【ラジオな人】広島の10代をつなぐ使命! 「会いに行くDJ」大窪シゲキに直撃

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広島県内の中学校や高校を実際に回り、10年以上も中高生の“アニキ的存在”であり、広島FM『大窪シゲキの9ジラジ』のDJを務める大窪シゲキさん。

トレードマークのもじゃもじゃパーマに帽子、“オオクボックス”の愛称で親しまれる大窪さんは、自らのことを「会いに行くDJ」と語ります。中高生から親しまれる理由や、ラジオにかける想いを聞きに、広島へ会いに行ってきました。

SNSをきっかけにラジオを聴く子が増えた

――大窪さんが『9ジラジ』を担当するようになって何年ですか?

 12年目です。(2019年3月現在)

――番組を担当し始めた頃と比べて、中高生は変わりましたか?

コミュニケーションの方法は変わったような気がします。昔はメールとFAXだけだったのが、今はSNSでも番組内での会話ができるようになったのは大きいです。あんまりラジオを聴いていなかった子が、SNSをきっかけにラジオを聴くようになるっていうのは、変わったところかもしれないですね。

学校に取材へ行くことが多い番組なんですけど、僕は行ったらすぐSNSにアップするんですね。「○○中学校の△△部に行きました」とか。そうすると、中高生が100~200人ぐらいリツイートしてくれるんです。そこにラジコのリンクを貼っておけば、ワンタップで聴いてくれます。だから、『9ジラジ』は“ラジオ”番組なのに、「ラジコですよね?」っていう子もいて(笑)。時代が変わったな、と感じます。

例えば生徒会長が番組に出るとなると、「今日、HFMの『9ジラジ』に出ます」ってお昼の放送で全校にいってくれるんですよ。そうなると、たぶん親も聴くでしょうし、『9ジラジ』が広がっていけば、居場所になるんですよね。出てくれた子にとっていい思い出になれば、広がると感じています。

――感覚として番組を始めた頃から比べると、ラジオを聴いている子は増えていますか?

確実に増えていますね。僕のもじゃもじゃパーマに帽子っていうスタイルは、街で見たときに「あ、“オオクボックス”だ!」って分かるようにしているんですけど、1~2年前と比べて声をかけられることが増えました。

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24時間ラジオのことを考えられるように

――大窪さんはラジオだけでなく、テレビ出演やイベントの司会、講演会に呼ばれて文章も書いて……大忙しですね。いつ頃から広がっていったのでしょう?

4~5年前からですね。その頃に『9ジラジテレビ』(※1)や「9ジラジ新聞」(※2)が始まって、メディアミックスが増えていきました。放送の中で「ラジオを聴いてください」といっても、「もう聴いています」と返ってくるだけですから(笑)。

外に出て「このもじゃもじゃの人は誰なんだろう?」、「実はラジオの人なんです」という動きをかなり意識的にしました。『9ジラジ』をもっともっと広めて、ラジオに帰ってきてもらえたら嬉しいですよね。どの仕事も楽しいんですけど、やっぱりラジオが一番好きなので、ラジオがホームっていう感覚は変わらないです。

――大窪さんのようなしゃべり手が、他地域、特に首都圏に生まれないかと考えていて……『9ジラジ』は、ラジオがもっと普及に力を入れるべき中高生層に届いていますよね。

僕はフリーだから、24時間ずっとラジオのことを考えられる仕組みを自分で作ったんですよ。逆にいうと、そこまでやらないとたぶん浸透はしないんじゃないかなぁ。「やりたいことのひとつがラジオ」というよりは、「生活の中心がラジオ」じゃないと……。それを首都圏でやって生計が成り立たつかは分からないので、無責任なことはいえませんが、ラジオDJがスタンスを明確にすればいいのに、とは思いますね。

僕は「10代を応援する」という軸があるので、PTAの講演会を学校でやれば800人とか、広島地区全体ならば何千人とかへ向けて、「10代」をキーワードに会話ができます。そこで「ラジオをやっている」といえば、ラジオが広がっていきますよね。例えばサッカーとか野球とか、DJが伝えたいものがしっかりしていれば、ラジオだけでもやっていけるんじゃないかなぁ。

死ぬまで「10代」をキーワードにしゃべりたい

――そんな大窪さんが、リスナーに伝えたいことは?

10代に「死ぬな」とか、「大人になるまで頑張ろうぜ」とかですね。裏テーマとして、元10代の人たちがキラキラしている現役10代の話を聴いて、「今、仕事がしんどいけど頑張ろうかな」と思ってもらいたい、というのもあります。

それと僕は、「10代をキーワードに死ぬまでやりたい」と思っていて。一時は迷ったんですよ、もう40歳になるので。「若い子の感性が分かるの?」って周りから言われたりしたんですけど……学校に行ってみると、50代の先生方もいるじゃないですか。生徒から「先生~!」ってイジられながらも、慕われている。ああいう感じが理想ですね。

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――年の差を感じさせずに、10代と一緒に楽しめているのがすごいと感じたのですが、秘訣はありますか?

