吉田拓郎は“昭和・平成維新の存在”音楽プロデューサーが軌跡たどる

音楽プロデューサー・松尾潔氏

6月29日に最後となるアルバムをリリースした吉田拓郎。フォークシンガーとして初めてアイドル的な人気を博し、アーティストとして自らレコード会社を立ち上げた姿は坂本龍馬にもなぞらえられた。日本におけるカバーアルバムの原型を作り、ラジオでは“教祖”として君臨。筒美京平が危機感を覚えたという時代のカリスマの軌跡を、音楽プロデューサー・松尾潔が、出演したRKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』でたどった。

フォークシンガーでありながらアイドル的人気

吉田拓郎さんについては、CDを買ったことがない人でも「何か聞いたことがある」「お父さんが好きだった」というふうに、広く浸透している存在です。その吉田拓郎さんは76歳。昭和21年の生まれで、戦後生まれを代表するスターの1人です。引退の理由はいろんなところで語っていますが、「余力のあるうちに、これだっていうものを作って引退したい」ということでリリースしたのが今回のアルバムです。

タイトルは「ah-面白かった」。そのジャケットにはそっけない感じで、そこらにあるペンを使って書いたような文字ですが、下に「光一」って書いてあって、これ堂本光一さんの直筆なんですよ。1996年に始まったテレビ番組『LOVE LOVEあいしてる』で吉田拓郎さんはKinKi_Kidsの2人と共演していました。

KinKi_Kidsの音楽的師匠、音楽的お父さんとして親しまれましたが、吉田拓郎さんの功績はほかにもたくさんあります。デビューしたのは1970年で、当時フォークシンガーとして初めてアイドル的な人気を博した人だと言われています。吉田拓郎さん以前から「日本のボブ・ディラン」って言われた人って、自称も含めてたくさんいました。岡林信康さんとか、政治的メッセージの強い人が。

それが吉田拓郎さんの登場によって、別次元の人気になって、フォークという言葉の定義さえ変わっていきました。つまり「芸能」という大きなところに対するアンチとして出てきたフォークなんだけど、やっぱりフォークシンガーを名乗りながらでも、芸能的な魅力、アイドル的な魅力がある人は「抗いがたい人気がある」と証明したんですね。

そもそも日本のフォークシンガーがみんな憧れたアメリカのボブ・ディランが、非常にルックスが良くてアイドル的な人気もあった人で、その部分をきちっと日本にローカライズして、広く魅力をアピールできたのが吉田拓郎さんだったと思うんです。

日本の音楽史上“初めて”づくしの吉田拓郎

吉田拓郎さんが初めて成し遂げたことはほかにもたくさんあって、メジャーのレコード会社ではなく自分たちで75年にフォーライフ・レコードっていうのを立ち上げたのは、これもセンセーショナルなことです。フォーライフ・レコードは吉田拓郎さんと井上陽水さん、小室等さん、泉谷しげるさんの4人が中心になって作りました。アーティストが自らレコード会社を立ち上げるのは、挑戦的な行為ということで、明治維新のときの坂本龍馬とかになぞらえた人もいます。

そういった自分たちの作るものは自分たちでハンドリングしていこうというのは、今でこそ珍しくないのですが、インディペンデント精神をこういう形で成功させた初めての例だと思います。

あと、筒美京平さんをはじめとする、いわゆる職業作曲家に対するアンチとしての側面もあります。吉田拓郎さんの作曲能力は高くて、作曲家としてメロディーを提供した森進一さんの「襟裳岬」はレコード大賞を取りました。つまり歌ってよし、見てよし、曲提供してよしと。筒美京平さんはかつて僕に、吉田拓郎さんのようなフォークシンガーが台頭してきたときに初めて、自分の職業の危機を感じたと話していました。それぐらい驚異的な存在だったということだと思います。

