プロ野球中継を無料で楽しめる配信サービス&ラジオ番組【2023年】

プロ野球中継の動画配信サービスは基本有料ですが、中には条件を満たすことで試合観戦ができるサービスがあることをご存知ですか? 本記事では、プロ野球ファンにおすすめしたい配信サービスとradiko(ラジコ)で聴けるプロ野球中継番組をご紹介します。

条件付きでプロ野球中継を「無料」で視聴できる動画配信サービス

一般的な動画配信サービスでは、登録内容や期間限定のキャンペーンによって、プロ野球中継を無料で楽しめます。新規加入すると一定期間は無料で楽しめる月額会員制サービスや、特定の球団を対象に無料LIVE配信される定額制サービスなど、内容もさまざまです。

これらの動画配信サービスのほとんどは、500円から1,000円程度の月額料金で多様なコンテンツを視聴できます。中には、無料会員登録をするだけで視聴できるサービスもありますが、回線が混雑すると有料会員が優先されるため、無料会員の場合はプロ野球中継を最後まで視聴できないデメリットも発生するため、注意が必要です。

視聴できる試合が多い有料のスポーツ中継配信サービス

近年はCS放送のほか、スポーツ中継に特化した動画配信サービスも充実しており、1軍戦はもちろん、ファーム(2軍)の試合やハイライト、見逃し配信にオリジナル番組など、コアなプロ野球ファンにはたまらないコンテンツが満載です。12球団の試合をほぼ毎試合視聴することができ、スマホやタブレット、パソコンなどさまざまなデバイスから視聴可能です。

いつでもどこでもプロ野球中継が手軽に楽しめる分、月額料金は3,000円〜5,000円程度と高く、配信速度や画質もネット環境によって異なります。CS放送の場合、家庭によってアンテナの設置も必要なため、より金銭的な負担がかかることも頭に入れておきましょう。

プロ野球中継はラジオも楽しい!

現在ではテレビ中継や動画配信など、映像の魅力をふんだんに押し出したプロ野球中継を気軽に楽しめるようになりました。一方、ラジオでも全国各地で臨場感溢れるプロ野球中継が放送されています。ラジオならではのプロ野球中継の魅力をご紹介します。

五感をフル活用した実況中継

ラジオ中継の醍醐味は、実況アナウンサーと解説者の”喋りのみ”で繰り広げられる"音だけの世界"。選手の動きや打球音、観客のざわめき……。ワンシーン、ワンプレーにおける細かな情景描写によって、リスナーの想像力を大いに掻き立ててくれます。

選手の表情やベンチの様子、球場の雰囲気に臨場感、実況アナウンサーや解説者が独自で手に入れた情報が聴けるのも魅力のひとつです。

"ながら聴き"で楽しめる

ラジオにおける最大の魅力は、別の作業をしながら聴く"ながら聴き"が楽しめることです。勉強や家事、運転中など自らの生活スタイルに合わせた楽しめみ方ができます。

「エリアフリー」でプロ野球全球団の試合中継が聴ける!

「エリアフリー」は、通常のradiko(無料・放送エリア内聴取)とは異なり、日本全国のラジオ局の番組を聴ける(有料・放送エリア外聴取)radikoプレミアム会員限定のサービスです。「タイムフリー」にも対応し、過去1週間の番組を遡って聴けます。

「エリアフリー」では、お住まいの地域だけでなく、全国のラジオ局で放送されている番組を聴くことができるので、プロ野球全球団の試合中継はもちろん、各球団を応援する番組を聴くことが可能です。「応援している球団がエリア外にある」、「ビジター戦の試合中継も楽しみたい」というプロ野球ファンにおすすめです。

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全国のラジオ番組が聴けるradikoプレミアム会員限定サービス「エリアフリー」【radiko使い方ガイド】

