“パパ活”疑惑の吉川赳衆院議員「説明せず・辞職せず」は過去にも

元サンデー毎日編集長・潟永秀一郎氏

吉川赳衆院議員が、18歳の女子大生に現金を渡して付き合う、いわゆる「パパ活」をしたと、週刊ポストが報じた。妻子ある40歳、国民の代表がいったい何を考えているのだろうか。説明しないまま雲隠れしているが、スキャンダルが報じられた国会議員が公の場で説明することなく議員を続けているケースは過去にも多い。RKBラジオ『立川生志 金サイト』に出演した潟永秀一郎・元サンデー毎日編集長がコメントした。

比例復活した議員が離党しても続けられるのは制度の不備

「国民に向けて説明しなさい」と、派閥の親分でもある岸田首相も怒っていますが、今のところ聞く耳持たないようですし、その自民党も、野党が提起した辞職勧告決議案を採決しないまま国会を閉じましたから、五十歩百歩と言えなくもありません。

自民党では過去にも不祥事を起こして、離党だけで記者会見もせず居座った議員が何人もいますから、吉川議員も先輩を見習っているのかもしれません。この点、後でお話するとして、まずは週刊ポストが報じた事実関係をおさらいします。

記事によると、吉川議員は国会会期中の5月27日の夜、都内の高級焼き肉店で18歳の女性と食事をし、一緒にお酒を飲みました。その後、高級ホテルの一室に一緒に入り、およそ1時間半後にホテルを出て、タクシーで彼女を地下鉄の駅まで送って別れた――と、記者が目撃した事実は以上です。

その後、各メディアはこれを後追い報道して、国会でも問題になるわけですが、その際、新聞をはじめとする多くのメディアの報じ方は「未成年に飲酒させた」問題です。なぜなら、ホテルで何があったのかは、当事者しか分からないうえ、18歳女性の人権にも関わります。一方で、飲酒させていたことは記者の目撃談ですし、店が取材に応じるかは別に、当日の注文表から確認することもできます。だから、「飲酒問題」なんです。

ただ、ポストの記事によると、後日、取材した女子大生は、吉川議員から4万円をもらってデートに付き合ったこと、ホテルでわいせつ行為をされそうになって拒んだことなどを明かした、とされています。

事実なら、刑事罰に問われかねない問題で、しかも参院選前という、自民党にとっては最悪のタイミングですから、幹部はカンカンです。世耕・参院幹事長は「比例の復活議員だから自民党の議席だ。議員辞職も求めたい」と話しましたが、確かにその通り。何で、党の比例票で復活当選した人が、離党しても議員で居られるのか、過去にもあったことですが、あらためて選挙制度の不備を示しています。

辞職勧告を決議されること自体がまれな国会

ちなみに、奇遇と言うか、吉川議員が議席を得たのもハレンチ事件絡みで、5年前の衆院選、吉川氏は選挙区で大敗して比例復活も叶わなかったんですが、比例東海ブロックで当選した自民党議員が、女性にわいせつ行為をしたと告訴状を出されて辞職に追い込まれ、繰り上げ当選しました。つまりこの議席、議員2代にわたって女性問題を起こすという、地元にしてみれば「いい加減にしろ!」という話で、実際、自民党静岡県議団は全会一致で辞職勧告を決議しました。

それでも、党本部が国会での辞職勧告を見送ったのはなぜか?私は、過去に勧告を見送った事案と整合性が取れないからではないか、と思っています。

記憶に新しいところでは、河井夫妻の大規模選挙違反事件です。3年前の10月に週刊文春の報道で疑惑が明るみに出て、夫の克行氏は法務大臣を辞職しましたが、その後は雲隠れ。逮捕直前に離党しますが、逮捕後も議員辞職せず、国会に出ないまま、夫妻にはおよそ4600万円の歳費などが支払われて、国民の怒りを買いましたよね。この時も、野党は議員辞職を求めましたが、国会は開かれず、決議もされませんでした。

離党だけで居座ったケースは、最近ではほかに、カジノ絡みの汚職事件で立件された秋元司・元内閣府副大臣がそうで、逮捕されても辞めませんでしたが、この時も辞職勧告決議はされていません。

というか、戦後、国会で辞職勧告決議されたケース自体まれで、鈴木宗男議員ら5件しかなく、しかもその全員が辞職を拒みました。決議案が出ても否決された中には、ロッキード事件で逮捕された田中角栄氏らがいます。

「時間がたてば、みんな忘れる」説明責任果たさない議員たち

また、「説明責任を果たす」と言ったまま、説明しないのことも繰り返されています。

河井夫妻の件もそうで、克行氏は大臣辞職の際「しっかり調査し、説明責任を果たしていきたい」と言いましたが、言いっぱなし。有権者にメロンやカニなどを贈っていたことが分かり、経済産業大臣を辞職した菅原一秀氏も「説明責任を果たしたい」と言った後、雲隠れして、後に公職選挙法違反で立件されても会見せず、選挙直前に辞職しました。URをめぐる口利き疑惑で経済再生大臣を辞職した甘利明氏も、その後、半年余り国会を欠席し、疑惑について弁護士らで調査した結果を報告するという約束も果たされていません。

つまり、これまでがそうですから、吉川議員も「なんで俺だけ記者会見したり、辞職しなきゃいけないんだ」と思っているのかもしれません。実際、パターンは一緒ですよね。何も説明しないまま、離党して、雲隠れして、議員はやめず――という。ひどい話ですが、許してきたのは党ですから、決議まで踏み込めないのでしょうか。