あと吉田さんの功績としては、ラジオを主戦場として、自分の言葉で、自分の冠番組を持って、若い人たちに音楽だけではなく、喋りでもハートをつかんだこと。ある種、教祖として君臨していくという手法を確立したところです。作品作りとツアーとラジオという、今でこそ自作自演型の人たちの間で珍しくないこのやり方を、吉田さんが最初に確立したと言えます。

今でもよくラジオに出でいますが、とにかくお喋りがかっこいいんですよ。声もいいし、酒場のモテ喋りですよね。ちょっと自虐を含みながら、下ネタも話せば、たまには真剣に世の中に怒ってみたりとか。いわゆる人間くさい感じっていうのかな。それを心地よいトーンで心地よいリズムで話すという。吉田さん自身、ラジオが自分にとっての本拠地だと公言しています。

さらに、彼が初めて成し遂げたことにカバーアルバムがあります。筒美京平さんが郷ひろみさんのために書いた「よろしく哀愁」を含むカバーアルバムを70年代に出したんですけど、これが日本におけるカバーアルバムの原型とされています。これが当時、潰れそうになっていたフォーライフ・レコードを救ったと言われています。本人曰く「やっつけで作った」そうですが、アルバムランキングでナンバーワンになっています。男性のアーティストでカバーアルバムをナンバーワンにしたのは、吉田拓郎さんの次は約30年後に徳永秀明さん。それまでずっと吉田さんの記録が続いていたんです。

50年を経て盟友とデビューアルバム収録曲をカバー

今回、33枚目になるのかな、そのラストアルバムと銘打った「ah-面白かった」には、デビューアルバムの中に入っていた「雪」のカバーで「雪さよなら」というのを、盟友の小田和正さんと一緒にやっています。デビューアルバムから50年ぐらい経って今、小田さんとやっているということで、ファンとしては「本当に店じまいなんだな」と切なくなるんですけど、これが本当によくできています。

小田さんもまた70代で今も新譜を出していますが、なんかもう皆さんやめちゃうの?みたいな流れになっていて、ちょっと下の世代の僕としては、たまらない気持ちになっています。

田畑竜介 Grooooow Up
放送局:RKBラジオ
放送日時:毎週月曜~木曜 6時30分~9時00分
出演者:田畑竜介、武田伊央、松尾潔
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※放送情報は変更となる場合があります。

足立佳奈が送り出す「別れない選択をするカップル」のラブソング。Tani Yuukiと共作

シンガーソングライター・足立佳奈が、新曲の制作エピソードを語り、お気に入りの“絶品鍋”の写真を公開した。

足立が登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『STEP ONE』のワンコーナー「MUSIC+1」(ナビゲーター:サッシャ・ノイハウス萌菜)。6月30日(木)のオンエア内容をテキストで紹介する。

少年たちに混ざって野球をしていた小学生時代

大の野球好きとしても有名な足立。野球中継のゲスト出演や、甲子園で始球式に参加した過去を持つ。足立は学生時代、野球部に所属していたそうだ。

足立:男の子に交じって、少年野球をやらせてもらっていました。

サッシャ:ポジションは?

足立:ファーストでした。

サッシャ:じゃあ、バッティングで期待されていたのかな?

足立:本当はセカンドをやりたかったんですけど、セカンドにうまい子がいて。「お前はファーストだ」と言われたので頑張っていました(笑)。ファーストも難しいんですよね。ファーストが捕らないとアウトにならないですから。全部のボールを受け取るためには足も柔らかくないとだめですし。

サッシャ:プロ野球の選手も足を広げてボールを捕りますからね。

ノイハウス:そう考えると、ストレッチも大切なことなんですね。

足立:お相撲さんみたいに、みなさん股割りされているんじゃないかなって思います。

ノイハウス:股割りはできます?

足立:もう今はできないですね(笑)。

サッシャ:以前はできていたんですね!

Taniとのコラボ曲を配信リリース!

足立佳奈は6月24日、Tani Yuukiとのコラボ曲『ゆらりふたり』を配信リリース。楽曲に据えたテーマは「等身大のラブソング」だという。
ノイハウス:Taniさんとは前からお知り合いだそうですね?