【2023年版】プロ野球中継が聴けるラジオ番組

全国のラジオ局で放送されている、主なプロ野球中継番組をご紹介します。

主なプロ野球中継番組一覧

北海道日本ハムファイターズ
HBCラジオ『ファイターズナイター』、STVラジオ『STVファイターズLIVE』

東北楽天ゴールデンイーグルス
TBCラジオ『TBC POWERFUL BASEBALL』

埼玉西武ライオンズ
文化放送『文化放送ライオンズナイター』、NACK5『SUNDAY LIONS』

読売ジャイアンツ
ニッポン放送『ショウアップナイター』、ラジオ日本『ラジオ日本ジャイアンツナイター』

中日ドラゴンズ
CBCラジオ『CBCドラゴンズナイター』、東海ラジオ『ガッツナイター』

阪神タイガース
ABCラジオ『ABCフレッシュアップベースボール』、MBSラジオ『MBSベースボールパーク』

広島東洋カープ
RCCラジオ『Very カープ!RCCカープナイター』

福岡ソフトバンクホークス
RKBラジオ『RKBエキサイトホークス』、KBCラジオ『KBCホークスナイター』

北海道日本ハムファイターズ

HBCラジオ『ファイターズナイター』

「ファイターズ熱烈応援実況」と謳い、地元球団・北海道日本ハムファイターズ重視による実況で楽しめる中継番組です。平日(火曜~金曜)に開催されるファイターズ戦の試合を試合終了まで中継します。岩本勉さんや田中幸雄さん、建山義紀さんらファイターズを代表するOB陣が解説を担当します。

HBCファイターズナイター
放送局:HBCラジオ
放送日時:毎週火曜・木曜~金曜 17時57分~21時00分
番組ホームページ

※放送情報は変更となる場合があります。

STVラジオ『STVファイターズLIVE』

平日(火曜~金曜、祝日除く)に開催されるファイターズ戦のナイターを中心に、試合終了まで完全実況生中継。西崎幸広さんや白井一幸さんらファイターズOBの解説陣とともに、選手たちの全力プレーを鮮明に応援します。

STVファイターズLIVE
放送局:STVラジオ
放送日時:毎週火曜~木曜 17時55分~21時00分
番組ホームページ

Twitterハッシュタグは「#stvradio」

※放送情報は変更となる場合があります。

東北楽天ゴールデンイーグルス

TBCラジオ『TBC POWERFUL BASEBALL』

平日(火曜~金曜)に開催される東北楽天ゴールデンイーグルス戦を中心に、試合終了まで生中継。土曜、日曜、月曜は楽天戦がある場合のみに放送されます。2009年の首位打者・鉄平さんや、セットアッパーとして活躍した山村宏樹さんら楽天OBが解説者を務めます。

TBC POWERFUL BASEBALL
放送局:TBCラジオ
放送日時:毎週日曜・火曜~木曜・土曜 17時59分~21時00分
番組ホームページ

※放送情報は変更となる場合があります。

埼玉西武ライオンズ

文化放送『文化放送ライオンズナイター』

2022年4月で放送40周年を迎えた、文化放送ではおなじみのナイター中継番組。サブタイトルに「〜We are パ・リーグ ピープル~」とあるように、埼玉西武ライオンズを軸にパ・リーグ全体を応援します。6月17日(金)からは、国内のラジオでは初となるプロ野球中継でのYouTube Live同時生配信を開始しました。

試合中には当日のMVP予想をメールで募集し、的中した人には番組オリジナルステッカーをプレゼントしています。

文化放送ライオンズナイター
放送局:文化放送
放送日時:毎週火曜~水曜 17時45分~21時00分
番組ホームページ
公式Twitter

Twitterハッシュタグは「#ライオンズナイター」,「#パリピ」

※放送情報は変更となる場合があります。

NACK5『SUNDAY LIONS』

NACK5の地元・埼玉に本拠地を置く、埼玉西武ライオンズの日曜日の試合を試合終了まで完全生中継。ライオンズ重視による応援を始め、攻撃時や守備時に所属選手のさまざまなジングルが流れるのも特徴です。中継の合間には、リスナーから届いたライオンズへの応援メッセージも紹介されます。

SUNDAY LIONS
放送局:NACK5
放送日時:毎週日曜 12時55分~17時00分
番組ホームページ
公式Twitter

※放送情報は変更となる場合があります。

読売ジャイアンツ

ニッポン放送『ショウアップナイター』

ニッポン放送の看板プロ野球中継番組。日本の民放ラジオ局で唯一、プロ野球全12球団のホームゲームの中継の放送が可能な体制を採っています。月曜を除いた曜日で、読売ジャイアンツ戦を中心としたプロ野球中継を放送しています。

