「投票率」低下は「国力」低下と相関関係?投票に行きたくなる考え方

選挙のたびに、投票率の低さが問題になる。RKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』に出演した神戸金史(かんべ・かねぶみ)解説委員は、「投票率と国力の低下は、比例しているのでは」と考えている。3年ぶりの参議院選挙が、7月10日に投開票が行われる。投票に行きたくなるような考え方を提示したい。

選挙サイトの質問から逆に考える

RKB神戸金史解説委員(以下、神戸):先週このコーナーで、「投票には行けない、政治のことがわからないから、責任取れないから」とおっしゃっている大学生がいるという話を伝えました。そこで「政治のマッチングサイトを使ったらどうですか」という話をしました。自分に一番合った考え方の候補者が上がってくるというものです。今日は、このマッチングサイトを逆にものを考えてみたい。そうすると、参議院選挙がちょっと面白くなってくるんじゃないかと思います。

 

神戸:マッチングサイトは全国紙やNHKさんなど各種あります。候補者を選んでいくために使っていく、政党を選ぶために使うサイトではあるのですが、そこに出てくる「質問」に着目したいと思っています。今日持ってきたのは、NHKさんのもので、25の質問が並んでいます。プリントして持ってきました。25ありますけど、何か関心のある質問ってありましたか?

 

田畑竜介アナウンサー(以下、田畑):例えば、「物価高騰や新型コロナ対策として、消費税率の一時的な引き下げは必要だと考えますか」とか、「日本銀行が続けている大規模な金融緩和策についてどう考えますか」などですかね。

 

武田伊央アナウンサー(以下、武田):新型コロナウイルスはどうなっていくのかなっていう不安があるので、(「入院の勧告や外出自粛の要請など強い措置がとれる感染症に指定されています」)「この扱いを維持すべきだと考えますか」というところ。あと、20代後半になってきて周りも結婚ラッシュが起きているので、「選択的夫婦別姓」もよく同世代で話に上がりますね。

 

神戸:「政治」「選挙」って、自分とあんまり関係ないものと考えてしまうんだけど、この質問項目を見ると多分、25もあるから必ず「何かこれすごい気になっているんだよね」とかいうことがあると思うんです。質問の中から「どれが一番、自分は関心があるんだろう?」と探していくと、今自分がどんなことを考えているのか、逆に明らかになっていきます。それについて、候補者の方はなんて言っているんだろうなと調べると、面白くなってくるんですね。

 

神戸:例えば、私が気になったのは「皇族」。女性の皇族の結婚後、皇室に残留賛成か反対かという質問があります。NHKさんも毎日新聞にもありますね。つまり、これは今後、数年間で決まっていく可能性がある。今回の選挙次第では、どういうふうになるのか、変わるかもしれないっていうことでもあるんです。旧民主党の流れをくむ立憲民主党は80%、国民民主党も86%が賛成、共産党も90%が賛成だった。公明党、日本維新の会、れいわ新選組の半数以上が無回答です。自民党は賛成38%反対、30%と割れた。自民党は3割ぐらいの方は無回答なのかなという感じはしますね。自民党の中でも割れているし、政党別にも結構特色が出ているなと思います。全体を通すと、皇室の残留賛成46%ということですね。反対29%だそうです。女性の皇族の年齢の問題もある。今後大きな選挙は3年間ないかもしれない。今回選ばれた議員さんたちで決めていく可能性がある。非常に重要だと思っています。今回の選挙に投票するにあたって、こういう視点で候補者を考えていってもいい。いっぱい並んでいる質問項目の中から、関心のあるもので選んでいったらいいんじゃないでしょうか。

比例の投票先は地元候補に限られない

神戸:2つ目は比例代表です。衆議院は全国を11のブロック別になっているんですけども、参議院は全国で一つなんです。ネットで、比例代表の候補者の一覧を見てみてください。知っている人の顔があると思うんです。著名な方や、よく国会で質問されているなって方もいらっしゃるでしょうし、「こんな人が出ているんだ!」と知ることができます。参議院選挙では、比例代表で投票するときに、政党だけじゃなくて個人名でもその投票できるので、地域に限らず投票ができる特徴があるんです。衆議院だと、自分の地域が九州だった九州と限られちゃうんですけど、そうではないということが面白いところです。だからリスト見ると、「この人の個人名で書いてみようかな」と思うかもしれません。そうすると、選挙に行く面白さがちょっと増してくるかなっていう感じがするんですよね。

「選挙で選ばれた私たちで決める」と言われたら?

