ウクライナ戦争で変化する北方領土問題、返還への希望は

渡辺麻耶が木曜日のDJを担当するFM FUJIの番組『Bumpy』(毎週月曜~木曜、13:00~18:50)内のコーナー「CLOSE UP TODAY」(毎週木曜、17:35~)。9月21日のオンエアにフリージャーナリストの松田宗弘さんが出演し、北方領土(北方四島)の返還問題について解説しました。

松田:今日は北方領土(北方四島)の返還問題を考えます。6月9日付けの山梨新報で書いた「緊張する日露関係下での北方領土問題」という講演会の採録記事をご紹介します。安全保障を専門とし、北方領土への渡航歴が7回という東海大学海洋学部の山田吉彦教授による講演の内容です。「緊張する日露関係」の背景には当然、昨年2月に始まったロシアによる「ウクライナ侵略」があります。ウクライナはロシアと隣接する西の端。日本は東の端。ロシアは東西で侵略を繰り返し、全く変わらない。だからこそ、北方領土問題を真剣に考えるべきと思い、今日、取り上げました。

麻耶:まず、基本的なところからですが、北方四島の位置、歴史・沿革から伺えますか。

松田:はい。ひし形の北海道の東端に突き出た2つのうち下の方が根室半島です。そこから東の海上に「歯舞(はぼまい)群島」、「色丹島(しこたんとう)」、その北に大きく細長い「国後島(くなしりとう)」、「択捉島(えとろふとう)」があり、これが北方四島です。ロシア系住民の人口は計1万7000人を超え、以前は、ほぼ同数の日本人が住んでいました。だから本来、日本固有の領土なのですが、太平洋戦争で日本が負けた後、当時のソ連が不法占拠し、今もその状態が続いているので返還せよ――というのが北方領土問題です。不法占拠の理由ですが、敗戦は1945年8月15日。ソ連は日本との「日ソ不可侵条約」を8月9日に突然、破棄し対日宣戦布告しました。8月15日に日本が降伏した直後の8月28日から約1週間でソ連は北方四島を占領した――。いわば、“火事場泥棒”に当たる正当性のない侵略で、今のウクライナ戦争も“侵略”という意味で全く同じです。

麻耶:不法占拠から間もなく80年ですが、返還交渉は暗礁に乗り上げているのですね。

松田:はい。戦後の両国関係はゴルバチョフ書記長時代の1991年のソ連崩壊後、緊張緩和しました。次のエリツィン大統領を経て2000年にプーチン大統領が就任し、2014年にウクライナの領土のクリミアを電撃的に併合。独裁体制は加速し、昨年2月にはついに国際法違反のウクライナ侵略を開始、日ロ関係は今、最悪です。その中での北方領土返還交渉の行方ですが、山田先生は「将来の返還をイメージし新たな戦略を」と指摘されました。

麻耶:具体的にどう向き合っていけばいいのでしょうか。

松田:ウクライナ戦争開始後、北方領土のロシア人は、日本のおかげで経済が成り立っているため、日本の存在は重要度を増しているといいます。たとえば、択捉島、色丹島のロシア系水産加工工場の一番の販売先は米国ではなくなった。日露のサケ・マス交渉も直ぐに妥結した。許認可はプーチン氏まで上がらず、サハリン州が決め、北方領土返還交渉で交流してきたロシア人が多くいたからこそ妥結したそうです。国家間は領土・主権で譲れないが、国境を接する人たちはともに生きている。その意味で、これまでの「領土返還運動」や「ビザなし交流」は大きな役割を果たし、相互理解を確認できた、としています。

麻耶:国家間の対立とは別に、地域間交流から光明が見えている感じがしますよね。

松田:はい。山田先生によると、いずれ、プーチン大統領もウクライナ戦争で何らかの妥協をせざるを得ず、最終的にロシアは日本との安定を求めねばならないだろうと。だからこそ今、日本はやるべきことが見えていて、「北方領土が帰ってきたときのイメージを作り、新たな戦略を取るべき時期に来ている」というのです。さらに具体的に言うと、日本人が今後、四島に渡れるようになったとき、一気に日本化してしまう。水産加工工場は日本を相手にしなければ生きていけない。四島に当初あった「日ロ共同経済活動」の中の風力発電、海産物の養殖、温室野菜の栽培、ごみの減量化は、日本ならすぐにできる。また、北方領土の観光は8月中旬から冬が到来する10月までと短期間である中、根室からの「日帰り観光」しかない。ビザなし交流時には、ロシア系住民は日本で健康診断をしていたという。医療技術が高いから。四島で売っている雑貨品は日本の「100円ショップ」から仕入れており、北方領土のロシア系住民は今も「日本に来たい」そうです。

