ディズニー×ピクサーが描く劇場未公開の3作品の魅力を語る

クリエイティブプロデューサー・三好剛平氏

今日はディズニー×ピクサーが制作した「私ときどきレッサーパンダ」「あの夏のルカ」「ソウルフル・ワールド」という3つの劇場未公開のアニメーション長編作品が、このたび3月15日(金)から2週間ずつ順に劇場で初公開されていくという、ちょっと珍しい上映形態で映画館に登場する。RKBラジオ「田畑竜介GrooooowUp」に出演したクリエイティブプロデューサーの三好剛平さんが、その上映の背景と、作品の魅力を紹介した。

コロナ禍で劇場公開を逃した傑作たち

まずはこの「私ときどきレッサーパンダ」「あの夏のルカ」「ソウルフル・ワールド」という3つの作品がどうしてこのような珍しいかたちで順に公開されることになったかについて。

 

これらの作品は先ほど「劇場未公開」とご紹介しましたが、実はすでに多くの映画ファンたちにはお馴染みの作品でした。この3つの作品は当初いずれも劇場公開を想定して製作されていましたが、2020年前後から猛威を奮ったコロナ禍によって映画館上映が叶わず、配信限定で公開された、いわば不遇の作品たちです。

 

配信限定公開ということで、万が一にも作品自体が魅力に欠ける作品と勘違いされる方がいてはいけないので強調しておきますが、これらの作品はいずれもコロナのなかでディズニーも苦渋の決断として劇場公開を見合わせたものであって、じっさい3つの作品はいずれも映画評価サイトや映画賞などでも観客たちから高い評価を集めるばかりか、各年ごとにアカデミー賞長編アニメ部門で3作品ともすべてがノミネートされているような力のある作品です。

 

そして何より僕は、この3作品のなかでもとりわけ「私ときどきレッサーパンダ」と「ソウルフル・ワールド」が大好きで、傑作認定の推し作品でもあることから、正直今回これらの作品を、劇場で初めて見られるみなさんが本当にうらやましいです(ずるいです!)。だからこそどうか見逃さずにいて欲しいので、ここから限られた時間ではありますが、その作品の魅力を少しだけでもご紹介していきたいと思います。

 

「当時13歳だった私自身に作った作品」がすべての人に語りかける映画になる

まずは3/15(金)から公開される「私ときどきレッサーパンダ」です。

 

舞台は2002年のカナダ・トロント。中国系移民として伝統を重んじる家庭に生まれ、両親を敬い、親の期待に応えようと頑張るティーンエイジャーの少女メイ。母親の前ではいつもマジメな頑張り屋でいる彼女だったが、本当は流行りの音楽やアイドルも大好きで、恋をしたり、友達とハメをはずして遊んだり、やりたいこともたくさんある。母親の前でその気持ちを隠して13年間過ごしてきたメイは、やがて本当の自分がわからなくなり、感情をコントロールすることができなくなってしまう。悩んだまま眠りについた彼女は、翌朝目を覚ますと、なんとレッサーパンダになっていた。突然のことに驚くメイだったが、その変身の裏には先祖代々伝わるこの家系に隠されたある秘密があった。

 

主人公の女の子がある朝目覚めると突然、“毛むくじゃらで、体から変な匂いがするような感覚”の怪物になってしまって戸惑うこと、そして突然“自分自身の意思だけでは制御が難しい赤いモンスターに変身してしまう”ということがそれぞれ何を象徴しているか、そして監督・脚本をつとめたドミー・シーはそこにアジア系移民の子供として親世代からかけられた大きすぎる期待と、それに応えたくても100%応え切れるわけでもない子どもたちの不安や心のすれ違いなどを織り込み、見事な物語に仕立てています。

 

監督自身もこの映画は「当時13歳だった私自身に向けて作った作品」と語っており、それはそのまま世界中にいる、今まさに13歳を迎える少女たち、またかつて13歳だったすべての女性たち、そしてその世代の子どもを持つ親たちにまで、めちゃくちゃ刺さる一本になっています。

 

ここには、昨年この番組で同じピクサーの作品である「マイ・エレメント」を紹介するときにも触れた、ひとつの信念があります。今一度ピクサーのホームページに表明されているメッセージを引用してみると「ピクサーでは、監督たちに自分自身についての映画を作るよう求めています。 観客が何を見たいかを推測するのではなく、私たちの映画は監督たちの人生経験や考察から生まれます。」とあり、また「ピクサーのストーリーは、ピクサー作品に携わる人々の人生経験から生まれています。 私たちにとって、チームがその観客全体を代表することが不可欠です。そのために私たちは、すべての人が参加し、すべての人のための映画を作り、ピクサー映画を観に行くすべての人がスクリーンの中に自分自身の一部を見ることができるようなピクサーを作ることにコミットします。」と記されています。

 

