天童よしみ「帰郷」が日本作詩大賞を受賞!作詞した松尾潔が思いを語る

音楽プロデューサー・松尾潔氏

第55回日本作詩大賞が12月10日に発表され、天童よしみの「帰郷」が大賞を受賞した。作詞した音楽プロデューサー・松尾潔さんは、レギュラー出演しているRKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』で「“魂の歌手”天童よしみにふさわしい原風景を書いた」と、詞に込めた思いを語った。

天童よしみ「帰郷」はジャパニーズ・カントリーソング

「帰郷」は、大阪府八尾市出身の天童よしみさんが、今年デビュー50周年ということで、故郷を見つめ直すというテーマで作詞しました。故郷に帰るって、素直な気持ちだけじゃなく、いろんな逡巡とか戸惑いがあると思います。理由があって一度は出たところに、人はどういう理由でまた戻るのか? とか、テーマとして広がりがあるなと思って、作詞を進めていきましたが、そこを高く評価していただきました。

自分で言うとちょっと面はゆいですけど、審査委員長を務めた音楽評論家の富澤一誠さんが「シンプルだけど深い。深いが難しくはない。難しくはないが味がある。つまり完璧な作品。天童さんが歌うと、帰郷したくなる。」ということをおっしゃっていて、その講評も大変ありがたいなと思いました。

ところで、審査員6人の中で、一人だけ見知らぬ方がいらっしゃいました。アン・クレシーニさん。後で知ったんですが、福岡では有名人。僕の地元なのに、不勉強でした。彼女はノミネートされた15曲を分析して「私は演歌に特に詳しいわけではないのですが」と前置きした上で「これは私が生まれたアメリカの、カントリーソングに通じるところがあります」ということをおっしゃっていました。望郷の思いを大きな要素として挙げていたんですが、まさにおっしゃる通りだなと思います。

「カントリーロード」

アンさんがおっしゃっていた“望郷の思い”を、カントリーソングでどういうふうに歌ったのか? まず聞いていただきたいのが、「カントリーロード」ですね。日本ではジブリ映画『耳をすませば』で声優の本名陽子さんが歌う日本語バージョンも有名ですが、映画のオープニングで使われているのはオリビア・ニュートン・ジョンのバージョンですね。

オリジナル曲は70年代のアメリカのカントリーミュージックのスーパースター、ジョン・デンバーが作って歌っていました。歌に出てくるウエストバージニアは、アメリカの中では、例えばニューヨークとかロサンゼルスみたいな大都会に対して、アメリカの良心ともいえるようなカントリーの場所とされています。何か理由があって外に出ていった人が、またその道をたどって戻っていくっていうお話で、ジブリの世界観にすごく合うと思います。

「夜汽車よ!ジョージアへ」が「帰郷」のモチーフに

今回「帰郷」を作るにあたって、モチーフになる曲はたくさんあったんです。正直「カントリーロード」のことは考えていなかったんですが、カントリーソングで描かれるような、一度都会に出た人が、また郷里に戻っていくっていうのはすごく意識したんです。だからアンさんがおっしゃったことって、結構、核心を突かれたなっていう思いです。

実際に僕が思い浮かべた曲はというと、グラディス・ナイト&ザ・ピップスという黒人ファミリーグループの「夜汽車よ!ジョージアへ」です。歌い出しは

L.A. proved too much for the man.

