安部礼司、下町ロケット、青山二丁目劇場、鴨の音…ラジオドラマのおすすめ番組

古典や文学、オリジナルドラマなど「音」だけで物語の世界を伝えるラジオドラマ。本記事では『NISSAN あ、安部礼司 -BEYOND THE AVERAGE-』(TOKYO FM)や『青山二丁目劇場』(文化放送)、『ミヤリサン製薬 ラジオ劇場 下町ロケット』(KBCラジオ)、『鴨の音』(文化放送)など、おすすめの番組をご紹介します。

平日放送

月曜日 文化放送『青山二丁目劇場』

古川登志夫さんが劇場支配人として番組をナビゲート、人気作家の作品やショートストーリー、完全オリジナルなど毎回さまざまなラジオドラマをお届けします。ドラマパートは、青二プロダクション所属の声優陣がベテランから若手まで幅広く出演中です。

青山二丁目劇場
放送局:文化放送
放送日時:毎週月曜 20時30分~21時00分
出演者:古川登志夫、青二プロダクション所属声優
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月曜日 KBCラジオ『ミヤリサン製薬 ラジオ劇場 下町ロケット』

2011年に第45回直木賞を受賞し、テレビドラマ化された池井戸潤さんによる同名のベストセラー小説を原作としたラジオドラマ。宇宙科学開発機構の研究員だった佃航平が、家業の町工場「佃製作所」を継ぎ、一度は諦めた「ロケットを打ち上げる」という夢を追い求め、社員たちと共に奮闘する姿を描きます。

2022年10月からは第3部「ゴースト編」を放送しています。主人公・佃航平役には岸谷五朗さん、音楽・ナレーション担当の野島裕史さん、そして井上和彦さん、日野聡さんら豪華キャストによる熱演も聴きどころです。

ミヤリサン製薬 ラジオ劇場 下町ロケット ゴースト編
放送局:KBCラジオ
放送日時:毎週月曜 18時30分~18時45分
出演者:佃 航平 役:岸谷五朗 ほか
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火曜日 NBC長崎放送『ドラマってムジカ』

「男と女が織り成す、ドラマと音楽のタペストリー」をコンセプトに、時代を彩った名曲の世界観をモチーフにしたラジオドラマと、物語の原作となった曲をお送りします。基本的に1話完結型の物語で、作中の登場人物は女優・声優として活動する小田切茜さんと声優・安部亮馬さんが演じます。

ドラマってムジカ
放送局:NBC長崎放送
放送日時:毎週火曜 16時40分~16時50分
出演者:小田切茜、安部亮馬

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火曜日 LOVE FM『こちヨロ(こちらヨーロッパ企画福岡支部)』

京都を拠点に活動する劇団・ヨーロッパ企画が手掛ける福岡発のオリジナル番組。休止期間を挟みながら、2022年4月よりシーズン10が放送中です。

パーソナリティは石田剛太さんが担当し、福岡を中心に活動する著名人をゲストに迎えるほか、「イシダカクテル」のコーナーでは石田さん自らが脚本を書き下ろし、テーマに沿った大人の恋愛ラジオドラマをお届けします。

こちヨロ(こちらヨーロッパ企画福岡支部)
放送局:LOVE FM
放送日時:毎週火曜 21時00分~21時30分
出演者:石田剛太 (ヨーロッパ企画)
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木曜日 KBS京都ラジオ『~ココロもカラダもHappyに~若々ラジオ』

ブルーベリーを利用したサプリメント「ブルーベリーアイ」でもおなじみ、株式会社わかさ生活による情報番組。

わかさ生活の創業者・角谷建耀知さんによる書籍「女子高生と魔法のノート」をオーディオブック形式で放送しており、テレビCMでもお馴染みのキャラクター「ブルブルくん」も登場します。

~ココロもカラダもHappyに~若々ラジオ
放送局:KBS京都ラジオ
放送日時:毎週木曜 17時30分~18時00分
出演者:角谷建耀知 / 相埜裕樹
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月曜日〜木曜日 FMとやま『西村まさ彦のドラマチックな課外授業』

富山県出身の俳優・西村まさ彦さんが、パーソナリティ兼プロデューサーを務める番組。ラジオドラマには一般公募で集まった富山県内の中学生が出演し、毎月1作品を4週間・全15話のシリーズで放送します。

