仙台育英・須江航監督が「青春ってすごく密なので」に込めた思いとは?

優勝監督インタビューでの「青春ってすごく密なので」という言葉に込めた思いは、コロナ禍に生きる、すべての人に届けたい“エール”だった―。仙台育英高校を東北勢初となる夏の甲子園優勝に導いた須江航監督がRKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』のインタビューに応じた。

「多くの人と成し遂げた」東北勢初の優勝

自分たちが優勝したことは事実ではあるんですが、100年以上の歴史の重みというのは十分に分かっていたので「多くの人と成し遂げたんだな」って思いましたね。大正時代に始まったことが、この令和の時代で初めて成し遂げられたなんて、本当に歴史の重みがあって。

(東北勢は)優勝できないながらも過去12回、決勝戦まで進出していました。その間には花巻東の菊池雄星くんや東北高校のダルビッシュくんといった、多くの名プレーヤーが挑んできましたが(優勝は)叶いませんでした。そういうところから学びが繋がっての優勝だと思っているので「東北勢の勝利だ」と純粋に思いました。

チームスローガン「日本一からの招待」

前任が系列の中学校だったんですが、中学の軟式野球部を指導していく中で、自信を持って大会に臨めるようなチームが仕上がったな、という年があったんです。でも、この自信を持ったチームが、全国大会すら出場できないという悔しい結果に終わったときに、「日本一からの招待」というチームスローガンが生まれました。

表現としてはちょっと分かりづらいかもしれないんですが、心技体全ての面において、目標から招かれるほどの存在や、確かな力を持っていないと(日本一は)叶えることができないんじゃないか、というところから始まった言葉ですね。

条件が何か? って言われたらそれはもう無数にあって、何か一つに限定できるものじゃないんですけど、自分たち自身にも問題というか、満たしていかないといけない部分があると思いますし、もしかしたら時代が呼んでくれることもあるかもしれないので、そういう意味合いも込めて、先進的な取り組みが求められるかなと思います。

(優勝が決まったとき)感慨というよりも、最初に脳裏に浮かんだのは、過去に負けてしまった子供たちの顔だったんです。少し生意気な言い方になっちゃうかもしれないんですけど「もしかしたら、もう1、2年早く優勝できた」とか「あのときの子供たちでも優勝できたな」と思ったんですね。「今年のチームで優勝できたんだから、あのときのチームでも絶対にできたな」というふうに思ったので、喜びや感慨というよりは、悔しさに近い感情がありましたね。

優勝インタビュー「青春ってすごく密なんで」

後から気づいたことなんですが「密」という言葉って、本来であればいい意味のはずです。関わり合いが濃いとか、その内容や過ごしている時間が喜びや感動、やりがいを感じる、っていうことだと思うんです。でも、いつからか「密」っていう言葉が学校の中では、注意を促す言葉に変わってしまったんですね。

私も2020年2月以降から、生徒の活動を制限するという意味で使ってたんです。例えば、休み時間とかミーティングのとき、練習が終わって帰るまでの時間、感染の拡大を防いで、自分たちの活動を止めないで勉学や部活に励むとなったときにソーシャルディスタンスを呼びかけていました。

「食事をするときには黙食をしたり、パーテーションを立てたりしているんだから、そういうことをよく理解して、帰るときとか、ワチャワチャ騒いでないで、密にならないでちゃんとやらないと駄目だよ」なんていうことを、もう何十回も何百回も言ってきたんですよね。

でもそれは教員という立場、社会的責任の中で彼らに投げかける言葉の一つであって、自分が一人の人間として高校時代を振り返ったときには、思い出は密な時間ばっかりなんです。だから、それをさせてあげられてないなっていう感情も複雑にありました。でもまさか優勝インタビューで、コロナに関することを聞かれるとは思っていませんでしたから、咄嗟に、そういうことをさせてあげたかったな、っていうのが出てきちゃいましたね。

コロナ禍の制限、生徒達にかけた言葉

私自身としては、(コロナ禍で)大人が子供たちに対する配慮や気遣い、心遣いを十分にできていなかったと思っていたんです。例えばいろいろな“中止”が決定されましたよね。部活動、学校が休みになるとか、目標にしていた大会がなくなるとか。

高校野球で言えば、春のセンバツが3月11日に中止の発表がされて、5月には夏の大会も中止が発表されたんです。そういうときに子供たちが求めていたのって、大会の開催はもちろんなんですが、大人たちが大会を開催するためにどういう話し合いをしてくれて、どういう努力をしてくれたのか、というのを知りたかったと思うんです。

