「問題が昔とはかなり違う!」大学入試共通テストに挑戦してみた

1月14、15日に実施された大学共通テスト。センター試験と比べ、暗記が必要な問題を減らし、考えさせる問題を増やしている。高校時代に「好きな科目しか勉強したくない!」と理系の勉強を放棄し、私大で日本史学を専攻したRKB報道局の神戸金史解説委員(56)が、37年ぶりに日本史の入試問題にチャレンジした。果たしてその成績は…? RKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』で報告した。

理系の授業を放棄した黒歴史

大学入学共通テストの試験会場 ©RKB毎日放送

大学入学共通テストが行われたというニュースがありました。大変だな、寒いし、勉強しなきゃいけないし、ドキドキするだろうな、とニュースを見ていました。僕は試験にいい思い出がなくて…。高校2年生で数学や理科を勉強するのが嫌になっちゃって、ほとんど放棄したんです。

模試で生物の試験があったんですが、もうやる気がなくて。マークシートに1~4の選択肢があり、最初から「1→3→2→4」の順と書くと決めました。終わった後に問題を見たら、1つだけ正解が分かる問題があったので、そこだけ順を変えたんです。結果、そこしか合ってなくて、結果は5点。学校の平均点が60点近かったのに。「僕がいなかったら、平均点はどのくらいだっただろう」と計算したら、3点ぐらい違いましたね。

全国で生物の試験を受けていたのは1万2500人だったと思うんですけど、僕の順位が1万2450番だったんです。ということは、0点が50人いる、ということが分かりました。先生から「もう受けなくていい」と言われました。

一方、僕は子供の頃から日本史の本ばかり読んでいたので、知識はかなりあったんです。日本史と、国語と英語しか勉強しない、という非常に偏った高校生活でした。だから、共通一次とかセンター試験、共通テストと聞くと、今でも「すごいなー」と思っちゃうんです。

共通一次、センター試験、そして共通テスト

試験のことを調べてみました。「共通一次」は1979年から11年間。国公立大学と産業医科大学だけを対象とする試験でした。「センター試験」は1990年から2020年まで行われ、私立大学でも採用するところが出てきたのが特徴です。

その後に「共通テスト」に変わったのはなぜだったのか? 「高校と大学の接続改革の一つだ」と、河合塾さんの解説がありました。役に立っていく勉強が本当に大学でできているのか? 「高校」「大学」の教育、それをつなぐ「大学入試」を三位一体で改革しようとして始まったというのです。

単純に暗記していればいい、ではなくて「知識技能」「思考力」「表現力」も試験で問われるものにしていきたい。大学受験がそうなってないと、高校教育自体もそうならない、ということなんだろうと思います。

得意な日本史なら何とかなる?

試験翌日の新聞に問題と解答例が掲載されます。問題を見たら「明らかに僕らの時代とは違うな」と思いました。例えば、日本史Bの問題――。

第1問 マリさんとケントさんは、高校の授業で「地図から考える日本の歴史」という課題研究に取り組むために、各自で地図を持ち寄り話し合うことになった。

日本史Bの大問1

こういう前提で、始まります。地図が出てきて、2人の会話のやり取りがあり、そこに空欄があって「ここに当てはまるのは何か」地図を読み取りながら解いていくんです。「こんなのなかったなあ!」と思いました。僕は、大学を出てからも日本史の本ばかり読んできたので、「試しにやってみるか」と挑戦してみました。実に37年ぶりの入試問題です。

入試問題に挑む神戸解説委員

「地図から考える日本の歴史」が第1問。第2問は「日本古代の陰陽道の歴史」。陰陽師ですよ、安倍晴明(あべのせいめい)とか。「へー、こんなのが出ているのか!」とびっくり。面白いですね。単純に年号を暗記していないとできない問題が、5つありました。覚えてないから、「これはダメだ」と、全部カンでマーク。

日本史Bで引用されていた史料

第1問「地図から考える日本の歴史」 (標準、6問18点)

第2問「日本古代の陰陽道の歴史」(やや難、5問16点)

第3問「中世の京都」(標準、5問16点)

第4問「江戸時代における人々の結びつき」(標準、5問16点)

第5問「幕末から明治にかけての日本」(やや難、4問12点)

第6問「旅から調べる近現代史」(やや難、7問22点)

解答時間 60分(計32問)

「うーん、8割くらい…できたのではないかな?」と思ったのですが、採点したら71点。もうちょっとできているんじゃないか、と思ったんですけど。マークミスもしていました。

神戸解説委員の答案

「ここ、何で間違ったんだろう?」と思ったら、僕が選んだものと違う数字を書き出していて…。年号は5問中、1問しか合っていませんでした。カンなので、仕方ないんですけど。

悔しいので国語にも挑戦

日本史の得点が予想より低かったので、悔しくなって、「国語もやってみよう」と。ただし、古文や漢文は絶対できない。国語200点満点のうち、100点が現代文、大問は2つ。現代文だけやってみたんです。これもかなり面白い文章。「今はこういう文が出るんだな」と。読むだけで面白い。

国語の問題に出ていた昔の広告

でも、読み終わって問題に入ると…。「筆者はどういう考え方?」という質問。わからないんです。問題文を読むのに10分ぐらいかかって、解くのに20分。大問2つで、1時間ぐらいかかりました。古文と漢文も合わせて、国語の試験時間は1時間20分しかないのに。

でも僕は記者、文章を書く仕事ですから、何とかなるんじゃないかなとも思ったんです。20問中、間違えたのは2問だけで、86点でした。後輩の記者には自慢できるかもしれません。でもやはり「筆者はどう考えていたか?」という問題で、答えを見ると「え? こっちなんだ!」と思いました。

2教科もやると、もうヘロヘロ。試験問題を解くのは、すごく大変なんですね。すると、妻が「あなた得意な科目しかしないの? 英語やってよ」と言うんです。もう気力がないので、明日にでも…。目標は、15点にしておきます。僕に残っている知識は、日本史と国語だけです。受験生の皆さん、本当大変だと思いますが、頑張ってください。僕はもうやりません。今年だけです。

プレミアム会員登録をして全国のラジオを聴く!

◎神戸金史(かんべ・かねぶみ)

1967年生まれ。毎日新聞に入社直後、雲仙噴火災害に遭遇。福岡、東京の社会部で勤務した後、2005年にRKBに転職。東京報道部時代に「やまゆり園」障害者殺傷事件を取材してラジオドキュメンタリー『SCRATCH 差別と平成』やテレビ『イントレランスの時代』を制作した。

田畑竜介 Grooooow Up
放送局:RKBラジオ
放送日時:毎週月曜~木曜 6時30分~9時00分
出演者:田畑竜介、武田伊央、神戸金史
番組ホームページ
公式Twitter
公式Instagram

※放送情報は変更となる場合があります。