼馴染がやっている駅前のおでん屋台でほろ酔いの日々。

そんなある日、65歳の父が突然「お父ちゃんは再婚します」と言いだし、なんと20歳の早希を連れてきます。役所で働く早希は、孤独な幼少期を過ごし、誰よりも“家族だんらん”を夢見ていたのです。ずっと年下の“継母”の登場に戸惑う優子は、共同生活を受け入れることができず、三人の日々は衝突と騒動の連続でした。

そしてある日、思いがけない悲劇が近松家を襲います。優子はこれまでの人生を振り返り、家族の“本当の姿”に気づいていくのです。

『あまろっく』  (c)2024 映画「あまろっく」 製作委員会

メガホンを取ったのは、小学生の時まで尼崎で育ったという中村和宏監督。数年前まで“尼ロック”の存在を知らなかったそうです。「日本一と言いながら知名度はほぼゼロで尼崎市民でも知らない人がほとんど。なんのアピールもせず、ただそこにいるだけで家族を守っている不器用な父親のようだと思った」といいます。そんな“尼ロック”の下で暮らすハチャメチャな面白い家族の物語を書きたかったとこの作品を作りました。

『あまろっく』  (c)2024 映画「あまろっく」 製作委員会

とても優秀なのに居場所がなくなる優子役は、江口のりこさん。愛想がなくて忖度もできないから、煙たがられて孤立してしまう……でも実は優しくて可愛い!という役が本当にピッタリでした。

若すぎる継母・早希には、中条あやみさん。家族になろうと一生懸命で「優子ちゃん、〇〇やで~」とグイグイと優子に切り込んでいく姿がキュート!中条さんのベタベタの関西弁も、魅力的。

そして、街の“尼ロック”のごとく、家族を見守る父・竜太郎役は、ニターっと笑う顔が憎めない笑福亭鶴瓶さん。最高です!「人生におこることは何でも楽しまな!」が口癖。

『あまろっく』  (c)2024 映画「あまろっく」 製作委員会

この作品を観ると、本当に、人生を楽しまなきゃっていう気持ちが沸々と湧いてきて、自然と胸を張り大きな歩幅でグングン歩いて行けそうな気になります。何があっても、そこから立ち上ってまた歩き出せるのが人間、支えてくれる家族や仲間がいれば尚更です。

大いに泣いて笑って元気になれる人生賛歌!この春あなたも元気をもらいに映画館に出かけませんか?

『あまろっく』  (c)2024 映画「あまろっく」 製作委員会

『あまろっく』
4月19日(金)新宿ピカデリー他 全国公開

江口のりこ 中条あやみ
松尾諭 中村ゆり 中林大樹 駿河太郎 紅壱子 久保田磨希 浜村淳
後野夏陽 朝田淳弥 高畑淳子 (特別出演) 佐川満男
笑福亭鶴瓶
監督・原案・企画:中村和宏
2024年 日本 /119 分 カラー シネスコ /5.1ch
配給:ハピネットファントム・スタジオ

(c)2024 映画「あまろっく」 製作委員会

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