第5週がある月には、ラジオドラマ制作の裏側を紹介するメイキングシーンを放送しており、西村さんによる演技指導の様子もお届けします。

(再)西村まさ彦のドラマチックな課外授業
放送局:FMとやま
放送日時:毎週月曜~木曜 16時00分~16時10分
出演者:西村まさ彦
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金曜日 ニッポン放送『百田夏菜子とラジオドラマのせかい』

ももいろクローバーZ・百田夏菜子さんが、毎月1つのテーマを決めて、客演ゲストと1対1で一話完結のラジオドラマをお届けします。

ゲストは月替わりでの出演となり、これまで声優・木村昴さんや俳優・石黒賢さん、壇蜜さんらが出演しました。番組公式YouTubeチャンネルでは、ラジオドラマ収録後のアフタートークや過去の作品を配信しています。

百田夏菜子とラジオドラマのせかい
放送局:ニッポン放送
放送日時:毎週金曜 24時53分~25時00分
出演者:百田夏菜子
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金曜日 J-WAVE『BITS & BOBS TOKYO』

クリエイティブディレクター、コピーライターで小説家である高崎卓馬さんがナビゲーターを務め、書き下ろしのショートドラマとトークをお届けします。

ドラマパートは女優・長澤樹さん演じる少女が、TOKYOを舞台にいろいろな「BITS & BOBS」(イギリス英語で「とるにたらないもの」の意)に出会うストーリー。月替わりの豪華ゲストが主演を務め、毎回さまざまなキャラクターを演じます。これまで佐藤健さんや松田翔太さん、大森南朋さん、役所広司さんらが出演しました。

BITS&BOBS TOKYO
放送局:J-WAVE
放送日時:毎週金曜 25時00分~25時30分
出演者:高崎卓馬、長澤樹
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土曜日放送

TOKYO FM『一建設 presents おうちのはなし』

憧れの住宅メーカーに就職した女性社員・籠宮ユリカを主人公にしたラジオドラマ。仕事を通じて彼女が出会う人々の「おうちのはなし」をお届けします。籠宮ユリカ役は女優・髙橋ひかるさんが演じています。

一建設 presents おうちのはなし
放送局:TOKYO FM
放送日時:毎週土曜 17時55分~18時00分
出演者:髙橋ひかる
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ABCラジオ『東野幸治プレゼンツ ドラマ アマチュアたちのM-1グランプリ』(※11月12日・19日放送)

年末の風物詩となった漫才頂上決戦「M-1グランプリ」の公式スピンオフ企画を、11月12日・19日の2週にわたって放送。各週1組のアマチュア漫才師をピックアップし、番組前半では実話を元にしたアマチュア漫才師の結成秘話をテーマにしたラジオドラマ、後半はアマチュア漫才師をスタジオに迎え、番組MCを務める東野幸治さんと本音トークをお届けします。

11月12日は、2018年にナイスアマチュア賞を受賞した新潟県在住のアマチュア夫婦漫才コンビ「つまようじ」、19日は2006年にアマチュアとして唯一決勝進出を果たしたアマチュア女性コンビ「変ホ長調」が出演。さらにラジオドラマでは松本若菜さん、北村有起哉さん、南海キャンディーズ・しずちゃんら実力派の俳優が集結し、「つまようじ」編では松本さんと北村さんが熟年夫婦漫才コンビを、「変ホ長調」編では松本さんとしずちゃんがアラサー女子漫才コンビを演じます。

東野幸治プレゼンツ ドラマ アマチュアたちのM-1グランプリ
放送局:ABCラジオ
放送日時:毎週土曜 20時30分~21時30分
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日曜日放送

文化放送『北方謙三 原作 ネオラジオドラマ 三国志』

小説家・北方謙三さんが自ら初めて中国史を題材にした小説『三国志』を原作として手掛けたラジオドラマ。ファンタジー要素は取り入れず、人物に重きを置いたリアリティあふれる原作をオリジナル脚本で構成しています。

ナレーションは講談師・神田伯山さんが担当し、俳優・小沢和義さんとタレント・熊切あさ美さんが出演しています。

北方謙三 原作 ネオラジオドラマ 三国志
放送局:文化放送
放送日時:毎週日曜 6時45分~7時00分
出演者:神田伯山、小沢和義、熊切あさ美
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文化放送『鴨の音』