麻耶:北海道と四島のロシア系住民との交流がこんなに活発だとは意外でした。そこに「領土返還への希望があるのでは」ということですね。

松田:はい。山田先生は、「今こそ北方領土問題に目を向け、困っている人たちとどう付き合っていけるかを考え、領土を取り戻す日をイメージして活動することが重要」と強調されました。継続は力。地道な活動でも、継続していればいずれチャンスにつながるのではないか。北方領土問題を通じ、そんなことを考えさせられました。

Bumpy
放送局:FM FUJI
放送日時:毎週月曜~木曜 13時00分~18時50分
出演者:鈴木ダイ(月)、上野智子(火)、石井てる美(水)、渡辺麻耶(木)
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オレンジスパイニクラブ、初のレギュラー冠番組! 『オレンジスパイニクラブのラジオによろしく!』が5月5日(日)より放送スタート!

インターエフエム(東京:89.7MHz 横浜:76.5 MHz)は、オレンジスパイニクラブ初めての冠レギュラー番組『オレンジスパイニクラブのラジオによろしく!』を2024年5月~7月の期間限定で毎週日曜23時30分に放送いたします。初回放送は5月5日(日)、メンバーが今後番組内でやりたいことなど話す盛り沢山な30分間を予定しています。3ヶ月間どのような内容になるのか、お楽しみに!

 

■番組概要
オレンジスパイニクラブ“初”冠番組『オレンジスパイニクラブのラジオによろしく!』
バンド活動の裏話や音楽への想いなどを、メンバー4人が赤裸々に語ります。
4人の仲睦まじさが垣間見れる!?音楽&トークプログラム。

時には「#オレラジ 」でリスナーと会話してみたり。時にはゲストを呼んでみたり。時には生放送してみたり。
とにかく「ラジオっぽいことをやってみる」30分にしていくので、よろしく!

タイトル:オレンジスパイニクラブのラジオによろしく!
放送日時:毎週日曜日 23:30-24:00
出演者:オレンジスパイニクラブ
番組ページ:https://www.interfm.co.jp/oreradi
番組ハッシュタグ:#オレラジ
メールアドレス:oreradi@interfm.jp

■DJプロフィール
オレンジスパイニクラブ

スズキユウスケ(Vo、Gt)、スズキナオト(Gt、Cho)、ゆっきー(Ba、Cho)、ゆりと(Dr)からなる茨城県出身の4人組バンド。
2020年1月に初全国流通1stミニアルバム 「イラつくときはいつだって」をリリース。第13回CDショップ大賞入賞 関東ブロック賞受賞。収録曲の「キンモクセイ」がSNSを中心に話題となり、音楽配信サービスの総再生回数は1.5億回をこえる。また Apple Music、Spotify、LINE MUSICなど各音楽配信サイトのチャートでも1位を獲得した。同年11 月に2ndミニアルバム 『非日常』を発売。そして2021年10月にワーナーミュージック・ジャパンよりメジャー1stフルアルバム 「アンメジャラブル」 をリリース。2022年3月にはインディーズ時代の廃盤になった3作品から、バンドの初期衝動が詰め込まれた楽曲再録と新曲を収録した1st Digital EP 「hodgepodge」 をリリース。収録曲の「みょーじ」は日本テレビ系「スッキリ」 1月テーマソングに抜擢。2023年9月20日にメジャー2ndフルアルバム「Crop」をリリース。2024年1月24日にはテレビ東京ドラマ25「ハコビヤ」(毎週金曜24:52~)のエンディングテーマとして書き下ろした「六号線」をリリース。日常を連想させる歌詞やどこか哀愁を漂わせるメロディー、その中に垣間見える熱量やパンクロックの精神がライブシーンのみならず、若者を中心に注目されているバンドである。

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