神戸:そして、時々政治家で「選挙で選ばれたんですから私達が決めちゃっていいじゃないですか」という言い方をする人がいらっしゃる。本当にそうかなと思うんです。全部白紙委任したわけじゃないんじゃないかと私は思うんですけれども、そう思って行動される政治家もいらっしゃるということ。3年間大きな国政選挙がないとなると、この25のいろいろなテーマ、「アベノミクスの継続をどうするか」とか、「辺野古移設をどうするか」とか、「高校・大学の教育無償化」なんて、ものすごく関心があると思います。これが、今回の選挙の結果で3年の間に決まっちゃうかもしれない。「え、そんなことまで考えて投票してないよ」って思っちゃうかもしれませんね。でも投票に行かないと、参加しなかったことになっちゃうので、後から文句も言えないし…。日々ニュースを見ていて、ちょっとイライラするときがあります。そういうことを感じる人ならば、投票に行ってないと損するんじゃないかなと思うんです。少しでも参加しておいたとなれば、もっと文句も言いたくなるでしょうけど、行ってないとちょっと。

 

神戸:「国力の低下」という風に日本はよく言われていますよね。特に根拠はないんですけど、「投票率の低下と国力の低下は比例しているんじゃないか」という気がしていて。1990年代から急降下していますけれども、たまたま時期が重なったっていうだけじゃなくて、「何かを言って、行動して、世の中に働きかけて、変えていこう」という熱意がだんだん下回ってきていると、それは当然国力が低下するし、投票率も低下するのではないかというのが、私の個人的な、勝手な意見です。

 

神戸:だから、「もっと未来を明るくしたいな」と思ったら、単に「選挙に行く」ということだけじゃなくて、1人1人が参加する、国力を上げていく、ということにつながる。という風に考えたら、投票に行くのも意味あるんじゃないかなあ。参加型の選挙をしてみたらいかが、というのが今日の私の意見です。

田畑竜介 Grooooow Up
放送局:RKBラジオ
放送日時:毎週月曜~木曜 6時30分~9時00分
出演者:田畑竜介、武田伊央、神戸金史
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※放送情報は変更となる場合があります。

なぜ選挙が近づくと選挙報道が少なくなるの?

まもなく参院選が行われるが、なぜ選挙が近くなるにつれ選挙報道が少なくなるのか?7月5日「西川あやの おいでよ!クリエイティ部(文化放送)」では、選挙報道についてジャーナリストの青木理、タレントのバービー、西川あやのアナウンサーが話し合った。

西川「メディアの選挙報道は少なくなっているのか?テレビに関してエム・データ社がNHKを含む在京地上波テレビ6局が行った参院選に関する報道時間を調査した結果、2013年が49時間18分、2016年が41時間30分、2019年が36時間08分」

バービー「えーーー」

西川「選挙関連の放送時間が年々短くなっているんです」

バービー「2013年と2019年は10時間以上違いますね」

青木「投票率もそれに連動していて、これまでは衆参ともに低くても6割、高いと7割以上あった投票率が直近の参院選だと48.8%、2021年の衆院選だと55%まで下がっちゃっている」

西川「公示日を境に各局委縮してるように感じることがあって、候補者を平等に扱うためにストップウォッチで計って同じ尺で取り上げる放送局もあるそうなんですよ。そこまで選挙報道ってする必要ってあるんですか?」

青木「結論からいうと、そういうことをする必要はないし、法的根拠があるわけでもないんですね。放送法は公平に放送するようにテレビを縛っているというよりは、政治だったり、大企業がテレビに介入しないようにテレビを守っている法律だし、公職選挙法に関していうと、選挙に関する報道について自由にやって下さいと言ってるんだけど、なぜストップウォッチまで使ってやるようになったのか?」

バービー、西川「はい」

青木「それは恐らく、事あるごとに放送法を持ち出してテレビ局に『電波止めるぞ』ってなことを総務大臣が言ったり、街頭インタビューまで『公平に扱え』などとテレビ局に文書で送ってきたりするわけですよ。そういうのが来るもんだから、テレビ局側も委縮をし、自粛をし、何をやっても文句を言われる、しかも全部公平にやったら番組として面白くないじゃないですか?」

バービー、西川「うん」

青木「だったら視聴率も取れないし、やるのメンドくさいからやめちゃおうよっていうのが実態に近いと思う」

バービー「選挙報道は腫れ物扱いってことですか?」

一同「(笑)」

この他にも番組では選挙報道に関する不明点を紹介しています。もっと聴きたいという方はradikoのタイムフリー機能でお聴き下さい。

番組の「きょうのクリエイティ部」のコーナーでお伝えしています。

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