3回に分けてクイズが出題されるコーナー「クイズ・トリプルチャンス」を始めとした視聴者参加企画も豊富で、抽選で選ばれたリスナーに豪華賞品や現金のプレゼントがあります。

ショウアップナイター
放送局:ニッポン放送
放送日時:毎週日曜・火曜~土曜 18時00分~21時00分
番組ホームページ
公式Twitter

Twitterハッシュタグは「#showup1242」

※放送情報は変更となる場合があります。

ラジオ日本『ラジオ日本ジャイアンツナイター』

60年以上にわたって放送されている読売ジャイアンツ戦専門のプロ野球中継番組。平日(火曜~金曜)に開催されるジャイアンツ主催試合を中心に、試合終了までお送りします。篠塚和典さんや高橋由伸さんら、ジャイアンツの一時代を築いた人たちが解説者を務めます。

ラジオ日本ジャイアンツナイター
放送局:ラジオ日本
放送日時:毎週金曜 17時55分~21時39分
番組ホームページ
公式Twitter

※放送情報は変更となる場合があります。

中日ドラゴンズ

CBCラジオ『CBCドラゴンズナイター』

平日(火曜~金曜)に開催される中日ドラゴンズ戦を中心に原則試合終了まで完全生中継。土曜、日曜、月曜は中日戦がある場合のみ放送されます。レギュラー解説者には小松辰雄さんや牛島和彦さん、川上憲伸さんらドラゴンズを代表するOBたちが名を連ねます。

CBCドラゴンズナイター
放送局:CBCラジオ
放送日時:毎週火曜~水曜 17時57分~21時00分
番組ホームページ
公式Twitter

※放送情報は変更となる場合があります。

東海ラジオ『ガッツナイター』

東海ラジオが開局した1960年から放送されているプロ野球中継番組。中日ドラゴンズ戦を中心に試合終了まで生中継。他球団のカードが放送される場合は、平日・土日問わず9回の攻防まで放送されます。

ドラゴンズステーション東海ラジオガッツナイター
放送局:TOKAI RADIO
放送日時:毎週火曜~水曜 17時56分~21時00分
番組ホームページ
公式Twitter

Twitterハッシュタグは「#ガッツナイター」

※放送情報は変更となる場合があります。

阪神タイガース

ABCラジオ『ABCフレッシュアップベースボール』

『虎バン主義。』をテーマに、阪神タイガース戦をを全力で応援するABCラジオのプロ野球中継番組。タイガース戦のほか、近畿地方に本拠地を置くプロ野球チームの主催試合を試合中継までお送りします。吉田義男さんや岡田彰布さん、桧山進次郎さんらタイガースOBもレギュラー解説者として出演します。

※放送情報は変更となる場合があります。

MBSラジオ『MBSベースボールパーク』

関西地方に本拠地を置く阪神タイガースの公式戦を中心に、オリックス・バファローズなどの公式戦を試合終了まで放送。定期的に放送される番外編では、野球好きの著名人をゲストに招いてのトークや野球にまつわる特集で盛り上がります。

タイガース全力応援宣言 MBSベースボールパーク
放送局:MBSラジオ
放送日時:毎週火曜~土曜 17時54分~21時25分
番組ホームページ
公式Twitter

Twitterハッシュタグは「#BBP1179」

※放送情報は変更となる場合があります。

広島東洋カープ

RCCラジオ『Very カープ!RCCカープナイター』

RCCラジオの地元・広島県のプロ野球球団、広島東洋カープの試合を原則、試合終了まで全試合完全中継。安仁屋宗八さん、山崎隆造さん、天谷宗一郎さんら経験豊富なカープOB陣による的確な解説で一球一球を熱く伝えていきます。

Veryカープ!RCC
放送局:RCCラジオ
放送日時:毎週日曜・火曜~水曜・金曜~土曜 17時57分~21時04分
番組ホームページ
公式Twitter

Twitterハッシュタグは「#carp」

※放送情報は変更となる場合があります。

福岡ソフトバンクホークス

RKBラジオ『RKBエキサイトホークス』

「143人の日替わりヒーローは誰だ?」をキャッチフレーズに、福岡ソフトバンクホークス戦を全試合放送。番組では毎試合の中でヒーローを選び、各月の「マンスリーヒーロー」を選出しています。そのほか、マンスリーヒーローたちの戦いや優勝への想いなどが語られた独占インタビューもお届けします。