いずれにせよ、こうしたことが繰り返される背景には「時間がたてば、みんな忘れる」という考えがあると、私は思います。そして残念ながら、実際、私たちは忘れがちです。総務省のデータによると、ネット上に流れる情報量はこの20年で実に6000倍に増え、私たちが1日に触れる情報量は平安時代の一生分とも言われています。そんな情報の洪水の中で、今お話した河井夫妻ら国会議員の事件も、つい1、2年前のことなのにもう遠く感じますし、政界を揺るがせた「モリ・カケ・サクラ」問題も、忘れられつつありますよね。

吉川議員も、参院選が終わるまで雲隠れを続けて、その後は無所属のまま議員を続けて、みんなが忘れてくれるのを待とうと考えているのかもしれません。その場合、有権者の審判は次の衆院選まで待たなければなりませんが、少なくとも辞職勧告決議はすべきだと思いますし、それができない国会は同罪だと、私は思います。

立川生志 金サイト
放送局:RKBラジオ
放送日時:毎週金曜 6時30分~10時00分
出演者:立川生志、田中みずき、潟永秀一郎
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※放送情報は変更となる場合があります。

鈴木おさむ“小説SMAP”メディアでの取り上げられ方に言及「テレビの本ですが、やはりテレビでは紹介しにくいわけです」

科学者の茂木健一郎がパーソナリティをつとめ、日本や世界を舞台に活躍しているゲストの“挑戦”に迫るTOKYO FMのラジオ番組「Dream HEART」(毎週土曜 22:00~22:30)。 4月13日(土)、4月20日(土)の放送ゲストは、ベストセラー作家への道を歩んでいる、元放送作家の鈴木おさむさんです。20日(土)の放送では、著書である“小説SMAP”こと『もう明日が待っている』(文藝春秋)の内容や、出版前の裏話などについて伺いました。


鈴木おさむさん



1972年生まれ、千葉県出身の鈴木さん。19歳で放送作家としてデビューし、それから32年間、さまざまなコンテンツを生み出してきました。
2024年3月末をもって放送作家・脚本家を引退。現在は、「スタートアップファクトリー」を立ち上げ、スタートアップ企業の若者たちの応援を始め、コンサル、講演などもおこなっています。
3月27日(水)に刊行した著書『もう明日が待っている』は、発売2日で累計発行部数15万部を突破。同著の著者印税は、すべて能登半島地震の義援金として寄付されます。

またTOKYO FMでは現在、THE RAMPAGE from EXILE TRIBEのリーダー・陣さんとともに音楽チャートラジオ番組「JUMP UP MELODIES」(毎週金曜13:00~14:55)のパーソナリティもつとめています。



鈴木:(『もう明日が待っている』には)「黒林さん」というプロデューサーも出てきます。(本名は)黒木(彰一)さんと言って、54歳でお亡くなりになられた方です。ずっと一緒に番組を作っていて、この(小説の)なかでもマイケル・ジャクソンを(SMAP×SMAPに)引っ張ってきた、すごくファニーなキャラクターの人です。

茂木:あれもすごいことでしたね。

鈴木:そうです。マイケル・ジャクソンを呼んでね。「まぁ、小説だからいいか」ということで、呼んだ金額まで書いているんですけど(笑)。その黒木さんがご病気で、「もしかしたら危ないかも」と思って。だから今回、よりスタッフの話を残したんですよ。

ちょうど、この本のゲラ(※誤字・脱字などのチェックをおこなうために仮に印刷した印刷物)が全部出てきたときに、黒木さんのご病気が少し悪くなって、「会いたい」と言われて会ってきたんです。

それが金曜日だったのですが、(出版元の)文藝春秋に頼んで、ゲラをまとめて表紙を付けて仮の本にして渡すことができたんですよね。たぶん読んでくれて、その夜に「おもしろかったです。ありがとうございます」というメールが来ました。シンプルな文でしたが、メールを打つのもしんどかったと思います。なぜなら、金曜日に読んでいただいて、月曜日の夜にお亡くなりになられましたから。それぐらい体力的にも限界のなかで(本を読んで、メールをくださった)。

茂木:でも、間に合ってよかったですね。

鈴木:そうなんです。それでお葬式に行ったら、娘さんが「うちの父は本を読むのが本当に好きな人で、最後の本がこの本になりました」と言ってくれて。だからそこも含めて、僕らスタッフのなかでも本当に最後に「〇(丸)」を付けることができたというのもあります。

でも僕がおもしろいなと思うのは、テレビのためにずっとやってきて、言ってみれば(『もう明日が待っている』は)テレビの本なんですけど、やはりテレビでは紹介しにくいわけですよ。

茂木:いろいろな事情でね。

鈴木:はい。テレビのランキング番組の“(小説売上)ランキング”に入っているのですが、(紹介されるのはタイトル名と僕の名前)「『もう明日が待っている』鈴木おさむ」だけで、SMAPの「ス」の字も言わない。

それは仕方がないんです。だけど、放送作家が最後にテレビの本を書いて、それがテレビで紹介されないというのもおもしろいし、だからこそ絶対にミリオン(100万部)売れてほしいと思います。

番組では他にも、鈴木さんが今後の目標について語る場面もありました。


(左から)鈴木おさむさん、茂木健一郎



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4月20日(土)放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2024年4月28日(日) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:Dream HEART
放送エリア:TOKYO FMをはじめとするJFN全国38局ネット
放送日時:毎週土曜22:00~22:30
パーソナリティ:茂木健一郎

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