10代と直接しゃべる機会を定期的に設けています。そこで話が通じなかったら、何がいけないのか考えて……。で、ある時からは「10分の1ぐらいが伝わればいいや」って思い始めたんです。みんなが興味のある話を聞いたりとかして、最後に「ひとつ何か伝えられたらいいかな」っていう。

――そう思ったのはいつ頃ですか?

始めて4~5年ぐらいかな。初めは「良いことを言おう」とか、「10代を救わなきゃいけない」みたいな気持ちでやっていました。でも、悩みはすぐに解決できませんから。とにかく一緒にいて楽しい、悲しくても笑えることを意識しています。

あとはラジオDJだから、自分が伝えたいことはあると思うんですけど、それはエゴのような気がして。僕も昔はそうだったんですけど、今はリスナーの話をたくさん聞けて、それがたまたま今日言いたかったことと合ったときはすごく嬉しいです。

――番組でも「僕が君たちぐらいの歳のときは…」みたいな言い方はしないですよね。

あんまりしないですね。自分の失敗談の時ぐらいかな、「失敗してもいいんだ」と思ってほしいから。

“9ジラー”の温かさが招くビッグゲスト

――「広島でイベントをやるなら『9ジラジ』と」というアーティストが多いですよね。

うれしいですよね。東京、大阪の次に福岡へ行くのではなく、途中で「広島に寄ろう」って思ってもらえる。「“9ジラー”(『9ジラジ』リスナーのこと)がいるから」とか、よく言ってくださるんですよ。「“9ジラー”が純粋で真面目で可愛いよね」って。そこを見てくれている方々とイベントで会って、公開録音とか番組ができるのはすごく嬉しいです。

例えばPerfumeが「『9ジラジ』だからやったんよ」(※3)と言ってくれるのは、「聴いてくれている人たちと一緒に何かしたい」という想いがあるのだと思います。

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――中高生が素直に聴いていて、正面から返してくれますよね。

正面から返してもらうためには、「本当に正面から向き合わないといけない」と思います。格好つけたり嘘ついたり、演出したり、こっちが身内ネタで面白がる番組は、そういうのを楽しめる人がいっぱい聴いてくれるかもしれないですけど、僕たちじゃなくても作れるんじゃないか?と思っていて。

それよりは「正義は格好悪いことじゃないぞ」とか、「いじめは本当にダサイことだぞ」ってちゃんと口で言えるような、そういう人間がいっぱい育ってほしいですよね。世の中に対して「間違っていることは間違っている」と、ちゃんといえるのが本音のラジオだし、よく聴いているDJが言ったら「説得力がある」と思われたいですから。そのためには自分もちゃんとしないと。

――大窪さんは、交流した”9ジラー”のことをすごくよく覚えていますよね。毎日、全てのメッセージに目を通しているからですか?

覚えようというか、覚えちゃいますよね。何かキーワードがあったら、「ああ、○○中学の」とか「○○高校の子」って。“9ジラー”も真剣ですから、喜んでくれますし。

――普段は何時ぐらいに局に入るんですか?

遅くとも14時~15時とかじゃないですか。(番組のスタートは20時)『9ジラジ』は1時間前に来てもできる番組だとは思うんですけど、ちょっと早く入って昨日のメッセージを読んだりとか、ひょっとしたら夕方ぐらいにメッチャ悩んでいるメッセージがくるかもしれないので、スタンバイしたり。そこまで向き合わないと、薄っぺらい番組になっちゃいます。

――終わった後も、その日の同録(同時録音)を確認して、来たメッセージ全部に目を通して、「明日、これは答えよう」と仕分けされていると。

そうですね。そうしないと気が済まないというか。終わったから「さあ、飲みに行こう」っていうと、もう落ち着かないですよね。メッセージは大切です。同録は聴き直して「この言葉ダメだったな」とか確認しています。ラジオを聴いていて、自分がされてうれしいことは、すべてやりたいです。

【脚注】

(※1)広島ホームテレビとの共同企画。『9ジラジ』に広島ホームテレビのアナウンサーが出演し、広島ホームテレビの番組に大窪が出演している

(※2)大窪の連載コラム。朝日新聞広島版の毎週火曜に掲載されている

(※3)2017年12月6日に、『9ジラジ』が中心となり開催したイベントのこと。

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北島康介 日本水泳界は世界に「ちょっと遅れを取り気味…」現在の日本人選手のレベルは!?

プロゴルファーの丸山茂樹がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ACN presents 丸山茂樹 MOVING SATURDAY」(毎週土曜 7:00~7:25)。4月20日(土)の放送は、元競泳日本代表の北島康介(きたじま・こうすけ)さんをゲストに迎え、お届けしました。


北島康介さん(右)とパーソナリティの丸山茂樹



◆オリンピックにばかり注目がいきがちな日本水泳界

丸山:パリオリンピックに向けて、いろいろな競技で日本代表選手が決まろうとしているなかで、最近の日本の水泳界はどうですか?