RKBエキサイトホークス
放送局:RKBラジオ
放送日時:毎週日曜・火曜~土曜 17時48分~21時00分
番組ホームページ
公式Twitter

Twitterハッシュタグは「#rkbhawks」

※放送情報は変更となる場合があります。

KBCラジオ『KBCホークスナイター』

福岡ソフトバンクホークス戦を全試合、試合終了まで実況中継。番組公式Twitterでは、Twitter限定の「カチタカ!クイズ」を実施。正解者の中から抽選で1名にホークスとのコラボグッズがプレゼントされます。

KBCホークスナイター
放送局:KBCラジオ
放送日時:毎週火曜~水曜・金曜 17時55分~21時00分
番組ホームページ
公式Twitter

Twitterハッシュタグは「#カチタカ」

※放送情報は変更となる場合があります。

まだまだある!そのほかプロ野球中継が聴けるラジオ番組

そのほか各地域で放送されているプロ野球中継番組は下の記事でご紹介しています。

radikoで聴ける!プロ野球中継が聴けるラジオ番組【2023年度】

聴けばプロ野球が一層楽しくなる! 全国の球団を応援するラジオ番組【東日本編】

聴けばプロ野球が一層楽しくなる! 全国の球団を応援するラジオ番組【西日本編】

この記事を書いた人

radiko編集部

radiko編集部員が「ラジコを通じて、ラジオの良さをもっと知ってもらい、皆さんが面白い番組に出会うキッカケ」になるように、ラジオ各局の情報をまとめて発信中。radiko newsでは、新番組へのインタビュー、さまざまなテーマに沿ったまとめ記事など、独自の切り口でも番組をご紹介しています。ラジコ公式SNSの情報更新も行なっています。

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生まれた時からシェアハウスで生活。社会活動家・石山アンジュが立ち上げた“拡張家族”とは?

社会活動家の石山アンジュさんが、シェアリングエコノミーの必要性や、活動のルーツとなった「実家がシェアハウス」という特殊な環境での生活体験、さらには自身が実践する“多拠点ライフ”の魅力などについて語った。

石山さんは1989年4月20日生まれの34歳。シェアリングエコノミーを通して新しいライフスタイルを提案する様々な活動を展開し、注目を集める人物だ。

石山さんが登場したのは、俳優の小澤征悦がナビゲーターを務めるJ-WAVEの番組『BMW FREUDE FOR LIFE』(毎週土曜 11:00-11:30)。同番組は、新しい時代を切り開き駆け抜けていく人物を毎回ゲストに招き、BMWでの車中インタビューを通して、これまでの軌跡や今後の展望に迫るプログラムだ。

そもそも“シェアリングエコノミー”とは?

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石山さんを乗せた「BMW iX1 xDrive30 M Sport」は、J-WAVE本社がある六本木から、彼女の出身地である横浜方面へと走り出した。

石山さんは新卒で株式会社リクルートへ入社。その後、ベンチャー企業を経て、2016年に一般社団法人シェアリングエコノミー協会の立ち上げに携わり、現在は同協会の代表理事を務めている。

まずは“シェアリングエコノミー”とはどのような概念なのか。首都高を走る車内にて、流れる景色を眺めながら語ってもらった。

石山:シェアリングエコノミーは、古くて新しい概念と言えます。確固たる定義は、実は世界的に見てもないのですが、いわゆる日本のお醤油の貸し借りのようなことも、広義ではシェアリングエコノミーです。この概念がデジタル社会に移行していく中で、誰がお醤油を持っていて、誰がお醤油を必要としているのか、スマートフォン上で可視化され、世界中の人と取引・決済ができるようになり、近年、新しい経済の形として注目されているわけです。具体例を挙げると、個人間で自家用車を共有する「カーシェアリング」が有名ですし、また、「シェアサイクル」のようなモビリティを複数の人でシェアするというサービスもあります。空間のシェアリングだと、Airbnbなどの民泊が代表的です。このほか、スキルのシェアリングとして、子守や介護、家事に関連したサービスもあります。