L.A.(ロサンゼルス)は都会の象徴ですが、proved too muchだったと。つまり主人公の男の人にとっては何が重すぎた。大志を抱いてそこに行ったんだが、失敗もしたんですね。それで生まれ故郷であるジョージアに夜汽車で戻っていく。

その傷ついた男の人に、私は寄り添うわっていう歌なんですね。ソウルミュージックって、アメリカ黒人にとってのカントリーミュージックって言われますが、まさに帰郷の歌であり、アメリカの黒人の間でスタンダードです。でも、実は白人ソングライターのジム・ウェザリーが作っています。

しかも、最初に作った詞は「midnight plane to Houston」、つまり、ヒューストンへの夜間飛行機だったんですね。それをジョージア行きの夜汽車に変えて、言い換えればどんどん土臭くしていくことによって、帰郷の歌としての親しみ度合いを高めていったということなんです。多分に帰郷の図式をカリカチュアライズ(戯画化)しているんです。

“魂の歌手”天童よしみにふさわしい原風景

天童よしみさんは日本のソウルシンガーの最高峰だと思っています。ジャンルではなく、本当に「魂」っていう意味のソウルシンガーです。

その天童よしみさんが、かつて天才少女と呼ばれて、デビューして東京に行ったんだけど、なかなか芽が出なくて、地元の大阪に帰ったという話を聞いたときに、彼女にふさわしい原風景としてこれを書いたっていう気持ちがあります。

詰まるところふるさとって何だろう? ってこの曲を作ったときに考えたんですが、やっぱり人ありきだなと思います。もちろん、土地の力、風景も思い浮かべますが、やっぱり人の顔っていうのが浮かばないと、そこまでのものにならない。逆に言うと、ふるさとを思わせてくれる人がいれば、そこに会いに行くことが、里帰りと言えるんじゃないでしょうか。

田畑竜介 Grooooow Up
放送局:RKBラジオ
放送日時:毎週月曜~木曜 6時30分~9時00分
出演者:田畑竜介、武田伊央、松尾潔
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※放送情報は変更となる場合があります。

吉田麻也“コーヒー”のこだわりを熱弁「家で挽いたエスプレッソを飲んでいます」

吉田麻也がパーソナリティを務めるTOKYO FMのラジオ番組「吉田麻也の切り替えて行こう!」(毎週土曜9:30~9:55)。吉田麻也が“何があっても切り替えて行こう!”というDFならではのスローガンを掲げ、最新のニュースやリスナーからのメールに鋭く反応していく番組です! 4月20日(土)の放送では、コーヒーのこだわりについて語りました。


パーソナリティの吉田麻也


<リスナーからのメッセージ>
「私は今風のカフェには何度も行ったことがありますが、昔ながらの喫茶店に行ったことがありません。ただ、レトロな雰囲気が魅力的だと感じます。麻也さんは、昔ながらの喫茶店に行ったことがありますか?」

吉田:僕はどちらかというと純喫茶派です。そもそもコーヒーが好きで、なかでもドリップしたものではなく、エスプレッソとかイタリアンなコーヒーが好きですね。

アメリカは本当にスタバ(スターバックス コーヒー)だらけなんですよね。例えば、イギリスだとコスタコーヒーとか、いろいろなコーヒーチェーンが乱立しているんですけど、アメリカはほとんどスタバなんじゃないかな? あと“ロサンゼルスのコーヒーが高すぎる”という問題もあります。それこそ、大手チェーン店でカプチーノを飲むと、余裕で1,000円を超えます。

なので、僕は近所のファーマーズマーケットで「一番イタリアっぽいエスプレッソが飲める豆をください」と頼んで日本人の方が作っている豆を買い、家で挽いたエスプレッソを飲んでいます。

ただ先日、イタリアにいた頃に娘とクラスメイトだった子が、家族で僕の家に泊まりに来たんですよ。それで、初日に「コーヒーが飲みたい!」と言ったので、イタリアのエスプレッソとは違うけど、頑張ってイタリアに寄せて淹れたエスプレッソを提供したんですけど、その後、1回も「コーヒーを飲みたい」と言われなかったですね(苦笑)。イタリア人は厳しい!

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4月20日(土)放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2024年4月28日(日) AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。

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<番組概要>
番組名:吉田麻也の切り替えて行こう!
放送日時:毎週土曜9:30~9:55
パーソナリティ:吉田麻也
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/kirikae/

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