でも、どの大会が中止で、活動ができないということも、大人たちが子供たちに伝えたのって、結果だけなんですよ。センバツの中止も夏の甲子園の中止も、Twitterの速報です。最初に知ったのは。ネットニュースの速報で、それでみんな「嘘だろ」っていうふうになっちゃったんですよね。

もし大人が「こういうふうに対策も立てて、こういうふうに準備して手を尽くしたんだけど、どうしても開催できなかったんだ」って言ってあげたら、子供たちも納得は行かなくても、心の置き所があったと思うんです。でも、甲子園に限らず、そういう配慮がずっとされていなくて、子供たちが社会の中で取り残されている感じがずっとありました。

「大人がもう少し頑張って、そういう姿を子供たちに見せるね」って言っていましたね。「大人が子供を失望させないように、せめて子供たちに関わる大人たち、近い大人たちは頑張るから、子供たちも今できることのアイデアとか情熱を止めないで、やれる中でやり切ろう」って。「『仕方ない』という言葉だけ、お互いに絶対言わないようにしようね」って言っていました。

生徒達の情熱は消えなかった

本校は大会が中止になるんじゃないかということに対しての準備が早くて、学園の理事長から「こういう感染症というのはパンデミックになっていく可能性が高いので、部活動が通常どおり運営できなかったり、大会が中止になったりしたときのことを考えて、早め早めにこの部活動をする意味を示していきなさい」という指導がありました。

具体的にいうと、3月の選抜がなくなったところから、どうやって高校の部活動を完結させていくのか、という取り組みをしていました。部活動をやっている意義や意味というのを考えることにすごく時間を割いて、オンラインなどいろんな方法でミーティングや近況報告をしたり、社会情勢を確認したりしましたね。

ミーティングでは、どう頑張ろうっていうことだけじゃなくて、現在の医療や経済の状態とか、そういうのを見て高校生たちがどう振る舞っていくべきなのかというようなことも話しましたし、こうした議論を重ねてSlackなどいろんなビジネスアプリを使って考えをまとさせたりしました。

大会がなくなって「部活動をやる意味がもうないんじゃないか」って思った方もいたと思うんですが、本校の生徒はありがたいことにそういうモチベーションや情熱の火みたいなものが消えませんでした。「コロナ禍が収まった世の中で、自分の好きな野球を継続しているならば、そのときに活躍できるように今は力を蓄えよう」ということです。自分の技量やスキルやフィジカルを上げるため、オンラインで伝えられるような練習をしていましたね。

現役時代補欠だった自分にできることは?

いわゆる強豪校の監督さんってほとんどの人が、その学校のエースとか4番とか、元プロ野球選手とか、実績が高い選手だったと思うんですけど、私って、プレーヤーとしての実績がほとんどなくて、補欠だったんです。1回も試合に出たこともありません。

そういう中で自分が見せてやることもできないし、何かカリスマ的に「俺の背中についてこい」みたいな指導もできなくて、選手と対話していきながら求められるものを一緒に作り上げていく、寄り添うことしかできません。そんな自分ができることって何か? って言ったら、話を聞くことと、それに対して誠実に答えていくことしかできないんです。

つまり「僕は何も持ってない」っていうことが逆に武器なので、せめて言葉だけは相手に響くような言葉を伝えたいなと思って、日々考えています。そして伝えるタイミング。どんなに刺さるようないいフレーズを言っても、相手が求めているタイミングじゃなかったら響きません。

怒ることも叱ることも褒めることもやっぱりタイミングは大事だと思うので、そこは常に窺っています。365日、いつどんな言葉をかけるか。遅すぎても早すぎても駄目だと思うんです。

今の高校生は「可能性を秘めた子供たち」

今の高校生はとても大変な3年間を過ごしてきました。大人たちが過ごしてきた高校生活の2割ぐらいしかできてないと僕は思うんですよ。でも、それだけ苦しい中をよくここまで駆け抜けてきたっていうことに対して「ありがとう」っていう言葉をまずかけたいです。「本当によく頑張ったね」っていう言葉をかけてあげたい。

あと、知らず知らずのうちに彼ら彼女らはこんなに苦しい中を歩んでこられたので、ものすごい力を蓄えているわけですよ。通常の高校生活では得られないような忍耐力や我慢。そして様々なアイデアや、知恵や情熱を注いで、いろんなできることを探して実行してきた子供たちなんですね。

多くの力を蓄えて貯めてきて高校3年間なので、きっと卒業した後、世の中に平和と平穏が訪れたときに、ものすごく大きな力を発揮して、今まで成し得なかったことを成し得ることができる世代だと思うんです。それだけ可能性を秘めた子供たちなので「これから楽しい将来が待ってるよ」っていうことを伝えてあげたいですね。

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田畑竜介 Grooooow Up
放送局:RKBラジオ
放送日時:毎週月曜~木曜 6時30分~9時00分
出演者:田畑竜介、田中みずき
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※放送情報は変更となる場合があります。

Dropbox Japan代表出演!便利なDropboxの機能を聞いてみた!