今の時代、都市化が進み、また、大量生産・大量消費型の経済成長を遂げてきたことによって、人と人との繋がりが希薄になっています。共同生活をする必然性がほとんどなく、お金さえあればすべて解決できてしまうため、一人暮らしが増え、東京では単身世帯がほぼ半分を占めているのが現状です。そうなってくると、やはり孤独だし、孤立してしまう。そんな中で、シェアリングエコノミーは人との繋がりを緩やかに取り戻してく概念であり、人の温かみが感じられる経済を作っていく在り方ではないかと思うんです。現在、SDGs、サスティナビリティが盛んに唱えられていますが、シェアは究極のサスティナブルなモデルです。そもそも新しいものを作らないし、捨てもしない。でも、誰かにとっての不用品が誰かにとって価値あるものになる。経済に貢献すると同時に、ゴミを生み出さずモノが循環していくというサスティナビリティを実現する……そんな社会モデルであると考えています。

「パーティーをしている中で生まれ育ちました」

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石山さんがシェアリングエコノミーを世の中に広める活動をするに至ったきっかけは、作家でソーシャルイノベーターのレイチェルボッツマンの著書「シェア」との出会いだった。同著の中で提唱された「共有消費」は、アメリカ・タイムズ誌による「世界を変える10のアイデア」に選出されている。石山さんは社会人3年目の時にこの本を読み、これまで自分が感じてきたことの“答え”を見つけたような感覚になったのだとか。

このように、引き寄せられるようにシェアの概念と出会い、行動の指針の一つとした背景には、彼女のある特殊な家庭の事情があった。

石山:私の実家は、南米ブラジルを中心に海外生活をしていた父が、世界各国を転々とする中で出会った人たちが来日した際に長期滞在する場所でした。また、父はブラジルの音楽「サンバ」のチームを運営しているんですけど、音楽のコミュニティに所属する人たちが出入りすることもよくあって。そんな背景もあって、実家はある時に改造し、今に至るまでシェアハウスとして運営しています。私は一人っ子なのですが、そういった家庭で様々な肩書を持つ大人、おにいさん、おねえさんに囲まれながら、みんなが爆音でパーティーをしている中で生まれ育ちました。それが当たり前でしたし、人見知りもなかったです。のちに学校へ通い始め、お友達のお家へ遊びに行くようになってようやく、それが普通じゃないんだと気付かされましたね。

“拡張家族”との生活で大切にしていること

生まれたときから多様な人種、様々な職業の大人が家にいて、幼い頃から血縁関係のないおにいさん、おねえさんと遊ぶ日々……そんな、暮らしをシェアすることが当たり前の環境で育った石山さんは、自身でも”拡張家族”として共同生活を送るコミュニティ「Cift」に立ち上げから関わり今も暮らしている。

石山:拡張家族「Cift」は、「血縁に依らず相手を家族だと思ってみよう」という意識を持ち、共に生活をするコミュニティです。2017年の立ち上げ時は38人だったのですが、現在約110人のメンバーがいます。シェアハウスは東京と京都に2つ。コロナ禍の流れもあって、必ずしも共に生活するというだけではなく、シェアハウスに住んでいない人でもコミュニティに属していて一緒に“家族”をやっています。家族の年齢層は幅広く、下は0歳から上は60代まで。家族の職業は、校長先生に画家、政治家、料理研究家、ミュージシャンなど多種多様で、日々、仕事のコラボレーションが生まれ、何かあれば誰かのスキルをシェアできるのも特徴です。渋谷のど真ん中に建つマンションのワンフロアを借り受けた東京の拠点には、19部屋の個室に、大きなリビングと大きなキッチンがあるという造り。一方、京都のシェアハウスは、かつての学生寮をリノベーションした拠点で、古い建物と大きな畑が付いています。

コミュニティとして大事にしているのは、100人いれば100通りの家族観・価値観があるということ。そのことを踏まえた上で、共に生きていく覚悟があるのか、ぶつかったときに対話を諦めないか。会社組織とは違うので、家族として何かトラブルがあったときには話し合いで解決するしかありません。そのため、話し合いに向き合うことができるか、どうかということを重視しています。
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“多拠点ライフ”がもたらす人生の豊かさ

「Cift」が運営する東京のシェアハウスに暮らしつつも、石山さんは一処にとどまることなく、日本各地で生活を営んでいるという。彼女が実践する“多拠点ライフ”の魅力とは?