2020年から世界遺産・京都下鴨神社(京都市左京区)で毎年開催されている、朗読劇「鴨の音」の世界観から派生したラジオ番組。ラジオドラマパートとトークパートの二部構成でお届けします。

ラジオドラマでは豪華声優陣によるオリジナルドラマ、トークパートでは「鴨の音・第一夜」から出演している中井和哉さんがMCとなって、毎回ゲスト声優を迎えて、過去の朗読劇の思い出話やラジオドラマに関するトークなどをお送りします。

鴨の音
放送局:文化放送
放送日時:毎週日曜 20時00分~20時30分
出演者:中井和哉
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TOKYO FM『NISSAN あ、安部礼司 ~BEYOND THE AVERAGE~』

神保町の中堅企業・大日本ジェネラルに勤務する平均的なサラリーマン・安部礼司が、トレンドの荒波に揉まれながら前向きに生きる姿を描いた勇気と成長のコメディの物語。2021年4月には番組15周年を迎え、放送開始時は30代独身だった安部礼司も、今では2児の父親となり、50代へと突入しました。

会社でのドタバタ劇や家族との感動エピソードなど、毎回バラエティに富んだ1話完結型の物語を"イマツボ"な選曲とともにお届けします。

NISSAN あ、安部礼司 - BEYOND THE AVERAGE -
放送局:TOKYO FM
放送日時:毎週日曜 17時00分~17時55分
出演者:安部礼司
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FMヨコハマ『YOKOHAMA SYA⇔REE』

ReeSyaさんが気になる鉄道の話題やラジオドラマをお届けする、オーディオ・エンターテイメント番組。

ラジオドラマは、脚本家・杉崎智介さんが手掛ける「美術ミステリードラマ 杉崎智介のle Salon」シリーズや「地獄保険」 シリーズなど、さまざまなジャンルの作品が楽しめます。

YOKOHAMA SYA⇔REE
放送局:FMヨコハマ
放送日時:毎週日曜 19時30分~20時00分
出演者:ReeSya、杉崎智介
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JRT四国放送『ヒノマルSUNSUNラジオ』

徳島県阿南市出身の漫画家・大東優也さんによる長編漫画『HINOMARU!』。徳島市のコミュニティラジオをきっかけに発足した「ヒノマルプロジェクト」によって、テレビアニメ化や声優教室、音楽教室などを多岐にわたって展開しています。

番組では『HINOMARU!』の原作に基づいたラジオドラマを始め、大東さんや声優、アーティストによるトークや企画もお届けします。

ヒノマルSUNSUNラジオ
放送局:JRT四国放送
放送日時:毎週日曜 22時30分~23時00分
出演者:ヒノマルプロジェクト
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JFN系列『Sound Library~世界にひとつだけの本~』

女優・木村多江さんがナビゲート役となり、ある人物が書いた自伝の朗読をその物語の時代にきらめいていた音楽に合わせてお届けする朗読劇です。

旅行会社に勤務する主人公・月原加奈子の日常で起きた出来事や思い出、同僚・知人のエピソードなど、その出来事の時代やシチュエーションに沿った楽曲に乗せながら物語が展開していきます。

Sound Library ~世界にひとつだけの本~
放送局:TOKYO FM 他29局ネット
放送日時:毎週月曜 5時00分~5時30分
※放送局によって日時が異なる場合があります。
出演者:木村多江
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radiko編集部

radiko編集部員が「ラジコを通じて、ラジオの良さをもっと知ってもらい、皆さんが面白い番組に出会うキッカケ」になるように、ラジオ各局の情報をまとめて発信中。radiko newsでは、新番組へのインタビュー、さまざまなテーマに沿ったまとめ記事など、独自の切り口でも番組をご紹介しています。ラジコ公式SNSの情報更新も行なっています。

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斎藤 工×志磨遼平が対談。キャリアを重ねて「表現」はどう変化した?