5月6日放送の「L is B presents 現場DX研究所」は、Dropbox Japan株式会社 代表取締役社長の梅田成二さんと、カスタマーサクセスマネージャ(ハウエンシュタイン)の酒井 瑞木さんをお迎えし、社風や便利なDropboxの機能について詳しくお話いただいた。

松井佐祐里アナ「まずは、企業プロフィールをご紹介させて頂きます。Dropbox Japan株式会社は、アメリカ、カリフォルニア州、サンフランシスコに本社を置くDropbox社の日本法人として2014年に設立しました。創業時より手掛けるクラウドストレージ“Dropbox”は、“よりスマートな働き方をデザインする”ことを使命とし、180か国以上7億人を超える人々に愛用されています。現在はクラウドストレージにとどまらず、電子署名や動画コラボレーション、ドキュメント閲覧分析、AIを活用したユニバーサルサーチなど、幅広いクラウドサービス群を提供しています」

L is B代表・横井太輔氏「“Dropbox”はいろんな企業で導入されてると思いますが、何か代表的な導入事例があれば教えてください」

Dropbox Japan株式会社代表取締役社長・梅田成二氏「日本においては建設業でのユーザーさんは全体の50%超なんです。“direct”のチャットと“Dropbox”を使ってるお客さんがすごく多いんですね。どういう使い方が多いかというと、建設業というのはご存知のように非常にたくさんのファイルをお使いになられる。たとえば、設計図面は設計変更が日常茶飯事。本社の設計部門と現場の事務所と作業員が持ってるタブレットで常に同期して最新の状態にしておきたい。工事が進むと写真を撮ってその写真を本社の方に返さなきゃいけないということで、デジタル化された情報を全部“Dropbox”の中に入れてしまって、そこで設計部門も現場も作業員も見れるようにしようという使い方が多いです」

松井「Dropbox Japanの社風はどんな感じですか?」

Dropbox Japan株式会社カスタマーサクセスマネージャ・酒井瑞木氏「Dropboxが掲げているバリューみたいなところがありまして、そこがDropboxの社員の基礎になっています。例えば、仕事を人間らしくするというところと、自分自身のアカウンタビリティですね。仕事を人間らしくするというのは、人間としてユーザーさんのニーズを優先して開発を進めていくっていうところですとか、Dropboxで働いている方がどこの出身であっても、どんな背景のバックグラウンドがあっても、最高の仕事ができる環境を作ってお互いの思いやりを大切にしながら文化を醸成していくというところがあります」

横井「もう1つの自分自身のアカウンタビリティのほうは?」

酒井「最初から最後まで自分で責任を持って仕事をやり遂げる。そして、失敗した時に、なんで彼が失敗しちゃったの?と問いかけるのではなくて全体としてもっとよくできることって何だったんだろう?と全体最適を考える。チームの中での思いやりの文化と社員1人1人の責任を持ったアカウンタビリティを持った行動というところが、うまくブレンドしてDropboxの社風が作られているのかなと思ってます」

松井「あまり知られていないDropboxの機能を教えてください」

酒井「PDFの編集とEmail to Dropboxになります。PDFの編集はPDFのシンプルな編集機能なんですね。PDFって編集が通常できないと思うんですけれども、テキストを追加したり、その中にあるページを抜いたり、挿入したり、ページの順番を変えたりとか簡単なPDFの編集機能が追加コストなしで“Dropbox”内で完結するっていうすごく便利な機能になります」

松井「Email to Dropboxはどんなものですか?」

酒井「“Dropbox”にメールで受け取った添付ファイル、いろいろメールで添付ファイルをもらったり、いろんなリンクでもらったりすると思うんですけど、“Dropbox”のユーザーさん固有のメールアドレスに転送すると、“Dropbox”にそのまま保管してくれるという機能なんですね」

横井「便利ですよね」

酒井「ぜひぜひ使ってみてください」

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