北島:先日、まさに競泳も代表選考会がおこなわれまして、若手からベテランまで、錚々たるメンバーが代表入りをしたところでして、どちらかというと、世代交代な感じですね。

丸山:どこの世界も世代交代は必ず何年かに1回おこなわれますけれども、水泳の選手寿命って平均でどのぐらいなの?

北島:男子の選手であれば、社会人になってから活躍する選手が増えてきています。僕なんかは34歳までやっていましたので。でも、ピークは20代前半だと思いますけどね。

丸山:なるほどね。じゃあ、そのピークを維持する時間はものすごく短いと。やっぱり(オリンピックは)4年に1回というのはきついね。

北島:そうですね。ただ今回、東京大会から3年はどちらかというと、短く感じてしまうかもしれないですね。

丸山:確かに。僕らゴルフ界は、メジャートーナメントが毎年必ず大きい大会が4試合、そのほかにも準メジャーと呼ばれる大会もあって結構たくさんモチベーションを高めるところがあるけど。もちろん水泳界も全日本や世界大会などがあると思うけど、オリンピックがめちゃくちゃ注目されちゃうから、ほかの大会で勝っても「勝っていないよね」って言われるのは、良くないよね?

北島:オリンピックしか注目されなかったり、間の3年間があまり報道されなかったり。

丸山:そうでしょう? オリンピックじゃない世界選手権みたいなところにもうちょっと注目を集められる方法とかね。

北島:ゴルフはいいですね、メジャーが年間に何回もあって。そういった意味ではモチベーションを維持しやすいですから。

丸山:それにどでかい賞金がつく。

北島:最高ですね。

丸山:もらっちゃいけないってことはないでしょ?

北島:それはないです。

丸山:優勝賞金、金メダル1億円とか。

北島:やる気出るな~(笑)。

丸山:選手にはやっぱり対価は大事ですよ。

北島:おっしゃる通りです。

◆丸山が水泳界に提案「もっと対価を」

丸山:康ちゃん(北島さん)が現役の頃の時代と今の時代とでは、タイムは相当上がっている?

北島:記録で見たら、毎年上がっていっていますね。

丸山:ゴルフの飛距離と一緒で毎年記録が良くなっていると。

北島:日本の選手はそれにちょっと遅れを取り気味なんですけど……。

丸山:そうなの!? その理由は?

北島:世界の成長率がすごく高くなってきているというか。どの種目でも、男子も女子もそうなんですけど、それに対して、日本の選手は“今年、勝負できるかな?”というレベルですね。

丸山:そうなんだ……これも我々と同じで、結構、情報力というのも大きくて、トレーニングの仕方だったり、水泳のフォームだったり、いろいろな情報をしっかり取れるのは大きい?

北島:大きいですね。技術的な面で情報は入ってくるんですけど、それに合わせた泳ぎが日本人にはなかなか難しかったりするので。金メダルが獲れればオーケーって見られがちなんですけど、やっぱりその中身ですよね。

丸山:うん。

北島:オリンピックの舞台で、どれだけ自己ベストを更新できたかとか、もうちょっと細分化して見ていかないと、ここから4年、8年、ましてや次のロサンゼルスオリンピックに向けてどういう準備をするかというふうに、きちんと逆算していかないと、一方的に差が広がっていってしまうかなと感じますね。

丸山:日本の選手も海外に留学というか、合宿をしたり、有名な海外のコーチから情報を得たりしているわけでしょ?

北島:そうですね、多くなってきました。まさに、池江璃花子さんも今回代表入りしまして。彼女はオーストラリアをベースにしていて、オーストラリアのコーチに指導を仰いでトレーニングしています。

丸山:よかったよね、病気から立ち上がって。そういう意味では、世界的に情報を取りにいろいろなところに出て、そこで学んで帰ってくるというのも大事なことだと。

北島:大事だと思います。

丸山:やっぱり(水泳界も)レースに対価をつけてほしいよね。ゼロでしょ?

北島:基本的に、国内の大会はゼロです。

丸山:世界選手権はどうなの?

北島:世界選手権は賞金が出るみたいですけど、僕の時代はゼロでした(苦笑)。ちょっとずつはよくなってきているんですけどね。ワールドカップってヨーロッパを回ったりするサーキットがあるんですけど、僕のときは優勝して1,000ドルです。

丸山:えっ!?

北島:なので、絶対に行くたびに赤字です。

丸山:そうだよね。そこは何とかならないの? スポンサーを募るとか。

北島:プロ化というところも、これからアマチュアスポーツにとっては重要になってくるかもしれないですね。

次回4月27日(土)のゲストも、北島さんです。

「AuDee(オーディー)」では、時間の都合上カットしたトーク部分も盛り込んだ「ディレクターズカット版」がアップされています。音声は「AuDee(オーディー)」アプリで聴くことができますので、ぜひそちらもチェックしてください。



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4月20日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2024年4月28日(日) AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。

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<番組概要>
番組名:ACN presents 丸山茂樹 MOVING SATURDAY
放送日時:毎週土曜 7:00~7:25
パーソナリティ:丸山茂樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/moving/

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