斎藤 工と志磨遼平(ドレスコーズ)の対談が、J-WAVE NEWS独占で実現した。漫画家・浅野いにお氏による、極私的な思いを綴ったコミックを原作にした映画『零落』(3月17日公開)で主人公・深澤 薫を演じた斎藤と音楽を担当した志磨。奇しくも同い年の2人が語り合う、意外な接点と音楽について。志磨は映画主題曲『ドレミ』誕生の舞台裏と命名秘話を打ち明け、斎藤はポン・ジュノ監督の名作『殺人の追憶』をお守りにしていることを告白する。同じ時代を稀代の表現者として並走する斎藤&志磨による“ここだけの話”を余すところなくお届けする。

3月17日(金)公開 映画『零落』予告編

心強かった志磨遼平という存在

──お二人は偶然にも同い年! 『零落』以前に面識はありましたか?

斎藤工:僕は(毛皮の)マリーズ世代ではあるので、一方的に下北沢のライブハウスに行かせていただいていました。

志磨遼平:え~! 本当ですか!? 僕らの音楽を聴いてくださっているというのは人づてに伺ってはいたものの、まさかライブにまで。うれしいです。ちなみに斎藤さんとは同じレコード会社に所属していた時期もありますよね。

斎藤:そういうこともありましたね(笑)。

志磨:その時期に「斎藤さんは毛皮のマリーズが好きだよ」というお噂をスタッフから聞いていて、そこからこうしてお会いするまでに10年くらいかかりましたが、今回の映画『零落』でようやくそれが叶った次第です。

──志磨さんは、どのような経緯で『零落』の音楽を担当することになったのですか?

志磨:監督の竹中直人さんとはひょんなきっかけから仲良くさせていただいていて、浅野いにおさん原作の漫画『零落』を映画化したいというお話も早い段階から伺っていました。その際に「映画化したら音楽は志磨君だね!」と言われたものの、まだどこか夢のような気持ちでした。それからしばらくあとに竹中さんが浅野いにおさんと3人で集まる席を設けてくださいまして、そこで正式にオファーをいただいてようやく「これは本当なんだ」と実感できました。

斎藤:竹中さんから『零落』の音楽を志磨さんが担当されると聞いたのは、撮影中だったと思います。竹中さんは自身の監督作において音楽や主題歌という要素を大切にされていて、志磨さんの楽曲が完成する前から、そのイメージをインスピレーション源にして撮影に向かっていく姿を傍で見ていました。なので『零落』において竹中さんから「志磨さん」というワードが出たときは合点がいきました。エンディングテーマとして最終的に作品を結んでもらうのが志磨さんの楽曲であるということも、個人的に心強かったです。
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(c)2023浅野いにお・小学館/「零落」製作委員会 

『ドレミ』はあの名曲のダジャレから?

──ライブに行くほど好きだった方が主演映画の音楽を担当…工さん、これってエモいですよね!?

斎藤:確かに“エモい”ですね(笑)。浅野先生も僕らと同世代で、『零落』の中にある普段人に見せない部分を表出する表現を、僕は志磨さんの今までの作品の中にも勝手に感じていました。人に見せたくない部分を露呈していく、そうしないと面白みがないという浅野先生と志磨さんの表現方法と存在を考えたときに、俳優として『零落』で自分がすべきことは数式のように明確に見えました。

志磨:いいお声で、ありがたいお言葉を……。もう僕は一言も喋らず、斎藤さんの言うことをただただ聞いていたいです。

斎藤:そんな、そんな……。

志磨:斎藤さんとは同い年ではありますが、お会いする前は失礼な意味ではなく、スクリーンやTVの第一線で華々しく活躍されている遠い存在として拝見していました。ところが『零落』での斎藤さんは、華々しさとは真逆のみっともなさを隠すことなくさらけ出している。実はきっと斎藤さんの中にも同じく「人に見せたくない部分」があるからこそできることでしょうし、それでようやく僕はいろんなことに合点がいきました。なぜ僕の作る音楽に共感してくれていたのかもそうですし、なぜ斎藤さんが深澤薫という役に選ばれたのか、そして多くの映画監督がなぜ斎藤さんに惚れ込むのか。その理由がわかったような気がします。

──本編映像を使用したMVも話題の主題歌『ドレミ』を工さんが聴いたタイミングはいつ頃ですか?