映画の作り手一人一人が、それまで誰かに語るものとすら思っていなかったようなささやかな人生経験にも、観客の共感は宿る。むしろそうした「自分自身についての物語」を語ることこそが「すべての人に語りかける物語」になる、という信念です。

 

じっさい、この映画の製作現場では、監督をはじめ主要なポストをすべて女性クリエイターが担って制作が進められました。子育て中のお母さんクリエイターや、大きなお腹で出産直前まで作品作りに参加したクリエイターなどもいて、作り手一人ひとりの人生を尊重しながら、女性たちがわいわい楽しみながら作り上げたこの作品は、結果、その製作現場の良いムードやグルーヴがそのまま画面上に、これまでのアニメ史上見たことのなかった独特の感性や表現として定着しています。

 

また監督・脚本をつとめたドミー・シーは、宮崎駿や細田守の作品はもちろん、「らんま1/2」や「セーラームーン」など日本のアニメや漫画をめちゃくちゃ愛好していて、本作でも、これまでアメリカのアニメではなかなか見られなかった日本のアニメ独特の誇張表現や、現実離れしているけどアニメの中だけでは成立して見える独特なアクション表現なども、軽やかにピクサーのアニメに取り入れて、これまた新時代の感覚が溢れています。

 

そうやっていろんな角度から映画に満たされた“新時代”な感覚と、劇中の「変わらない自分も大切にしつつ、変わっていく自分を肯定していく」物語が互いに呼応するようで、今後のピクサーの新しい軸となるような作品の誕生を目撃しているようにも感じます。

 

大袈裟でなく、これから数年後にアニメ映画の転機となった作品をふりかえるとき、この作品もそのひとつとして数えられるのではないかと思うほど、これまでのアニメとどこか違う、風通しの良い新しさが魅力的に輝く一本となっています。

 

そんな「私ときどきレッサーパンダ」は3/15金からシネコン各劇場で上映されますので、ぜひご覧ください。その後3/29からは「あの夏のルカ」、そして4/12からは「ソウルフル・ワールド」と続きますので、どうかお見逃しなく…。て、やっぱり今日は1作品しか紹介できませんでしたね(笑)。

ちなみに、4/12から公開される「ソウルフル・ワールド」については、個人的な話になりますが、僕の人生の転機にこの作品と出会い、そのメッセージに自分のそこから以降の人生に結構な影響を与えられたものでもあり、本当に大切な一本でもあるので、きっとまた改めてこの番組でもご紹介できればと思います!

田畑竜介 Grooooow Up
放送局:RKBラジオ
放送日時:毎週月曜~木曜 6時30分~9時00分
出演者:田畑竜介、田中みずき、三好剛平
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※放送情報は変更となる場合があります。

吉田麻也「人間性が悪い人はほとんど見たことがない」“第2ゴールキーパー”の役割について言及

吉田麻也がパーソナリティを務めるTOKYO FMのラジオ番組「吉田麻也の切り替えて行こう!」(毎週土曜9:30~9:55)。吉田麻也が“何があっても切り替えて行こう!”というDFならではのスローガンを掲げ、最新のニュースやリスナーからのメールに鋭く反応していく番組です! 4月20日(土)の放送では、第2ゴールキーパーの役割について語りました。


パーソナリティの吉田麻也


<リスナーからのメッセージ>
「先日、名古屋グランパスのゴールキーパー・武田洋平選手が久しぶりにリーグ戦出場を果たし、0対0のスコアレスドローに貢献していました。プロ19年目で第2ゴールキーパーとしての期間が長い武田選手ですが、しっかり準備している姿は尊敬しています。そこで、麻也さんが思う“第2ゴールキーパー”に求められるものはなんだと思いますか?」

吉田:チームにとって第2ゴールキーパーの役割ってすごく大事で、第2ゴールキーパーに何より求められるのは“人間性”だと思います。試合には出ないけどチームのプラスになることをしている。もしくは、他の選手の模範になるようなプロフェッショナリズムを持っている。そして、常に(試合に向けて)準備をする……何が言いたいかというと“第2ゴールキーパーに悪い人はほぼいない”と僕は思っています。実際に、第2ゴールキーパーで人間性が悪い人はほとんど見たことがないです。

武田選手は僕の1つ上の先輩なんですけど、物腰が柔らかく、優しくてイケメンで人間性が二重丸の選手です。プロになって試合に出場する機会は少ないかもしれませんが、こうして36歳までプロとして長く活躍しているのは、日頃のおこないやトレーニングに取り組む姿勢、人間性がすごく大きいのかなと思います。なので、僕もこのニュースを見てとてもうれしい気持ちになりましたし、お互いもっと頑張っていかないといけないなと思っております。

<番組概要>
番組名:吉田麻也の切り替えて行こう!
放送日時:毎週土曜9:30~9:55
パーソナリティ:吉田麻也
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/kirikae/

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