石山:4年前から大分県豊後大野市の農村集落に、空き家バンクから築90年の古民家を借りて、ひと月のうち一週間ほど暮らしています。テレビ出演の際に東京へ帰ってくるので、東京のシェアハウスにいるのは月10日くらい。それ以外の2週間は、全国の地域課題をシェアで解決する自治体との取り組み「シェアリングシティ」を行っている関係で、様々な地域に滞在しています。各地域ではビジネスホテルに宿泊するのではなく、シェアハウス・ゲストハウスに泊まっていろんな方と交流するよう心がけていますね。

こうした多拠点ライフには、一日たりとも同じ日がありません。毎日新しい世界に移り住んでいるような感覚があります。その地域ならではのローカルな日常に溶け込む体験を通し、その地域の多彩な魅力に触れられている気がします。何より、行けば行くほど人との繋がりができるため、その繋がりによって“帰りたい場所”になり、何かあったら助け合える関係にもなれる。そういった繋がりの輪が増えていくことこそ、多拠点ライフの魅力だと思います。

地域との繋がりの中で、石山さんが今熱中していることの一つが、今年で3年目を迎える田んぼでの米作りだという。

石山:知り合いの農家さんからお誘いいただいたことをきっかけに、お米を完全無農薬で作っているんです。広さは二反で、うまくいけば、一反あたり年間400キロほどのお米を収穫できます。農機具は地域の方とシェアしながら使わせてもらい、作り方はローカルな繋がりの中で教えていただいているんです。6月の田植えと10月の収穫の時期には、東京や福岡から友だちを20~30人くらい呼んで、一緒に田植えや収穫祭をしています。自分が都市とローカルのHubとなり、参加してくれた人がまた定期的に来るようになっていくという形で続けて、今年で3年目となります。

ルールを作るための学校も運営

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石山さんのミッションは「新しい概念や新しい豊かさの物差しを世の中に広げていくこと」。その理想を実現するべく、新たなルールを作るための学校の運営にも携わっているとのことだ。

石山:新しい価値観が世の中に生まれたとき、社会の誰もが使えるようになり、また、誰もが居心地いいと思える形で実装していくには、法律や制度を作らなくてはなりません。しかし、今の社会において、ルールを策定するための知識やスキルを持った人は少ない気がするんです。それこそ「ChatGPT」など、政治家ですら初めて出会うような概念は、知っている人がルールのデザインをしていかなければいけないわけで。また、シルバー民主主義の中では、若い世代の思いが政治家に伝わっておらず、認知されにくいという現状があります。そこで、若者の声を政治家に届けたり、世の中に問うたり、議論したりする場を作る必要性を感じ、40歳以下の方が学ぶルールメイキングスクールとなるシンクタンク・コミュニティを2018年に起業しました。

このルール作りの学校は、一般社団法人Public Meets Innovationによるもので、石山さんも講師の一人として参加している。もともと弁護士やロースクール生などを対象としていたが、間口を広げ、今は40歳以下であれば誰でも参加できるようにしたことで、20~30代のほか、高校生の参加も目立つという。高校生たちにとっては、もっとも身近なルールと言えば校則だ。そういった現行のルールが本当に必要か否かを考え、議論する場になっているそうだ。

このように、シェアリングエコノミー・多拠点ライフの提唱及び実践、ルール作りの学校運営とパラレルに活躍する石山さんにとって「未来への挑戦=FORWARDISM」とは?

石山:コロナ禍以降、社会は大きな転換期を迎えています。本当に先が見通せないし、戦争も終わらないし、物価も高騰し続け、自然災害が多発している。「これから大丈夫かな?」という不安を一部の人だけではなく、誰しもが持つ時代に私たちは生きています。そういった生きづらさや不安、孤独を抱えてしまう世の中でも、豊かに生きていける在り方をどんどん提案していきたいです。その豊かさの物差しの一つが、積み上げていく思考から、分散していく思考への転換だと思うんです。個人のライフスタイルや経済、社会モデルを分散型にしていくことを「シェア」の思想を通じて広げていく。それが私にとっての「FORWARDISM」です。

(構成=小島浩平)

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