ドレスコーズ「ドレミ」MUSIC VIDEO(3月17日(金)公開 映画『零落』主題歌)

斎藤:フルで聴いたのは『零落』の初号試写のときです。それまで予告編でサビの部分は聴いていて耳馴染みは多少ありましたが、やはり一つの曲として作品を通して聴くと印象は違います。それからしばらくして竹中さんにお会いした際に、竹中さんが「僕の中で『ドレミ』がずっと流れている」と仰っていて、それは僕も同じでした。しかも『ドレミ』の歌詞のほぼ同じ箇所をお互い口ずさんでいたんです。聞いたところによると、竹中さんはザ・ビートルズの『Don't Let Me Down』のイメージでオーダーをしたら、志磨さんからは『ドレミ』で返ってきたと。そこを含めて鳥肌モノです。

──え? まさか『ドレミ』とは、ドッレミダ~ン♪からのドレミ!?

志磨:ははは。バレましたか。竹中さんのオーダーにダジャレで応えてみたのです。竹中さんだけがウケるダジャレです。

楳図かずおレコード盤『闇のアルバム』を即買い

──『ドレミ』は配信のほか、7inchレコード盤も発売されています。デジタル時代にあえてアナログ版を製作した理由を教えてください。
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志磨:もしも今、自分が子どもだったら「いつか自分もサブスクで曲を出すこと」に憧れをもつと思います。でも僕らの世代はやっぱりCDを出すこと、あと背伸びをして集めたレコードコレクションに自分のレコードを加えることが憧れだったので。サブスクがあるんだからレコードのような現物は不要だと言われるかもしれませんが、僕としてはやっぱり自分の作品を手にしたいんですね。これはきっと理屈の話ではなく、気持ちの問題です。透明の盤面は、深澤(斎藤)やちふゆ(趣里)のどこか空虚な印象をイメージしています。

斎藤:僕も子どもの頃はCDやカセットテープだったので、世代的にCDやレコードのように実物として手元にあると安心します。映画や本でもそうで、ジャケットや背表紙が手に取るところにあってほしいと思う。僕自身、自分が作るものは形で残したいと思う派なので、志磨さんの気持ちは凄くわかります。

──最近買ったCDは何でしょうか?

志磨:最近はCDよりもレコードをたくさん買いますね。最近だと、漫画家の楳図かずおさんが1975年にリリースした『闇のアルバム』のレコードを見つけました。作詞・作曲・歌、すべて楳図さんという凄まじいレコードです。再発盤のCDは持っているのですが、オリジナル盤のレコードは初めて見つけて。即買いしました。

斎藤:おお、楳図さんのレコードとはレアですね。僕が感動したのは、ドレスコーズさんの8thアルバム『戀愛大全』です。ジャケットのアートワークもさることながら、ディスク2枚組を横並びにした長方形の規格に「この手があったのか!」と痺れました。CDケースであると同時に、インテリアにもなるという作り。あまりにも素晴らしくて、棚に立てかけられるような脚を買って部屋に飾っています。『戀愛大全』おすすめです。

志磨:なんとうれしい! ありがとうございます。横長にすればCDショップの棚からはみ出して目立つだろうと思ったのですが、収納が不便だという苦情も殺到していますね。

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レコードや映画ソフトを神棚代わりに

──収納の話が出ましたが、お二人はコレクションしているCDや映画ソフトをどのような形で収納していますか? 棚に挿すのか、それともジャケット面を表にして飾るのか。

志磨:これは曲を作るときの話になりますが、このレコードをお手本にしようとか、このアルバムのジャケットのイメージで曲を作ってみようと思ったら、そのレコードを神棚のように作業机の前に飾ることがあります。毎日そのジャケットを見ては「今日もいい曲が出来ますように」と拝んだりして。

斎藤:それは僕も同じです。好きな映画の表紙をそのモードになるために部屋のどこかに飾ったり、DVDを現場に持って行ったりします。DVDを現場に持って行ったって別に観るわけではないけれど、お守りとして持っておきたいという気持ち。まさに神頼みです。ちょっとでもその作品の成分が自分に宿って、いい表現に繋がればと(笑)。

志磨:『零落』のときはどのような作品をお持ちになられたんですか?

斎藤:『零落』の撮影中は、ポン・ジュノ監督の『殺人の追憶』のDVDを持っていました。『零落』とは内容も違う作品ですが、『殺人の追憶』の薄っすらと続く緊張感や、ほの暗い人間の欲望が闇に包まれている感じとか、作品全体のトーンが『零落』に通じるものがあるのではないかと思ったんです。

──工さんにお聞きしますが、普段セリフ覚えはどのように行っていますか?