足立:そうなんです。Tani君とは友人として仲良くさせていただいていて、ライブにお邪魔させていただいたときがあったんですね。それで、私はTani君の歌声に魅了されてしまい、「ぜひ一緒に音楽をやらせてください」とお願いしました。

ノイハウス:素敵!

足立:そうしたら、こんな素敵なラブソングができました。私は今22歳で、大学を卒業して社会人1年目の年齢なんですよね。Tani君は1個上なんです。なので、同世代の私たちがライブソングを作ってみなさんにお届けすることで、何かエールを届けられるんじゃないかなと思いました。テーマを「等身大のラブソング」にして、社会人になって関係性が変わっていくカップルがいるなかで、別れない選択をして「ゆらりふたりで歩んでいこうよ」という思いで楽曲を作りました。

サッシャ:その気持ち、めっちゃわかる。学生時代は同じ価値観なんだけど、別業界とかに就職しちゃうとめちゃくちゃ価値観が変わっちゃうんですよ。

足立:そうなんですよ。忙しいタイミングも違いますしね。

サッシャ:そう!

ノイハウス:働き方が変わって時間が取れなくなったりってこともありますよね。

サッシャ:相手に求めるものが変わったりね。そんななかで、「付き合い続ける」という選択をする曲と。

足立:そうです!

サッシャ:ポジティブな曲にしたかった?

足立:はい。前向きに考えてもらいたいなと思って作りました。

サッシャ:どんな風に曲を作っていったんですか?

足立:始めに私がAメロとサビを作らせてもらって、Bメロのところは穴開きでTani君にお渡ししました。

サッシャ:あらま!

足立:Tani君に「この女の子の世界観で、ぜひ彼目線の詞を作ってください」と伝えました。詞とメロディはTani君があとでくれたんですよ。

サッシャ:そういうことなんだ。

『ゆらりふたり』のオンエア後、サッシャは「切なくてグッとくるね」と感想を述べた。

ノイハウス:大人の人が聴いても「こういう時期ってあったなあ」って思う方がいるんじゃないでしょうか。

足立:そうですね。すべてのみなさんに届いてほしいなって思います!

足立が絶品タレの作り方を紹介

この日の「MUSIC+1」は木曜日恒例企画「あなたの携帯に入っている写真を見せて」。足立は“鍋”の写真を紹介した。
サッシャ:ん!? これは鍋?

足立:こちらはタッカンマリ鍋です。

サッシャ:それで丸ごと1羽の鶏がドンと入っているんですね。

足立:タッカンマリは韓国語でして、日本語だと「鶏一羽」って意味なんですね。

ノイハウス:そうなんですね。

足立:鶏一羽を鍋でグツグツと長いあいだ煮込んでいます。ニンニクがけっこう入っているので、そのあとに予定がある人は大変かもしれないです(笑)。オリジナルのタレがあるんですけど、私は醤油、お酢、マスタード、ちょっと辛いものを入れます。

サッシャ:マスタード!?

足立:そのタレに付けて、両手でかぶりつくんですけど、めちゃくちゃおいしくって! もう食べたくなりました(笑)。

サッシャ:この写真は自宅で?

足立:こちらはお店の写真です。

サッシャ:お気に入りのお店とかはあるんですか?

足立:あります。このタッカンマリ鍋のお店がお気に入りなんですよ。友だちと毎回行っちゃいますね。

サッシャ:いいですね!

ノイハウス:タレがおいしそうだから、他でもつけて食べられそうですね。

足立:そうなんですよ。鳥を焼いてタレに困ったときとかは、ぜひみなさんに作ってもらいたいです。

足立佳奈の最新情報は、公式サイトまたは、オフィシャルTwitterまで。

J-WAVE『STEP ONE』のワンコーナー「MUSIC+1」では、ゲストとして毎回話題のミュージシャンが登場する。放送は月曜~木曜の12時30分頃から。

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