斎藤:常に意識するのは「セリフを覚えなければ」という意識を殺すことです。セリフ覚えの方法は人によって様々ですが、僕はセリフ覚えをタイムカードを押すような作業にはしたくないと思っています。それをするとセリフが頭から抜けていくのも早いし、活字のまま頭に残ってしまって体に浸透しない気がして。セリフにちゃんと火を通すために、僕はセリフを書き写します。ページをめくると頭の中でもめくってしまうので、それがないように気をつけながら。

志磨:わ〜! なるほど! これは勉強になります。書き写す際には相手のセリフも書きますか?

斎藤:書き写すのは自分のセリフだけで、相手のセリフの箇所はリアクションに合わせて線を引きます。長いセリフだったら長めの線を引いて、短めのリアクションだったら点を打つだけです。

志磨:なるほど! これはいいことを聞きました。

キャリアを重ねて表現はどう変化した?

──年齢や経験によって表現の形や質は変化していますか?

志磨:自分の場合、モノを作る際の変化はあまりないのですが、ステージでの表現は昔よりはコツが掴めてきているような気がして面白いです。若いころはただただがむしゃらにやるからライブ終盤はヘトヘト、なんてことばかりでしたが、ここ何年かはそういうこともなくなりましたね。無駄な動きが多すぎました。これはいわゆる「丸くなった」というよりは、ゴツゴツした部分は残して他を丸く削ることで余計にゴツゴツが目立つ、というような感覚です。

──若い頃に作った歌を今の年齢で歌ったときに「直したい!」と思うことはありますか?

志磨:それはほとんどないですね。ただ、曲を作る際にプロデューサーやディレクターから「ここを直してほしい」と指示を受けて直した箇所は、どんなに時間が経ってもはっきりと覚えています。そこは自分のものではないという意識があって、継ぎ接ぎが見えるんですね。今はもう、指示を受けて曲を直すことはほとんどありませんが……。

──工さんは表現の変化についてはどのようにお考えですか?

斎藤:経験を重ねていくと、現場でどんなことが起こり、どのように対処すれば問題ないかを理解してしまっているところがあるので、知り過ぎないよう慣れ過ぎないよう自分を律していかないと危ないですよね。「これで良し!」というポイントを自分で決めてしまう怖さというか。僕は決して短くない時間を俳優として過ごしていますが、その時間の中で積み上げたものを信じ過ぎないことが大事だと思います。一番恐ろしいのは、目の前にいる共演者の方でなくても通用する表現をしてしまうことです。その危機感を持たずにやっていくと、そのような方向性に流れて行ってしまうことは明らか。常に抗い続けることが必要だと思ってやっています。
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スランプに陥っても、無理に逃れようとしない

──皆さんには、深澤 薫のようなスランプに陥った場合の対処法はありますか?

志磨:対処法……。僕は下手な方です。「これをやれば復活できる」という方法もなくて、上手くいかないときはただ「うーん」と唸って、それが解決するまで「うーん」を続けます。その「うーん」の時間をショートカットする方法があればいいのですが、ないですね。行き詰まったら、そのまま行き詰まり続けます。

斎藤:落ち込んだとしたら、僕は無理にそのゾーンから逃れないようにしています。俳優とは不思議な職業で、誰も見ていない帰り道で死んだような魚の目やその状態が役に引用できるというか、プライベートの落ち込んだ感情も活きるんです。恋愛を含めて傷つきたくはないけれど、そのときに受けた傷のズキズキ感、ゾワゾワ感、ジメジメ感がこの仕事では活きたりする。『零落』では光の当たっていないときの感情が全編を通して必要だったので、僕の中で蓄積されていたネガティブな感情が大いに役立ちました。このように、行き詰まったときの感情からは意外といいダシが出るぞという風に繋げてしまう。逃れるよりもネガティブな状況を受け入れ浸って「落ちるところまで落ちてみるか」と思ってしまう。表現者としての悲しい性というのか、業というのか……。まるで深澤 薫の話をしているみたいですね(笑)。
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(取材・文・撮影:石井隼人/斎藤工 スタイリスト:三田真一、ヘアメイク:赤塚修二/志磨遼平 スタイリスト:田浦幸司)

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